FXニュース:大幅利上げ予想の欧州中央銀行が今夜新政策金利を発表
2022年9月08日東西FXニュース – 2022年9月8日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- ロンドン外国為替市場でドル円が一時144円99銭の高値を記録
- 大幅利上げ継続予想の米FRBも今夜のパウエル議長の発言に注目
- 豪中銀のロウ総裁のハト派発言と日本の経済指標では円安抵抗が
今日2022年9月8日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時の外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値が144円55銭前後から高値143円46銭前後の値動き幅約1円9銭で、今夜17時の東京外国為替市場の終値は143円82〜83銭前後で、前日同時刻の前東京終値の143円92〜93銭前後と比較すると、約10銭の円高ドル安であった。
原因はまず、昨夜の英国ロンドン外国市場では日米金利差拡大予想のドル買い円売りでドル円が一時144円99銭付近に達し、1998年8月以来の約24年ぶりの円安ドル高の記録を更新し、今日の日本市場では記録的な高値になったドルの利益確定売りや安値の円の持ち高調整買いなどの反発が起きたことなどが影響した。
また、今日の日本の東京外国為替市場では、今日の夕方に日本政府の財務省と金融庁と日本銀行(日銀、BoJ)が国際金融資本市場に関する情報交換会合として三者会合を開くことを午後に発表し、急速な円安ドル高に対しての円安対策の可能性もあることから急速に進んだ円安への警戒感が高まり、持ち高調整で円の買い戻しが起きたことなども影響した。
市場の流れに沿った動きとしては、昨日の東西FXニュースでも為替相場への影響の可能性をお伝えしていた通り、日本時間の昨夜20時(英国時間では市場開場中の昼頃で、米国ニューヨーク時間では早朝7時)に最新の米国経済指標の発表があり、米MBA住宅ローン申請件数が前回の3.7%減から0.7%減に改善されており、米利上げによる景気への影響懸念の緩和から、米連邦準備理事会(FRB)が今月20〜21日に開催予定の9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でも通常の3倍の0.75%の大幅利上げを継続しやすくなるという予測で金利抑制の日銀との日米金利差拡大予想が強まり、20時台後半には米長期金利が3.357%付近に上昇して日米金利差が拡大し、英国ロンドン外国為替市場でドル円が一時144円99銭付近の1998年8月以来の約24年ぶりの円安ドル高の記録をさらに更新した。
しかし、日本時間で昨夜21時に144円95銭前後の市場高値付近から始まった今朝6時まで米国ニューヨーク外国為替市場では、21時半に発表された7月の米貿易収支が前回の-796億ドル(改訂-809億ドル)と市場予想の-701億ドルに対して今回は-707億ドルで、マイナスの下落幅は前回よりは改善したものの、市場予想よりも赤字継続であったことでは、記録的な高値圏に達した後のドルが利益確定や持ち高調整で売られやすくなる円安ドル高の抵抗も入り、ドル円相場は一時143円68銭付近のニューヨーク市場安値も記録した。
ただし、米連邦準備理事会(FRB)などの世界の主要中央銀行は利上げ方向で、カナダ中央銀行も0.75%の大幅利上げを決定したことから、今夜は欧州中央銀行(ECB)も通常の2〜3倍の0.50%から0.75%の利上げの予想が優勢で、主要通貨の中では唯一の金利抑制方向の日銀との金融政策の違いが注目されており、日本と欧米各国との金利差拡大予想での円売りは多通貨において継続していたことから、今朝6時の米国ニューヨーク外国為替市場の終値は143円70~80銭付近で、前日同時刻比では約95銭の円安ドル高であった。
今朝8時50分には日本の最新経済指標が発表され、第2四半期の日本の国内総生産(GDP)二次速報値は、前期比が前回の0.5%と市場予想の0.7%に対し0.9%に改善されており、前期比年率も前回の2.2%と市場予想の2.9%以上の3.5%で、GDPデフレーターは前回と市場予想の-0.4%に対して-0.3%だった。
同時発表の日本の7月の国際収支の経常収支は、前回の-1324億円の赤字に対しては2290億円の黒字に改善されていたが、市場予想の7960億円には届かなかった。また、季節調整済の経常収支は、前回の8383億円と市場予想の199億円に対して-6290億円の赤字で、貿易収支は前回の-11140億円と市場予想の-11374億円に対し-12122億円で赤字幅が拡大していた。
今日の9時からの日本の東京外国為替市場は、日米金利差拡大予想の円安ドル高トレンドで始まり、10時前の仲値決済に向けては、日本の貿易企業の輸入実需の円売りのドル買いが先行し、10時前に今日の日本市場のドルの高値で円の安値の144円55銭付近を一時記録したが、その後には輸出企業や投資系の高値でのドル売り円買いが続き、高値記録後の反発で円相場が下げ幅を縮めた始めた。
今日は今夜に新政策金利発表のイベント前のユーロに対しても、欧州中央銀行(ECB)の大幅利上げ予想が優勢で対ユーロでも7年8ヶ月ぶりと言われる記録的な円安ユーロ高になっていた影響もあり、午前中から昼過ぎには前日終値比での円安ドル高で市場が移行していたが、サポートの145円を超えなかったことや米長期金利が高止まり後に下げてきていたことからも持ち高調整のドル売り円買いの抵抗が入りやすくなってきていた。
そこに、FXニュースで昨日に大幅な利上げをして円安豪ドル高の一因になった豪中央銀行のオーストラリア準備銀行(RBA)のロウ総裁が、今日の講演では「豪政策金利が高水準になるに従って、利上げのペースは緩やかにしていく場合があると思う」と発言したことで、世界市場ではハト派発言と受け止められ、長期債の利回り指標となる豪長期金利が低下した影響で米長期金利も低下し、日米金利差拡大予想による円売りドル買いが弱まり、反動で日米金利差縮小時の円売りドル買いが起きた。
また14時に発表された日本の経済指標の8月の景気ウォッチャー調査は、先行き判断(DI)は前回の42.8と市場予想の44.9に対し49.4に上昇しており、現状判断(DI)も前回の43.8と市場予想44.9に対し45.5で日本の景気先行き感が好感視されたことで、記録的な安値圏でお買い得感のある低リスク通貨の円を買い戻す動きも出た。
そして、より影響を及ぼしたのは、先述の今日の午後に発表された夕方の財務省と金融庁と日本銀行(日銀、BoJ)の三者会合で、日本政府の円安対策の介入などの可能性もあることから、持ち高調整で円の買い戻しが起きたことなどで、対ドルの円は15時台に一時143円46銭付近に買われて、今日の日本市場での円の高値でドルの安値を記録し、前日終値比では円高ドル安にも転じた。
そのため、17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は143円82〜83銭付近で、前日同時刻比較では約10銭の円高ドル安になり、大きな流れの中での日米金利差拡大予想による円安ドル高トレンドの中での円安抵抗となった。
ただし、その後の欧州英国市場では、ドル円は再び、金利抑制の日銀と利上げ方法の米欧英などとの金融政策の方向性の違いが意識された金利差拡大予想で、日米金利差拡大予想でのドル買い円売りの大きな流れでの円安ドル高トレンドが継続し、18時台には再び144円台の円安ドル高の世界トレンドに戻しており、また19時台には僅差でレンジ付近や僅差の市場反転域の前日終値比で円高ドル安に一時転じるなど、今日の東京終値付近は一時的な円安抵抗となった。
今夜この後にも米国の最新経済指標などの発表が予定されており、また22時10分には米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の発言の予定があり、世界の投資家達に今後の為替相場への値動きへの影響と相場予想のデータとして注目されている。
米経済指標の発表スケジュールは、日本時間の」21時半から前週分新規失業保険申請件数と前週分失業保険継続受給者数と、明日未明4時にも7月の米消費者信用残高などが予定されている。
また、今夜21時15分からの欧州中央銀行(ECB)理事会の新政策金利発表とその後のラガルド総裁の発言にも注意したい。
ユーロ円は、今夜この後には21時15分から欧州中央銀行(ECB)理事会が新政策金利を発表予定で、欧州ユーロの大幅な利上げ予想が優勢で、以前の通常の倍の0.5%の利上げ予想から最近では通常の3倍の0.75%の大幅利上げ予想が市場で強まり、日欧金利差拡大予想の円売りのユーロ買いで、今日は一時144円33銭付近の2015年1月以来の約7年8カ月ぶりといわれる円安ユーロ高も一時記録していた。ただし、高値記録後には利益確定や持ち高調整の抵抗で円は下落幅を縮め、17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円の終値は143円60~62銭付近で、前日同時刻比では約81銭の円安ユーロ高であった。
今日のユーロドルも、今夜予定の欧州中央銀行(ECB)新金利の大幅利上げ予想からユーロがドルに反発して上昇し、また先述の豪中銀総裁のハト派発言で米長期金利も下げたことでもユーロが買われて、17時の今日の東京外国為替市場の終値は0.9984~0.9985ドル付近で、前日同時刻比で約0.61セントのユーロ高ドル安になった。
英ポンドの円相場は、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は165円20〜26銭付近で、前日同時刻比で約62銭の円高ポンド安に転じた。
原因はまず、昨夜の英国ロンドン市場で、英国で新就任のトラス首相のキャンペーンにあった大規模減税案の財源の確保に関した不透明感が強まったことから、財政赤字拡大による英国景気懸念のポンド売りで安全資産のドル買いが起き、英ポンドが一時1.14ドル台前半の1985年3月以来の約37年ぶりのポンド安ドル高を記録したことから、対ドルでのポンド安の影響が主要外貨である日本円にも波及した。それに対して、今日は前述のように日本円がドルに対して買われる抵抗が入ったことで、大幅な円安ポンド高であった前日同時刻比では円高ポンド安の東京終値になった。
今日の豪ドルの円相場は、日豪金利差拡大で今朝は一時97円49銭付近の約7年8カ月ぶりといわれる安値を記録したが、その後の利益確定や持ち高調整の反発に加えて、午後に先述の豪中銀(RBA)総裁の利上げ後のハト派発言で豪債利回りの長期金利が低下し、豪ドル売りの円買いが起き、17時の今日の東京外国為替市場の終値は96円81〜85銭付近で、前日同時刻比では約46銭の円高豪ドル安に転じていた。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年9月8日の日本時間(JST)19時17分(英国夏時間(GMT+1)11時17分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:17の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 143.87 〜 143.88 | -0.02(円高) |
ユーロ/円 | 143.91 〜 143.92 | +1.12(円安) |
ユーロ/ドル | 1.0002 〜 1.0003 | +0.0079(ドル安) |
英ポンド/円 | 165.36 〜 165.42 | -0.46(円高) |
スイスフラン/円 | 147.69 〜 147.75 | +0.49(円安) |
豪ドル/円 | 96.76 〜 96.80 | -0.51(円高) |
注意:
本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。
当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。