FXニュース:最新の米国経済指標とFRB関係者発言で日米金利差拡大予想
2022年8月19日東西FXニュース – 2022年8月19日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 欧州英国インフレ景気懸念時の安全資産のドル買いが円相場にも波及
- 日本の消費者物価指数(CPI)は予想通りの前年同月比2.4%上昇
- 英国の最新小売売上高が前月比プラスの一時買いと景気懸念売りも影響
今日2022年8月19日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時の外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値が136円72銭前後から高値135円83銭前後の値動き幅約89銭で、今夜17時の東京外国為替市場終値は136円71〜72銭前後で、昨夜17時の前東京終値の135円26〜27銭前後と比較すると、約1円45銭の大幅な円安ドル高であった。
原因はまず、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で発表された最新の米国経済指標の米フィラデルフィア連銀の8月製造業景気指数が、前月のマイナス12.3と市場予想のマイナス5.0に対してプラス6.2に転じて大きく改善し、同日発表の前週分の米新規失業保険申請件数も改善しており、米景気懸念が緩和され、リスク回避で買われていた安全資産の米国債が売られて米長期金利が上昇し、ドル買い円売りが優勢になった。
欧州市場の午後も米国市場の午前と同時進行中であったが、欧州ではロシアからの天然ガス供給減などの欧州エネルギー不足問題や、今年の夏の異常気象で英国や欧州の一部で記録的な猛暑と干ばつが起きて欧州の運搬用運河や英国の貯水池などの水位が下がり、物資供給の遅れや水不足などで、欧州や英国の高インフレの更なる悪化と長期化による欧州英国景気懸念が強まっており、リスク回避でのユーロ売りやポンド売りの安全資産のドル買いが優勢で、ユーロやポンドなどの主要外貨に対するドル買いドル高が円相場にも波及した。
また、米連邦準備理事会(FRB)関係者達の米利上げに対する積極的な発言が相次いだことも、かねてからの円安要因であった日米金利差拡大予想のドル買い円売りに影響を与えた。
米連邦準備理事会(FRB)メンバーのセントルイス連銀のブラード総裁が、米国経済新聞のウォール・ストリート・ジャーナルに、次回9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でも「0.75%の大幅な利上げに傾倒している」と発言したインタビュー記事が掲載された。
同じく、米連邦準備理事会(FRB)メンバーの米サンフランシスコ連銀のデイリー総裁も「インフレ勝利宣言には時期尚早」と発言し、米カンザスティ連銀のジョージ総裁も「先月のインフレ指標は心強い数値だが、まだ勝利を祝って走るビクトリーランには早過ぎる」と発言し、米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁もインフレへの継続した警戒感を示していたことで、米長期金利が2.88%を超えて再上昇し、日米金利差拡大予想によるドル買い円売りの円安ドル高が再燃した。
円は米国市場の朝には134円65銭付近の市場高値であったが、その後には一時135円90銭の市場安値に下落し、今朝6時のニューヨーク外国為替市場の円相場の終値は、135円85~95銭で前日同時刻比で約80銭の円安ドル高だった。
そのトレンドを受けて始まった日本の東京外国為替市場でも、同じく最新の米国経済指標を受けて、米国景気懸念緩和により米連邦準備理事会(FRB)が積極的な利上げ継続を行いやすくなるという分析もあり、円相場が更に下落し、136円台の円安ドル高が進行した。
日本の最新の経済指標では、今日総務省が発表した日本のインフレ率を示す7月の消費者物価指数(CPI)は、資源高や円安でエネルギーや食料品の上昇が継続しており、変動の大きな生鮮食品を除く総合指数が102.2で、前年同月比で2.4%上昇していた。これは、2014年末の消費税の増税後の2.5%の記録に迫る上昇率であったが、市場予想の2.4%と一致していたことでは、日本市場での円売りの反応は限られていた。
しかし、年内に10%超えと言われていた英国や欧州のインフレ率が、英国で既に市場予想よりも早く10%を超えたことでは、欧州英国景気懸念のユーロやポンドなどに対するドル買いドル高の影響が円相場に波及していた。
今朝10時前の仲値決済に向けても、日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10のつく五十日にあたる明日の20日が土曜であるために、前日の今日が決済日の企業があり、輸入実需での円売りドル買いが起きていた。その後には輸出企業のドル売り円買いの抵抗も入ったが、それでも136円台に留まった。
日本市場の午後になり、時差で朝の欧州英国市場の参入もあり、時間外の米10年債の利回りが更に上昇して2.94%台になっていたことで、再び日米金利差拡大によるドル買い円売りが強まり、17時の今日の東京外国為替市場の終値は136円71〜72銭前後で、前日同時刻比較で約1円45銭の大幅な円安ドル高であった。また、その直後の欧州英国市場では、17時台にさらに136円76銭付近に円安ドル高が進行した。
今日のユーロの円相場は、17時の今日の東京外国為替市場の終値では137円90~93銭で、前日同時刻比で約44銭の円安ユーロ高であった。
今日の午後に発表された欧州ユーロ圏のドイツの最新経済指標の7月の生産者物価指数(PPI)は前月比で、前回の0.6%と市場予想の0.6%を超える5.3%に上昇しており、欧州インフレによる欧州中央銀行(ECB)の利上げ予想が高まり、日欧金利差拡大予想も強まった。前年同月比では37.2%も上昇していた。
一方で、欧州の高インフレによる欧州景気懸念では、ユーロ売りで世界的に流動性の高い安全資産のドル買いが起きたことでは、ユーロドルは、17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0087~1.0088ドルで、前日比で約0.74セントのドル高ユーロ安だった。今日の市場では、一時は1.0070ドル付近のドル高ユーロ安も記録した。
しかし、17時の終値と同時に発表された欧州ユーロ圏の最新経済指標の6月の経常収支(季調済)は、前回のマイナス45億ユーロからプラス42億ユーロに改善されていた。そのため、今夜その後の欧州市場では、欧州インフレの利上げ予想で欧州債の利回りが上昇しており、ユーロ買いドル売りの抵抗も入った。
英国ポンドは、17時の今日の東京外国為替市場の終値は162円77〜83銭で前日比で約66銭の円安ポンド高であった。
英国インフレ景気懸念では英国ポンドは安全資産のドルに対して売られていたが、今日の15時に発表された最新の英国経済指標の7月小売売上高は、前月比が前回のマイナス0.1%と市場予想のマイナス0.2%に対して今回はプラス0.3%に改善されていたことで、ポンド買いが起きて上昇した。また、高インフレは英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)の利上げ継続予想にも繋がるために、日英金利差拡大予想でもポンドが買われて円が売られた。
しかし、同小売売上高の前年同月比では、前回マイナス5.8%と市場予想のマイナス3.3%に対してマイナス3.4%と市場予想以下で、予想以上のインフレ悪化の英国景気懸念では、その後の英国ロンドン市場では今日の高値圏になっていた英ポンドが利益確定売りなどで再び安全資産のドルや低リスク通貨の円に対しても売られて下げており、17時台に162円台後半だった英ポンドは、19時過ぎには161円台後半に急落したため、前東京終値比では円高ポンド安に市場反転した。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年8月19日の日本時間(JST)19時21分(英国夏時間(GMT+1)11時21分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:21の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 136.60 〜 136.61 | +1.32(円安) |
ユーロ/円 | 137.48 〜 137.49 | +0.02(円安) |
ユーロ/ドル | 1.0063 〜 1.0065 | -0.0098(ドル高) |
英ポンド/円 | 162.01 〜 162.07 | -0.10(円高) |
スイスフラン/円 | 142.81 〜 142.87 | +0.80(円安) |
豪ドル/円 | 94.20 〜 94.24 | +0.27(円安) |
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