FXニュース:ドル円が一時140円80銭付近の1998年8月以来の円安を更新

2022年9月05日
FXニュース:ドル円が一時140円80銭付近の1998年8月以来の円安を更新

 

東西FXニュース – 2022年9月5日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 最新の米国経済指標はほぼ市場予想通りで日米金利差拡大予想が継続
  • 欧州エネルギー問題でユーロドルが2002年12月以来のユーロ安を更新
  • 欧州景気懸念と高インフレ対策でECB大幅利上げ予想買いの抵抗も

今日2022年9月5日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時の外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値が140円59銭前後から高値140円12銭前後の値動き幅約47銭で、今夜17時の東京外国為替市場の終値は140円56〜58銭前後で、前営業日同時刻の前東京終値の140円27〜28銭前後と比較すると、約31銭の円安ドル高であった。

先週末の米国ニューヨーク外国為替市場では、一時140円80銭付近の1998年8月以来のおよそ24年ぶりの円安ドル高の記録をさらに更新していた。

原因はまず、先週末金曜の米国ニューヨーク外国為替市場で日本時間21時半に発表された最新の米国重要経済指標の米雇用統計は、失業率は前回と市場予想の3.5%に対して3.7%と市場予想よりもやや増えたものの、非農業部門雇用者数変化は前月の52.8〜52.6万人と市場予想の30万人に対して31.5万人に増加しており、平均時給なども前年同月比が前回と同じ5.2%で、前月比では市場予想0.4%に対して0.3%と、全般的にはほぼ市場予想の範囲内であったことから、米雇用市場は全般的には堅調を維持しており、米連邦準備制度理事会(FRB)の大幅利上げ継続による日米金利差拡大予想に変化をもたらすレベルではないことから、ドル買い円売りが続き、円は一時140円80銭の1998年8月以来の約24年ぶりの円安ドル高の記録を更新し、同市場中の円の安値でドルの高値を記録した。

ただし、その後の23時に発表された最新米国経済指標の7月の米製造業新規受注の前月比は前回の2.0%と市場予想の0.2%に対してマイナス1.0%に転じていた。

それまでに急速な円安が進んでいたことに対する反発で、9月5日の月曜日は米国の祝日の労働者の日(Labor Day)で連休前の持ち高調整も入り、高値を記録した後のドルには利益確定売りが起き、また記録的な安値での円買いの持ち高調整が強まった。

また、米国市場時間と後半が重複進行の欧州英国市場では、ロシアの国営ガス会社のガスプロムが、欧州向けのロシア産天然ガス供給主要パイプラインのノルドストリームの稼働停止期間を機器故障のために延長すると発表したことで、欧州エネルギー問題による欧州景気懸念が再燃し、リスク回避で低リスク通貨の円が買われたことでは対ドルでも円が上昇し、一時139円90銭付近のニューヨーク市場での円の高値も記録した。

しかし、堅調な米経済指標を受けてユーロに対しても世界的な流動性の高さから安全資産のドルが買われており、また堅調な米雇用市場を背景に米連邦準備制度理事会(FRB)は今月20〜21日に予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)でも大幅利上げを継続可能という予想が優勢で、日米金利差拡大予想によるドル買い円売りも続いており、前述の持ち高調整の円買いと欧州景気懸念の低リスク通貨の円買いの抵抗となり、ドル円は再び140円台になった。

そのため、日本時間で先週末の金曜の夜から土曜の朝6時までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場の終値は140円5~15銭付近で、前日同時刻比では約10銭の円高ドル安で6営業日ぶりに一時小反発したが、週明けの世界市場と今日の日本の東京外国為替市場では今朝から再び円安ドル高に戻していた。

今日の日本市場では、今朝10時頃の仲値決済では、今日は5日で5と10のつく日本企業の決済日の集中しやすい五十日にあたるために、記録的な円安ドル高のニュースを受けて輸出企業の高値でのドル売り円買いや投資系の高値のドルの利益確定売りと安値の円の持ち高調整が先行し、ドルが一時下げたところで輸入実需の円売りドル買いが強まり、ドルが再上昇し始めた。

そのため、10〜11時のドルは今日の日本市場のドルの安値の140円12銭付近のダブルボトムを描いた後に再上昇を始め、17時の今日の日本の東京外国為替市場の終値の直前に今日の日本市場のドル高値の140円59銭付近に達するまで上昇傾向が続き、17時の今日の東京外国為替市場の終値を140円56〜58銭付近の、前営業日同時刻比で約31銭の円安ドル高でつけた。

その要因には、今日の午後の欧州英国市場の参入でも、ドイツなどへのロシア産の天然ガス供給不足に加えて、今年の夏の記録的な熱波の影響でフランスの原発の一部が熱に弱い電子機器などの点検で今でも停止中であることなどもあり、欧州エネルギー問題が欧州エネルギー危機に発展してきており、欧州景気懸念を強まり、リスク回避でユーロが売られて、安全資産では世界的に流動性の高いドルが好んで買われた影響で、ドル指数が110超えの約20年ぶりの高水準を記録し、円相場でも上昇トレンドのドルを買う動きが優勢になったことも影響していた。

また、今夜この後の米国ニューヨーク市場は米国の祝日の労働者の日(Labor Day)で休場予定のため、今日の米ドルには買い控えなどの原因となるイベントリスクも少なかった。

今日のユーロは、前述の欧州エネルギー危機などが原因で、今日の日本市場では対ドルで一時1ユーロが0.9876ドル付近の2002年末以来の約20年ぶりのユーロ安ドル高を更新した。高値のドルの利益確定売りや安値のユーロの持ち高調整買いの抵抗も入ったものの、17時の東京外国為替市場のユーロドルの終値もパリティ(等価)割れは継続し、0.9908~0.9909ドル前後の前営業日同時刻比で約0.80セントのユーロ安ドル高であった。

今日のドルに対する記録的なユーロ安は他の主要外貨である円にも影響を与え、またユーロリスク売りで低リスク通貨の円も買われた影響もあり、今夜17時のユーロの円相場は139円27~30銭付近で、前営業日同時刻比では約81銭の円高ユーロ安で終値をつけ、3営業日ぶりにユーロに対して円相場が反発した。

しかし、一方で、欧州ユーロ圏のエネルギー不足による価格高騰などで欧州インフレ悪化も予想されており、高インフレ対策では欧州中央銀行(ECB)も大幅利上げ継続予想が出ており、日欧金利差拡大予想では円に対してはユーロ安抵抗もあった。

ただし、今日の夕方に発表された最新の欧州経済指標では、8月分のフランスやドイツやユーロ圏のサービス部門購買担当者景気指数(PMI)の改定値はやや高止まりして下げていたことからは、ユーロ安が継続した。

また、日本市場終了後の今夜の欧州市場で18時に発表されたユーロ圏の最新経済指標の7月小売売上高は前回よりは改善されており、前回のマイナス1.2〜1.0%に対して0.3%であったが、市場予想の0.4%には届かなかった。

今日の英ポンドは、17時の今日の日本の外国為替取引市場の終値は161円32〜38銭付近で、前営業日同時刻比で約0銭の横ばいレンジ圏であった。

しかし、その後の今夜の英国ロンドン市場で17時半に発表された最新英国経済指標の8月の英サービス部門購買担当者景気指数は前回と市場予想の52.2に対して50.9に低下していたものの、記録的な英国インフレ対策で英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)も利上げ継続予想が優勢で、日英金利差拡大予想でポンドも買われており、19時台には円安ポンド高にもなった。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年9月5日の日本時間(JST)19時17分(英国夏時間(GMT+1)11時17分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:17の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 140.44 〜 140.46 +0.20(円安)
ユーロ/円 139.53 〜 139.55 -0.55(円高)
ユーロ/ドル 0.9933 〜 0.9935 -0.0055(ドル高)
英ポンド/円 161.64 〜 161.70 +0.32(円安)
スイスフラン/円 143.14 〜 143.20 +0.30(円安)
豪ドル/円 95.48 〜 95.52 +0.04(円安)


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