FXニュース:米連邦準備理事会(FRB)パウエル議長発言で日米金利差拡大予想強まる
2022年4月22日東西FXニュース – 2022年4月22日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 日米財務相会談で円安問題の協調介入について議論された報道では円の反発も
- 今夜も世界銀行・国際通貨基金(IMF)合同開発委員が開催でイベントリスク
- 仏大統領選挙決戦投票を明後日に控え先行き不透明感も今日のユーロに影響
今日2022年4月22日の東京外国為替市場の円相場の為替レートは、9時から17時までの取引時間の円の安値は午前11時頃の128円69銭前後で、今日17時の東京外為終値は128円8〜9銭で、前日比6銭の円安ドル高であった。
主な原因は、日本時間で昨夜から今朝未明に国際通貨基金(IMF)の国際通貨金融委員会(IMFC)が開催されて、米国連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が、「来月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、0.5%の利上げを検討している。」と発言した為に、現在の円安ドル高の要因となっている日米金利差拡大予想が更に強まり、米国の物価高(インフレ)問題に関しても「先月にピークを迎えたとは考えていない。」とし米国の積極的な金融引き締め政策の可能性が高まり、今朝のニューヨーク市場で米長期金利が2.95%の高水準になり、ドル買い円売りが優勢となっていた。
また、昨夜から今朝発表の米失業保険統計でも受給者数が大幅に改善されており、前週比5万8000人減の141万7000人で1970年以来の記録的な低水準であった為に、米景気先行指数が上昇し、日本でも朝のニュースで、米国景気回復で米ドルが買われやすくなっていた。
今日の東京外国為替市場でも、今朝10時頃の仲値決済では、先月初旬の114円台の頃と比べると今月は先日129円台の15円近い大幅な円安ドル高を記録しており、またウクライナ危機で脱ロシアの原油資源高も継続しているために想定外のコスト増の輸入実需で日本企業の追加の輸入用貿易費用の円売りのドル買いが入っており、この直後の11時頃に今朝の円相場の安値の128円69銭の円安ドル高になった。
しかし、今日のお昼のテレビニュースで、鈴木俊一財務相が米国のイエレン財務長官と会談し、現在の急速な円安ドル高が進行する中で、「日米の財務相会談で、協調介入についても議論した。」と報道され、午後13時過ぎには英語字幕付きで海外にも流れたので、政府介入の可能性を示唆された内外の投資家や円安で恩恵を受けている輸出企業等が為替正常化方向の円安是正方向の円買いをしたために、午後の円相場は円が上昇して夕方まで大きく反発した。
今夜から明日未明も、世界銀行・国際通貨基金(IMF)合同開発委員が開催されるのでイベントリスクがあり、午前中の高値での利益確定売りや調整などが昼から午後に進んだ他にも、午後から夕方に為替正常化方向への動きがあったり、投資家の間では結果が分かるまでの様子見以外にも、日米金利差拡大予想による戦略的な安値でのドルの買い戻しも夕方の東京終値直後から再びあり、今日の為替の値動きに影響を与えている。
一方ユーロは、欧州中央銀行(ECB)関係者の前向き発言連発による金融政策正常化への期待から、昨日には一時140円近くに達する記録的な円安ユーロ高まで買われていたが、明後日に欧州連合(EU)のフランスで大統領選の決選投票を控えており、中道のマクロン現仏大統領と極右政党の前党首のルペン候補とのテレビ討論会があり、両者の支持率の接近から、欧州ユーロ圏でドイツと並ぶ大国のフランスの政治先行き不透明感がリスク視されてきており、リスク回避でユーロが売られて安全資産のドルが買われていた以外にも、午後には日本のニュースで円に対しても売られて下がっていた。
数週間前にもマクロン現大統領がフランスの日刊誌のインタビューで、ルペン候補の政策のあら探しをしており、「彼女の政策は大量の失業を引き起こす。海外投資家が逃げ出し、予算的に実現不可能だからだ。」と海外投資関係者を意識して不安感を煽る様な発言したことが世界的なニュースになっており、以前にマクロン政権が世論調査で支持率を上げた時には海外投資家達が先行き透明感からユーロを買ってユーロが一時的に上がったという経緯もあるが、逆に先行き不透明ではユーロリスクとしてリスク回避で売られてユーロが一時的に下がるという様なニュースでの値動きが、今日もユーロの為替相場に影響を与えていた。
そのため、今日は朝の輸入実需の外貨買いの後のユーロは下がり、今週は高値では140円付近まで円に対して買われていたユーロが今日の午後に大きく下げて、今日の東京終値17時には138円41〜43銭で前日比1円48銭の円高ユーロ安だった。その後の朝の欧州市場では現地実需でのユーロ買いの抵抗も18時頃より入ったが、19時になっても、今日の下げ幅を縮めた形になっていた。
同様にユーロ対ドルも米欧金利差拡大予想でドルが買われた他にも、先述のリスク回避で世界的に流動性の高い安全資産のドルが買われてユーロが売られてユーロが下がっており、今日の東京市場終値の17時は1.0805〜1.0807ドルで、前日比1.22セントのドル高ユーロ安であった。欧州政治の先行き不透明感以外にも、今日もロシア侵攻のウクライナ戦争の悲惨さを伝えるニュースが流れ、追加経済制裁や地政学的リスクもユーロの重荷になった。
しかし、今夜22時には欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁の発言が予定されており、金融政策などの内容によっては再び先日の様なユーロ買い戻しが起こる可能性もあるので、今後も為替に影響を与えるファンダメンタル分析のFXニュースには注意が必要である。
今日の東京外国為替取引時間の円相場では、英ポンドの下げも顕著であった。主な原因は、現在の英国の記録的な7%のインフレ(政策目標は2%)の影響で、今日の午後発表の英小売売上高が、前月比1.4%減で市場予想の0.3%を大きく超えて悪化しており、英エネルギー価格高騰や食料品を含む物価高による消費減退加速で英国景気懸念から、リスク回避でポンド売りの安全資産のドル買いが強まっており、円相場にも影響した。
また、先月に英国中央銀行にあたるイングランド銀行(BoE)が政策金利を0.75%に利上げ発表した後から日英金利差で急速な円安ポンド高が進んでいた英ポンドも、先述の今日の午後の円安問題で政府介入の可能性を示唆した日本のニュースと、今夜のイベントリスクから、午後に為替正常化方向への円の動きの影響で、今日の東京外国為替市場終値の17時は165円29〜35銭で、前日比では1円88銭の大幅な円高ポンド安だった。
ただし、今夜23時半から英中銀(BoE)のベイリー総裁の発言も予定されており、発言の内容によっては今後の値動きに影響を与える可能性もあるので留意しておきたい。
今日の東西F Xニュース執筆終了時の2022年4月22日の日本時間(JST)19時17分(英国夏時間(GMT+1)11時17分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:17の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 128.47 〜 128.49 | +0.45(円安) |
ユーロ/円 | 138.78 〜 138.80 | -1.11(円高) |
ユーロ/ドル | 1.0801 〜 1.0803 | -0.0126(ドル高) |
英ポンド/円 | 165.36 〜 165.42 | -1.81(円高) |
スイスフラン/円 | 134.46 〜 134.52 | -0.11(円高) |
豪ドル/円 | 93.81 〜 93.85 | -0.76(円高) |
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