FXニュース:米経済指標とFOMC発表で米長期金利上昇時の日米金利差拡大予想
2022年7月07日東西FXニュース – 2022年7月7日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米経済指標ISM非製造業景況感指数が55.3で市場予想の54.0を超える
- 欧景気懸念ユーロ売りと日米欧株価上昇時のリスクオンの買い抵抗も
- 英中銀(BoE)利上げ継続予想と英政情不安改善時のポンド買いの影響
今日2022年7月7日木曜日の東京外国為替市場のFXの対ドル円相場の為替レートは、9時から17時の東京外為取引時間の円の安値が136円18銭前後から高値135円55銭前後の値動き幅約63銭で、17時の今日の東京外国為替市場の終値は136円14〜15銭前後の、同時刻の前日比で約72銭の円安ドル高であった。
原因はまず、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク市場時間に発表された最新の米経済指標の6月のサービス部門購買担当者景気指数(PMI)と総合購買担当者景気指数(PMI)の改定値が市場予想以上で、重要経済指標の米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業景況感指数の6月分も55.3で市場予想の54.0を超えており、過度の米景気懸念がやや弱まった。
市場予想を上回る米経済指標に続き、日本時間の今朝未明の現地午後に公開された米連邦準備理事会(FRB)の6月14〜15日分の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨は、今月7月26〜27日に予定されている次の会合で「0.5%もしくは0.75%の利上げ幅が適切になるであろう」という内容で、FRBの積極的な金融引き締めの利上げ継続の予想が強まり、米長期金利が上昇し、円安ドル高要因の日米金利差拡大予想のドル買い円売りが再燃し、発表前は135円台前半付近で推移していたが、発表後には一時136円1銭付近までドルが買われて円が売られた。
また、同FOMC議事要旨によると、米インフレ悪化とFRBの対応による信頼維持のために前回も大幅な利上げに踏み切ったことが判明し、米金融政策が市場に大きな影響を与える可能性も示唆していた。それを受けた米アナリストの市場分析では、0.5%の利上げ幅継続だとターミナルレートは3%、0.75%の利上げ幅だと3.25%〜3.5%のターミナルレートが予測されており、3.5%以上になると米景気後退リスクが約50%になるとの懸念も出ていた。
ただし、75bp(0.75%)の利上げ幅は一部のタカ派の米投資家達の間では予想の範囲内であり、米景気指標やFOMC発表を受けて米株価が上昇したが、一部はまだ下げている銘柄もあったために、FRBの利上げ加速による米景気減速懸念も株式市場ではまだ根強く、また世界景気不安の需要停滞予想で原油価格が下落したことで日本の貿易赤字リスクが減っていたために、ドルから買える低リスク通貨の円がリスク回避で買われる機会もあったために、今朝のニューヨーク外国為替市場の終値は135円85~95銭の前日比と同じ横ばいのレンジ付近で終値をつけていた。
今日の世界市場でも同じニュースが話題となり、米景気懸念減退と米利上げ継続予想などで米長期金利が2.93%台付近に上昇し、日米金利差拡大予想で円が売られてドルが買われ、円は今朝8時過ぎに一時136円14銭付近の前日比で円安ドル高になった。
その流れを受けて始まった今日の日本の東京市場でも、米国の景気懸念の減退と米FRBの積極的な金融引き締めと利上げ継続予想から、日米金利差拡大予想の円売りドル買いが起きていた。
しかし、東京市場の今朝10時前の仲値決済に向けては、日本の輸出企業によるドル売りの円の買い戻しが強まり、10時過ぎには今日の円の高値の135円55銭付近を記録した。
また、日本時間の取引で米長期金利がやや低下したことと米原油先物価格低下による低リスク通貨の円の貿易赤字リスク軽減での買い戻しの円安抵抗も昼頃までは続いた。
しかし、午後になって時差で朝の欧州英国市場が参入してくると、再び根底にあった米景気懸念減退や日米金利差拡大予想などで、ドルが買われて円が売られる機会が増えた。
また、今日の日経株価が上昇し、午後15時台に前日比382円88銭増の26,490円53銭で大引けしたことでも、リスク選好で低リスク通貨の円が売られて、資金の投資や運用に有利な金利の高いドルが買われる機会も増えた。
そのため、今夜17時の今日の東京終値は136円14〜15銭の、前日比で約72銭の円安ドル高となった。
なお、明日7月8日に最新米経済指標の6月米雇用統計の発表が予定されており、世界のFX投資家達に注目されている。
ユーロは、昨日もお伝えした欧州エネルギー供給不足問題による欧州景気後退懸念のユーロリスク売りの安全資産のドル買いや低リスク通貨の円買いの影響がまだ残っており、今日は欧州株価上昇時のリスクオンでのユーロの買い戻しのドルや円売りはあったものの、今夜17時の東京終値のユーロ対円は138円75~77銭で前日比で約17銭の円高ユーロ安だった。
欧州景気懸念には今日ドイツ連邦統計庁が発表した5月鉱工業生産が前月比0.2%増で市場予想の0.4%増以下であったことも影響しており、米経済指標が予想以上であったこととの比較もあり、ユーロは流動性の高さから世界的な安全資産と考えられているドルに対しては4日連続で下落し、17時の今日の東京終値は1.0191~1.0192ドルで前日比0.67セントのドル高ユーロ安であった。
英ポンドは、英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)の利上げ継続予想によるポンド買いに加えて、一時はパーティーゲート・スキャンダルや一部の官僚辞任などの英政治不安でポンド売りの一因になっていたボリス・ジョンソン英首相が今日のニュースで英保守党(トーリー)の党首を辞任する意向を示したことで、英ポンドの買い戻しが優勢になった。
そのため、英ポンド対円の今夜17時の東京終値は162円44〜50銭で、前日比で約45銭の円安ポンド高であった。ただし、英国ロンドン市場では昨日の2人の官僚辞任などでも、ボリス政権の今後の継続は困難であるという予想がすでに出ていたことと、欧米で最悪の英国の記録的なインフレによる英経済懸念も根強く、前日の安全資産のドルや円に対する下げ幅の回復での前日比のポンド高になっている。
オーストラリアの豪ドルは、今夜17時の東京終値では92円79〜83銭で、前日比で約64銭の円安豪ドル高であった。
今日発表された豪経済指標の豪貿易収支5月分は、前回104.95億豪ドル(前回改定値132.48億豪ドル)と市場予想の107.20億豪ドルに対して159.65億豪ドルで、資源国のオーストラリアの貿易収支が市場予想以上であった影響が伺えた。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年7月7日の日本時間(JST)19時29分(英国夏時間(GMT+1)11時29分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:29の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 135.94 〜 135.95 | +0.52(円安) |
ユーロ/円 | 138.75 〜 138.77 | -0.17(円高) |
ユーロ/ドル | 1.0205 〜 1.0207 | -0.0053(ドル高) |
英ポンド/円 | 163.27 〜 163.33 | +1.28(円安) |
スイスフラン/円 | 139.80 〜 139.86 | -0.19(円高) |
豪ドル/円 | 93.01 〜 93.05 | +0.86(円安) |
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