FXニュース:日本銀行が円安要因の金利抑制の大規模緩和金融政策を継続

2022年7月21日
FXニュース:日本銀行が円安要因の金利抑制の大規模緩和金融政策を継続

 

東西FXニュース – 2022年7月21日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 好決算の米株高とガソリン価格下落等で米インフレ高止まり懸念が減退
  • 今夜の欧州中央銀行(ECB)理事会の利上げ幅は0.25〜0.5%の予想も
  • 欧州連合(EU)委員会のガス使用量削減要請案で欧州景気懸念継続も

今日2022年7月21日木曜日の東京外国為替市場のFXの対ドル円相場の為替レートは、9時から17時の東京外為取引時間の円の安値が138円66銭前後から高値138円0銭前後の値動き幅約66銭で、17時の今日の東京外国為替市場の終値は138円59〜60銭前後で、前日同時刻の前東京終値比で約47銭の円安ドル高であった。

市場の流れでは、昨夜から今朝の米国ニューヨーク外国為替市場で発表された最新米国経済指標の6月米中古住宅販売が住宅ローンの利上げの影響もあり市場予想以下で、また世界景気懸念の需要減予想で原油先物価格が一時下落し、ドル高による輸入コスト減でガソリン価格が低下してきたことで米インフレ懸念がやや緩和され、来週の米連邦準備理事会(FRB)の米連邦公開市場委員会(FOMC)での大幅利上げ加速予想が減退し、一時はドルが売られる機会もあった。

しかし、今月の米FOMCで1%の大幅利上げ加速はなくとも0.75%の利上げ予想は優勢であるために、日本銀行(日銀)の金利抑制の大規模緩和継続による日米金利差拡大予想は引き続き優勢で、ドルの買い戻しも入っていた。

同時進行の米国ニューヨーク株式市場では、米主要企業の好決算の発表を受けて、ナズダックやダウ工業株30種平均などの主要株価が上昇し、ドル買いの投資が進む中で、リスクオンで低リスク通貨の円が売られる機会の方が増えたことで円安になった。

ニューヨーク市場とも時間の重なる欧州市場でも、欧州連合(EU)委員会がロシア産の欧州ユーロ圏への天然ガスの供給停止や減少に備え、EU全体のガス使用量を来月より15%削減する要望の緊急計画案を加盟国に向けて発表したことで、欧州エネルギー問題の欧州景気懸念が再燃し、ユーロリスク売りで安全資産のドルが好んで買われ、ユーロへのドル上昇の波及で、対円でもドルが上昇した。

欧州ユーロ圏のイタリアの政治不安継続のニュースなども、ユーロ売りと安全資産のドル買いの一因となったが、こちらではドルに続く安全資産の低リスク通貨の円も買われた。

そのため、今朝の米国ニューヨーク外国為替市場の終値は138円20~30銭で、前日比で約5銭の比較的小幅な円安ドル高であった。

そのトレンドを受けて始まった今朝の世界市場と日本の東京外国為替市場でも、米株高の影響で日経株価が上昇し、リスクオンで低リスク通貨の円売りが増えた。また、欧州エネルギー問題は世界ニュースになり、ユーロリスク売りのドル買いで多通貨にドルが上昇し、円相場でも円安ドル高が進行した。

また、今朝の日本市場では、お昼までの日本銀行金融政策決定会合で大規模緩和の金融政策維持の日米金利差拡大予想から円売りのドル買いが続いており、10時前には一時138円55銭付近に円が売られていた。ただし、今朝の10時頃の仲値決済では、日銀イベント前のために、企業による派手な売買は控えられていた。

今日のニュース速報で発表された日本政府の経済指標の6月貿易統計は、資源高と円安などの影響で1兆3838億円の赤字だったが、市場予想の1兆5097億円ほどは悪化していなかった。ただし、統計では1〜6月の日本の貿易赤字は、過去最大規模の7.9兆円になった。

日本市場のお昼になり、日本銀行(日銀)は今日までの金融政策決定会合で、金利抑制が円安要因になっている大規模緩和金融政策を現状維持することを決定したと発表した。市場予想通り、日銀は今日の会合でも金融政策の修正には至らず、利上げ継続予想の米連邦準備理事会(FRB)との金融政策の方向性の違いから、先読みの日米金利差拡大予想での円売りとドル買いの円安ドル高は発表前にも既に出ていた。

しかし、日本市場では日銀の発表直後に円が一時買われた時間があった。その原因は、日銀の経済物価情勢の展望リポートで、日本の生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)上昇率の2022年度の展望が2.3%と、4月に発表された以前の展望の1.9%から大幅に修正されていたことで、市場では日銀の金融政策の修正の時期も近づいてきている可能性もあることから、持ち高調整などでの円買いが入り、日銀発表直後の12時過ぎに一時138円0銭に円が買われ、すぐに日米金利差拡大予想で戻してきたものの、今日の円の高値を一時記録した。

また、時差で日本の午後が朝の欧州市場では、ドイツのDPA通信などがロシアから欧州ドイツへのガスパイプのノルドストリームが今日定期点検を終えて供給を再開したと報じたことでは欧州景気懸念が一時減退し、一時的にユーロが対ドルで買われた影響が円相場にも一時波及した。

ただし、日銀の黒田東彦総裁は、今日の金融政策決定会合の後の午後の記者会見で、現在の円安ドル高について、「ドルの独歩高」で、日銀が「金利を少し上げただけでは、円安が止まるとは、到底考えられない」と発言し、日米金利差拡大予想のドル買い円売りが再燃した。

さらに午後には欧州英国市場が本格的に参入し、日銀の金利抑制の現状維持の世界FXニュースを受けて、かねてからの円安要因であった日米金利差拡大予想のドル買い円売りが再び優勢になった。

そのため、17時の今日の東京外国為替市場の終値のドル円相場は138円59~60銭で、前日比で約47銭の円安ドル高であった。

今夜この後の米国ニューヨーク市場では、日本時間の21時半に最新の米国経済指標の前週分新規失業保険申請件数や、失業保険継続受給者数、7月フィラデルフィア連銀製造業景気指数が発表される予定である。また、23時には6月米景気先行指標総合指数も発表予定である。

ユーロは、対ドルでの円安の影響もあり、今夜17時の東京終値は141円27~30銭で前日比で約4銭の円安ユーロ高だった。一方で、前述のユーロリスク売りの安全資産のドル買いの影響で、17時にはユーロは対ドルでは続落しており、1.0193~1.0195ドルの前日比で約0.32セントのドル高ユーロ安であった。

ただし、今夜この後の21時15分から欧州ユーロの新金利の発表が予定されており、21時45分にはラガルド欧州中央銀行総裁の定例記者会見も予定されている。今回の欧州中央銀行(ECB)理事会の欧州中央銀行政策金利の利上げ幅予想は、以前の0.25%から0.5%になる可能性もあるという市場予想が発表前には出ていることから、今日のユーロにはイベント前の持ち高調整も入っている。ただし、実際のイベント結果発表までは買い控えなどもることから、今夜のイベント時やイベント後の値動きには注意が必要である。

英ポンドは、今夜17時の東京終値は165円47〜53銭で、前日比で約14銭の円高ポンド安であった。原因は、昨日発表された6月の英消費者物価指数(CPI)の伸び率が市場予想以上で、一時は英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)にも大幅利上げ予想でのポンド買いも出ていたが、先日の英国初の赤警報の異常気象の熱波では40.3度の英新記録を更新し、空港や電車停止の他にも大規模な電気火災事故などが起き、インフレに加えての英景気悪化懸念で、今日はポンド売りの安全資産のドル買いや低リスク通貨の円買いが優勢だった。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年7月21日の日本時間(JST)19時20分(英国夏時間(GMT+1)11時20分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:20の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 138.65 〜 138.66 +0.53(円安)
ユーロ/円 141.27 〜 141.29 +0.04(円安)
ユーロ/ドル 1.0188 〜 1.0190 -0.0037(ドル高)
英ポンド/円 165.77 〜 165.83 +0.16(円安)
スイスフラン/円 142.61 〜 142.67 +0.32(円安)
豪ドル/円 95.31 〜 95.35 +0.10(円安)


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