FXニュース:米国GDP発表やFRBパウエル議長の発言控え持ち高調整が

2022年8月25日
FXニュース:米国GDP発表やFRBパウエル議長の発言控え持ち高調整が

 

東西FXニュース – 2022年8月25日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米長期金利が一時3.12%と約2カ月ぶりの高水準を記録
  • ロシア産天然ガス供給問題で欧米でエネルギー価格が高騰
  • インフレ対策で米連邦準備理事会(FRB)の積極的利上げ継続予想も
  • ユーロドルが等価割れからショートカバーや欧州経済指標等で回復

今日2022年8月25日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時の外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値が137円20銭前後から高値136円41銭前後の値動き幅約79銭で、今夜17時の東京外国為替市場の終値は136円48〜50銭前後で、昨夜17時の前東京終値の136円54〜56銭前後と比較すると、約6銭の円高ドル安であった。ただし、その後19時頃には欧州市場では前日比0銭差のレンジ市場にもなっている。

今朝までの米国ニューヨーク市場では円安ドル高であったが、今日の午後の日本市場や欧州市場で今夜や明日のイベント前のドルの持ち高調整などが進んで市場が逆転し、今夜17時には前日比では円高ドル安で東京外国為替市場が終値をつけたが、その後19時台には欧州市場でレンジに近づき、円安ドル高に戻る可能性も出てきた。

市場の流れとしては、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で発表された最新の米国経済指標の米MBA住宅ローン申請指数は前回のマイナス2.3%からマイナス1.2%にやや改善されていたが、米耐久材受注は前回の2%と市場予想の0.7%に対して0%に低下していた。ただし、米中古住宅販売制約指数は前回のマイナス8.6%と市場予想のマイナス2.6%に対してマイナス1.0%に改善されており、前回にマイナス705.6万バレルに大幅減少していた米週間石油在庫統計もマイナス328.2万バレルに減少幅を縮めていたことでは、米景気懸念がやや減退し、米国市場ではドルが買われていた。

米景気懸念の減退では、前日までは株安時のベア・マーケットだった米国ニューヨーク株式市場でも米株価三指数とも反発上昇し、強気のブル・マーケットに転じたことで、以前の株安時のリスク回避で買われていた安全資産の米国債が売られて米長期金利が上昇し、また低リスク通貨の円も売られた。

加えて、昨日の8月24日はウクライナが1991年に旧ソ連から独立を宣言した記念日で、またロシアによるウクライナ侵攻が始待ってから半年目にもあたり、ロシアからの攻撃激化に備えた緊張が高まっていたことで、ロシアから欧州への天然ガス供給停止などの欧州エネルギー問題に起因する天然ガス価格が高騰するなど、エネルギー・インフレが米国市場でも注視された。

ロシアからのエネルギー供給懸念で、欧州だけでなく米国でも天然ガスなどのエネルギー価格が高騰し、米国の高インフレが長期化するとの観測から、インフレ抑制のために米連邦準備理事会(FRB)が積極的な利上げ継続をするという予想が優勢になり、米長期金利が一時3.12%のおよそ2カ月ぶりの高水準に上昇したことでは、米国市場では日米金利差拡大のまとまったドル買い円売りが起き、137円台前半の円安ドル高になっていた。

しかし、今夜25日には米国GDPなどの発表が予定されており、また明日26日には米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が米カンザスシティー連銀主催の経済シンポジウムのジャクソンホール会議で講演発言を控えており、イベント前リスクのドルの買い控えや、持ち高調整でのドル売りと安値の円買いの抵抗も入り始めていた。

そのため、今朝までの米国ニューヨーク市場の円の安値は137円23銭前後から高値は136円56銭前後で、今朝6時のドル円相場は137円5~15銭で、前日同時刻比で約35銭の円安ドル高であった。

その後に始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、今朝の市場は米国市場のトレンドを引き継いだ日米金利差拡大による円安ドル高から始まった。

ただし、今朝9時前に日本の最新経済指標の7月企業向けサービス価格指数の前年同月比が発表され、前回の2.0%(修正2.1%)と市場予想の2.2%に対して今回が2.1%で、日本のインフレ悪化は市場予想よりも良かったことでは、持ち高調整で円が買われ始めた。

今朝10時前の仲値決済に向けては、本日25日は5と10のつく日本企業の決済日が集中しやすい五十日にあたるため、輸入実需のドル買いと輸出企業のドル売りが交差したが、今朝の137円台のドルの高値圏では投資系の持ち高調整やドルの利益確定売りも加わり、高値でのドル売りと円買いの方が優勢で、10時過ぎには136円台に対ドルの円相場が上昇した。

日本時間の債権市場では米金利上昇が一段落してきたところで、等価割れを起こしていた安値のユーロが持ち高調整やリスクオンで買われて対ドルで上昇した影響で、円相場でもドルが相場を下げてきた。

今朝までにブル(強気)マーケットに転じた米国株式市場の影響もあり、今日は日経平均株価が上昇してきていたことで、日本市場でもリスクオンで安値のユーロが買われた。

また、日本時間の今夜から数日間、米国ワイオミング州で開催される経済シンポジウムのジャクソンホール会議には米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が出席し、26日に講演発言が予定されていることで、持ち高調整が進んでおり、イベントに向けての様子見でドルの買い控えも始まったことから、日本市場の午後にはドルが下げる形になった。

午後には時差で朝の欧州英国市場の参入もあり、イベント前のドルの持ち高調整やリスクオンの対ドルの安値でのユーロの買い戻しなどが加わり、朝には今日のドルの高値で始まった市場は、夕方には今日のドルの安値で円の高値を記録し、17時に今日の東京外国為替市場の終値を136円48〜50銭前後の前日同時刻比で約6銭の円高ドル安でつけた。しかし、その後の欧州英国市場では、ドル再上昇で19時台には前日比でレンジにもなっており、円安ドル高に戻る可能性も出てきている。

今夜この後には、毎回ドル円相場に影響を与えている米国の最新の重要経済指標発表のイベントを控えており、21時半からの4〜6月期四半期実質国内総生産(GDP)、GDP個人消費、コアPCE、前週分新規失業保険申請件数、前週分失業保険継続受給者などの数値データは、世界のFX投資家達のみならず、米連邦準備理事会(FRB)も注目している。

一方、ユーロは、今日は欧州ユーロ圏の最新経済指標の発表があり、午後15時台に発表されたドイツの4〜6月期国内総生産(GDP)は、前年同期比で前回の1.4%と市場予想の1.4%に対し1.7%で、前期比でも前回と市場予想の0.0%に対して0.1%に改善していたことでユーロ買いに繋がった。続いて発表されたフランスの8月企業景況感指数も、前回103と市場予想の101に対して103で、欧州景気懸念の市場予想を上回っていた。

そのため、前述のリスクオンの安値でのユーロ買いの影響もあり、17時の今日の東京外国為替市場のユーロの円相場の終値は136円50~55銭付近で、前日同時刻の前東京終値比では約60銭の円安ユーロ高だった。

ユーロドルも、今夜17時の東京外国為替の終値が1.0002~1.0003ドルで、前日にパリティ(等価)割れをしていた同時刻と比較すると、約0.49セントのドル安ユーロ高だった。

今日はイベント前のドルの持ち高調整売りや買い控えなどで、円だけではなくリスクオンで安値のユーロも買われたことで、今日ようやく1ユーロ=1ドルのパリティ(等価)水準を超えて回復した。

17時の東京終値とほぼ同時に発表されたドイツの8月IFO企業景況感指数も、前回88.6と市場予想の86.8に対して88.5で、欧州景気懸念の市場予想ほどは悪化していなかった。

ユーロも、今夜この後の20時半には、欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨が公表されるため、欧州エネルギー・インフレでの日欧金利差拡大予想などに影響を与える可能性があり、投資家たちが注目している。

英国ポンドは、市場予想以上にインフレが悪化している英国景気減退懸念で安全資産のドルや円に対して大幅に下げていた時の昨夜の英国ロンドン市場と比べると、今日はイベント前の安全資産のドルに対する持ち高調整やリスクオンの安値でのポンド買いの抵抗も入っていたが、それまでの下げ幅の大きさや、高値圏になると利益確定売りも入ったために、今夜17時の東京外国為替市場の円相場での終値は161円58〜64銭で、前日同時刻比では約18銭の円高ポンド安であった。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年8月25日の日本時間(JST)19時21分(英国夏時間(GMT+1)11時21分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:21の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 136.54 〜 136.56 ±0.00(レンジ)
ユーロ/円 136.27 〜 136.29 +0.37(円安)
ユーロ/ドル 0.9979 〜 0.9981 +0.0026(ドル安)
英ポンド/円 161.45 〜 161.51 -0.31(円高)
スイスフラン/円 141.70 〜 141.76 -0.13(円高)
豪ドル/円 95.25 〜 95.29 +0.51(円安)


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