FXニュース:欧州エネルギー問題のユーロ売りと安全資産のドル買いでドル高に

2022年8月16日
FXニュース:欧州エネルギー問題のユーロ売りと安全資産のドル買いでドル高に

 

東西FXニュース – 2022年8月16日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 最新米経済指標ニューヨーク連銀製造業景況指数低下ではドル売りも
  • 米景気リスク回避の安全資産の国債買いで米長期金利一時低下と回復が
  • 日本の最新経済指標の6月第3次産業活動指数もマイナス0.2%低下

今日2022年8月16日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時の外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値が133円79銭前後から高値132円95銭前後の値動き幅約84銭で、今夜17時の東京外国為替市場終値は133円65〜66銭前後で、昨夜17時の前東京終値の133円50〜52銭と比較すると、約14銭の円安ドル高であった。

市場の流れとしては、日本時間の昨夜21時半に時差で朝の米国ニューヨーク市場で発表された最新の米国経済指標のニューヨーク連銀製造業景況指数8月が、前月の11.1と市場予想の5.0に対してマイナス31.3に急低下し、米国景気懸念が強まり、リスク回避で安全資産の米国債買いが起き、米10年債の利回りが指標となる米長期金利が一時2.75%に前営業日比で0.09%低下し、日米金利差縮小時のドル売りと低リスク通貨の円買いが起き、発表前に133円台だったドルは発表後に132円台へと一時急落していた。

しかし、米国ニューヨーク市場の午前は欧州英国市場の午後にあたるため、欧州エネルギー供給問題や欧州ユーロ圏の主要貿易先の中国の経済指標の小売売上高などの悪化による中国景気先行き不透明感などで、欧州景気懸念のリスク回避が米国景気懸念よりも欧州市場では強まり、ユーロ売りと安値になった安全資産のドル買いが起き、低リスク通貨の円もリスクオフで買われたことから、ユーロ安に対しては円高とドル高になっていた。

ドル円は先日からの米国インフレのピークアウト感や、今回の米景気懸念で米連邦準備理事会(FRB)の利上げ減速予想が強まってきたことで、円安要因の日米金利差拡大予想の減退時のドル売りの円買いがあった一方で、米利上げ減速予想は企業などの借入金の金利上昇のリスク減にも繋がることから、米株式市場では米株価が上昇し、投資実需のドル買いや米株高時のリスクオンでは低リスク通貨の円売りも入った。

ただし、日本時間今朝5時のニューヨーク市場の閉場前に発表された米経済指標の6月の対米証券投資は、前回の1553億ドルに対して1218億ドルに低下していた。

そのため、今朝6時までの米国ニューヨーク外国為替市場の円相場の値動きは、円の安値133円35銭付近から高値は132円56銭付近で、ニューヨーク終値は133円25~35銭で前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比では約30銭の円高ドル安であった。

その後に始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、今朝は米経済指標発表に起因する米景気懸念で米長期金利が低下していたことを受けて、日米金利差縮小時の円買いドル売りが優勢で、9時台に一時132円95銭付近の今日の円の高値をつけた。

しかし、朝10時頃の仲値決済に向けては、今日は輸入企業の実需の円売りドル買いが優勢で、10時台に133円49銭付近へドルが上昇した。

13時半には日本の最新経済指標の6月の第3次産業活動指数が発表され、前月比で前回の0.8%増と市場予想の0.5%増に対してマイナス0.2%に低下していた。経済産業省は、季節調整済の総合は2015年度平均の100に対しては99.9で、前月比0.2%減は4カ月ぶりの低下となり、基調判断は「持ち直し傾向にある」に据え置くことも発表し、円売りドル買いも起きていた。

米株価上昇の影響で、今朝は日経株価も一時上昇していたことでは低リスク通貨の円売りドル買いも一時起きていたが、日経平均株価が午後に小幅に反落し、15時台に28,868円91銭の前日比2円87銭安で大引けすると、再び円が買い戻された時間もあった。

しかし、午後には時差で朝の欧州英国市場の参入があり、欧州エネルギー供給問題などの欧州景気懸念のリスク回避でユーロが売られ、世界的に流動性の高い安全資産のドルが好んで買われ、今日のドルの高値の133円79銭付近に急上昇した。

安全資産のドルに続いて低リスク通貨の円も買われたが、16時台には米長期金利指標の米10年債の利回りが2.79%台に上昇回復したことを受け、かねてからの円安要因である日米金利差拡大時のドル買い円売りが再燃したことが原因で、ドル円は17時の今日の東京外国為替市場の終値を133円65〜66銭付近の前日比約14銭の円安ドル高でつけた。

その後の欧州英国市場でも、17時過ぎに米長期金利が2.8%に上昇し、18時台には134円台に円安ドル高が進行していた。

ただし、今夜この後にも、21時半から最新米国経済指標の7月の住宅着工件数と建設許可件数や、22時15分に鉱工業生産と設備稼働率などが発表予定で、世界のFX投資家達が最新FX予想データのために注目している。

今日のユーロは前述の通り、欧州エネルギー問題が原因の欧州景気懸念のユーロ売りで安全資産のドルや低リスク通貨の円に対して下げており、今夜17時の東京外国為替市場のユーロ円の終値は135円75~77銭付近で、前日同時刻比で約87銭の円高ユーロ安だった。ユーロは安全資産のドルに対しても下げており、17時の今日の東京終値のユーロドルは1.0157~1.0158ドルで、前日同時刻比で約0.76セントのドル高ユーロ安であった。

今夜その後の欧州英国市場では、18時に欧州ユーロ圏の最新の経済指標の発表があり、ドイツの8月ZEW景況感調査は前回の−53.8と市場予想の−60.0に対して−55.3で、市場予想以内の下げ幅には留まったもののマイナスで下げており、同時発表の欧州ユーロ圏総合の8月ZEW景況感調査も前回の−51.1に対して−54.9に下げていた。

同じく、18時に欧州ユーロ圏の6月の貿易収支も発表され、季調前は前回の263億ユーロ減に対して246億ユーロ減に赤字幅がやや軽減していたが、季調後は前回の260億ユーロ減(前回修272億ユーロ減)と市場予想の220億ユーロ減に対して308億ユーロ減と、市場予想以上にマイナスの赤字額が悪化したことで、欧州景気懸念のユーロ売りの安全資産のドル買いでドル高に更に拍車をかけ、外貨への影響からこの時間には円安ドル高も進行した。

英国ポンドは、今日の午後15時に最新の英国経済指標の雇用統計が発表され、7月の失業率は前月6月と同じ3.9%の横ばいであった。ただし、失業保険申請件数は前回の2万件減(修正2.68万件減)に対して今回は1.06万件減に悪化していた。英国では記録的なインフレによるCost-of-living crisis(生活費困窮問題)が社会問題になっており、追加申請などがあったものと思われる。

昨夜の英国ロンドン市場では英国ポンドも安全資産の対ドルで下げていたが、今日の午後の欧州エネルギー問題などの景気懸念のユーロリスク売りでは、英国ポンドもリスク回避で買われていたため、利上げ後の英国ポンドには投資系の実需買いなどもあり、今日17時の東京外国為替市場のポンド円の終値は161円8〜14銭で、前日同時刻の前東京終値比では約44銭の円安ポンド高であった。

ユーロリスク売りの安全資産になりやすいスイスフランも上昇し、17時の今日の東京外国為替市場のスイスフランの円相場の終値は141円18〜24銭で、前日比で約36銭の円安スイスフラン高であった。

オーストラリアの豪ドルは、昨夜の原油先物価格下落時の資源国通貨売りでは一時は売られており、また中国が貿易先で中国経済指標の小売り低下の世界景気懸念でも一時はリスク売りがあったものの、今朝10時半に豪準備銀行(RBA)今月利上げした金融政策会合議事要旨を公開してからは、安値になっていた豪ドルの持ち高調整買いなどがあり、ドルなどの外貨に円安になった影響も波及し、午前の円高豪ドル安から午後の円安豪ドル高に移行していおり、17時の今日の東京終値は93円73〜77銭で、前日同時刻比では約15銭の円安豪ドル高であった。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年8月16日の日本時間(JST)19時7分(英国夏時間(GMT+1)11時7分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:07の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 134.09 〜 134.10 +0.58(円安)
ユーロ/円 135.95 〜 135.97 -0.67(円高)
ユーロ/ドル 1.0138 〜 1.0140 -0.0095(ドル高)
英ポンド/円 161.14 〜 161.20 +0.50(円安)
スイスフラン/円 141.13 〜 141.19 +0.31(円安)
豪ドル/円 93.85 〜 93.89 +0.27(円安)


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