FXニュース:最新米経済指標で米連邦準備理事会の利上げ加速予想が減退
2022年7月18日東西FXニュース – 2022年7月18日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 今月FOMCで1%から0.75%米利上げ予想強まり米長期金利一時低下
- 最新の米小売売上高は市場予想を上回り米株高時のリスクオン市場に
- 欧州中央銀行利上げ前と欧州株価上昇リスクオンのユーロ買いも
今日2022年7月18日月曜日の、日本市場が海の日の祝日で休場中の9時から17時の東京外国為替市場時間相当の世界市場でのFXの対ドル円相場の為替レートは、安値が138円45銭前後から高値138円1銭前後の値動き幅約44銭で、17時に138円7〜9銭前後で、前営業日の同時刻の前東京終値比では約44銭の円高ドル安であった。また、今朝9時以前の早朝にはドルは円に対して138円63銭付近であった。しかし、今夜17時過ぎには欧州市場で一時137円89銭付近にドルが売られた時間もあった。
今日の日本市場は祝日連休で休場であるが、東西FXで扱う世界FX市場は日本の祝日も通常営業で、今日の値動きへの影響はまず、先週末の日本市場と欧州市場の後に開いた米国ニューヨーク市場でも円相場が数日ぶりに反発し、138円50~60銭の前日比で約40銭の円高ドル安でニューヨーク終値をつけていたことが挙げられる。
原因は、米国ニューヨーク市場で発表された最新の米国経済指標を受けて、米連邦準備理事会(FRB)が今月下旬に開催予定の次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、1%の大幅利上げ加速をするのではないかという市場予想が減退し、0.75%の利上げ継続の予想が優勢になり、ドル買い加速の要因であった1%の大幅利上げ加速予想が減退したことで、米長期金利が下落し、ドル売り円買いの巻き戻し起きたことが影響した。
米連邦準備理事会(FRB)が重視すると市場予想時に考えられている指標のミシガン大学の7月米消費者態度指数は、前回の50と市場予想の49.9に対して51に上昇し、消費者の5年先の期待インフレ率は前月の3.1%から2.8%に低下し、その前日のFRB理事など関係者2名の0.75%の利上げ支持発言に続いてのことだったので、今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で次回利上げ幅が通常の4倍の1%に加速するのではないかというドル買い要因だった一部の市場予想が大きく後退した。
そのため、米長期金利は前終値の2.96%付近から一時2.89%付近に低下し、以前の日米金利差拡大予想で買われていたドルが売られ、日米金利差縮小時のドル売り円買いが起きた。
また、先週はその前日までに約24年ぶりともいわれる139円台の記録的な円安ドル高に達していたこともあり、高値圏で達成感のあったドルには利益確定売りが入りやすく、また記録的な安値に達していた低リスク通貨の円には、世界景気懸念の需要停滞予想の原油価格下落もあり、世界市場でも持ち高調整の買いやリスク回避買いが入りやすくなった。
しかし、その前に発表されていた米経済指標の6月の米小売売上高は前月比で1.0%増で、市場予想の0.9%増を上回っており、米景気懸念が減退し、米株価が上昇したため、外貨から米株に投資するためのドルが買われる機会もあった。その一方で、株安時の安全資産として買われていたドルが売られる抵抗も入っていた。
ただし、1%ほどの大幅利上げへの加速はないとしても、例え0.75%の米利上げ継続でも、金利抑制の日本銀行(日銀)の大規模緩和継続は確実視されているために、日米の金融政策の方向性の違いからの大きな流れでの円安要因の日米金利差拡大予想でのドル買いも継続しており、特に米小売売上高の上昇を受けて、米株式市場でダウ工業株30種平均が650ドル以上も上昇し、投資家のリスクオンで低リスク通貨の円も売られる機会もあった。
同日発表の他の米経済指標では、7月の米ニューヨーク連銀製造業景気指数も前回1.2減と市場予想の1.9減に反して11.1増と大幅に上昇しており、米景気懸念が減退し、リスクオンで安全資産のドルや低リスク通貨の円を売ってユーロなどを買う動きも出た。
また、最近の多通貨に対するドル高に伴い、同時発表の米輸入物価指数6月前月比も、前回の0.6%と市場予想の0.7%に対し、0.2%に減少しており、インフレ対策での米FRBの大幅利上げ加速予想は減退し、安全資産のドルのリスクオンの売り要因になった。
今日の日本時間の午前中に発表されたニュージーランドの4〜6月期の消費者物価指数(CPI)が前年比で7.3%上昇し、ニュージーランド準備銀行(RBNZ)の政策金利の利上げ予想にも3.5%から4.0%のタカ派の市場予想が出てきたことで、一時はドル売りのオセアニア通貨買いの影響が円相場に波及し、対ドルの円相場は昼前には138円台前半に上昇した。
東京市場が祝日休場で今朝は仲値決済時の企業による実需での円買いはないものの、日本と時間帯の近いアジアやオセアニアなどの世界市場でも米国市場と同様に、先週末の最新の米経済指標発表を受けて、米連邦準備理事会(FRB)が今月下旬に開催予定の米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げ幅が0.75%に据置きの可能性が高くなったことが今日のドル売り要因になりやすく、また、今日は原油先物が一時95ドル台に下落したことで、低リスク通貨の円のリスク要因である原油高時の日本の貿易赤字リスクが軽減して円買いが入り、円はドルに対して今日の高値の一時138円3銭付近まで買われた。
ただし、昼頃には今夜の米国ニューヨーク市場に向けた時間外の米ダウ先物が上昇したなどで、米株投資用のドル需要や、その後に原油先物相場が98ドル付近に再上昇したことなどから、円に対してドルが138円45銭付近に買われる機会もあった。
しかし、午後になると時差で朝の欧州英国市場が参入し、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)での1%の大幅利上げ予想が後退したことでの今日のリスクオンのドル売りが再燃し、前営業日比で円高ドル安での17時を迎えた。そして、その直後の17時過ぎには、朝の欧州英国市場で欧州株上昇時のリスクオンのドル売りのユーロの買い戻しの影響もあり、ドル対円が一時137円89銭付近に達した。
なお、今夜この後の米国ニューヨーク市場では、日本時間で23時頃に米NAHB住宅市場指数や対米証券投資などが発表される予定である。
一方、ユーロは、先週末の東京終値後に発表された欧州ユーロ圏の貿易収支の赤字額が市場予想ほどは悪化しておらず、欧州株価が上昇し、今週は定期検査で一時停止中のロシア産ガス供給パイプのノルドストリーム1の再開予定も入ってきたために、リスクオンのユーロ買いと安全資産のドル売りと低リスク通貨の円売りなどで、今夜17時にはユーロ対円は140円7〜10銭付近で、前営業日同時刻の前東京終値比で35銭の円安ユーロ高だった。
また、ユーロ対ドルも、今夜17時には1.0144〜1.0146ドルの前東京終値比で約0.59セントのドル安ユーロ高であった。
ユーロは、今週の21日に欧州中央銀行(ECB)のイベントを控えており、先週にはドルに対して一時は記録的な等価割れをしていたことからも、今日は持ち高調整でのドル売りのユーロ買いも入りやすくなっていた。
ユーロはまた、先週末の欧州英国市場や米国ニューヨーク市場でも、リスクオンで売られた安全資産のドルや低リスク通貨の円から安値で買われる機会が増え、先週末のニューヨーク終値でのユーロ円も139円70~80銭で、前日比で約55銭の円安ユーロ高だった。その前日には一時はドルに対して下落しパリティを割り込んでいたユーロドルも等価超えに回復しており、ユーロドルは1.0085~89ドルで先週末のニューヨーク終値をつけていた。
その原因も、今日の円安抵抗要因と同じ米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ加速予想の減退による欧米金利差拡大予想の減退で、持ち高調整でもドル売りユーロ買いが入りやすくなり、今週の欧州中央銀行(ECB)理事会のイベント前の調整に早めに備える動きも出始めた。
先週金曜の欧州市場では前日に記録的な等価割れの安値のユーロで海外からの投資買いが入りやすくなったことなどから欧州株高になり、それまでに投資リスク回避で買われていた安全資産のドルや低リスク通貨の円が売られる機会もあった。
今朝の世界市場でも、今月の米連邦公開市場委員会(FOMC) での利上げ幅予想が0.75%の可能性が強まったことで、ユーロはドルに対し一時1.0114ドル付近に上昇し、同じ理由で今日はドルは多通貨に対して売られており、英ポンドにも一時1.1905ドル、豪ドルにも一時0.6819ドル付近になっていた。
英ポンドは、先週末の欧州英国市場の後半や米国ニューヨークでは、欧州通貨につられる形で英ポンドも対ドルや対円で上昇しており、円相場にも波及し、ニューヨーク終値の英ポンド対円は164円34〜40銭付近で、前東京終値比で約4銭の円安ポンド高であった。
そのため、今夜17時の英ポンド対円は、164円97銭〜165円3銭で、前東京終値比で約63銭の円安ポンド高であった。その後の英国ロンドン市場でも、英株価上昇のリスクオンや投資実需などで、安全資産のドルや低リスク通貨の円が売られて英ポンドが買い戻され、18時半過ぎ頃には前東京終値比で約1円以上の円安ポンド高に上げ幅を広げていた。
ただし、北海道よりも北に位置する本来北国の英国で、首都ロンドンを含む広域で今日と明日に40度付近の異常猛暑予報で英国史上初の赤警報が発令され、電圧の高い英国で熱に弱い電子機器の故障による停電やネットワーク異常の可能性にも備える政府警告が出ており、英国では記録的なインフレやEU離脱後の諸問題に加えて、最近のコロナの再流行ではホリデー時期の病欠による労働者不足の問題もあり、以前の38.7度の猛暑でも保温性の高い石造りの建築様式が多く熱中症で多数の死者が出た懸念から、万一の事故発生の場合には、英景気懸念増加による今日の英ポンドの潜在的なリスク要因になる可能性もある。
欧州ユーロ圏のフランスのパリでも、今日と明日に40〜41度の猛暑予報が出ているが、フランスは長期休暇を取る習慣があり、今日のパリは元々のトレーディング・ボリュームが少なめになっている。
オーストラリアの豪ドルは、今日のオセアニア通貨の影響と、リスクオン市場で買われる機会が増え、今夜17時は94円32〜36銭付近で、同時刻の前東京終値比で約23銭の円安豪ドル高であった。
スイスフランも、以前にドルや円に続く安全資産として買われていたために、今日のリスクオン市場での安全資産売りの影響などもあり、今夜17時には141円59〜65銭付近で、前東京終値比で約25銭の円高スイスフラン安であった。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年7月18日の日本時間(JST)19時3分(英国夏時間(GMT+1)11時3分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:03の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 138.25 〜 138.27 | -0.26(円高) |
ユーロ/円 | 140.43 〜 140.45 | +0.71(円安) |
ユーロ/ドル | 1.0156 〜 1.0158 | +0.0071(ドル安) |
英ポンド/円 | 165.57 〜 165.63 | +1.23(円安) |
スイスフラン/円 | 141.82 〜 141.88 | -0.02(円高) |
豪ドル/円 | 94.53 〜 94.57 | +0.44(円安) |
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