FXニュース:日欧英株高時のリスクオンの低リスク通貨の円売りも今日の円安に影響
2022年6月21日東西FXニュース – 2022年6月21日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 持ち高調整の一方で時間外の米国債利回り上昇時には日米金利差のドル買いも
- 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁発言で利上げ予想のユーロ買いが
- 英中央銀行(BoE)のマン委員も大幅利上げ主張で日銀との政策の違いが明確に
今日2022年6月21日火曜日の東京外国為替市場のFXの対ドル円相場の為替レートは、9時から17時の東京外為取引時間の円の安値が135円29銭前後から高値134円94銭前後の値動き幅約35銭で、17時の今日の東京外国為替市場の終値は135円25〜26銭前後で、前日比で約60銭の円安ドル高であった。
原因は、米国ニューヨーク市場は今夜21時からジューンティーンス独立記念日の振替休日の連休明けとなるが、昨日の午後15時から今朝1時の欧州フランクフルトや16時から今朝2時の英国ロンドン市場でも、先週金曜に発表があった日本銀行(日銀)の金利抑制の金融緩和継続による、日米欧英の金利差拡大予想による円売りが優勢であった。
今日の日本市場の取引でも時間外の米長期国債の米長期金利が上昇しており、兼ねてからの円安要因の日米金利差で、ドルが買われて円が売られていた。
また、昨夜の欧州市場や英国ロンドン市場では、米国休場中の世界投資が欧英株にも流れており、ドイツ株価指数(DAX)や英国FTSE100種総合株価指数などの欧英の主要株価指数が上昇し、その影響もあって今日の日本市場でも日経平均株価が前日比で一時は600円以上も高騰し、以前にリスク回避で買われていた低リスク通貨の円がリスクオンで売られ、今日の円安の一因となった。
ただし、欧州通貨に対しては、リスク選好のリスクオンでは、低リスク通貨の円だけでなく、世界的な流動性の高さから安全資産になっているドルも、持ち高調整で売られた時間があった。
今朝の閣議後の記者会見では、鈴木俊一財務相が「最近の急速な円安については、憂慮している」と発言したが、以前と同じ内容であったために、今日の市場反応は限られていた。
今朝の10時頃の仲値決済では、長引く円安で輸入企業による円売りドル買いもあったが、今朝はそれまでにも135円台の円安ドル高に達していたために、前後に高値でのドルの利益確定売りや、持ち高調整や輸出企業のドル売り円買いとの混合市場になり、円は一時134円94銭付近まで買われた時間もあった。
しかし、今日の午後になり欧州市場が参入すると、再び金利差拡大予測による円売りが活発になり、一時135円29銭付近まで円が売られ、17時には135円25〜26銭前後で同時刻の前東京終値比では約60銭の円安ドル高で、今夜の東京終値をつけた。
そして、今夜その後の欧州英国市場ではさらに円安を更新し、17時半前には一時は135円台中盤付近まで円が売られていた。
今日の欧州英国市場や世界市場では、今夜21時から明日6時までの連休明けの米国ニューヨーク市場の動きが注目されている。
ユーロは、前述の欧州市場と英国ロンドン市場で欧州株高によるリスクオンの安全資産のドル売りと低リスク通貨の円売りでユーロが上昇し、前営業日比での円安ユーロ高とドル安ユーロ高傾向が見られた。
また、欧州中央銀行(ECB)による利上げ予想でも、ユーロ買いのドル売りと円売りが起きた。原因は、昨夜22時頃にラガルド総裁が講演で、今の欧州の「インフレは望ましくないほど高く、ECBは行動しなければならない」と発言し、7月の0.25%の利上げを予告し、状況次第で9月にはより大幅な利上げ幅が適切になる可能性にも言及した。
欧州中央銀行(ECB)メンバーであるカザークス・ラトビア中央銀行総裁も、予想を上回るインフレ進行への対抗策で「7月に0.25%、9月に0.50%の利上げを支持している」と発言し、ポルトガル中央銀行総裁などの他のメンバーもECBの金融政策正常化についてタカ派の発言をしていたために、ECBによる利上げと日銀の金利抑制の日欧金利差拡大予想での円売りユーロ買いが強まっていた。
そのため、今日の日本の市場でも、ユーロの円相場は東京終値の17時には142円74~78銭で、前日比で約1円11銭の大幅な円安ユーロ高であった。 今日でユーロは円相場で、3営業日連続のユーロ高となった。
ユーロは対ドルでも上昇し、17時には1.0553~1.0555ドルで、前日比0.36セントのドル安ユーロ高だった。欧州株上昇で安全資産のドルが持ち高調整で売られており、また米国現地時間で明日の22日に予定されている米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の議会証言を前に、持ち高調整のドル売りがユーロに対して進んだことも影響した。
しかし、今夜17時の東京終値とほぼ同時に発表された最新の欧州ユーロ経常収支4月分では、前回の−16億ユーロに対して今回は−58億ユーロと赤字額が増えており、今夜18時過ぎに欧州市場で一度高値をつけたユーロは、今夜その後にドルや円に売られて上げ幅を戻す時間もあった。
英ポンドは、日本時間で今朝2時までの英国ロンドン市場でも、対円で緩やかに上昇していた。原因は日英金利差拡大予想によるもので、英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)のキャサリン・マン委員が昨夜の講演で、英ポンド安が輸入インフレ圧を高めるとして0.5%の大幅利上げを支持し、「より強力な政策対応は、既に進行中の英インフレがポンド安による輸入インフレによって更に悪化するリスクを減少させると考える」と発言した。
マン委員を含む3名は、先週に行われた今月の英金融政策委員会でも0.25%の利上げに反対票して0.50%の大幅利上げを支持しており、既に政策金利1.25%の英国の今後の利上げ継続予測による日英金利差拡大予想が強まり、円売りポンド買いが優勢になった。
そのため、今夜17時の英ポンド対円の東京終値は166円24〜30銭で、同時刻の前日比で約83銭の円安ポンド高であった。
オーストラリアの豪ドルも今月利上げをしていたが、今朝発表された豪準備銀行(RBA)の金融政策会合議事要旨では、「金融正常化に向けて一段の措置を取る必要があるとの認識で一致した」等の理由も明らかになった。金利抑制の日銀との日豪金利差も拡大しており、17時の今日の東京終値でも94円36〜40銭で、前日比で約48銭の円安豪ドル高だった。
スイスフランは、先週に予想外の利上げをして以来、日銀の金融緩和の金利抑制との比較から買われる機会が増えており、今夜17時の東京終値でも140円19〜25銭で、前日比で約62銭の円安スイスフラン高であった。
先週に日銀が金利抑制の金融緩和を現状維持する発表をして以来、利上げの進む他の主要通貨との金利差拡大予想による円安要因とが継続している。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年6月21日の日本時間(JST)19時22分(英国夏時間(GMT+1)11時22分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:22の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 135.43 〜 135.44 | +0.78(円安) |
ユーロ/円 | 142.96 〜 142.98 | +1.33(円安) |
ユーロ/ドル | 1.0555 〜 1.0557 | +0.0038(ドル安) |
英ポンド/円 | 166.51 〜 166.57 | +1.10(円安) |
スイスフラン/円 | 140.14 〜 140.20 | +0.57(円安) |
豪ドル/円 | 94.32 〜 94.36 | +0.44(円安) |
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