FXニュース:急速な円安の一時抵抗と日米株下落リスク回避の低リスク通貨の円買いが
東西FXニュース – 2022年6月14日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 明日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の発表を控え持ち高調整なども進む
- 世界株安時リスク増加で安全資産の低リスク通貨の円買いもユーロ安に影響
- 米欧金利差と欧州経済の成長鈍化を懸念したユーロ売りとドル買いも
今日2022年6月14日火曜日の東京外国為替市場のFXの対ドル円相場の為替レートは、9時から17時の東京外為取引時間の円の安値が134円82銭前後から高値133円88銭前後の値動き幅約94銭で、今夜17時の東京市場終値時点は134円43〜44銭前後で、昨日は一時135円台を記録して1998年以来のおよそ24年ぶり24年ぶりの円安と言われた後の同時刻17時の前東京終値比では約16銭の円高ドル安であった。ここ最近、わずか半月ほどで10円近く急速に進んだ円安の3日ぶりの一時抵抗となった。
原因は、主な円安要因であった日米金利差拡大が、今日の日本時間の取引では米長期金利の指標となる米10年国債の利回りが今朝のニューヨーク終値の3.36%から日本市場の午後に3.26%台付近に一時低下し、日米金利差縮小時のドル売り円買いが入ったことに加えて、日米株価下落によるリスク回避で低リスク通貨の円が安値圏で買われたことが影響した。
それ以前の昨夜から今朝のニューヨーク市場では米長期金利が上昇しており、日米金利差拡大でのドル買い円売りが優勢であったが、現地時間で明日まで開催の米連邦準備理事会(FRB) の米連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げ加速予想による米経済減速懸念で、米ダウ工業株30種平均などの株価の主要3指数が今年の安値を記録し、米株式相場の下落を受けてのリスクヘッジで、低リスク通貨の円が安全資産として買われ始めた。
13日付けの米経済新聞のウォール・ストリート・ジャーナルが、米国現地時間で今日と明日の6月14~15日に開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、通常の3倍の「0.75%の利上げを検討する可能性がある」と報道したことで、日米金利差拡大予想でのドル買い円売りも起きたが、利上げ加速の理由が欧州同様に記録的なインフレによる米景気減退懸念である可能性もあることから、ドル売りの低リスク通貨の円買いも混在し始めていた。
また、市場では一時急速に円が売られ過ぎたことで、安値圏での持ち高調整のドルからの円買いの抵抗も入りやすくなっていた。その流れを受けて始まった今日の日本の東京市場では、昨日に一時135円22銭付近の1998年以来およそ24年ぶりの安値を記録した後なので、高値圏での利益確定のドル売り円買いの抵抗が入った。
ただし、今朝、米長期金利指標の米10年国債の利回りが3.3%台の時には、日米金利差拡大での円売りドル買いも継続していた。今朝はまた、日本政府の鈴木俊一財務相が閣議後の記者会見で「最近の為替市場で、急速な円安の進行がみられ、憂慮している」と、円安牽制の発言を繰り返していた。
今朝までの米株式相場が大幅に下落した影響で、今日は日本市場でも日経平均株価が一時600円超安を記録して、投資家のリスク回避での低リスク通貨の円買いも入った。しかし、10時前の仲値決済の頃は、昨日の記録的な円安で投資系や輸出企業の高値でのドル売りの円買いもあった一方で、円安による輸入実需が増えており、輸入企業の円からのドル買いで一度下げたドルが反発上昇した。
午後になると、日本国債の利回りが昨日に一時0.255%に達するなど、日本銀行(日銀)が公開市場操作の指し値オペをする基準の0.25%を超えたことで、日銀の指し値オペ通知が入り、日銀の金利抑制の大規模金融緩和金融政策の継続が意識され、日米金利差拡大を意識した円売りドル買いを促した。
先週末の米消費者物価指数(CPI)の予想以上の8.6%上昇を受けて、米連邦準備理事会(FRB) が米国現地時間で今日と明日に開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、米国の政策金利を0.5%に利上げする予想に加えて、昨日から0.75%の大幅予想も出てきており、世界の投資家達が米連邦公開市場委員会(FOMC)の発表に注目している。結果が分かるまでは、イベントリスクによるドルの買い控えや持ち高調整や慎重な様子見などの値動きもあるために、今日は大きな円安ドル高の流れの中での一時抵抗が出たと言われている。
今日のユーロは、昨夜の欧州英国市場で米連邦準備理事会(FRB)の利上げ加速予想で米長期金利が上昇し、欧米金利差拡大でのユーロ売りのドル買いが優勢であった。また、先週の欧州中央銀行(ECB)発表の欧州の景気見通しの影響が継続し、欧州株価も下がっており、欧州経済減速懸念でのユーロ売りの安全資産のドル買いや低リスク通貨の円買いがあった。
今朝までの米国ニューヨーク市場でも、米長期金利が上昇時に欧米金利差拡大でのドル買いとユーロ売りが優勢で、米株式相場下落でのリスク回避でも安全資産のドル買いや低リスク通貨の円買いで、ウクライナ情勢での地政学リスクもあるユーロが売られていた。
しかし、欧州景気減退懸念の傍らで、今日の午後に発表されたドイツの消費者物価指数は、前月比の0.9%も前年比の7.9%も横ばいで、まだ特に悪化していなかったことから、午後には安値でユーロが一時的に買い戻される時間帯があった。
そのため、17時の今日の東京終値のユーロは、140円71~73銭で前日比16銭程の昨日よりも小幅な円高ユーロ安で、同時刻の対ドルのユーロは前日比でほとんど横ばいに近い1.0467~1.0468ドルで、前日比わずか0.01セントのユーロ高ドル安であったが、今夜その後の欧州市場ではリスク回避の安全資産のドル買いが優勢で19時台にはユーロ安ドル高に戻っていた。
今日の英ポンドは、17時の東京終値では163円77〜83銭で、前日比で64銭の円安ポンド高であった。
原因は、昨日発表された4月分の英国内総生産(GDP)は市場予想以下で、英景気後退懸念からポンド売りが起きていたが、今日の午後に発表された英国雇用統計では、失業率が前回の4.1%から今回の4.0%へとやや改善点も見られていたことが理由に挙げられる。
オーストラリアの豪ドルは、連休明けの資源国の実需増加もあり、17時の今日の東京終値は、93円47〜51銭で、前日比約38銭の円安豪ドル高であった。しかし、今夜その後の欧州英国市場では、リスク回避の円買いの影響などで豪ドルも円に対して下げており、19時頃までには円高豪ドル安に市場反転していた。
スイスフランは、今週16日に予定されているスイス中銀(SNB)の理事会では、金利据え置きの予想が優勢だが、2年物の国債利回りが日本以外はマイナスではなくなってきたことや、スイスフランもドルや円と同様にリスク回避時の安全資産として買われており、今夜17時の東京終値は135円71〜77銭で、前日比91銭の円安スイスフラン高であった。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年6月14日の日本時間(JST)19時25分(英国夏時間(GMT+1)11時25分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:25の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 134.14 〜 134.16 | -0.45(円高) |
ユーロ/円 | 139.89 〜 139.90 | -0.98(円高) |
ユーロ/ドル | 1.0433 〜 1.0437 | -0.0033(ドル高) |
英ポンド/円 | 162.38 〜 162.44 | -0.75(円高) |
スイスフラン/円 | 134.98 〜 135.04 | +0.18(円安) |
豪ドル/円 | 92.59 〜 92.63 | -0.50(円高) |
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