FXニュース:最新米国経済指標の購買担当者景気指数等の低下でドル一時急落
2022年8月24日東西FXニュース – 2022年8月24日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米景気懸念と日米株安時のリスク回避で低リスク通貨の円買いが
- 米連邦準備理事会(FRB)高官達の積極的な利上げ継続発言が続く
- 米長期金利一時3.07%上昇時とパウエル議長発言予想ではドル買いも
今日2022年8月24日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時の外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値が137円3銭前後から高値136円38銭前後の値動き幅約65銭で、今夜17時の東京外国為替市場の終値は136円54〜56銭前後で、昨夜17時の前東京終値の137円28〜29銭前後と比較すると、約73銭の円高ドル安であった。
原因はまず、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で発表された最新の米国経済指標の低下を受けて、米景気懸念によるドル売りと低リスク通貨の円買いが強まった。
市場の流れとしては、前回の東西FXニュースでも予告していた通り、日本時間で昨夜22時45分(米国市場の朝)に、最新の米国経済指標の8月の購買担当者景気指数(PMI)が発表され、製造業が前回の52.2と市場予想の52.0に対して今回は51.3に低下し、サービス部門も前回の47.3と市場予想の49.2に対して今回は44.1に悪化し、総合も前月比で前回の47.7から今回は45.0に2.7ポイント低下して2年3カ月ぶりの低水準を記録し、総合で景気のボーダーラインと言われる50を2カ月連続で下回ったことで、ドル売り要因の米景気減速懸念が再燃し、市場ではそれまでに高値圏になっていたドルの利益確定売りと持ち高調整の安値での低リスク通貨の円買いが起き、ドル急落と円上昇の値動きに影響を及ぼした。
続いて23時に発表された8月米リッチモンド連銀製造業指数も、前回の0と市場予想のマイナス4に対して今回はマイナス8に市場予想の倍ほど悪化しており、同時刻に米商務省が発表した7月の新築住宅販売件数も5カ月連続で低下したことで、米景気懸念のリスク回避のドル売りと低リスク通貨の円買いが強まり、ドルの円相場はこれらの米経済指標の発表前の137円台後半から135円台後半に一時急落した。
ただし、米連邦準備理事会(FRB)関係者発言の連続コンボでは、来月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の積極的な米利上げ継続予想が強まっており、米国ニューヨーク市場の債権市場では米長期金利が一時3.07%に上昇していたことでは、日米金利差拡大予想での円売りドル買いの抵抗も加わった。
そのため、今朝までの米国ニューヨーク市場のドル円相場では、円は安値137円64銭付近から高値135円82銭付近の値動きをし、今朝6時頃のニューヨーク外国為替市場の円相場の終値は136円70~80銭付近で、前日同時刻比では約75銭の円高ドル安だった。
そのトレンドを受けて始まった今日の日本の東京外国為替市場では、朝のFXニュースで米連邦準備理事会(FRB)メンバーの米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が、米国の今後の利上げ継続の必要性について非常に明確だと発言しており、また明日25日から27日に米カンザスシティー連銀主催で行われる経済シンポジウムのジャクソンホール会議では26日にパウエル議長の講演発言の予定があり、日米金利差拡大予想の持ち高調整では、前日比で大幅な安値になっていたドル買いと円売りの抵抗が加わった。しかし、結果が分かるまでは慎重な様子見の姿勢もあり、午前中は比較的小幅な値動き範囲に留まっていた。
朝10時前の仲値決済では、日本企業の輸入実需での円売りドル買いで、10時過ぎに今日の日本市場の円の安値でドルの高値の137円3銭付近を一時記録した。ただし、続いての輸出企業のドル売り円買いや、今日の高値での利益確定のドル売りの円の買い戻しで相殺され、やや横ばいに近い値動きにもなった。
しかし、午後になると、日経平均株価低下時の低リスク通貨の円買いでのリスク回避や、時差で朝の欧州英国市場参入で米景気懸念による米株価指数先物の下落で安全資産の米国債が買われたことなどから、米10年債利回りが指標となる米長期金利が低下したため、日米金利差縮小時のドル売りと低リスク通貨の円買いによる株安時のリスクオフが強まり、ドル円相場で円が上昇し、14時前に今日の日本市場の円の高値でドルの安値の136円38銭付近を記録した。今日の日経平均株価は、28,313円47銭の前日比139.28安で15時15分に大引けした。
米経済指標を受けての米景気懸念のドル売り円買いの後、米利上げ継続予想での日米金利差拡大予想でのドル買い円売りで、安値になったドルは再び買われて下落幅は縮めたが、前日までに大幅な円安ドル高が進行していたために、17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は136円54〜56銭付近で、前日同時刻の前東京終値比では約73銭の円高ドル安であった。
今夜この後にも米国経済指標の発表予定があり、20時のMBA住宅ローン申請指数、21時半の7月耐久財受注、23時の7月住宅販売保留指数、また明日の夜には、米国の4〜6月の四半期GDP個人消費改定値や四半期コアPCE改定値と、明後日の26日の夜には、前述のジャクソンホール会議で米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が経済見通しについての講演と発言をする予定で、為替相場の値動きに影響を及ぼす可能性から、世界のFX投資家達が注目している。
ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は135円92~94銭付近で、前日同時刻比で約43銭の円高ユーロ安だった。欧州エネルギー問題での景気懸念のユーロ売りで低リスク通貨の円が買われていた影響が継続していた。
ユーロドルは今日の17時の東京終値でも0.9954ドル付近の等価割れが継続していたが、より大幅に低下していた前日比では、今日は約0.21セントのドル安ユーロ高であった。
原因は、昨夜の欧州市場の後半は米国ニューヨーク市場の前半と同時進行であったために、日本時間の昨夜で時差のある米国時間の朝に発表された先述の米国経済指標低下の反応のドル売りで、パリティ(等価)割れで大幅安値だったユーロも持ち高調整などで買われたことで対ドルのユーロが反発した影響が出ていた。
また、昨夜の欧州市場で米国経済指標と同じ頃に発表された欧州ユーロ圏の最新経済指標の8月の消費者信頼感指数の速報は、前回のマイナス27と市場予想のマイナス28に対してマイナス24にやや改善されていたこともドル売りユーロ買いに繋がった。しかし、欧州エネルギー問題による欧州景気懸念のユーロリスクで上昇幅は限られており、対ドルのユーロは下げ幅こそは縮めたが、ユーロドルの等価割れは継続していた。
英国ポンドは、17時の今日の東京外国為替市場の円相場での終値は161円46〜52銭で、前日同時刻比で約31銭の円高ポンド安であった。西欧最悪のインフレ率の英国で、秋に電気代の大幅値上げが予定されており、英国景気懸念も強まっており、今日は低リスク通貨の円買いの方が優勢であった。
オーストラリアの豪ドルは、比較的リスク市場に弱い通貨と考えられているが、今日の日本やアジア・中国株安時のリスクオフでも低リスク通貨の円に対して売られており、17時の今日の東京終値の豪ドルの円相場は94円50〜54銭で、前日同時刻比で約24銭の円高豪ドル安であった。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年8月24日の日本時間(JST)19時20分(英国夏時間(GMT+1)11時20分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:20の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 136.45 〜 136.46 | -0.82(円高) |
ユーロ/円 | 135.66 〜 135.67 | -0.69(円高) |
ユーロ/ドル | 0.9941 〜 0.9942 | +0.0008(ドル安) |
英ポンド/円 | 160.82 〜 160.88 | -0.95(円高) |
スイスフラン/円 | 141.75 〜 141.81 | -0.07(円高) |
豪ドル/円 | 94.32 〜 94.36 | -0.42(円高) |
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