FXニュース:米長期金利上昇と日銀金利抑制で金利差拡大円安ドル高が130円台に

2022年4月28日
FXニュース:米長期金利上昇と日銀金利抑制で金利差拡大円安ドル高が130円台に


東西FXニュース – 2022年4月28日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 日銀金融政策決定会合が大規模緩和継続と毎営業日指し値オペを今日発表
  • 来週のFOMCで米利上げ予想のFRBと日銀の金融政策の違いでドル買い優勢
  • ロシアのガス問題で欧州エネルギー懸念のユーロリスク回避のドル買いも影響

今日2022年4月28日の東京外国為替市場の円相場の為替レートは、9時から17時までの東京外為取引時間の円の安値130円70銭前後から高値128円36銭前後の値動き幅2円34銭程で、今夜17時の東京終値は130円61〜63銭で前日比2円63銭の記録的な円安ドル高であった。今夜、その後19時に時差で朝の欧州と英国ロンドン市場でも、130円台の円安ドル高トレンドが継続していた。

今日130円70円付近に達し、2002年4月以来の20年ぶりの記録的な円安ドル高になった原因は、今日のお昼の最新ニュース速報で、日本銀行(日銀)金融政策決定会合が、これまでも日米金利差拡大による急速な円安の要因となっていた日本の金利抑制の大規模金融緩和政策の継続と、長期金利抑制目的で10年物国債を0.25%の利回りで無制限に買い上げる公開市場操作を毎日実施の「毎営業日指し値オペ」を決定したという報道により、日米金利差拡大予想が更に強まり、円売りドル買いによる円安ドル高が進んだことが大きい。

本日の画像で、ドルが最も大きく上げている部分が、日銀発表報道直後の市場反応である。(画像の時間枠は海外FX用の英国ロンドン市場時間表示で日本から8時間遅れなので、一番市場反応が大きい部分が日本時間で正午過ぎにあたる。)

また、今朝10時頃の中値決済でも円安による輸入実需でドルが買われており、米長期金利も再び上昇してドルが買われやすくなっていた上に、日本の長期金利も日銀の発表後に一層低下して日本円が売られやすくなり、来週の5月3〜4日に開催予定の米連邦公開市場委員会(FOMC)で米国のインフレ抑制の為に積極的な0.5%の利上げ加速が予想や期待されている米連邦準備理事会(FRB)と日本銀行との金融政策の方向性の違いがより明確となり、円安要因の日米金利差拡大予想が更に強まって円安ドル高が進んだことも、今日の円安の理由に挙げられる。

こうした経緯で今日は円を売ってドルを買う動きが強まり、日銀発表後の12時半頃から129円90銭付近に達する円安ドル高が進み、今日の午後14時半過ぎに130円台に達する円安ドル高になり、そのトレンド継続のまま17時の東京終値に達し、その後に時差で朝の欧州市場でも同様の円安ドル高のトレンドが継続していた。

日本時間で昨夜から今朝未明までのニューヨーク市場でも、米長期金利が今朝のニューヨーク終値で2.83%と前日比で0.11%上昇し、ドル買いが優勢となっていた。

米国ではインターコンチネンタル取引所が算出するドル指数が、昨夜に一時103台になり、2017以来の高値を記録した為に、対円だけでなく英国ポンドや欧州ユーロなどの多通貨に対してもドルが上昇するという、全般的なドル高傾向も観測されていた。

ユーロは、今日もロシアのウクライナ侵攻の欧州経済懸念のリスク回避の影響を、安全資産のドルに対しては受け続けていた。

昨日の東西FXニュースでもお伝えした通り、ロシア国営ガスプロムが欧州連合(EU)ユーロ圏のポーランドとブルガリアに、ロシア通貨ルーブル払い強要で天然ガス供給を停止した昨日の事件を受けて、ドイツやオーストリアなどのロシア産ガス依存率の高い国がある欧州エネルギー危機として、価格高騰や供給問題によるインフレや経済活動低下などで欧州経済に与える悪影響への懸念が増し、リスク回避のユーロ売りと安全資産のドル買いに繋がっていた。昨日発表の景気経済指数のドイツの5月消費者信頼感指数とフランスの4月消費者信頼感指数が予想以下であったことも、ユーロ売りの一因となった。

そのため、今日のユーロ対ドルは、一時は2017年1月以来の安値の1.0481ドル付近まで下落し、利益確定と調整で少し戻したものの、今夜の東京終値17時は1.0554ドル前後で、前日比0.69セントのユーロ安ドル高であった。

ただし、今夜17時頃に時差で早朝の欧州市場では、コロナでロックダウンのあった中国上海や香港の株式相場が少し回復したことを受けて、世界景気悪化懸念緩和で欧州の主要株価指数が少し回復し、ユーロ国債の利回りも上昇したことで、欧州投資家のリスク回避姿勢が少し後退して、朝のユーロ買いドル売りで一時反発も起きていた。しかし、ウクライナ情勢の長期深刻化でのユーロ景気経済懸念の安全資産のドルに対するユーロ売りは根強く、18時頃までには半ば押し戻されていた。

ユーロリスク回避では、原油安時にはドルに続く安全資産として低リスク通貨の円も買われていたことがあったが、今日はドルに対する円安がユーロや外貨にも波及したことに加えて、今日の原油先物取引価格は99〜101ドル台で取引されていたため、100ドルを超える原油高時には低リスク通貨の日本円に貿易赤字リスクが増加する為に、今日のユーロリスク回避では安全資産で世界的に流動性の高いドルが買われた後に、代わりに永世中立国のスイスフランや、南半球で地理的にウクライナ危機から離れた資源国オーストラリアの豪ドルなどが買われていた。

それゆえに、今日の東京外国為替市場17時の終値では、全般的な円安が目立ち、ユーロ対円は137円85~89銭で前日比1円89銭の円安ユーロ高だった。また、先述の理由でスイスフラン対円も134円83〜89銭で前日比2円34銭の円安スイスフラン高で、オーストラリアドル対円も93円36〜40銭で前日比1円84銭の円安豪ドル高であった。

英ポンドも、今日の日銀の金利抑制姿勢の発表を受け、英国の記録的な7%のインフレ景気懸念から英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)が利上げを継続するという予想があり、既に0.75%の高い英国金利と日銀の金利抑制姿勢の日英金利差と拡大予測から、今日の午後の対円相場ではドルと似た買われ方でほぼ同時に上昇し、東京終値17時頃には163円98銭〜164円4銭前後で前日比で約2円90銭の円安ポンド高で取引されていた。

しかし、先日発表の経済指数で消費減退の景気懸念からポンド売りが起きて下がった後なので、安全資産のドルに対しては、今日は英ポンドにもドル高傾向が見られた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年4月28日の日本時間(JST)19時14分(英国夏時間(GMT+1)11時14分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:14の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 130.41 〜 130.43 +2.43(円安)
ユーロ/円 137.19 〜 137.21 +1.23(円安)
ユーロ/ドル 1.0517 〜 1.0519 -0.0106(ドル高)
英ポンド/円 163.06 〜 163.12 +1.98(円安)
スイスフラン/円 134.18 〜 134.24 +1.69(円安)
豪ドル/円 92.67 〜 92.71 +1.15(円安)


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