FXニュース:今夜発表の米雇用統計に向けて持ち高調整の円買いドル売りが
2022年7月08日東西FXニュース – 2022年7月8日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 安倍元首相襲撃事件で日経平均先物急落時の低リスク通貨の円買いも
- 欧州中央銀行(ECB)議事要旨公表後のユーロドルが一時等価近くに
- ジョンソン英首相辞任表明後の後任決まらず懸念の英ポンド売りも
今日2022年7月8日金曜日の東京外国為替市場のFXの対ドル円相場の為替レートは、9時から17時の東京外為取引時間の円の安値が136円15銭前後から高値135円33銭前後の値動き幅約82銭で、17時の今日の東京外国為替市場の終値は135円83〜85銭前後の、同時刻の前日比で約28銭の円高ドル安であった。
原因はまず、今夜は最新の米国経済指標の米雇用統計の発表を日本時間21時半に控えており、前回の堅調な結果では+40.6pipものドル円の値動きに影響したが、今回は逆に市場予想ではFRBの金融引き締め加速で米雇用統計が減速する可能性も指摘されているため、持ち高調整のドル売り円買いと、結果が分かるまでは積極的なドル買いを控えている慎重な投資家達の動きがすでに円相場に影響を及ぼしており、世界の投資家達が注目している。
市場の流れでは、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク市場では、米連邦準備理事会(FRB)のウォラー理事が記録的な米インフレについて、「まだ減速の兆しが見えない」として、今月26~27日に開催予定の次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)でも通常の3倍の0.75%の利上げを支持したことで、米長期金利が一時3%近くに上昇し、日米金利差拡大予想でのドル買いと円売りが優勢だった。
しかし、FRBの積極的な利上げ加速による米景気や米雇用市場の減速懸念も根強く、日本時間で今夜21時半に発表予定の米雇用統計の発表前のイベントリスクもあり、悪い市場予想も出始めたために、次第に積極的なドルの売買が控えられていった。
そのため、今朝の米国ニューヨーク外国為替市場の円相場の終値は135円95銭~136円5銭の前日比で約10銭の円安ドル高だったが、今日の日本の東京市場では円相場が上昇し、前日比で円高ドル安に市場反転していった。
ただし、今朝10時前の仲値決済に向けては、次の5と10日のつく日本の貿易企業の決済日の集中しやすい五十日が週末の日曜日にあたるため、今日決済が済まされるケースが多く、輸入企業の実需のドル買いで、10時前には一時136円15銭付近の今日の安値にまで円が売られた時間もあった。今朝は日経平均株価も上昇しており、低リスク通貨の円が売られたことも影響した。
しかし、続いて輸出企業のドル売り円買いもあったために、10時過ぎには、一時135円81銭付近まで円相場は上昇した。ユーロやポンドなどの主要通貨に対しても持ち高調整などでドル売りが増えたために、円相場にも影響が波及した影響もあった。
11時半頃には、安倍晋三元首相が奈良市での街頭演説の後に、背後から銃を持った男に襲われて、犯人は逮捕されたものの、銃撃を受けて心肺停止状態になる事件がニュース速報で日本中に流れ、それまで上がっていた日経平均株価の先物が一時急落したために、低リスク通貨の円が買われるリスク回避が日本市場で起き、ドル売り円買いが更に強まった。
そのため、お昼のニュースの頃の対ドルの円相場は、12時過ぎに135円33銭付近の前日比で円高ドル安の今日の円の高値を記録した。
ただし、日本時間の午後に時差で朝の欧州英国市場では、自民党の安倍元首相襲撃事件の世界ニュースを受けて、日本の政情不安感から流動性の高い安全資産のドル買い円売りの抵抗も起き始めた。
現地では欧州エネルギー供給不足などによる欧景気懸念のユーロリスクも継続しており、ユーロドルは日本時間の午後に時差で朝の欧州市場で、一時1.0071台の1.00のパリティ(等価)近くにまで、ユーロ売りドル買いが強まった影響も波及した。
そのため、今日の日本市場での円の上昇幅は狭まり、今夜17時の東京終値のドル円は135円83~85銭で、前日比で約28銭の小幅な円高ドル安になった。
冒頭でも述べた通り、今夜この後の21時半に発表予定の最新の重要米経済指標の、6月の米雇用統計のイベントには注意が必要である。
ユーロも、今夜この後の欧州市場で20時55分にラガルド総裁の発言が予定されており、投資家達たちに注目されている。 一部では、年内にユーロドルがパリティを超える予想まで出ている。
今夜17時の東京終値では、対ユーロの円相場は続伸し、137円22~25銭の前日比で約1円50銭の大幅な円高ユーロ安であった。低リスク通貨の円は、欧州エネルギー供給不足問題などの欧景気懸念のユーロリスク売りで、一時136円88銭付近に買われて、5月末以来といわれる今日の円の高値を記録していた。
ユーロは安全資産のドルに対しても続落しており、17時の今日の東京終値は1.0102~1.0103ドルで、前日比で約0.89セントのドル高ユーロ安であった。今日のユーロは16時半過ぎには一時1.0072ドル付近に下落し、1ユーロ=1ドルが等価のパリティに近くもなっていた。
欧州エネルギー供給不足問題とインフレ景気減速懸念などのユーロリスクのリスク回避の安全資産のドルや円買いが原因で、それに加えてドルに対しては、昨夜から今朝の欧州市場と米国市場で公開された欧州中央銀行(ECB)理事会の前回の議事要旨では、「市場への不必要な困惑を回避するために、7月は0.25%利上げにとどめるべきである」という意見が有力であったことが判明し、次回も大幅利上げに積極的な米連邦準備理事会(FRB)と比較すると、ECBの金融引き締めペースはFRBよりも遅れるという予想が強まり、欧米の金融政策の違いや欧米金利差拡大予想でのユーロ売りとドル買いが優勢になっていた。
ユーロリスク売りの安全資産買いのドルと円では、今日の日本の自民党の安倍元首相の襲撃事件で円よりもドルを買う動きが強まり、また欧州ユーロ圏のフランスなどでは長めの夏休みを取るために、7月に入ってからホリデー時期で市場参加者が減ってきており、今日は米雇用統計の発表前のイベントリスクで買い控えられていたドルが買われたことでも値動きに影響が出やすくなっており、ユーロ売りドル買いの動きが大きく出やすくなっていた。
英ポンドは、今日の日本時間の午後に時差で朝の英国ロンドン市場では、ユーロにつられて対ドルで下落した影響が円相場にも波及し、対円でも下落した。
また、昨日はボリス・ジョンソン英首相の辞任表明で英政治不信改善への期待からポンド買いが優勢だったが、まだ後任の保守党(トーリー)党首が決まっておらず、英政治の先行き不透明感や、欧州連合(EU)離脱後の欧英通商問題や西洋最悪の記録的なの英インフレなどの課題も多く、今日はポンド売りで安全資産のドルや低リスク通貨の円が買われた。
そのため。今夜17時の東京終値では、162円21〜27銭の前日比で約1円29銭の円高ポンド安であった。
今日の日本市場時間の円相場の上昇は外貨にも波及しており、今夜17時の東京終値は、豪ドル対円が92円58〜62銭の前日比で約43銭の円高豪ドル安で、スイスフラン対円も138円91〜97銭の前日比で約68銭の円高スイスフラン安だった。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年7月8日の日本時間(JST)19時14分(英国夏時間(GMT+1)11時14分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:14の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 135.84 〜 135.85 | -0.27(円高) |
ユーロ/円 | 137.60 〜 137.62 | -1.12(円高) |
ユーロ/ドル | 1.0129 〜 1.0130 | -0.0062(ドル高) |
英ポンド/円 | 162.65 〜 162.71 | -0.85(円高) |
スイスフラン/円 | 139.06 〜 139.12 | -0.53(円高) |
豪ドル/円 | 92.67 〜 92.71 | -0.34(円高) |
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