FXニュース:最新米卸売物価指数(PPI)が予想通りで日米金利差円安に抵抗が

2022年5月13日
FXニュース:最新米卸売物価指数(PPI)が予想通りで日米金利差円安に抵抗が

 

東西FXニュース – 2022年5月13日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米株安時と米長期金利停滞時のリスク回避で低リスク通貨の円買いも
  • 露産原油禁輸等で欧州景気懸念のリスク回避でユーロ安が進む
  • 今日のユーロ対ドルは1.03台の2017年1月以来の安値圏に

今日2022年5月13日の東京外国為替市場の円相場の為替レートは、9時から17時までの東京外為取引時間の円の安値が129円35銭前後から高値128円35銭前後の値動き幅1円程で、今日17時の東京市場終値は128円82〜83銭で、前日比ではわずか1銭の横ばいレンジに近い僅差の円高ドル安であった。

今夜時差で朝の欧州市場では18時過ぎからユーロリスク回避で安全資産のドルが再び買われた影響が円相場にも波及し、19時前には前日比では円安ドル高に市場反転もしていたが、19時過ぎには再び僅差での円安ドル高になる時間帯もあった。

日本時間の値動きの主な原因は、米長期金利の変動による日米金利差での値動きの影響が大きく、今日の日本の取引時間中も、米長期金利が2.8%台に低迷時はドルが売られて128円台前半まで円が買われ、午後に米長期金利が2.9%台に上昇すると円が売られて129円台前半までドルが買われていた。

また、昨夜から今朝のニューヨーク市場時間に発表された米国の4月の米卸売物価指数(PPI)が予想通りで、米インフレ対策での利上がり加速予想のピークアウト感のドル売りと低リスク通貨の円買いや、世界景気不安の影響による米株安時の米国債リスク回避などで、今朝は米10年国債利回りが2.85%に下がって今朝5時頃のニューヨーク終値をつけており、その流れを引き継いで始まった今日の日本市場の早朝も円買いが優勢だった。

今朝9時前に発表された日本の景気経済指標の4月のマネーストックM2も、前回の3.5%と予想の3.4%を上回る3.6%で、9時過ぎには128円35銭付近まで円が買われていた。

しかし、今朝のニュースでは、それまでは悪い円安の牽制を続けてきた鈴木財務相が、「為替は様々な要因で市場で決まる。円安は輸出産業にはプラス」と、円安容認とも受け取れる発言をしており、 今朝10時頃の仲値決済では日本の輸入企業による円売りからのドル買いのまとまった実需も強く、円は10時半頃までに一時129円35銭付近まで大きく売られた。

ただし、お昼のニュースでは、今日は日本銀行の黒田総裁が衆議院の財政金融委員会で、「最近の為替の短期間の過度な変動は、先行き不確実性を高めて望ましくない」と発言し、正午のニュースの頃から128円台に円が買い戻されていった。

同じく正午過ぎには米株のダウ先物が280ドル以上の回復の兆しを見せ始め、米株価につられて下がっていた日経平均株価も720円以上回復し、午後には日米株価指数と米長期金利ともに回復してきたため、今日の変動幅での利益確定や持ち高調整なども入り始め、午後には時差で朝の欧州英国市場も参入して、17時の東京終値を迎えた。

今朝のユーロは対ドル相場で1.03ドル台の、2017年1月以来の安値圏で推移していた。原因は、長期深刻化するウクライナ危機へのロシアへの追加経済制裁で、ロシア産エネルギー依存率の高い国のある欧州連合(EU)のユーロ圏でも、先日のG7合意に基づく年内のロシア産原油禁輸措置に向けてのエネルギーインフレ問題などが浮上しており、欧州ユーロ圏の景気経済の懸念から、ユーロリスク回避の姿勢が強まり、ユーロが売られて安全資産で流動性の高いドルや低リスク通貨の円が買われていた影響である。

今日の午後15時45分に発表された欧州ユーロ圏のフランスの4月消費者者物価指数は、前月比で前回と予想と同じ0.4%で、欧州インフレの継続感への懸念もあったが、今後のインフレ対策では欧州中央銀行(ECB)も夏頃からの利上げが予想されて期待されるために、夕方に時差で朝の欧州市場での現地実需に加えて、現地朝の欧州株の一時回復傾向も見られたために、欧州投資家から安値でのユーロの買い戻しの抵抗も入った。そのため、今日17時の東京終値では、ユーロ対ドルは1.0413〜1.0414ドルで前日比0.46セントのユーロ安ドル高であった。

しかし、その後の18時頃の欧州市場では、18時に欧州ユーロ圏の3月鉱工業生産が発表され、前月比では前回0.7%(修正後0.5%)と予想-2%に対して-1.8%だった。前年同月比でも、前回2%(修正1.7%)と予想-1%に対して-0.8%で、予想ほどは悪くないにしてもいずれも前回よりも悪化しており、米長期金利回復傾向とユーロリスク回避からも、安全資産のドルが再び好んで買われた影響や、今朝1.03だったユーロが夕方17時頃に一時1.04まで上がっていたので利益確定売りや持ち高調整なども入り、19時前には再び1.03台の記録的なユーロ安ドル高に戻していた。

先述の様に、米長期金利下落時などには安全資産の米ドルに続く低リスク通貨として、ユーロリスク回避でも日本円も買われていたので、今夜17時の東京終値のユーロ対円は、134円16〜17銭で前日比59銭の円高ユーロ安だった。

英ポンドも、先日の英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)の年内10%を超える予想の英インフレでの景気経済の減速懸念で安全資産のドルに対してはポンド売りが優勢になっていたが、今朝10時頃の外貨買いでは、米長期金利低迷時に日英金利差から英ポンド買いも起きていたために、円に対しては今日17時の東京終値時点では157円38〜44銭で、前日比では87銭の円安ポンド高であった。

今夜はこの後に、21時半に米国の景気経済指標の4月輸入物価指数が発表予定で、23時には5月ミシガン大学消費者態度指数・速報値も発表予定であるので、今後も最新ニュースや速報でのF X為替相場の値動きには注意が必要である。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年5月13日の日本時間(JST)19時23分(英国夏時間(GMT+1)11時23分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:23の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 128.82 〜 128.83 -0.01(円高)
ユーロ/円 133.72 〜 133.74 -1.03(円高)
ユーロ/ドル 1.0379 〜 1.0381 -0.0080(ドル高)
英ポンド/円 156.89 〜 156.95 +0.38(円安)
スイスフラン/円 128.73 〜 128.79 +0.84(円安)
豪ドル/円 88.62 〜 88.66 +0.68(円安)


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