FXニュース:米連邦準備理事会(FRB)の新政策金利発表イベントが目前に
2022年7月27日東西FXニュース – 2022年7月27日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 最新米経済指標の景気懸念のドル売りと世界安全資産のドル買い
- 日米の金融政策の方向性の違いでは持ち高調整の円売りドル買いも
- FOMC発表前の米ドルの買い控えでは低リスク通貨の円買い抵抗も
- 欧州連合(EU)ガス使用量15%削減合意で欧州景気減速懸念も影響
今日2022年7月27日水曜日の東京外国為替市場のFXの対ドル円相場の為替レートは、9時から17時の東京外為取引時間の円の安値が137円15銭前後から高値136円81銭前後の値動き幅約34銭で、17時の今日の東京外国為替市場の終値は136円95〜96銭前後で、前日同時刻の前東京終値比では約30銭の円安ドル高であった。
ただし、その後の欧州市場では19時頃に、今夜この後の米連邦公開市場委員会(FOMC)の新政策金利発表イベント前の一時的な米ドルの買い控えと低リスク通貨の円買い抵抗で、一時レンジ付近や、僅差で円高ドル安に市場反転をする時間もあった。
市場の流れとしては、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク市場では、昨日22時に発表された最新の米国経済指標の5月の住宅価格指数が前回の1.6%(改定値1.5%)と市場予想の1.6%に対して今回1.4%で、20都市のS&Pケースシラー住宅価格も前回の21.23%(改定値21.22%)と市場予想の20.6%に対しての結果20.5%で、米住宅価格の上昇率は前回や市場予想以下で、23時発表の6月の新築住宅販売件数は前回の69.6万件(改定値64.2万件)と市場予想の65.9万件から59万件に減っていた。
記録的なインフレの米国で、住宅価格上昇は収まってきても、住宅ローンの利上げなどの影響などで新築物件の買い控えなどによる米景気後退懸念材料があれば、今後の米連邦準備理事会(FRB)のインフレ抑制の積極的な利上げ加速理由にはならないために、発表の時間には持ち高調整などでドルが一時売られて下げたほか、米株式市場も下げており、リスク回避で市場前半には低リスク通貨の円が一時買われていた。
同じく23時に発表された米重要経済指標の7月のコンファレンスボードの米消費者信頼感指数も、前回の98.7(改定値98.4)と市場予想の96.9に対して今回95.7で、3カ月連続で悪化していたために、発表のあった時間帯には低リスク通貨の円が一時は買われていた。
しかし、ロシアからの天然ガス供給減少の欧州エネルギー問題で、欧州連合(EU)が昨夜に来年3月までに加盟国での天然ガス消費量を制限して約15%削減することに合意したニュースが原因で、欧州エネルギー問題による景気減速懸念や経済活動の規模縮小も予想されたことから、ユーロリスク売りで世界的に流動性の高い安全資産のドルがリスク回避で買われたことでユーロ安ドル高が進み、円相場にもドル高が波及したほか、多通貨へのドル上昇トレンドになり、対円でもドル買い円売りが強まった。
また、今日は米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表が、今夜この後の米国現地時間の27日(時差で日本時間では明日未明3時頃)に予定されており、金利抑制方向の日本銀行(日銀)と利上げ継続予想の米連邦準備理事会(FRB)の日米の金融政策の方向性の違いから、持ち高調整のドル買いと円売りも継続したことが影響し、円安ドル高の要因となった。
そのため、今朝のニューヨーク市場終盤は一時137円付近の円安ドル高になり、136円90銭~137円00銭の前日比で約30銭の円安ドル高で今朝のニューヨーク終値をつけていた。
そのトレンドを受けて始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、早朝の円相場は対ドルでは下落していたが、対ユーロでは欧州エネルギー問題の景気懸念のユーロ売りで安全資産のドルに続く低リスク通貨として日本円も買われていたために、対ドルの円は下げ幅を少し縮めていた。
しかし、今朝10時頃の仲値決済では、今日は月末に近いことから、日本の輸入企業による実需の円売りのドル買いが優勢で、10時過ぎには一時137円15銭付近に円が売られて下落し、今日の日本市場での安値を記録した。今日は日経平均株価が回復傾向であったことから、昨日の株安時にリスク回避で買われていた低リスク通貨の円が売られた影響も出た。
ただし、その後には日系輸出企業によるドル売りの円の買い戻しの抵抗も入り、また今日の日本時間の取引で米長期金利の指標となる米10年国債の利回りが、午後15時頃には2.79%台付近に一時停滞もしていたことから、今夜の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えたイベントリスクの持ち高調整の後にはドルの買い控えや結果が分かるまでの様子見なども始まり、横ばいに近い小動きになる時間帯も増えてきた。
そのため、17時の今日の東京外国為替市場の終値は136円95〜96銭前後で、前日同時刻比で約30銭の円安ドル高になった。
今日のユーロは、前述の欧州エネルギー問題による欧州景気減速懸念のユーロリスク売りの安全資産のドル買いや低リスク通貨の円買いの影響が原因で、今夜17時の東京外国為替市場の終値の円相場は138円86~89銭で、前日比で約79銭の円高ユーロ安であった。ユーロ対ドルも今夜17時の東京終値は1.0139~1.0141ドルで、前日比で約0.80セントのドル高ユーロ安だった。
日本時間の午後に時差で朝の欧州市場では、欧州の天然ガス価格指標のオランダTTF天然ガス先物価格が今日も上昇しており、エネルギー価格高騰による欧州インフレ悪化と景気減速懸念で、ユーロが安全資産のドルや低リスク通貨の円に対して売られていたが、今夜この後の米連邦公開市場委員会(FOMC)の発表前の米イベントリスクでは、ドルの買い控えなども入り始めていた。そのため、東京終値後の欧州市場で18時頃にはユーロはドルに対する下げ幅を縮めており、また対ドルの円相場も下げ幅をイベント前で縮めて、19時頃には一時市場反転もしていた。FOMCイベント時やイベント後の今後の値動きにも、注意が必要である。
また、今朝の欧州市場で主要株価指数が上昇した際には、投資家のリスク回避姿勢がやや減退したことでは、ドル売りでユーロが買い戻される時間もあった。
英ポンドの円相場は、17時の今日の東京終値は165円6〜12銭で、前日比で約32銭の円安ポンド高であった。昨夜の英国ロンドン市場では英ポンドが米経済指標の悪化を受けて対ドルでも上昇していた時間があったことから、リスク回避や米イベント前のドルの買い控え時には、英ポンドも買われる機会があったことがうかがえた。
スイスフランも同様に、ドルや円に続く安全資産として買われる機会もあり、今夜17時の東京外国為替市場の円相場の終値は142円32〜38銭で、前日比で14銭の円安フラン高であったが、その後の欧州英国市場では、米ドルのイベント前で低リスク通貨の円の方が買われた影響などで、円高フラン安に市場反転もしていた。
豪ドルは、今朝発表された4〜6月のオーストラリアの消費者物価指数(CPI)の前期比は前回の2.1%と市場予想の1.9%に対して今回は1.8%で、前年同期比も前回の5.1%と市場予想の6.2%に対して今回は6.1%で下がっており、インフレ高止まりは今後の積極的な利上げ継続理由にならないために、豪ドルは一時は利上げ継続予想のドルなどに売られて下げていたが、日銀は金利抑制方向であるために、円相場では17時には95円0〜4銭で前日比で約2銭の僅差の円安豪ドル高で今日の東京外国為替市場の終値をつけていた。しかし、その後の欧州英国市場では再び豪ドルが売られて、前日比で円高豪ドル安にもなっていた。
今夜この後の米国ニューヨーク市場では、最新の米国経済指標の米MBA住宅ローン、米卸売在庫の速報値や、米耐久財受注の速報値、中古住宅販売成約指数、週間石油在庫統計などの発表予定の後に、日本時間で明日未明の3時に米連邦準備理事会(FRB)の連邦公開市場委員会(FOMC)の米新政策金利発表のイベントが控えており、世界のFX投資家達が注目している。今後のドル円の値動きに影響を及ぼす可能性から、これからも最新のFXニュースや速報には注意が必要である。続編は明日の東西FXニュースでもお伝えする予定である。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年7月27日の日本時間(JST)19時20分(英国夏時間(GMT+1)11時20分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:20の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 136.56 〜 136.58 | -0.09(円高) |
ユーロ/円 | 138.45 〜 138.50 | -1.20(円高) |
ユーロ/ドル | 1.0139 〜 1.0140 | -0.0080(ドル高) |
英ポンド/円 | 164.75 〜 164.81 | +0.01(円安) |
スイスフラン/円 | 142.06 〜 142.12 | -0.12(円高) |
豪ドル/円 | 94.89 〜 94.93 | -0.09(円高) |
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