FXニュース:米長期金利3.49%記録で日米金利差拡大の円安が一時135円60銭付近に
2022年6月15日東西FXニュース – 2022年6月15日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米連邦公開市場委員会(FOMC)発表前の0.5〜0.75%利上げ予想強まる
- 午後に今夜の欧州中央銀行(ECB)の臨時会合報道で一時期待のユーロ買いも
- 明日は英国中央銀行(BoE)のイングランド銀行も新政策金利を発表予定
今日2022年6月15日水曜日の東京外国為替市場のFXの対ドル円相場の為替レートは、9時から17時の東京外為取引時間の円の安値が135円30銭前後から高値134円53銭前後の値動き幅約77銭で、今夜17時の東京市場終値時点は134円69〜71銭前後で、前日比27銭の円安ドル高であった。また、今日は朝7時前の世界市場では一時135円60銭付近の円安ドル高も記録し、一昨日に1998年以来の約24年ぶりの円安と言われた135円台前半の記録を135円台後半に更新した。
原因は、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク市場の米債券市場で、現地時間で今日(日本時間では時差で明朝3時頃)に米新政策金利を発表予定の米連邦準備理事会(FRB)の米連邦公開市場委員会(FOMC)が、米ウォール・ストリート・ジャーナルにも掲載されて世界的な話題になっている通常の3倍の0.75%の利上げを実施するのではないかという予想が強まっており、米長期金利が一時3.49%台と前日比で0.13%上昇の2011年4月以来の高水準を記録したことで、日米金利差拡大予想のドル買いと円売りの円安ドル高トレンドが優勢になった。
その一方で、日本銀行は円安要因の金利抑制の量的緩和の金融政策を現状維持するだけでなく、昨日の発表では今日の公開市場操作の国債買い入れオペを、予定額よりも更に増額し、買い入れ対象も追加した入札方式で通知したために、利上げ方向の米国と金利抑制方向の日本の金融政策の方向性の違いが明確になり、今朝のニューヨーク市場の円相場は現地で8営業日続落の135円45~55銭で、前日比で約1円5銭の円安ドル高のニューヨーク終値をつけており、その後の今朝の世界市場や日本東京市場に多大な影響を及ぼした。
日本時間の今朝7時前には、その後の世界市場に今朝までのニューヨーク市場の円安ドル高トレンドが引き継がれ、対ドルの円は一時135円60銭付近まで売られて、1998年10月以来の円安ドル高の記録を更新した。
世界市場でも今日の円安ドル高の理由は同様に、米国時間で本日15日に発表予定の米連邦公開市場委員会(FOMC)が世界的にFX投資等で注目されており、米連邦準備理事会(FRB)が利上げ幅を通常の3倍の0.75%に加速する予想は世界ニュースで拡散されており、米長期金利上昇時の円売りドル買いが優勢になっていたからである。
しかし、今日の日本市場では、早朝に一時135円60銭付近の記録的な高値に達した後は、記録的な高値のドルの利益確定売りや、安値での円の持ち高調整買い等も入り始め、日本の投資家達の中には米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が分かるまでは慎重な様子見の動きもあり、今朝の安値更新後の円は日本市場時間に下げ幅を縮小していった。
今日は10時頃の仲値決済でも、本来は15日で日本の貿易企業などの決済日が集中しやすい5と10の付く日の「五十日」であるが、今日は米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表前で米ドルにイベントリスクもあり、また先日から日本政府の急速な円安への牽制発言や、先日に撤回はされたものの「#値上げ受け入れてません」で一時ツイッター話題入りをした「家計の許容」問題発言の日銀黒田総裁への世論の批判も相次いでいたことから、大企業の派手な目立つ大取引は一時控えられ、なるべく手持ちの外貨で決済し、必要最低限だけ売買されている様な値動きも見られた。
そのため、今日の日本時間の取引で円相場は今朝の下げ幅を徐々に回復していき、日本時間の取引で米長期金利の上昇も午後には落ち着いてきたので、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表前でイベントリスクのドルの利益確定売りの円の買い戻しや、円の持ち高調整も進んでいき、今朝よりは比較的小幅な円安ドル高での今夜17時の東京終値をつけた。
日本時間で今夜21時半にも、米国重要経済指標の米小売売上高5月分などの発表が予定されており、日本時間では明朝3時の米連邦公開市場委員会(FOMC)の発表前に、世界の投資家たちが注目している。
今日のユーロは、欧州インフレ経済懸念のユーロ売りもある中で、今日はドルに対する円安が波及した他にも、今日の午後に日本時間18時から欧州中央銀行(ECB)が臨時会合を開くというFXニュースが話題になって午後には一時は金融政策期待のユーロ買いが入った。
その後、ロイター通信などが今夜の欧州中央銀行(ECB)の臨時会合はパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の再投資について話し合われる予定との報道が入ってからは再びユーロ売りも混在したが、今夜17時の東京終値時点のユーロの円相場は141円2~5銭で、前日比で約32銭の円安ユーロ高であった。ユーロは対ドルでも、17時には1.0470~1.0471ドルで、前日比0.03セントのドル安ユーロ高だった。
また、今夜17時の東京終値の後の時差で朝の欧州英国市場では、18時に発表されたユーロ・鉱工業生産指数4月分は前月比では市場予想通りの0.4%に前回改定値の−1.4%から改善されていたが、同時発表の欧州ユーロ圏の貿易収支4月分は、季調前が前回の164億ユーロ減に対し今回は324億ユーロ減で、 季調済も前回176億ユーロ減(改定値 178億ユーロ減)と市場予想145億ユーロ減に対して今回317億ユーロ減で、欧州景気対策の必要性での欧州利上げ予想と、欧州経済懸念でのユーロ売りとが揉み合うレンジ市場も見られた。
今日の英ポンドは、日本時間で明日の夜20時に英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)が新金融政策を発表予定で、イベント前の値動きも見られた。そのため、今日17時の東京終値では162円8〜14銭で前日比37銭の円高ポンド安であったが、その後の欧州英国市場では、西欧先進国で最悪のインフレ率の英国でも利上げがされる可能性もあることから英ポンドが買われ、19時前に東京終値前日比でレンジになる時間もあったほか、19時頃には一時円安ポンド高に市場反転の域になった時間もあり、その後、19時台に再び円高ポンド安にも戻るレンジ圏での値動きがあった。
オーストラリアの豪ドルは、今日発表された豪ウェストパック(Westpac)消費者信頼感指数6月分が、前回マイナスの5.6%減に対して、今回も4.5%減だった。17時の今日の東京終値は、93円4〜8銭で2銭の円高豪ドル安であった。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年6月15日の日本時間(JST)19時23分(英国夏時間(GMT+1)11時23分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:23の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 134.42 〜 134.43 | +-0.00(レンジ) |
ユーロ/円 | 140.83 〜 140.85 | +0.13(円安) |
ユーロ/ドル | 1.0476 〜 1.0478 | +0.0009(ドル安) |
英ポンド/円 | 162.41 〜 162.47 | -0.04(円高) |
スイスフラン/円 | 134.68 〜 134.74 | -0.52(円高) |
豪ドル/円 | 93.26 〜 93.30 | +0.20(円安) |
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