FXニュース:最新米卸売物価指数(PPI)前月比0.5%減でインフレ緩和値
2022年8月12日東西FXニュース – 2022年8月12日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米連邦準備理事会(FRB)利上げ減速予想時のドル売り円買いと
- 米国債利回り上昇時の日米金利差拡大時のドル買い円売りも
- 日経平均株価700円以上の上昇では低リスク通貨の円売りが
- 今夜発表の米国ミシガン大学消費者態度指数速報値にも注目
今日2022年8月12日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時の外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値が133円50銭前後から高値132円91銭前後の値動き幅約59銭で、今夜17時の東京外国為替市場の終値は133円27〜28銭前後で、昨日17時の東京休場時の世界市場での132円44〜46銭前後の前日同時刻と比較すると、今日は約82銭の円安ドル高であった。
ただし、昨日11日の東京外国為替市場は日本の祝日で休場であった為、日本では前東京終値は前営業日の8月10日の17時の134円93〜95銭付近で記録されており、8月10日の前東京終値と比較される場合には、約1円68銭の円高ドル安となる。
今年の外国為替(FX)市場の円相場は、1月24日に記録した円の高値の113円48銭から、7月14日につけた安値の139円38銭付近まで、価格変動(ボラティリティ)の大きな魅力的な市場になっているが、日本でもお盆休み時期に入るところだが、欧米でも夏休み時期のために、市場での流動性の軽減から、まとまったオーダーが入ると値動きに影響が出やすくなっていた。
今日の値動きの原因はまず、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で日本時間の21時半(現地時間の朝)に発表された最新の米国経済指標の7月の卸売物価指数(PPI)が、前月比で前回の1.1(修正1.0%)上昇と市場予想の0.2%上昇に反して、0.5%減で低下していた。先日の米消費者物価指数(CPI)に続き、記録的な米国のインフレの減速を示唆していたため、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ減速予想が優勢になり、ドルが売られて主要通貨に対して下げ、円に対しても一時131円74銭の安値をつけた。
しかし、その後には米国のインフレ緩和による米景気懸念の減退でリスクオン市場になり、それまでの米景気懸念のリスク回避で買われていた安全資産の米国債が売られて価格を下げたことで、米長期金利の指標となる米10年国債の利回りが上昇し、日米金利差拡大時のドル買い円売りが起き始め、前日の米消費者物価指数(CPI)発表後の大幅円高時からの高値の円の利益確定売りや安値のドルの持ち高調整買いなども加わり、ドルは円に対して一時133円12銭の同市場での高値に上昇した。
米10年国債利回りの米長期金利は、今朝のニューヨーク債権市場の終値では2.89%で、前日比で0.11%も上昇していた。
また、同日に発表された米国の最新の前週分新規失業保険申請件数は、前回の26.0万件(修正後の24.8万件)と市場予想の26.3万件に対して結果は26.2万件で、市場予想ほどは悪化していなかったことでも、安値でドルを買い戻す動きも見られた。
そのため、ニューヨーク外国為替市場では131円台から133円台の大きな値動きをした後の今朝のニューヨーク外国為替市場のドル円の終値は132円90銭~133円0銭で、前日同時刻の前ニューヨーク終値と比較すると、約5銭の円安ドル高だった。
その後に始まった休場明けの今日の日本の東京外国為替市場では、朝9時には米国経済指標の発表を受けての米利上げ減速予想のドル売り円買いの132円91銭付近から始まった。
しかし、今朝の債権市場での米長期金利上昇での日米金利差拡大時の円売りドル買いと、お盆休み時期に入ることから日本の輸出企業の休業が増えていることに対して、日本の輸入企業には実需があり営業中の会社が多く、今朝10時前の仲値決済に向けては、輸入実需のドル買いが優勢で、11時半頃には一時133円50銭付近にドルが上昇し、今日の日本市場でのドルの高値で円の安値を記録した。
今日の日本のニュースでは、第二次岸田文雄内閣改造で自民党役員が発表され、世論調査では岸田政権の支持率が低下していたが、為替相場への影響は限られていた。
しかし、先日発表された7月の米消費者物価指数(CPI)と昨夜発表の米卸売物価指数(PPI)の発表を受けては、日本市場でも米国のインフレ減速による米連邦準備理事会(FRB)の利上げ減速予想でドルが売られて円が買われる機会もあり、昼前に高値になったドルは午後15時頃まで売られて下げていたが、今日は日経株価が700円以上も上昇しており、15時15分に28,546円98銭の前営業日比727円65銭で大引けをすると、低リスク通貨の円も売られた。
また、午後に時差で朝の欧州英国市場の参入により、米景気懸念の減退や持ち高調整で再びドルが買われる機会もあり、今夜17時の東京外国為替市場は133円27〜28銭付近で今日の終値をつけた。
今夜この後にも最新の米国経済指標の発表が予定されており、21時半に7月の輸入物価指数と輸出物価指数が発表されるほか、23時には8月のミシガン大学消費者態度指数の速報値が発表予定で、世界のFX投資家達が注目しており、値動きに影響を与える可能性がある。
ユーロは、17時の今日の東京外国為替市場の円相場の終値は137円16~18銭で、前営業日10日の前東京終値比では約62銭の円高ユーロ安だった。同時刻のユーロドルは1.0291~1.0292ドルで前東京終値比では0.81セントのユーロ高ドル安であった。いずれも、東京休場中の世界市場の前日同時刻比とでは、比較値が異なることに今日は注意が必要である。
世界市場での昨日の17時の136円76〜77銭付近と比較すると、約40銭の円安ユーロ高になる。ユーロドルも世界市場では昨夜17時に1.0324~26ドル付近で、日本市場の前営業日の10日の前東京終値とは比較日時が1日異なっている。
ユーロは昨夜の欧州英国市場では、その前日に発表の7月の米消費者物価指数(CPI)上昇率が市場予想を下回り、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ減速予想のドル売りでユーロが対ドルで7月上旬以来の高値を記録したことから、高値圏のユーロの利益確定や安値での持ち高調整のドル買いが優勢となっていた。ユーロ上昇時には円も対ユーロで一時下落したが、その原因には欧州国債利回りの上昇による日欧金利差拡大時のユーロ買い円売りも影響していた。
欧州の後のニューヨーク外国為替市場でも前ニューヨーク終値比では円安ユーロ高とドル安ユーロ高で推移していたが、前述の経済指標の発表を受けて、米利上げ減速予想ではドルが売られてユーロが買われていた。ただし、米長期金利の上昇では欧米金利差拡大時のドル買いユーロ売りでユーロは上げ幅を縮めた。
その後の今日の日本時間の午後に始まった欧州英国市場では、欧州通貨のユーロや英国ポンドが、米国の景気懸念の減退に対して、欧州と英国の景気懸念で安全資産の対ドルに対して下落して始まっていた。米国のインフレ率が前月比で下げたことに比べて、今日発表されたフランスの最新の消費者物価指数は横ばいであった。
英国ポンドは17時の東京終値は162円30〜36銭で、前営業日の10日の前東京終値比では約8銭の円安ポンド高であった。しかし、昨日の世界市場の17時の161円89〜95銭と比較すると、約41銭近い円安ポンド高である。
利上げ後でインフレ悪化の英国ポンドは利上げ継続予想で買われる機会もあった。また、今日の午後に発表された英国の最新経済指標の4~6月期の国内総生産(GDP)の速報値は前期比マイナス0.1%で、市場予想のマイナス0.2%ほどではなかったために、発表直後には英ポンドが買われていた。ただし、前期比でのマイナス成長では、英国のリセッション(景気後退)懸念からはポンド売り要因の抵抗もある。英国の6月貿易収支も、前回の214.45億ポンド減(修正206.66億ポンド減)と市場予想の223.00億ポンド減に対し、今回228.47億ポンド減の赤字であった。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年8月12日の日本時間(JST)19時13分(英国夏時間(GMT+1)11時13分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | 19:13の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 133.43 〜 133.44 | −1.51(円高) ※ 世界市場前日同時刻比では円安 |
ユーロ/円 | 137.33 〜 137.34 | -0.45(円高) |
ユーロ/ドル | 1.0291 〜 1.0292 | +0.0081(ドル安) |
英ポンド/円 | 161.96 〜 162.02 | -0.26(円高) |
スイスフラン/円 | 141.59 〜 141.65 | +0.31(円安) |
豪ドル/円 | 94.76 〜 94.80 | +0.24(円安) |
※ 画像の昨日17時の世界市場比ではなく、日本の前営業日10日の前東京終値比です。東京祝日休場時の昨日の世界市場での値動きは、昨日の東西FXニュースをご覧下さい。
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