FXニュース:中国景気減退と株安の世界経済リスク回避で安全資産のドル買いが
2022年4月27日東西FXニュース – 2022年4月27日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- ロシアが欧州一部ガス配給停止しユーロリスク売りと原油高では円売りも
- 今日と明日の日本銀行金融政策決定会合発表前の円為替相場の値動き
- 米債券買いで米長期金利一時低下時には日米金利差拡大予想減退で円買いも
今日2022年4月27日の東京外国為替市場の円相場の為替レートは、9時から17時までの東京外為取引時間の円の安値128円10銭前後から高値127円26銭前後の値動き幅84銭程で、今夜17時の東京終値は127円98〜99銭で前日比11銭の円安ドル高であった。
昨日もお伝えした通り、中国で新型コロナウィルスが再流行しており、株式市場もある上海などのロックダウン(都市閉鎖)による株安や景気減退で、世界経済成長率への影響が懸念されており、昨夜から今朝未明のニューヨーク市場でも投資家のリスク回避の動きで株が売られて下がり、代わりに安全資産の米国債や流動性の高い米ドルが買われ、原油安時には低リスク通貨の日本円も買われていた。
特に今朝未明までのニューヨーク市場では、その米国債買いから米長期金利が一時は2.72%と前日終値の2.82%よりも下がり、その際には日米金利差縮小のためにドルを売って円が買われたこともあり、一時原油安の時間帯もあった今朝未明のニューヨーク市場終値のドル円は127円15~25銭で前日比では95銭の円高ドル安であった。
しかし、昨夜までは100ドル以下に下がっていた原油価格が、今朝までのニューヨーク市場で株価が下がった際に、株の代わりに商品先物価格(コモディティー)取引でリスク回避をする投資家の動きで上がり、さらに後述する今朝のロシアの欧州エネルギー問題で原油価格が上昇すると、今日は101ドル〜102ドル台で取引されており、原油高では日本の輸入コスト増で貿易赤字リスクが高まるために、今日の東京市場時間では一時は低リスク通貨として買われた日本円が売られ、輸入実需もあり安全資産のドルが買われ続けたことから、午前中は前日比で円高ドル安の時間帯もあったのだが、午後にはドルが上がって今日の東京終値の円安ドル高となった。
ただし、時間帯によっては、今日と明日の日本銀行の金融政策決定会合の発表前で、投資家の慎重な動きや、持ち高調整などの為替安定化への抵抗の値動きも見られた。
しかし、米国政府がコロナ救済で買い上げていた株などの資産売却を来月から始める前に、ヘッジファンドなどでも春の持ち高調整などの株売却も昨夜は相次ぎ、今朝までにニューヨーク市場で株価が下落した影響で、日本でも今日の日経平均株価などが下落し、日本市場でもリスク回避で安全資産のドルが買われる動きもあった。
特に今日の日本市場では、ゴールデンウィークの大型連休前の持ち高調整もあり、連休前や連休中に企業などの円需要が減ることから、ドル需要の方が強かった。
ユーロ関係では、日本時間今朝未明の世界ニュースで、ロシア国営ガスプロムが欧州ユーロ圏のポーランドとブルガリアに対し、今日から天然ガス配給を停止すると昨日付けで通知し、今朝一部で実際に供給停止による不通の確認が報道された。ロシアは、再開のためにはガス代のルーブル払いを要求しており、かねてからロシアが自国通貨ルーブルの価値を高めるために外貨からルーブルを買ってルーブル建てでガス代を支払うことを要求していたのを、拒否して今まで通りにユーロで支払っていたのが主な原因だと言われている。
ただし、ウクライナ国境と隣接するポーランドでは、ウクライナ難民を多く受け入れ、ウクライナへの物資供給の窓口等にもなっているため、政治的な意味では欧米の経済制裁への報復ともとられて、ロシアと欧米では現在緊張が高まっており、リスク回避ムードが強い。
長期深刻化するウクライナ情勢で、地政学的に近くロシア産天然ガス依存率の高いドイツやオーストリアなどの国もある欧州でのエネルギー高騰インフレやガス供給問題が、今後の欧州景気経済に与える影響への懸念がユーロリスクとなり、今日はリスク回避でユーロが売られて、安全資産のドルや低リスク通貨の円買いが起きていた。
また、先述の世界景気の先行き不安の株安の影響は昨夜の欧州市場でも見られ、ドイツやフランスなどの欧州主要株価指数が下がり、リスク回避ではユーロ圏国債が買われ、その利回りが低下してくるとユーロが売られて、代わりに安全資産の流動性の高い米ドルや、原油安時には低リスク通貨の日本円が買われていた。
そのため、今日の円相場でもユーロが続落しており、東京終値の17時は135円92~94銭で前日比60銭の円高ユーロ安だった。また、ユーロは安全資産としてのドルに対しても下がっており、今日の東京17時には1.0619~20ドルで前日比0.57セントのドル高ユーロ安であった。
特に今日のユーロはドルに対して、ロシアのポーランドとブルガリアへの天然ガス供給停止の欧州エネルギー危機から、今日の夕方に一時は2017年4月以来の安値の1.0588ドル付近を記録した。
ただし、直後には高値でのドルの利益確定売りや持ち高調整が入り、今夜の東京終値後も時差で開いている欧州市場では現地で流動性の高いユーロを買い戻す動きもあり、その後の下げ幅は狭めていた。
英国ポンドは、日英金利差から今日は上昇しており、今日の東京終値17時には160円85〜91銭で前日比88銭の円安ポンド高であった。
永久中立国のスイスフランは、今日の原油高でリスクの増えた低リスク通貨の円の代わりに安全資産として買われたことから、東京終値17時は132円61〜67銭で前日比47銭の円安スイスフラン高だった。
資源国オーストラリアの豪ドルは、円安や原油資源高などの輸入実需増加で買われており、今日の東京終値17時は91円64〜68銭で前日比1円3銭の大幅な円安豪ドル高となっていた。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年4月27日の日本時間(JST)19時11分(英国夏時間(GMT+1)11時11分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:11の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 127.97 〜 127.98 | +0.10(円安) |
ユーロ/円 | 135.80 〜 135.82 | -0.72(円高) |
ユーロ/ドル | 1.0610 〜 1.0611 | -0.0066(ドル高) |
英ポンド/円 | 160.99 〜 161.05 | +1.02(円安) |
スイスフラン/円 | 132.72 〜 132.78 | +0.58(円安) |
豪ドル/円 | 91.46 〜 91.50 | +0.85(円安) |
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