FXニュース: 米インフレ予想下方修正と欧米日株高時のリスクオンが為替相場に影響

2022年6月27日
FXニュース: 米インフレ予想下方修正と欧米日株高時のリスクオンが為替相場に影響

 

東西FXニュース – 2022年6月27日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 日米欧の金融政策の違いと米欧長期金利上昇時の日米欧金利差拡大予想の円売りも
  • 四半期末を控えた日本の輸出企業のドル売り円買いが今日の抵抗要因に
  • 欧州株価上昇と欧州債権利回りで欧州ユーロ買いのドル売りや円売りも

今日2022年6月27日月曜日の東京外国為替市場のFXの対ドル円相場の為替レートは、9時から17時の東京外為取引時間の円の安値が135円17銭前後から高値134円53銭前後の値動き幅約64銭で、17時の今日の東京外国為替市場の終値は135円6〜7銭前後の、前営業日比で約53銭の円安ドル高であった。

原因は、まず先週末の東京市場の後に始まった米国ニューヨーク市場で、欧米株高時のリスク選好で低リスク通貨の円売りが起き、一時135円40銭付近の安値をつけた後に、135円15~25銭の、前日比で約25銭の円安ドル高でニューヨーク終値をつけていた。

日本時間の金曜の夜23時頃、欧州英国市場の終盤と重なる米国市場の前半に発表された最新の米国経済指標の5月米新築住宅販売件数が、米連邦準備理事会(FRB)の利上げによる住宅ローン金利上昇などで減退するであろうという市場予想だったのだが、それに反して実際は増加していたことが判明し、米利上げによる米景気減速懸念が弱まり、強気市場になった米ダウ工業株30種平均が823ドルも上昇するなどの米欧英株高になり、ドルやユーロやポンドなどに対して低リスク通貨の円が売られて下落した。

米長期金利も上昇し、兼ねてからの円安要因である日米金利差拡大予想による円売りとドル買いも再び優勢になった。

その一方で、ミシガン大学が同時発表した6月米消費者態度指数は50で過去最低を記録し、消費者予想のインフレ率が速報値から下方修正されたことでは、今後の米連邦準備理事会(FRB)の利上げ加速継続予想が一時減退し、指標発表後に米長期金利が一時低下した時には、低リスク通貨の円が買われた時間もあったために、小幅な円安にとどまった。

そのトレンドを引き継いで始まった今日の日本東京市場でも、欧米英の株高を受けて日経株価平均が上昇しており、低リスク通貨の円売りが優勢になった。

また、利上げの方向の米欧英と金利抑制方向の日本銀行(日銀)との日米の金融政策の方向性の違いによる、円売りのドル買いやユーロやポンド買いも起きた。

今朝は日銀が先日行われた金融政策決定会合議事の要旨を公表し、最近急速に進む円安について、「先行きの不確実性を高め、企業による事業計画の策定を困難にする為、経済にマイナス」などの意見も出ていたが、それでも日銀は円安要因である大規模緩和の継続を決めていたために、為替相場での反応は限定的であった。

しかし、今朝10時の仲値決済の頃には、今日は日本企業の四半期末を控えた月末最終週の始まりであるために、輸出企業のドル売りの円買いが円安抵抗要因になった。そのため、円は一時134円53銭付近の前営業日と横ばいレンジにまで買われた時間もあり、それが今日の円安の中での円の高値圏になった。

また、日本市場では米株先物が再下落していた時間もあったことから、米景気の先行き不透明感が根強い慎重な投資家による円買いドル売りもあった。

梅雨明けの猛暑の東京と関東地方の一部で電力需給逼迫の注意報が継続されたことで、現時点では経済的な影響が出ていないが、先日の欧州ドイツの天然ガス不足時の警報時には為替相場にも一時影響が出ていたことから、もしも今後、注意報が警報に引き上げられる場合にはやや注意が必要である。

なお、今日の午後14時に発表された日本景気動向指数4月分の確報値は、景気先行指数の102.9と景気一致指数の96.8は、いずれも前回と同じ横ばいであった。

ユーロは、先述の先週末の欧米株高などの影響もあり、今日の17時の東京終値では、143円1~3銭で前営業日比で約1円43銭の円安ユーロ高であった。ユーロは対ドルでも上昇し、1.0587~1.0588ドルで、前営業日比で約0.63セントのドル安ユーロだった。

先週末の欧州市場では、欧州株高時でも欧州経済の先行き警戒感から、リスク回避で現地で最も流動性の高いユーロ買いのドル売りと円売りが優勢であった。

同欧州市場時間にIfo経済研究所が発表した欧州経済指標の6月のドイツ企業景況感指数が前月比で低下し、市場予想以下であった。その前日に発表された6月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)も低下しており、先日もお伝えしたドイツのガス供給不足問題も継続しており、その時は他の安全資産が買われたために、ユーロの上げ幅は欧州市場では限られており、G7などで議論されるロシア制裁問題などのユーロリスクによる抵抗も一時入っていた。

しかし、今日の午後からの欧州市場では、欧州債の利回りが上昇し、欧米金利差縮小時のユーロ買いのドル売りと、日欧金利差拡大予想でのユーロ買いの円売りが優勢となっていた。

また、今夜この後、日本時間で明日未明の2時半頃に、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁の発言が予定されており、今後の欧州金融政策や利上げ予想などに関連する発言が出ないか、投資家たちに期待されている。

英ポンドも、欧州や英国の主要株価指数が上昇していたことで、リスク許容のポンド買いの安全資産売りでドル売りや低リスク通貨の円売りが優勢になっていた。日英の金融政策の方向性の違いと日英金利差でもポンド買いと円売りが起きており、今夜17時の東京終値は166円41〜47銭で、同時刻の前営業日比で約48銭の円安ポンド高であった。

しかし、東京終値の後の英国ロンドン市場では、高値での利益確定や調整売りも入り、19時過ぎには僅差で円高ポンドに市場反転もしていた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年6月27日の日本時間(JST)19時23分(英国夏時間(GMT+1)11時23分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:23の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 135.12 〜 135.13 +0.59(円安)
ユーロ/円 142.90 〜 142.91 +1.32(円安)
ユーロ/ドル 1.0574 〜 1.0576 +0.0050(ドル安)
英ポンド/円 165.92 〜 165.98 -0.01(円高)
スイスフラン/円 141.03 〜 141.09 +0.06(円安)
豪ドル/円 93.64 〜 93.68 -0.23(円高)


注意:

本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。

当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。