FXニュース:対中関税制裁期限前の米中協議で景気リスク選好のドル買いが

2022年7月05日
FXニュース:対中関税制裁期限前の米中協議で景気リスク選好のドル買いが

 

東西FXニュース – 2022年7月5日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • ノルウェー油田ストライキ原油高で日本貿易赤字懸念の円売りの影響も
  • 日経株価上昇のリスクオンの円売りと海外株先物上昇時の投資買いも
  • 欧州ユーロ圏のインフレ懸念と景気減速懸念でユーロリスク売り波及も
  • 豪準備銀行(RBA)理事会が今日政策金利を0.5%利上げし1.35%に

今日2022年7月5日火曜日の東京外国為替市場のFXの対ドル円相場の為替レートは、9時から17時の東京外為取引時間の円の安値が136円36銭前後から高値135円79銭前後の値動き幅約57銭で、17時の今日の東京外国為替市場の終値は136円7〜8銭前後の、同時刻の前営業日比で約63銭の円安ドル高であった。

原因はまず、今日からノルウェーの油田労働者達がインフレ対応の賃上げ要求のストライキを実施することで、ノルウェー石油ガス協会(NOG)は13%のガス減産と、日量13万バレルの原油減産量の予想を発表しており、かねてからロシアのウクライナ侵攻の影響で世界的な原油需要が逼迫し、原油価格が高騰していたことが更に悪化する懸念から、今朝の原油先物価格の上昇を受けて、原油高騰時の低リスク通貨の日本円の貿易赤字リスク増から円売りが起きて円相場が下げていた。

ノルウェー油田労働者組合は今日から3つの海上油田でストライキを始め、会社側が合意して解決しなければ、明日から更に3つの油田でもストを続ける予定で、ストの影響で処理が行えなくなる7つ目の油田も機能しなくなる懸念もある。原油価格問題に関しては、先日もJPモルガンが主要7カ国(G7)のロシア産の石油価格上限案について、もしもロシアが合意せずに報復で石油生産量を減らした場合には、最悪の場合は北海ブレントが数倍以上に急騰する可能性もあるとのリポートを発表しており、懸念が強まっていたところだった。

原油高に加えて、今日は5日で5と10の付く日本の貿易企業の決済日が集中しやすい「五十日」でもあったので、朝10時頃の仲値決済では原油資源高による貿易コスト増も加わり、輸入企業の円からのドル買いが強まり、11時前には今日の円の安値の136円36銭付近を記録した。

その後は今日の高値になったドルの利益確定売りなどで少し戻したものの、今日は日経平均株価が上昇していたことでも、株高時のリスク選好市場で、持ち高調整などでは低リスク通貨の円が売られてドルが買われる機会も増えていた。今日の日経平均株価は、前日比で269円66銭上昇し、2万6423円47銭で15時15分に大引けした。

また、今日は明日に期限を迎える米国の対中関税制裁についての米中協議が行われており、バイデン米大統領が中国への輸入関税の一部適用除外をする可能性があるとの一部の報道があったほか、イエレン米財務長官と劉鶴中副首相がオンライン協議で経済情勢や対中関税に関して話し合ったことがニュースになった。米中関係が改善されれば、米景気支援となる可能性もあることから、リスク選好時のドル買いも起きた。

日本時間の取引で時間外の米株先物も上昇しており、米長期金利も上昇した時には、兼ねてからの円安要因の日米金利差拡大予想による円売りのドル買いもあった。なお、今夜この後には欧州英国市場の後に、連休明けの米国ニューヨーク市場が再開する。

ユーロは、今夜17時の東京終値のユーロ対円は141円14~16銭で、同時刻の前日比で約13銭の円高ユーロ安であった。ユーロ対ドルは、17時には1.0372~1.0374ドルで前日比で約0.58セントのドル高ユーロ安で今夜の東京終値をつけた。

昨夜から今朝未明の欧州英国市場では、欧州ユーロ圏の経済指標などから欧州の記録的なインフレが長期化や高止まりをする懸念などから一時は安全資産の国債へのリスク回避でドイツなどの欧州債利回りが上昇し、欧米金利差縮小時のユーロ買いとドル売りも起きていた時もあったのだが、その一方で高インフレによる欧州中央銀行(ECB)の金融引き締めの利上げ継続による欧経済減速懸念もあり、次第にユーロリスクからユーロが売られて安全資産のドルや低リスク通貨の円が買われるという今日の午後のトレンドに移行していった。

夕方に発表された欧州ユーロ圏の経済指標のドイツの非製造業購買担当者景気指数(PMI)も、前回と予想通りの52.4の横ばいであった。

そのため、今朝は前日比では円安ユーロ高の時間帯もあったのだが、欧州景気懸念から円高ユーロ安へと市場反転をした。特に円が買われたというよりはユーロがドルに対して下げた影響が波及しており、今夜その後の欧州市場でも、18時頃までにユーロ対ドルは一時1.0298ドル付近に下落し、今年のユーロドルの安値記録を更新した。

英ポンドは、今夜17時の東京終値は164円32〜38銭で、前日比で約14銭の円安ポンド高であった。昨夜の英国ロンドン市場で英株価指数が上昇し、リスクオンのポンド買いが優勢となっていた。先週末に約2週間ぶりのポンド安ドル高を記録していたために、持ち高調整の安値でのポンド買いのドル売りも入りやすかった。

しかし、今日の日本時間の午後からの今日の欧州朝市場では利益確定売りや持ち高調整で上げ幅を縮めており、17時半の東京終値後に発表の英国経済指標の非製造業購買担当者景気指数(PMI)は、前回と予想の53.4に対して、54.3でやや改善されていたものの、ユーロがドルに下げた影響もあり、今夜の連休明けの米国市場へのポンドからのドル買い投資準備などもあり、欧州通貨のポンドもつられて下げる場面があり、円相場でも18時過ぎには163円台中盤近くに下げ、前日比で円高ポンド安に市場反転もしていた。

オーストラリアの豪ドルは、今夜17時の東京終値は92円71〜75銭で、前日比で約46銭の円高豪ドル安であった。原因は、豪準備銀行(RBA)金融政策決定理事会が、今日の政策金利を0.5%利上げし、これまでの0.85%から1.35%にすることを発表したのだが、一部の投資家の間では利上げ幅が0.5%を超えるタカ派の市場予想があったために、持ち高調整の豪ドル売りでドルや外貨に対して一時下げた影響が、円などの外貨にも見られた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年7月5日の日本時間(JST)19時20分(英国夏時間(GMT+1)11時20分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:20の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 135.92 〜 135.93 +0.48(円安)
ユーロ/円 139.95 〜 139.97 -1.32(円高)
ユーロ/ドル .0295 〜 1.0297 -0.0135(ドル高)
英ポンド/円 163.52 〜 163.58 -0.66(円高)
スイスフラン/円 140.88 〜 140.94 -0.29(円高)
豪ドル/円 92.33 〜 92.37 -0.84(円高)


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