FXニュース:米経済指標改善で利上げによる米景気懸念減退時の円安トレンドとは
2022年6月28日東西FXニュース – 2022年6月28日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- G7の露産原油価格上限案協議の傍らで原油価格高騰時の円のリスク売りも
- 一時低迷していた日経株価上昇時の低リスク通貨の円売りの影響は
- 今日の主要通貨に対する全面的な円安で東京終値を迎えた要因を分析
今日2022年6月28日火曜日の東京外国為替市場のFXの対ドル円相場の為替レートは、9時から17時の東京外為取引時間の円の安値が135円83銭前後から高値135円12銭前後の値動き幅約71銭で、17時の今日の東京外国為替市場の終値は135円77〜79銭前後の、前日同時刻比で約71銭の円安ドル高であった。
原因はまず、日本時間の昨夜21時半に発表された最新の米経済指標の5月耐久財受注額の前月比が、市場予想の0.2%増を上回り、0.7%増えていたことで、米経済指標改善で米連邦準備理事会(FRB)の利上げ継続による米景気懸念が減退し、米国ニューヨーク外国為替市場で米長期金利が上昇して3.20%でニューヨーク終値をつけ、日米金利差拡大予想でのドル買いの円売りが優勢になっていた。
また、ロシアのウクライナ侵攻の制裁でロシア産原油の禁輸問題などを巡り、世界的に原油不足で価格が上昇しており、原油価格安定とロシアの武器購入の財源となっている原油による増収を制限するために、ドイツで開催中の主要7カ国(G7)首脳会議では、海洋保険適用の条件でロシア産原油価格に上限を設定する案などが出ているが、今日の市場でも原油先物価格が再び高騰しており、110ドル台に上昇したことで、原油高時のコスト増による日本の貿易収支赤字継続懸念から、低リスク通貨の円の原油高リスク売りの要因になっており、今日は主要外貨に対して円安になりやすい要因があった。
そのため、今日の日本市場が始まる前の今朝のニューヨーク市場から円相場はすでに続落しており、135円45~55銭の前日比約30銭の円安ドル高でニューヨーク終値をつけていた。
そのトレンドを引き継いで始まった今日の東京市場でも朝から円相場は下落していたが、今週は四半期末決済期で、10時前の仲値決済の頃までは実需の輸入企業の円からのドル買いがあったものの、その直後には日本の輸出企業や投資系の高値でのドル売りと円買いがまとまって入り、10時前には135円60銭付近だった円は、11時頃に今日の高値の135円12銭付近にまで一時急上昇した。
しかし、午後には再び米長期金利が3.22%台付近に上昇し、米長期金利上昇時の日米金利差拡大での円売りのドル買いによる元の円安ドル高トレンドに戻っていった。日本時間の午後からは時差で朝の欧州英国市場の参入もあり、円は16時過ぎに一時135円83銭付近の今日の安値を記録した。
また、今朝には一時はプラス圏からマイナス圏になっていた日経平均株価が、午後には27000円台に回復しており、米ダウ先物もプラス圏になっていたことも低リスク通貨の円の売買に影響を及ぼしていた。
そして、夕方の高値のドルの利益確定売りなどで少し戻した17時に、135円77〜79銭前後の前日比で約71銭の円安ドル高で今夜の東京終値をつけた。
ユーロ対円は、今夜17時の東京終値では143円70~73銭付近で、前日比で約70銭の円安ユーロ高であった。一方で、ユーロは対ドルでは17時には横ばいレンジに近く、1.0583~1.0585ドル付近で前日比約0.04セントのドル高ユーロ安だった。
主な原因は、昨夜の欧州英国市場で、欧州インフレ加速懸念から安全資産の欧州債の利回りが一時上昇しており、欧米金利差縮小時のユーロ買いドル売いが起きていた一方で、対ドルでのユーロ買いが円相場に波及し、また、金利抑制方向の日本銀行(日銀)と利上げ継続方向の欧州中央銀行(ECB)との日欧の金融政策の方向性の違いから、日欧金利差拡大予想でのユーロ買いと円売りで円安ユーロ高トレンドが形成されていた。
今後の欧州ユーロ利上げ継続予想に関しては、今日はカザークス・ラトビア中銀総裁が「7月の0.5%利上げは検討する価値がある」と発言したという報道があった。
一方で、今日の午後に発表された欧州経済指標の消費者信頼感指数は、ドイツは予想ほどは大幅には下げてはいなかったが前回よりも低下しており、フランスでは予想よりもやや下げており、利上げ期待と欧州景気懸念が入り混じるような値動きになっていた。
また、今日のドルに対する円安要因となった原油高時の日本の貿易赤字リスク増加などでの低リスク通貨の円売りや株価での円売りは、対ユーロの円相場にも影響していた。
ただし、ユーロはドルに対しては、今朝のニューヨーク市場や今日の東京市場では米長期金利も上昇したことで、ユーロとドルは米欧金利差拡大予想では、前日比でユーロ安ドル高とユーロ高ドル安とのレンジ圏近くになっていた。
また、本日開催中の欧州中央銀行(ECB)の年次フォーラムや、欧州ユーロ圏のドイツでのG7首脳会議などのイベントに加えて、明日も欧州中央銀行(ECB)主催で、欧米中銀のトップが参加予定のシンポジウムのイベントが予定されており、ユーロイベント前の今日は持ち高調整も入っている。
英ポンドは、今夜17時の東京終値の頃には、166円51〜57銭付近で、前日同時刻比で約35銭の円安ポンド高であった。ドルやユーロなどの外貨への円安要因がポンドにも波及しており、資金は金利の高い国で運用した方が有利なため、日英金利差によるポンド買いや英国市場の株価回復時のリスクオンでの安全資産のドルや低リスク通貨の円売りと、前述の原油高時の日本の貿易赤字懸念での円売りなども影響した。
オーストラリアの豪ドル対円は、日本の貿易先の資源国の一つでもある豪ドルにも今日の外貨に対する円安要因が影響した他にも、午後に中国の新型コロナ入国規制緩和発表後に世界経済に関する見通しと、貿易などの経済関係から豪ドルが一時買われて上昇したこともあり、今夜17時の東京終値では、94円26〜30銭付近で前日比で約49銭の円安豪ドル高であった。
スイスフラン対円も、今日の東京終値の17時には142円12〜18銭付近で、前日比で約50銭の円安スイスフラン高で、今日の東京終値では主要通貨に対する全面的な円安が観測された。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年6月28日の日本時間(JST)19時6分(英国夏時間(GMT+1)11時6分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:06の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 135.93 〜 135.94 | +0.87(円安) |
ユーロ/円 | 143.91 〜 143.93 | +0.91(円安) |
ユーロ/ドル | 1.0586 〜 1.0588 | -0.0001(ドル高) |
英ポンド/円 | 166.62 〜 166.68 | +0.46(円安) |
スイスフラン/円 | 142.38 〜 142.44 | +0.76(円安) |
豪ドル/円 | 94.39 〜 94.43 | +0.62(円安) |
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