FXニュース:米長期金利が一時3.0%に低下し日米金利差縮小時のドル売り円買いに影響
2022年6月24日東西FXニュース – 2022年6月24日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 最新の米経済指標悪化で利上げ加速による米景気減速懸念が強まる
- 日本全国消費者物価指数(CPI)5月総合指数は前年同月比で2.1%上昇
- 欧州PMI低下と独ガス不足で景気減速懸念の一時ユーロ売り
今日2022年6月24日金曜日の東京外国為替市場のFXの対ドル円相場の為替レートは、9時から17時の東京外為取引時間の円の安値が135円22銭前後から高値134円36銭前後の値動き幅約86銭で、17時の今日の東京外国為替市場の終値は134円58〜60銭前後の前日比約79銭の円高ドル安で、今月に7円以上も進んでいた急速な円安への抵抗となった。
原因は、まず昨日夕方の東京終値付近の欧州市場で発表された最新の欧州経済指標の欧購買者景気指数(PMI)がドイツ、フランス、ユーロ圏総合と軒並みに悪化しており、リスク回避で欧州債が買われた影響で欧州債利回りの長期金利が低下し、それにつられる形で米国債の利回りや米長期金利も低下してきていたのだが、昨夜その後の米国ニューヨーク市場時間に発表された最新の米国経済指標でも、新規失業保険申請件数や製造業・サービス業・総合の米購買者景気指数(PMI)が予想を超えて悪化しており、安全資産の米国債が買われ、米長期金利が一時3.0%台に低下した。
米長期金利が約2週間ぶりの低水準を記録したことで、日米金利差縮小時のドル売りと低リスク通貨の円買いが優勢になり、昨夜から今朝のニューヨーク外国為替市場の円相場は、円の高値134円27銭から安値135円59銭の値動きで、134円90銭~135円の前日比約1円25銭の大幅な円高ドル安でニューヨーク終値をつけた。
6月の米経済指標の製造業購買担当者景気指数(PMI)は約52で、前月の57や市場予想の56よりも大幅に低下しており、第1四半期の米経常収支もロシアのウクライナ侵攻の影響の資源原油高などの影響もあり予想以下で、米新規失業保険申請件数も市場予想ほどは改善されておらず、昨日にも円安抵抗要因となっていた米連邦準備理事会(FRB)の利上げ加速による米景気減速懸念が今日は更に強まっていた。
また、今月になってからの円相場は、一昨日までに7円を超える急速な円安ドル高が進んできたことで、今日は日本市場でも持ち高調整の円買いが入りやすくなっており、今日の東京外国為替市場でも米国ニューヨーク市場のトレンドを引き継いで、円相場は続伸した。
ただし、9時半頃には一時135円22銭付近の今日の円の安値にまで円が売られた時間もあり、その理由は今朝10時前の仲値決済に向けての日本の輸入企業による実需での円売りドル買いが影響した。
一方、今朝発表された日本の最新経済指標の5月全国消費者物価指数(CPI)の前年同月比では、生鮮食品を除く総合指数が市場予想通りの2.1%上昇していた。昨夜の米国の市場予想以下の米経済指標発表後にはドル売りが起きたが、日本市場では予想通りであったために特に円売り要因にはならなかったことから、今日は前日比では2日目の円高続伸となった。
昨日は3.09%の終値だった米長期金利は、日本市場の今日の午後の取引でも3.08%台で、日米金利差縮小時の円買いドル売りは米国市場のみならず、今日の日本市場でも見られた。
しかし、午後になると株安時にはリスク回避の円買いのある日経平均株価が上昇しており、また午後の欧州市場の参入で一時ユーロに対する安全資産のドル買いもあったために、一時134円36銭の今日の円の高値をつけた後には、今日の円の高値での利益確定の円売りと長期的な円安トレンド継続を見込んだ押し目買いのドル買いなどもあり少し戻してから、今夜17時の東京終値を134円58〜60銭前後の、前日比で約79銭の円高ドル安で終えた。
ただし、今夜その後の欧州市場では18時頃から投資系の米10年債利回りが3.09%台に再び上昇し、135円台にドルが買われていた。
ユーロは、前述の最新の欧州経済指標の急低下によるユーロ売りがあった他にも、今朝までに欧州ユーロ圏の主要国のドイツ政府が天然ガスの供給不足問題で非常警報を発令したというニュースがあり、欧州経済減速懸念でのユーロ売りとリスク回避の安全資産のドル買いや低リスク通貨の円買いが優勢になっていた。
ウクライナ侵攻によるロシアへの制裁で、ルーブル建てでのガス代要求に応じなかったドイツでは、ロシア国営のガスプロムが天然ガス供給を大幅に削減する方針を決めて以来、供給不足問題が懸念されていたが、昨夜から今朝の欧州英国市場時間に、ドイツ政府が天然ガス不足による非常警報を発令し、国民にガス消費量削減への協力を求めていた。
脱ロシア問題では、以前にもコモディティの資源や原油や天然ガス先物価格などが高騰したことがあったが、ドイツが実際の天然ガス供給不足に陥ったことで、ドイツ経済減速によるユーロリスクがより現実感を帯びてきて、今日のリスクオフでのユーロ売りと低リスク通貨の円買いに繋がった。ユーロは、一時は安全資産のドルに対しても売られていたが、今日は先述の米景気懸念の米長期金利低下のドル売りがあったために、今日の日本市場では低リスク通貨の円の方が上昇した。
そのため、今夜17時の東京終値のユーロ対円は、141円62~68銭の前日比で約62銭の円高ユーロ安で、今日の円相場はユーロに対しても続伸した。
しかし、東京終値の後の欧州市場では先述のドル再上昇の波及と、実需や安値での投資用のユーロが大量に買い戻され、19時過ぎには一時142円60銭付近に上昇し、円安ユーロ高に市場反転もしていた。
今日の対円のドル安はユーロ相場にも波及しており、17時のユーロ対ドルは、1.0523~1.0524ドルで前日比0.16セントのドル安ユーロ高であった。
英ポンドは、昨夜の東京終値の後に発表された最新英国経済指標の購買担当者景気指数(PMI)の製造業は前回と予想よりも悪く、また今日の午後に発表のあった英小売売上高5月分でも、前月比では予想に近いマイナス幅で、前年比では市場予想よりも悪化していた。そのため、9.1%とも言われる記録的な英インフレでの英景気懸念もあり、英ポンドも売られて低リスク通貨の円が買われる機会があり、今夜17時の東京終値の頃の英ポンド対円は、165円3〜9銭で、前日比で約44銭の円高ポンド安だった。
しかし、今夜その後の英国市場では、ユーロ同様に米ドル再上昇の波及に加えて、安値になっていたポンドも投資実需などで買われて18時頃から急上昇し、19時頃には一時166円台にも達し、前日比で円安ポンド高に市場反転した。投資は金利の高い国で運用した方が有利なので、英利上げ後のロンドン・シティなどでの株価の影響での値動きが見られた。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年6月24日の日本時間(JST)19時28分(英国夏時間(GMT+1)11時28分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:28の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 135.03 〜 135.05 | -0.34(円高) |
ユーロ/円 | 142.44 〜 142.45 | +0.20(円安) |
ユーロ/ドル | 1.0547 〜 1.0549 | +0.0040(ドル安) |
英ポンド/円 | 165.99 〜 166.05 | +0.52(円安) |
スイスフラン/円 | 141.15 〜 141.21 | +0.78(円安) |
豪ドル/円 | 93.34 〜 93.38 | +0.29(円安) |
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