今日のFXニュース:日米金利差拡大予想と低リスク円のインフレ高リスクで118円台の記録的な円安ドル高に|東西FXニュース
2022年3月14日
東西FXニュース – 2022年3月14日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米欧英日の金融政策の差と商品価格高騰で低リスク通貨のリスク増加で円売り円安に
- 明日から予定の米連邦公開市場委員会(FOMC)の米政策金利期待でドル買いドル高
- ウクライナ危機継続で安全資産のドル買いドル高も続く
今日2022年3月14日の欧州外国為替市場では、日本時間の20時前に118円台に達する円安ドル高を記録した。それまでの今夜の東京外国為替市場でも、欧米の積極的金融政策への期待の高まった先週末の117円台前半の記録的な円安ドル高のトレンドが続いて円相場が続落しており、2017年1月以来の117円台後半の円安ドル高に達していた。
東京外為時間でも117円88銭まで下がり、今夜17時の東京終値でも117円73〜74銭と、先週末の東京終値の前取引日比で1円2銭の大幅な円安ドル高を更新し、その後の今夜の欧州市場時間で118円の記録的円安ドル高となった。
主な原因は、ウクライナ危機継続で世界的に流動性の高い安全資産のドル買いが進んでいることに加えて、明日15日から明後日16日に米国で予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)での、米政策金利の引き上げ予想への期待値が投資家の間で高まっており、日米金利差拡大予測や、米欧の積極的金融政策と日本の日銀の金融緩和継続への違いの懸念から、ドルが買われて円が売られていたことが大きい。
また、脱ロシアも含めて、原油や小麦などの主要商品先物取引(コモディティ)価格の高騰に加えて、日本が海外に輸出するために生産する車や工業生産などに必要な半導体不足だけでなくニッケルやパラジウムなどの金属類にもロシア産があったために原料価格が高騰しており、安全資産の金などの貴金属価格も全般的に上昇する中で、国土に天然資源が乏しく輸入に依存する輸入大国の日本円には、インフレリスク売りや、国内輸入企業は以前よりも多くのドルで支払いをしなくてはならなくなるために実需での円売りドル買いが増えていることも今日の記録的な円安の理由と分析できる。
農林水産省調査での令和元年の日本のカロリーベースの食料自給率はわずか38%、商品(コモディティ)先物取引で高騰の小麦の自給率は16%で、北米などからの輸入に頼る輸入大国である。そのため、記録的な円安で原油高や原料高や日本のインフレが加速するリスクが高まった。それまで低リスク通貨として知られていた日本円が、高インフレのリスク増加で売られる要因になった。
他にも、日本国内の銀行関係者によると、今日の値動きには今月から本格的に動き出すという日本政府の10兆円規模の大学ファンドの準備金のドル需要もあるのではないかという。
大学ファンドは、政府が科学技術振興機構(JST)に設置し、国からの貸し付け90%と民間等からも10%の資金を国内外の株式等で運用して、利益を投資して日本の大学の研究力を上げて世界のトップ研究大学に相応しい制度改革や資金拠出にコミットする計画で、50年時限のファンドは将来的には各大学からの資金での基金運用するための仕組みの基盤とするとされている。しかし、国費分が大きいために運用の失敗は国民の負担になりかねないので、分散投資で国内だけでなく海外投資でドルが買われていると考えられている。
ウクライナ危機も継続して値動きに影響を与えており、以前は安全資産といえばユーロに対して流動性の高いドルの他にも低リスク円が買われていたが、日本の円安でのインフレリスクから、ドルの方が好んで買われたことで、ユーロに対してドルが買われ、17時には1.0931前後で前日比0.53セントのドル高ユーロ安であったのに比べて、円はユーロに対しても反落して、東京終値17時に128円69〜71銭で前日比49銭の円安ユーロ高であった。
今夜17時の東京外為時間の後に、時差で朝の欧州市場が始まると、長期深刻化するロシアのウクライナ侵攻での地政学リスクと今夜速報で発表されたフランスの景気指数がマイナスのままだったのでインフレ懸念や、ジャンク債に格下げされデフォルト懸念のあるロシア債権保有率の高い欧州の銀行の中でも基盤の弱い銀行のあるイタリアがフランスに続く保有率ということでユーロからのリスクオフで安全通貨のドルが買われた。低リスク通貨の日本円の買われる抵抗も少しは入っており、日本が昔の対外貿易で積み上げた黒字は大きく、最近が貿易赤字に転じても、長期視点では世界最大の対外資産保有国ということで、ユーロに対してはドルに続いての安全資産としてリスクオンの安値で買い戻す投資家もいるが、金融政策の違いから円売りの方が大きく、欧米通貨に対しての円相場は下落したままである。
特に安全資産同士の対ドルでは、欧州市場時間でも円相場でのドル上昇が激しく、19時46分に頃からは118円に達する円安ドル高となった。
一方、ユーロ対ドルでの抵抗としては、ロンドン時間の朝9時半(日本時間今夜18時半)頃までに、それまでの早朝には米金利上昇期待で大幅に上昇していたドルが、ユーロ圏でのインフレ懸念の高さから欧州債の利回りが上昇したことでユーロ買いが入ったことがあるが、それまでの上昇率が大きく、ドル高ユーロ安が続いていた。
また、英中銀(BoE)による政策金利上昇後でGDPが回復傾向だった英ポンドにも、今日は円安ポンド高が続いており、全般的な円安傾向が目立っている。
今日のニュース執筆終了時の2022年3月14日の日本時間(JST)20時13分(ロンドン時間11時13分)付近の、クロス円を中心とした東京前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア |
JST 20:13の為替レート |
前日比 |
ドル/円 |
118.02〜118.04 |
+1.31(円安) |
ユーロ/円 |
129.40〜129.41 |
+1.20(円安) |
ユーロ/ドル |
1.0962〜1.0964 |
-0.0022(ドル高) |
英ポンド/円 |
153.85〜153.91 |
+1.00(円安) |
スイスフラン/円 |
126.14〜126.20 |
+0.67(円安) |
豪ドル/円 |
85.53〜85.57 |
+0.08(円安) |
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