FXニュース:米長期金利上昇と日米金利差拡大予想で一時135円台の円安ドル高に
2022年6月13日東西FXニュース – 2022年6月13日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米消費者物価指数(CPI)が予想以上の8.6%上昇でFRBのインフレ対策は
- 明日からのFOMCを控え日本と米欧英豪の金融政策の方向性の違いが明確に
- 主要国2年国債利回りのマイナス金利が金融緩和継続の日本のみで円安圧が
今日2022年6月13日月曜日の東京外国為替市場のFXの対ドル円相場の為替レートは、9時から17時の東京外為取引時間の円の安値が135円20〜22銭前後から高値134円42銭前後の値動き幅約80銭で、今夜17時の東京市場終値時点は134円62〜63銭前後で同時刻の前営業日比で、約1円3銭の大幅な円安ドル高であった。
先週から約4円の急速な円安が進行しており、今日の13時台には一時135円20〜22銭付近までドルに対して円が売られ、2002年の135円20銭付近の円安ドル高の記録を更新し、1998年10月以来の23年8カ月ぶりの円安ドル高を記録したとも言われている。
原因はまず、先週金曜日の夜の米国ニューヨーク市場時間中に発表された米国重要経済指標の5月の消費者物価指数(CPI)の前年同月比が、市場予想の8.3%を超えた8.6%の高い上昇率を示し、約40年ぶりの記録的水準であった3月の8.5%を更に上回った。そのため、米国の高いインフレ率を受けて、米連邦準備理事会(FRB)が米国現地時間で明日の14日から15日に予定している米連邦公開市場委員会(FOMC)で、米政策金利の利上げ幅の大幅加速予想が強まり、米長期金利が日本時間の取引中に一時3.2%台の高水準に達し、日米金利差拡大予測での円売りドル買いが強まった。
今日の日本市場でも、時間外の米10年債の利回りが2018年11月以来の高水準と言われる3.24%台に上昇し、日米金利差による円からのドル買いで記録的な円安ドル高トレンドを更新した。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、米国の記録的な高インフレ抑制の目的で、先月から来月7月にかけて3カ月連続で0.5%の大幅利上げを実施する予定であること以前からも強く示唆していたが、市場では今回の最新の米消費者物価指数(CPI)の市場予想以上の上昇率を受け、今月もしくは来月に、米インフレ率が悪化すれば更に利上げペースを加速した0.75%の利上げがされるのではという予想も出てきており、それを今回の消費者物価指数(CPI)の発表が後押しした。
更に、その先の9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でも、大幅利上げ予想が強まってきており、米国のインフレがまだピークを越えていない場合には、ブレイナード副議長が、「米物価上昇率が明確にピークを越えたという証拠がなければ、9月にも利上げを続けることが適切になるかもしれない」と以前にも発言していたことから、米国現地時間で明日の14日から明後日の15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で決定する政策金利が注目されており、金利差が意識されやすい市場になっている。
毎回、米連邦準備理事会(FRB)のイベントや、米連邦公開市場委員会(FOMC)会合後のパウエル氏の発言が為替相場に値動きに影響を及ぼしてきたことから、現在の米ドルは利上げ前のイベント買いも増えており、世界的な流動性の高さから円だけでなく複数の通貨の対しての安全資産としてもドルが買われて上昇した。
また、先週末の金曜の夕方に日本政府の財務省と金融庁と日本銀行が三者会合の共同声明で、「急速な円安進行が見られ、憂慮している」と円安をけん制をしたことに対して、一時は日本市場などで安値の円を持ち高調整などで大きく買い戻す動きが出たものの、その後に米国政府の財務省側は、同じく金曜の夜に発表された外国為替政策報告書で、「急速な円安が進む中でも、為替介入は事前に適切な協議をした上で、極めて例外的な状況にのみ認められる」と以前からの姿勢を変えてはおらず、例え日本側が一方的に円買いドル売り介入をするという可能性があるとしても、米国側も賛同しなければ双方での効果を期待しにくいとの見解から、市場では投資関連が安心して朝から円売りドル買いを再開した影響も出た。
しかし、今日の午後も日本銀行の黒田東彦総裁が参議院の決算委員会で、「最近の急速な円安進行は、先行きの不確実性を高め、企業による事業計画の策定を困難にするなど経済にマイナス」発言し、円が持ち高調整などで少し買い戻される時間帯もあった。
日本の東京市場側からのその他の値動きとしては、長引く円安による輸入実需の増加から、今朝10時頃の仲値決済では、日本の輸入企業による円からのドル買いによる円安要因もあった。
また、主要国2年国債利回りのマイナス金利が、金融緩和継続の日本のみであることでも円安圧がかかっていた。
ただし、昼過ぎには一時135円台の円安ドル高を記録したため、午後には欧州市場の参入もあり、高値でのドルの利益確定売りや安値での円の買い戻しなどの持ち高調整も見られた。
今日のユーロは、先日の欧州中央銀行(ECB)発表で浮上した欧州景気減速懸念から、安全資産のドルや低リスク通貨の円に対するユーロ売りが進行したほか、今日は欧州株下落の影響でのユーロ売りも加わり、一時は140円74銭付近の今日の円に対するユーロの安値を記録した。日経平均株価急落時にも、リスク回避予測からユーロから安全資産のドルや低リスク通貨の円が買われた。そのため、17時の東京外国為替市場の終値も140円84~86銭で、前営業日の東京終値比で約1円11銭の大幅な円高ユーロ安であった。
ユーロは安全資産の対ドルでも下落しており、17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0462~1.0463ドルで、前営業日比で約1.63セントのユーロ安ドル高だった。欧州市場でも、米長期金利の上昇で米欧金利差によるユーロ売りのドル買いが優勢となっており、一時1.0456ドル付近のユーロ安ドル高を記録した。
今日の英ポンドは、17時の東京終値は164円73〜79銭で、前営業日の同時刻比で約78銭の円高ポンド安であった。 原因は、米金利上昇と英株安で安全資産のドルや低リスク通貨の円買いが進行しており、更に今日の午後に発表された4月の英国の国内総生産(GDP)や英鉱工業生産などが予想以下に悪化しており、英景気懸念からのポンド売りも安全資産のドルや低リスク通貨の円に対して起きたことが影響した。
今日のオーストラリア市場は「クイーンズ・バースデー(女王様の誕生日)」の祝日休場で、豪ドルの現地実需が少ないこともあり、今日17時の東京終値は94円17〜21銭で、前東京終値比で約49銭の円高豪ドル安であった。
今週は米国現地時間で明日から明後日に行われる米連邦準備理事会(FRB)の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表の前で、世界の投資家達が最新のFXニュースに注目している。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年6月13日の日本時間(JST)19時12分(英国夏時間(GMT+1)11時12分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:12の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 134.62 〜 134.63 | +1.03(円安) |
ユーロ/円 | 140.85 〜 140.87 | -1.10(円高) |
ユーロ/ドル | 1.0462 〜 1.0464 | -0.0163(ドル高) |
英ポンド/円 | 164.39 〜 164.45 | -1.12(円高) |
スイスフラン/円 | 135.40 〜 135.46 | -0.70(円高) |
豪ドル/円 | 93.84 〜 93.88 | -0.82(円高) |
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