FXニュース:米連邦準備理事会(FRB)パウエル議長発言に世界が注目

2022年8月26日
米長期金利一時下落と上昇時の日米金利差のドル円相場への影響、米連銀ブラード総裁達の利上げ継続発言で日米金利差拡大予想が優勢に、欧州ECB理事会議事要旨の小幅利上げ意見でユーロの一時再等価割れも

 

東西FXニュース – 2022年8月26日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米長期金利一時下落と上昇時の日米金利差のドル円相場への影響
  • 米連銀ブラード総裁達の利上げ継続発言で日米金利差拡大予想が優勢に
  • 欧州ECB理事会議事要旨の小幅利上げ意見でユーロの一時再等価割れも

今日2022年8月26日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時の外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値が137円11銭前後から高値136円51銭前後の値動き幅約60銭で、今夜17時の東京外国為替市場の終値は137円1〜2銭前後で、昨夜17時の前東京終値の136円48〜50銭前後と比較すると、約54銭の円安ドル高であった。

昨夜から今朝までの米国ニューヨーク市場で発表された米国の最新重要経済指標の4~6月の第2四半期実質国内総生産(GDP)の前期比の季調済改定値は、前回のマイナス0.9%と市場予想のマイナス0.7%に対してマイナス0.6%で、前回と市場予想ほどは悪化していなかった。米景気減速懸念がやや緩和されたことでは、発表後にドルが買われて上昇した。

GDP個人消費は前回1.0%と市場予想の1.5%に対して市場予想通りの1.5%であったが、GDPデフレーターは前回と市場予想の8.7%に対し8.9%でややインフレ継続を示したものの、PCEコアデフレーターは前回と市場予想通りの4.4%であった。

同日発表の米国新規失業保険申請件数は、前回の25万件(修正24.5万件)と市場予想の25.2万人に対して、24.3万人に改善されており、米景気懸念の市場予想に反して2週連続で改善していたことでは、米利上げによる米景気後退懸念が減退した。

しかし、米国経済指標発表を受けてドルが137円台手前の136円台後半のニューヨーク市場の高値圏に上昇すると、今夜予定されている米国カンザスシティー連銀主催の経済シンポジウムのジャクソンホール会議での米連邦準備理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長の講演発言のイベント前であるために、持ち高調整で高値のドルの利益確定売りと安値での円買いが優勢でドルは上昇幅を下げ、また結果が分かるまでのドルの買い控えも起きた。

一方で、米債権市場では安全資産の米国債の入札が好調で、米債権価格が上昇するとともに利回りが下がり始め、米長期金利の指標となる米10年債の利回りが一時の3.12%の高水準から3.02%へと急落したことでは、日米金利差縮小時のドル売り円買いが起きた。

そのため、今朝6時の米国ニューヨーク外国為替市場のドルの円相場は朝の136円38銭から136円95銭の値動きで、米経済指標でのドルの一時上昇高値の円安ドル高の後に、持ち高調整の高値からのドルの利益確定売りとイベント前のドルの買い控えと米長期金利下落時のドル売りで、136円45~55銭の終値をつけ、前日同時刻の前ニューヨーク終値比では約60銭の円高ドル安にドルは一時反落していた。

しかし、その後に始まった今日の日本の東京外国為替市場では、最新米国重要経済指標などを受けて、米景気後退懸念の緩和などから、米連邦準備理事会(FRB)が積極的な利上げ継続をしやすくなるという予想が優勢で、円売りドル買いが優勢になり、ドルが再上昇した。

加えて、米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの米フィラデルフィア連銀のハーカー総裁のテレビ・インタビューや、米セントルイス連銀のブラード総裁や米カンザスシティー連銀のジョージ総裁の発言などが話題入りし、日本市場で米利上げ継続予想が強まっており、金利抑制方向の日本銀行(日銀)との日米の金融政策の方向性の違いによる日米金利差拡大予想での円売りドル買いが起きた。

日本の今朝のニュースでは、日本の最新経済指標の8月東京都区部消費者物価指数(CPI)が発表され、前回の2.3%と市場予想の2.4〜2.5%に対し、今回は2.6%のインフレに悪化していたことも、日本市場ではインフレによる景気懸念の円売りドル買いに繋がった。

今朝10時前の仲値決済に向けては、日本企業の輸入実需による円売りドル買い注文も入り、10時頃には136円台後半の円安ドル高へと市場反転していた。

今日は堅調な米経済指標を受けて、日経平均株価も上昇しており、28,641円38銭の前日比162.37高で15時台に大引けしたことから、以前の株安時にリスク回避で買われていた低リスク通貨の円が売られる機会もあった。

また、日本市場の取引で米長期金利が再び上昇回復してきたことで、日米金利差拡大での円売りドル買いも強まった。

日本市場の午後には時差で朝の欧州英国市場の参入もあり、昨夜の欧州英国市場で発表された最新の7月の欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨には複数の0.25%の小幅利上げ意見があったことに対し、今日も米連邦準備理事会(FRB)関係者のタカ派発言のニュースが相次いでいたことから、欧州英国市場でも米利上げ継続予想が優勢で、また欧州エネルギー問題での欧州ユーロ圏のインフレ悪化の景気懸念で、安全資産のドルが買われて上昇していた影響もあり、16時台に137円11銭付近の今日の日本市場のドルの高値で円の安値を記録した。

今夜の米国イベント前の調整で抵抗も入ったものの、17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は137円1〜2銭前後で、前日同時刻比で約54銭の円安ドル高であった。

今夜この後には、日本時間21時半に最新の米国経済指標の7月の卸売在庫や個人消費支出(PCE)やPCEコア・デフレーター、23時に8月のミシガン大学消費者態度指数の発表が予定されていることに加えて、23時から世界中のFX投資家達が注目している米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の講演発言が予定されており、為替相場の値動きへの影響が予想されている。

一方、今日のユーロは、今日の午後15時に発表された最新欧州経済指標のドイツの9月GFK消費者信頼感調査は、前回マイナス30.6(修正−30.9)と市場予想のマイナス31.8に対し、マイナス36.5に悪化していた。ただし、15時45分に発表されたフランスの8月消費者信頼感指数は、前回の80と市場予想の79に対し82にやや改善されていた。

昨日はドイツのGDPなどの欧州経済指標改善を受けて、ドルに対してのパリティ(等価)割れを一時脱していたものの、今日は再び欧州エネルギー問題での景気懸念や米欧金利差拡大予想もあり、ユーロドルが再度等価割れをしており、17時の今日の東京外国為替市場でのユーロドルの終値は0.9969~0.9970ドルで、前日同時刻比で約0.30セントドル高ユーロ安であった。

ただし、その後の欧州市場では、今夜の米ドルのイベント前の持ち高調整や現地実需もあり、18時台にユーロドルは等価付近に一時回復もしており、19時台にはユーロドルがドルのイベント前の調整で、前日比で横ばいレンジにも入っている。

17時の今日の東京外国為替市場でのユーロの円相場の終値は136円57~59銭付近で、前日同時刻の前東京終値比では約10銭の円安ユーロ高だった。欧州エネルギー問題の欧州景気懸念のユーロ売りで今朝は円高ユーロ安であったが、日欧金利差拡大予想などで安全資産のドルの方が好んで買われたことから、主要通貨のドルに対して円が下げた円安が外貨にも波及した。また、欧州中央銀行(ECB)で0.25%の小幅利上げ支持派が数名いたものの、金利抑制の日銀と比較すると利上げ方向でもあることから、日経株価上昇時のリスクオンの低リスク通貨の円売りでは、ドルがイベント前のために日欧金利差拡大予想などで安値のユーロも持ち高調整などで買われていたことなども為替相場に影響していた。

英ポンドは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は161円45〜51銭付近で、前日同時刻比では約6銭の円高ポンド安であった。既に10%を超えている西欧の主要通貨で最悪のインフレ率の英国では、今日の東京の2%台のインフレ率は英国中央銀行のイングランド銀行の(BoE)2%目標に最も近く、英国景気懸念でのポンド売りで、安全資産のドルがイベント前リスク時には、低リスク通貨の円買いの一因にもなっていた。

しかし、その後の英国ロンドン市場では、英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)も利上げ方向で、金利抑制の日銀との日英金利差拡大予想の円売りや現地実需もあり、19時頃までには円安ポンド高に市場転換もしていた。

また、投資系の多い英国ロンドン市場でも、今夜予定されている米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長発言のイベント前の、持ち高調整後の様子見の値動きも出始めていた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年8月26日の日本時間(JST)19時13分(英国夏時間(GMT+1)11時13分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:13の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 136.91 〜 136.93 +0.44(円安)
ユーロ/円 136.92 〜 136.94 +0.45(円安)
ユーロ/ドル 0.9999 〜 1.0003 ±0.00(レンジ)
英ポンド/円 161.96 〜 162.02 +0.45(円安)
スイスフラン/円 142.01 〜 142.07 +0.36(円安)
豪ドル/円 95.52 〜 95.56 +0.29(円安)


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