FXニュース: 米連邦準備理事会(FRB)利上げ加速予想で日米金利差の円安が続伸
2022年6月01日東西FXニュース – 2022年6月1日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米連邦準備理事会(FRB)の積極的金融引き締めによる日米金融政策の違いも影響
- バイデン米大統領がパウエルFRB議長達とインフレ対策で会談した結果とは
- 欧州中央銀行(ECB)の利上げ観測と日欧金利差の拡大予想で円安ユーロ高
今日2022年6月1日の水曜日の東京外国為替市場のFXの対ドル円相場の為替レートは、9時から17時までの東京外為取引時間の円の安値が129円54銭前後から高値128円75銭前後の値動き幅79銭程で、今夜17時の東京市場終値は129円42〜43銭前後で、同時刻の前日比で約1円67銭の大幅な円安ドル高であった。今日で4営業日連続の円安ドル安の続伸で、約2週間ぶりに129円台の円の安値を記録した。
原因はまず、昨夜から今朝までのニューヨーク外国為替市場時間に、バイデン米大統領が米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長たちと会談し、約40年ぶりの高水準を記録している米国のインフレ対策について、米連邦準備理事会(FRB)の独立性を尊重することで合意しており、日米金融政策の違いによる円安ドル高方向への圧力が再意識されていた。
ディーズ国家経済会議(NEC)委員長も、米連邦準備理事会(FRB)が金融正常化で利上げを必要とされる水準にまで引き上げ、物価上昇圧緩和のプロセスで米成長が一時的に鈍化する可能性はあるが、迅速な対応によっては米国が他国よりも有利な立場になれるため、堅調な米労働市場をキープしながらのインフレ対策は可能であるというFRBの利上げ支持の見解を示した。
先日のウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事の「0.5%の利上げ幅は、2%の物価安定目標に近づくまでは選択肢から排除しない」の発言に続き、インフレ抑制重視のFRB高官と政府の容認を受け、米長期金利が上昇し、日米金利差拡大予想のドル買い円売りが起きていた。
同日のニューヨーク市場では、米原油先物相場が一時119ドル台後半の2カ月半ぶりの高値を記録し、米インフレ長期化での積極的金融引き締め予想を強めたほか、原油高は低リスク通貨の日本円の貿易赤字リスクとも考えられているので、円売りドル買いを後押しした。
また、今日から6月になり、今月から予定されていた通りに米連邦準備理事会(FRB)が、以前にコロナ救済で定期的に買い上げていた米国債などの米金融保有資産のバランスシート縮小の量的引き締め(QT)を開始するにあたり、もし米国のインフレがこのまま高水準で続いて後から利上げ幅を加速する場合には、秋に倍になる予定のQTの加速と重なると米金融市場に混乱を招くリスクがあるため、積極的かつ敏速に米FRBが動く必要性があることが分析されており、米国債市場で流動性とボラティリティーが注視される傍らで、米連邦準備理事会(FRB)の積極的かつ急速な利上げ予想が強まり、日米金利差の拡大予測での円売りドル買いの円安ドル高が今日は起きやすくなっていた。
今日の日本の東京外国為替市場でも、米連邦準備理事会(FRB)が積極的な金融引き締めを続けるとの予測が強まっており、日米金利差の拡大予想での円売りのドル買いが優勢となっていた。今日の日本市場の取引でも米長期金利が上昇し、円安ドル高が進んだ。
日本市場では、日米金利差での円安要因に加えて、今朝10時頃の仲値決済では連日の円安を受けて外貨実需が増加しており、輸入企業による円からのドル買いが円安を進めた。
今日は日本銀行の若田部副総裁が、「現時点で追加緩和の必要性は、それほどは高くない」と発言をしたが、市場での反応は限られていた。
しかし、東京終値の頃からは、朝の欧州市場では、今夜23時に発表予定の米国の重要経済指標の5月のISM製造業景況指数を控えており、結果が分かるまでは積極的な売買を一時的に控え持ち高調整後に小動きになる時間帯も出てきている。
一方、今日のユーロは、今日の午後に速報で発表された欧州ユーロ圏主要国のドイツの4月小売売上高も前月比-5.4%と市場予想の-0.2%を大幅に下回り、予想以上にインフレが進んでいることを示す結果であったほか、昨夜に発表された5月のユーロ圏消費者物価指数も前年同月比の上昇率が8.1%で、市場予想を上回っており、欧州中央銀行(ECB)にも利上げ観測と日欧金利差の拡大予想による円売りのユーロ買いが優勢になっていた。
欧州中央銀行(ECB)の金融政策正常化の加速予測が高まる一方で、従来の金利抑制の大規模金融緩和を続ける日本銀行との日欧金融政策の違いでも円売りのユーロ買いが出ていた。そのため、今夜17時の東京外国為替市場の終値でも、対ユーロの円相場も4営業日連続で下落しており、138円65~69銭で前日比1円49銭の大幅な円安ユーロ高であった。また、今日は一時138円97銭付近で、4月25日以来の約1カ月ぶりのユーロに対する円の安値も記録していた。
しかし、今日のユーロは対ドルでは続落しており、17時の東京終値でも1.0713~1.0715ドルで、同時刻の東京終値前日比で0.23セントのドル高ユーロ安だった。原因は、予想以上の高インフレによる欧州ユーロ圏の景気減速懸念でのユーロ売りの安全資産のドル買いと、欧州連合(EU)首脳会議でウクライナ侵攻のロシアへの追加制裁に合意したことで、ユーロリスク増加でのユーロ売りの安全資産のドル買いの影響があった。
また、ロシア国営ガスプロムが今日から欧州ユーロ圏でもロシア産ガス依存率の高いドイツへの天然ガス供給を一部停止し、独景気経済不安も背景にあった。理由は、ロシアが求めていたルーブル建てのガス料金払いにドイツが応じず、ユーロで払い続けていたためとされているが、欧州合意での年内ロシア製原油禁輸制裁への欧州主要国への報復とも考えられる。
ロシア産原油輸入に関しては、スリランカが輸入を開始するという報道もあり、資金源があることでロシアのウクライナ侵攻の長期深刻化への懸念もあり、安全資産のドルへのユーロリスクと考えられている。
今日の英ポンドの円相場は、17時の東京終値が162円92〜98銭で前日比72銭の円安ポンド高であった。原因は、8%超えのインフレの米欧に比べて、英国では既に9%超の記録的なインフレが年内には10%を超える予想で、英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)にも積極的な利上げ継続期待が高まる中、日英金利差での円売りポンド買いが起きていた。
また、英景気減退懸念が続く一方で、英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)にも利上げ継続予想も出ており、最近のポンド対円は日英金利差が大きくボラティリティが高い値動きになり保有されていたが、明日から英国4連休の休場で、今日は持ち高調整が進んでいた。
今夜この後には、22時45分に米国景気指標の5月製造業購買担当者景気指数と、23時に米国の5月のISM製造業景況指数が発表予定で、最新のニュース速報により前回のドルの値動きに影響があったことから、世界の投資家たちが注目している。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年6月1日の日本時間(JST)19時11分(英国夏時間(GMT+1)11時11分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:11の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 129.30 〜 129.31 | +1.55(円安) |
ユーロ/円 | 138.67 〜 138.69 | +1.51(円安)) |
ユーロ/ドル | 1.0723 〜 1.0725 | -0.0013(ドル高) |
英ポンド/円 | 162.89 〜 162.95 | +0.69(円安) |
スイスフラン/円 | 134.41 〜 134.47 | +0.32(円安) |
豪ドル/円 | 93.02 〜 93.06 | +0.66(円安) |
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