FXニュース:株高時のリスクオンの低リスク通貨の円売り等が為替に影響
2022年7月20日東西FXニュース – 2022年7月20日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 来週26~27日のFOMC前で米連邦準備理事会(FRB)関係者が発言控え
- 日銀金融政策決定会合と欧州中央銀行(ECB)理事会が明日発表予定
- 今日発表された最新の英消費者物価指数(CPI)は前年同月比9.4%上昇
今日2022年7月20日水曜日の東京外国為替市場のFXの対ドル円相場の為替レートは、9時から17時の東京外為取引時間の円の安値が138円38銭前後から高値137円91銭前後の値動き幅約47銭で、17時の今日の東京外国為替市場の終値は138円12〜14銭前後で、前日同時刻の前東京終値比で約39銭の円安ドル高であった。
原因はまず、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で、明日に発表を控えた欧州中央銀行(ECB)理事会で、以前に予定されていた0.25%の倍の0.5%の大幅利上げを議論する可能性が一部の報道で浮上していたことで、欧州市場からのユーロ買いで安全資産のドルが売られたことが円相場にも波及し一時は円高ドル安であったのだが、米株式市場の米株高によるリスクオンで低リスク通貨の円が売られたために、円安ドル高に市場反転した。
また、先週より停止中で欧州エネルギー問題のユーロ売り要因になったロシアとドイツ間の天然ガス供給パイプラインのノルドストリームに検査後の再開予定が入ったとのニュースを受けて、実際の供給量はまだ未定ではあるが欧州景気懸念が減退し、ユーロ買いの他にも欧州株が大幅に上昇した影響で米株高になり、株安時のリスク回避で買われていた安全資産のドルや低リスク通貨の円が売られた。
さらに米国ニューヨーク株式市場では、主要企業の4~6月期決算などの情報や予想から米景気懸念が減退し、ダウ工業株30種平均が上昇し、前日比で754ドル増の終値をつけたほか、原油先物価格も一時100ドルを超えて上昇しており、リスク選好のブル・マーケット(強気市場)での、低リスク通貨の円売りも起きた。
米長期金利も3%を超えて上昇し、日米金利差拡大時のドル買い円売りも優勢になった。原油価格も一時100ドル以上に上昇し、原油高時の日本の貿易赤字リスク増でも低リスク通貨の円が売られやすくなった。
そのため、今朝のニューヨーク外国為替市場でも、円相場は138円15~25銭付近の前日比で約5銭の円安ドル高で今朝のニューヨーク終値をつけていた。
そのトレンドを受けて始まった今日の日本東京市場でも、欧米株高の影響を受けて日経平均株価が上昇し、リスクオンの低リスク通貨の円売りが継続した。
ただし、明日発表予定の日本銀行(日銀)金融政策決定会合と欧州中央銀行(ECB)理事会のイベント前の今日の日本市場では、円売りの後には持ち高調整も入り、比較的小幅な値動きになっていた。
今朝10時頃の仲値決済では、今日は20日で5と10のつく日本の貿易企業の決済日の集中しやすい五十日であったが、輸入実需の円売りと輸出企業の円買いが相殺するような形になった。
午後15時台には、日経平均株価が27,680円26銭の前日比718円58銭増の大幅高で大引けし、低リスク通貨の円売りが起きた。 米長期金利も3%を超えて上昇していたために、円売り先ではドルが好んで買われていた。
しかし、欧州市場参入や、明日の日欧のイベント前の持ち高調整なども入り、比較的小幅な値動きになった。また、米連邦準備理事会(FRB)の次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)も7月26〜27日の来週に迫ってきているために、関係者が発言を控えていることから、持ち高調整も入っており、比較的小幅な値動きが見られた。
そのため、今夜17時の東京終値では、ドル円は138円12~14銭の前日比で約39銭の円安ドル高となった。
ユーロは、昨夜の欧州英国市場で、欧州中央銀行(ECB)理事会がインフレ抑制のために0.25%〜0.5%の利上げ加速について議論するという報道からの市場予想でユーロ買いのドル売りや円売りで円安ユーロ高になっており、それに続いた米国ニューヨーク市場では米株高時と原油高時の低リスク通貨の円売りもあったために、今朝のニューヨーク市場の終値でもユーロ対円は141円25~35銭で前日比で約1円20銭の大幅な円安ユーロ高だった。
それに続いた今日の日本市場や午後からの欧州英国市場でも、明日の日欧中銀の発表イベントを控え、欧州中央銀行(ECB)の利上げ加速予想があることに対して、日銀は円安要因の金利抑制の大規模緩和を継続する予想が優勢で、日欧の金融政策の違いからのユーロ買いと円売りも起きていた。また、ノルドストリーム再開予定での欧州景気懸念減退のユーロ買いや、株価上昇時のリスクオンの低リスク通貨の円売りの影響もあった。
そのため、今夜17時の東京終値のユーロ円は141円19~22銭で、同時刻の前日比で約15銭の円安ユーロ高であった。
ただし、ドルに対しては、米長期金利上昇時のドル買いや、欧州イベント前の持ち高調整のユーロ売りやドル買いの抵抗も入っており、17時の今日の東京終値のユーロドルは1.0222~1.0223ドルで、前日比で約0.18セントのドル高ユーロ安だった。 また、東京終値の後の欧州市場では、一時は前日比でレンジに近い値動きもしている。
英ポンドは、昨夜の英国ロンドン市場では、英雇用統計の失業率などの改善を受けて、英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)が積極的な利上げを実行しやすくなることから利上げ加速予想が強まり、ポンドが買われていた。
しかし、今日の午後に発表された最新の英国経済指標の英消費者物価指数(CPI)6月分は前年同月比で9.4%上昇し市場予想の9.3%を上回っていたものの、食品やエネルギー等を除くコア指数は5.8%上昇で前回の5月の5.9%から伸び率が減速しており、英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)による利上げ加速予想がやや減退し、ポンド売りが起きた。
そのため、今日の午後に時差で朝のロンドン外国為替市場では、英ポンドは対ドルや円に対して下げており、今夜17時の東京終値では165円61〜67銭で、前日比で約18銭の円高ポンド安となった。
オーストラリアの豪ドルは、オーストラリア準備銀行(RBA)のロウ総裁がタカ派発言をしたことが今日のニュースになり買われる機会が増えたことや、他通貨への円売りが影響し、17時の今日の東京終値は95円38〜42銭の前日比で約5銭の円安豪ドル高であった。
今夜この後の欧州英国市場と米国ニューヨーク市場で為替の値動きに影響しそうな最新経済指標は、米国のMBA住宅ローン申請指数、米6月中古住宅販売件数、米週間石油在庫統計、欧州ユーロ圏7月消費者信頼感などである。また、明日発表予定の欧州中央銀行(ECB)理事会や、日銀金融政策決定会合の発表時間の為替の影響にも注意が必要である。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年7月20日の日本時間(JST)19時16分(英国夏時間(GMT+1)11時16分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:16の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 138.22 〜 138.23 | +0.49(円安) |
ユーロ/円 | 141.55 〜 141.57 | +0.51(円安) |
ユーロ/ドル | 1.0240 〜 1.0241 | ±0.0000(レンジ) |
英ポンド/円 | 166.08 〜 166.14 | +0.29(円安) |
スイスフラン/円 | 142.57 〜 142.63 | -0.02(円高) |
豪ドル/円 | 95.68 〜 95.72 | +0.35(円安) |
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