FXニュース:急速な円安の後の利益確定と持ち高調整が今日の抵抗要因に
2022年8月30日東西FXニュース – 2022年8月30日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米長期金利が一時3.13%と2カ月ぶりの高水準に達した後の低下時の影響
- インフレ抑制最優勢の米FRBと金利抑制の日銀の日米の金融政策の違い
- 欧州中央銀行(ECB)大幅利上げ予想のユーロ買いでドル等価回復
今日2022年8月30日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時の外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値が138円67銭前後から高値138円33銭前後の値動き幅約34銭で、今夜17時の東京外国為替市場の終値は138円43〜45銭前後で、前日同時刻の前東京終値の138円71〜72銭前後と比較すると、約26銭の円高ドル安であった。
昨日の日本市場では米連邦準備理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長のジャクソンホール会議での米インフレ抑制最優先の物価安定化宣言の講演発言の影響で、米利上げ継続予想が強まり、日米金利差拡大予想による大幅な円安ドル高が進行したが、今日の日本市場では昨日に一時139円付近の高値を記録した後のドルの利益確定売りや安値の円の持ち高調整買いなどの抵抗が影響した。
ただし、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク市場では、米連邦準備理事会(FRB)議長やメンバー達のタカ派発言を受けて米利上げ継続予想が強まり、米長期金利が上昇し、一時3.13%の約2ヶ月ぶりの高利回りを記録したことから、金利抑制方向の日本銀行(日銀)との日米の金融政策の方向性の違いとの日米金利差拡大予想によるドル買いの円売りで、一時138円88銭の対ドルの円の市場安値を記録した後、138円72〜73銭前後の前ニューヨーク終値比で円安ドル高のニューヨーク終値を今朝6時にはつけていた。
その後に始まった今日の日本の東京外国為替市場では、昨日に一時139円の急速な円安ドル高が進んだ後の高値でのドルの利益確定売りの円買いと、今朝8時半に日本の最新の重要経済指標の7月雇用統計の発表があり、完全失業率は前回と市場予想通りの2.6%の横ばいであったが、有効求人率は前回と市場予想の1.27倍に対して1.29倍に増加していたことで、日本景気好感材料から安値圏での持ち高調整の円買いが起き、対ドルの円相場が上昇した。
今朝10時頃の仲値決済では、今日は30日で日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10のつく五十日の月末締めで、輸出企業のドル売り円買いも交錯したが、輸入実需の円売りドル買いがやや優勢で、ドルは今朝の下げ幅を縮めた。
しかし、11時過ぎに再びドル円が138円台後半に達すると、今日の新聞などで昨日の一時139円の急速な円安ドル高がニュースで話題入りしていたために、今日の市場高値圏での利益確定のドル売りと、安値圏での持ち高調整の円買いが再び優勢になった。
また、昼頃になると、昨日下げた日経平均株価が今日は上昇回復傾向で、リスクオン市場では高値圏のドルが売られる一方で、欧州中央銀行(ECB)の大幅利上げ予想のある安値での等価割れのユーロが買われた影響で、他の主要通貨の円に対してもドルがやや下落した。
午後になると、時差で朝の欧州英国市場が参入し、連休明けの英国ロンドン市場などで今夜発表予定の欧州ユーロ圏の最新重要経済指標のドイツの消費者物価指数(CPI)の速報値などの発表を前にした持ち高調整などが起き始め、ユーロ売りのドル買いでドルが再び138円台後半に達すると、今度は高値のドルの利益確定売りでドルが再び138円台前半に下げ始めた。また、高止まり後の米長期金利が日本時間に下げてきたこともドル売りに影響した。
月末前の持ち高調整も相まって、17時の今日の東京外国為替市場の終値の138円43〜45銭付近の前日比約26銭の円高ドル安をつけていた。
ただし、今夜この後には米国の最新経済指標の6月住宅価格指数、4〜6月期四半期住宅価格指数、6月ケース・シラー住宅価格指数、8月消費者信頼感指数などの発表も予定されており、世界のFX投資家達が今後の値動き予想のために注目している。
今日のユーロの円相場は、今夜17時の東京外国為替市場の終値は138円83~85銭付近で、前日同時刻比で約94銭の円安ユーロ高であった。
ユーロドルは3営業日ぶりに反発し、17時の今日の東京終値は12時頃の等価割れから回復した1.0027~1.0028ドルで、前日同時刻比で約0.85セントのドル安ユーロ高となった。
昨夜から今朝までの米国ニューヨーク市場では、先日の米ジャクソンホール会議に出席した欧州中央銀行(ECB)のシュナーベル専務理事やフランス中央銀行のビルロワドガロー総裁が、欧州の高インフレ抑制でも積極的な利上げ継続の必要性についての発言をしたことで、ECBでも来月9月の理事会でユーロの通常の3倍の0.75%の大幅利上げについて論ずるという予測から、欧州利上げ予想によるユーロ買いのドル売りと円売りによるユーロ上昇が起きた。
金利抑制の日銀との日欧金利差拡大予想のユーロ売り円買いでは、今日の日本市場の開場以前の早朝から円安ユーロ高が進んでいた。
また、ユーロ安要因である欧州エネルギー問題に関し、ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員長がエネルギー市場への緊急介入を準備するというニュースがあり、天然ガス先物取引価格の一時下落時にユーロ買いが強まった。
そのため、ユーロドルも今朝は等価割れから回復していたが、昼頃には再び一時等価割れしながらも、記録的なユーロ安だった昨日までの対ドルでの下げ幅は縮めており、日本時間の午後に米長期金利が高止まりして下げてくると、高値圏の利益確定のドル売りと持ち高調整の安値のユーロ買いの影響で再び等価割れから回復し、今夜17時の東京終値をつけた。
今夜18時の欧州英国市場で速報発表された欧州ユーロ圏の最新経済指標の8月消費者信頼感(確定値)は、前回と市場予想と同じマイナス24.9の横ばいで、8月経済信頼感は前回の99.0(改定98.9)と市場予想の98.0に対し97.6であったが、その後にも21時にドイツの8月消費者物価指数(CPI)を控えており、ユーロの持ち高調整が優勢だった。
英ポンドは、17時の今日の東京外国為替市場の円相場の終値は162円39〜45銭付近で、前日同時刻比で約4銭の円安ポンド高であった。
英国の夏の祝日連休明けの今日の英国ロンドン市場の朝までに、今年の秋の電気代大幅値上げの第二次英国エナジー・ショックのインフレ景気懸念などで、英ポンドは低リスク通貨の円や安全資産の対ドルに対して今日は下落していた。ただし、17時半に英国ロンドン市場で発表された最新の英国経済指標の7月の消費者信用残高は、前回の18億ポンドと市場予想の15億ポンドに対し14億ポンドであったが、同時発表の7月マネーサプライM4の前月比は前回のマイナス0.3%からプラス0.5%に転じており、前年同月比でも前回の4.1〜4.0%に対し4.4%に増加していたことでは、英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)の利上げ予想も優勢で、ポンド買いの抵抗も入った。
今日のオーストラリアの豪ドルの円相場は、17時の今日の東京外国為替市場の円相場の終値は95円84〜88銭付近で、前日同時刻比では約12銭の円安豪ドル高であった。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年8月30日の日本時間(JST)19時17分(英国夏時間(GMT+1)11時17分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:17の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 138.33 〜 138.34 | -0.36(円高) |
ユーロ/円 | 138.88 〜 138.89 | +0.99(円安) |
ユーロ/ドル | 1.0038 〜 1.0040 | +0.0096(ドル安) |
英ポンド/円 | 162.23 〜 162.29 | -0.12(円高) |
スイスフラン/円 | 142.54 〜 142.60 | -0.71(円高) |
豪ドル/円 | 96.07〜96.11 | +0.35(円安) |
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