FXニュース:日米金利差拡大予想で140円台の円安ドル高記録を更新

2022年9月02日
FXニュース:日米金利差拡大予想で140円台の円安ドル高記録を更新

 

東西FXニュース – 2022年9月2日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米長期金利が3.29%を超えて上昇し約2カ月ぶりの高水準を記録
  • 最新米国経済指標が好調でFRBの大幅利上げ継続と長期化予想が
  • 米景気に対し欧景気懸念のユーロ売りドル買いで再び等価割れ

今日2022年9月2日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時の外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値が140円43銭前後から高値139円88銭前後の値動き幅約55銭で、今夜17時の東京外国為替市場の終値は140円27〜28銭前後で、前日同時刻の前東京終値の139円29〜31銭前後と比較すると、約99銭の円安ドル高であった。

今日の日本市場では一時140円43銭付近の、1998年8月以来のおよそ24年ぶりの円安ドル高の記録を更新した。

原因はまず、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、先週のパウエル議長のインフレ対策最優先宣言と米連邦準備理事会(FRB)高官達の相次ぐタカ派発言の継続で米大幅利上げ継続と長期化予想が強まり、米長期金利が一時3.29%台に上昇し、前日終値の3.19%から0.10%以上も上昇し約2カ月ぶりの高水準を記録したことから、金利抑制の日銀との日米の金融政策の違いが意識され、かねてからの円安要因の日米金利差拡大予想によるドル買い円売りの円安ドル高が更に進行した。

加えての要因は、日本時間で昨夜21時半の米ニューヨーク市場で発表された最新米国経済指標の米労働省の季調済の週間新規失業保険申請件数が前週比5000件減の23万2000件で、市場予想の24万8000件よりも改善されており、3週連続の好結果であったことが挙げられる。米国現地同日発表の8月の米供給管理協会(ISM)製造業景況感指数の前月比も、市場予想よりも良好な52.8で、7月から横ばいに堅調に推移しており、米雇用市場の強さと米景気懸念緩和で、米連邦準備理事会(FRB)が今後も大幅な利上げを継続しやすくなることから、主要通貨に対してドルが買われて上昇し、円安ドル高トレンドが顕著になった。

一方で、最近の米国ニューヨーク株式市場では、利上げ継続と長期化予想などにより企業などへの貸付ローン金利上昇予測などから米株価三指数が低下傾向で、米株安時のリスク回避では上昇トレンドを形成しており短期でも利益が出しやすい現在のFX市場が注目されており、株の投資家に外国為替取引(FX)でドルクロスが買われたこともドル円の値動きを増幅した。

ロシアのウクライナ侵攻やコロナ景気以降の世界的なインフレが進み、世界経済懸念時の安全資産として世界的に流動性が高く運用しやすいドルが買われていた動きも、米景気の堅調さで米連邦準備理事会(FRB)による積極的な利上げ継続と高金利維持の予想が強まり、金利の高いドルへの投資運用が有利になることでもドルの価値が高まっており、ドルインデックス(ドル指数)も一時109.99に上昇し、2002年6月以来の高値を記録しており、ドル円は一時140円台前半の1998年8月以来の円安ドル高を記録した。

そのため、今朝6時の米国ニューヨーク外国為替市場でドル円相場の終値は140円15~25銭付近で、前日同時刻比で約1円25銭の大幅の円安ドル高で、同市場では今週5営業日連続での円安となった。

そのトレンドを受けて始まった今日の日本の東京外国為替市場では早朝の140円台の記録的なドルの高値で利益確定売りなどの抵抗と、今夜は最新米国経済指標の8月の米雇用統計の発表も控えており、来週月曜が米国は祝日連休で休場予定でもあるために、持ち高調整の動きが出ており、また今朝9時前に発表された日本の最新経済指標の8月の日銀資金供給量のマネタリーベースの前年同月比が前回の2.8%に対して0.4%に減少傾向で、一時139円88銭付近になる抵抗も入ったものの、その後は世界トレンドを受けて米国市場と同様の米景気懸念の後退と日米金利差拡大予想などの理由でドルが買われて円相場が続落した。

今朝10時頃の仲値決済では日本企業の輸入実需のドル買いなどからはドルが再び上昇を始めて再び140円台の円安ドル高になり、輸出企業によるドル売り円買いの一時抵抗は入ったものの、日米金利差拡大予想によるドル上昇と円の下落が続き、午後には今朝のニューヨーク市場の高値記録を更新し、欧州市場も参入した15時台には、一時140円43銭付近の今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録し、1998年8月以来の円安ドル高の記録を更新した。

昨夜発表の最新の米経済指標が好調であった世界ニュースも日本市場で話題入りしており、日本の債権市場時間にも時間外の米10年債の利回りが指標となる米長期金利が上昇傾向で、日米金利差拡大と拡大予想による円売りドル買いが優勢であった。

今日の日本のニュースでは、日本政府の鈴木俊一財務相が今日の閣議後の記者会見でも急速な円安に関して再び、「急速な変動は望ましくない。最近の為替相場の変動は、やや大きくなっている」と口先介入をしたが、口先介入だけで為替介入など行動を伴っていないことから、市場での反応や値動きへの影響は少なかった。

しかし、夕方になり、今朝のニューヨーク市場での円の安値を超えた後には、記録的な高値のドルの利益確定売りや、安値で持ち高調整買いをした円が上がらずにストップロスに引っかかって損切りの自動売りがされた様な抵抗も加わり、また先述の様に今夜この後にも米経済指標の発表が予定されており、持ち高調整の動きもあったことなどから、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は140円27〜28銭付近で、前日同時刻の前東京終値比較では約99銭の円安ドル高となった。

今夜この後には、月間の米雇用統計を含む最新の米国経済指標の発表予定があり、週間に続き月間統計でも堅調であれば世界的な安全資産のドルの需要が高まる可能性もあることなどから、世界のFX投資家達が今後の値動き予想や分析をするために、最新のFXニュースや速報に注目している。

本日の米経済指標の発表スケジュールは、日本時間で今夜21時半から8月の米国雇用統計の米非農業部門雇用者数変化と米失業率と米平均時給、そして23時に7月の製造業新規受注などが予定されており、連休前の持ち高調整もあり、米国市場で価格変動に影響を与える可能性があるために、指し値注文やストップロスの自動売り設定等には注意が必要である。

今日のユーロは、17時の東京外国為替市場の円相場の終値は140円09~11銭付近で、前日同時刻比で約40銭の円安ユーロ高であった。一時140円16銭付近の円安ユーロ高も記録した。

主な原因は、今日は欧州ユーロ圏の最新経済指標の発表もあり、午後15時に発表されたドイツの7月の貿易収支が前回の64億ユーロ(改定62億ユーロ)と市場予想の45億ユーロに対し54億ユーロで市場予想以上に改善されており、円売りのユーロ買いが影響した。また、欧州中央銀行(ECB)の利上げ予想の日欧金利差拡大予想も影響していた。

ただし、ユーロドルは、世界的な安全資産のドル高の影響が強く、今夜17時の東京外国為替市場の終値でも0.9987~0.9988ドルの等価割れで、前日比で0.42セントのドル高ユーロ安であった。

また、今夜その後の18時の欧州英国市場では、最新の欧州経済指標のユーロ圏の7月卸売物価指数の発表が先ほど速報であり、前月比は前回の1.1%(改定1.3%)と市場予想の2.5%に対し4.0%で、欧州エネルギー問題もあり、市場予想以上に欧州インフレが進んでいることでは、欧州景気懸念のユーロ売りで、午後のドイツの経済指標からの上昇幅が利益確定売りなどもあり安全資産のドルに対して下落した。

今日の英ポンドは17時の今日の東京外国為替市場の円相場の終値は162円7〜13銭付近で、前日同時刻比で約27銭の円安ポンド高であった。既に10%を超える記録的な英国インフレで、英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)も利上げ継続予想が優勢で、日英金利差拡大予想などが影響した。また今日のドルやユーロなどの主要通貨に対する円安も波及し、対ポンドの円相場にも影響を及ぼしていた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年9月2日の日本時間(JST)19時18分(英国夏時間(GMT+1)11時18分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:18の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 140.31 〜 140.32 +1.03(円安)
ユーロ/円 140.42 〜 140.44 +0.73(円安)
ユーロ/ドル 1.0007 〜 1.0009 -0.0022(ドル高)
英ポンド/円 162.39 〜 162.45 +0.59(円安)
スイスフラン/円 142.93 〜 142.99 +0.15(円安)
豪ドル/円 95.53 〜 95.57 +0.38(円安)


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