FXニュース:米長期金利が一時3.51%台と2011年4月以来の高水準を記録

2022年9月20日
FXニュース:米長期金利が一時3.51%台と2011年4月以来の高水準を記録

 

東西FXニュース – 2022年9月20日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ継続の長期化予想が優勢に
  • 米連邦公開市場委員会(FOMC)イベント前の調整と買い控えの抵抗も
  • 日米英瑞の新金融政策決定会合を今週に控えての持ち高調整も進む

今日2022年9月20日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時の外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値が143円55銭前後から高値142円94銭前後の値動き幅約61銭で、今夜17時の東京外国為替市場の終値は143円48〜51銭前後で、前日同時刻の世界FX市場と比較すると横ばい圏に近いが、日本市場の祝日連休前の金曜17時の日銀公式の前東京終値の143円44〜47銭と比較すると、約4銭の円安ドル高であった。今夜その後の欧州英国市場では17時半頃からより顕著な円安ドル高になった。

市場の流れと値動きの原因はまず、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク市場では、今夜からの米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ継続の金融引き締めが長期化する市場予想が優勢で、米債券市場では米10年債の利回りが指標となる米長期金利が一時3.51%に上昇し、2011年4月以来と言われる約11年ぶりの高金利を記録したことから、日米金利差拡大によるドル買いの円売りでドルが上昇し、ドル円相場は一時143円64銭付近の円の市場安値をつけた。

しかし、米国株式市場では金利上昇への警戒から前日までに大幅安になっていた株価が調整などもあって回復上昇したためにリスクオン市場になり、それまでの株安時のリスク回避で買われていた安全通貨のドルが高値圏からの利益確定で売られる抵抗が入った。

また、最新の米国経済指標の9月の米NAHB住宅市場指数が発表され、前回の49と市場予想の47に対し46に下げていたことから、米連邦公開市場委員会(FOMC)のイベント前のリスク分散で持ち高調整のドル売り円買いやイベントリスクのドルの買い控えもあり、対円のドルは143円台前半に上昇幅を縮め、一時143円16銭付近の円の市場高値をつけた。

しかし、かねてからの円安要因の米国の大幅利上げ継続予想と日本銀行(日銀)の金利抑制の大規模緩和金融政策継続予想の日米金利差拡大予想によるドル買いの円売りも継続しており、今週20~21日に開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の後にはパウエル議長の発言や米政策金利見通しも発表される予定で、米金利が市場予想を上回る可能性もあることから日米金利差拡大予想のドル買いの円売りもあったために、持ち高調整のドル売り円買いやイベント前のドルの買い控えなどの抵抗と一時拮抗し、横ばいに近い値動きも混ざった。

また、米連邦公開市場委員会(FOMC)の後の22日には、日銀の金融政策決定委員会と英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)とスイス国立銀行も新たな金融政策を発表する予定で、イベント続きのために持ち高調整と、結果が分かるまでの様子見の買い控えなども見られたためにあまり大幅な動きにはならず、今朝6時の米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場の終値は143円15~25銭付近で、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比では約25銭の円安ドル高だった。

そのトレンドの後に始まった今日の連休明けの日本の東京外国為替市場でも、早朝には日本時間の今夜から始まる米連邦公開市場委員会(FOMC)と、今週の日本銀行(日銀)金融政策決定会合を控えての持ち高調整のドル売り円買いが起き、円相場が一時上昇した。

今朝8時半には日本の最新経済指標の8月の全国消費者物価指数(CPI)が発表され、前年同月比は前回の2.6%と市場予想の2.9%に対して3.0%で、生鮮食料品を除くコア指数も前年同月比で前回の2.4%と市場予想の2.7%に対して2.8%に上昇しており、生鮮食料品とエネルギー除くコアコア指数も前回の1.2%と市場予想の1.5%に対して1.6%に上昇していた。

日本政府の鈴木俊一財務相は、日本銀行(日銀)の金融政策に関して、2013年に政府と日銀が2%のインフレ目標率の早期実現のために明記した共同声明の内容に沿って、「日銀が物価安定目標の実現に向けて、努力することを期待していると」と発言したが、輸入物価安定のための円安牽制や為替介入についての言及などの新規材料は特になく、市場での反応は限られていた。

今日は20日で5と10のつく五十日で日本の貿易企業の決済日が集中しやすい日であったために、10時前の仲値決済では輸入実需での円売りドル買いが入ったが、その直後には輸出企業のまとまったドル売り円買いが入り、10時台に今日の日本市場のドルの安値の一時142円94銭付近を記録した。

しかし、かねてからの円安要因である米大幅利上げ継続予想の日米金利差拡大予想は優勢で、今朝のドルの市場安値圏からは円売りドル買い再び強まっていき、朝に下げたドルが円相場で上昇を続け、午後には時差で朝の欧州英国市場も参入して安全資産のドルが買われたために、17時の今日の東京外国為替市場の終値は、前東京終値比で円安ドル高であった。

今夜この後には世界が注目する米連邦公開市場委員会の初日が始まることに加えて、最新の米国経済指標の発表もあり、日本時間21時半に8月の米住宅着工件数と米建設許可件数などが発表される予定である。

今日のユーロは、前述の米株上昇時や今日は日経平均株価も上昇回復したことからリスクオンでユーロが買われて、日米の新金融政策発表イベント前の調整でドルや円が売られたことから、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円の終値は143円95~98銭付近で、前東京終値比では約1円14銭の大幅な円安ユーロ高になった。

ユーロドルも、イベント前のドルの持ち高調整などで、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0030~1.0031ドル付近で、前東京終値比で約0.75セントのユーロ高ドル安であった。

また、今日の午後15時には欧州ユーロ圏の最新経済指標も発表され、ドイツの8月の生産者物価指数(PPI)の前月比は前回の5.3%と市場予想の1.6%に対して7.9%の市場予想を遥かに超えた高インフレで、欧州中央銀行(ECB)も大幅利上げ継続予想が優勢で、今日のユーロ買いの一因になった。

16時半には、欧州連合(EU)加盟国でユーロが街で使えることも多いが独自通貨のスウェーデン・クローナを持つ北欧のスウェーデンの中央銀行のリクスバンクが新政策金利を発表し、高インフレ対策でこれまでの0.75%から1%の大幅利上げをした1.75%の決定で、2012年以来の約10年ぶりの高金利となった。声明文では、「インフレが高過ぎて家計の購買力を引き下げている」として、今後半年に及ぶ追加の利上げ方針も示していた。

一方で、17時に発表された欧州ユーロ圏の7月の経常収支は、季調済で前回42億ユーロから-199億ユーロの赤字に転じており、ユーロが売られて安全資産のドルなどが買われる抵抗もあった。

今夜この後には、深夜過ぎ2時頃に欧州中央銀行(ECB)ラガルド総裁の発言が予定されており、ユーロにはイベント前の買い控えの必要が特にないために、世界のFX投資家達が注目している。

英ポンドは、昨日の英国女王国葬の連休休場明けでポンドが買われる実需もあり、また今週は英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)も高インフレ対策の利上げ継続予想が優勢で日英金利差拡大予想の円売りポンド買いや調整などもあり、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンドの円相場の終値は164円36〜42銭付近で、前東京終値比で約67銭の円安ポンド高であった。

また、英国の高インフレの一因のエネルギー高騰に対して、新首相が自給自足を目指して、かつての北海油田の産油国で今でも天然ガスと原油が埋蔵されていると言われる英国で採掘の再開発案が挙がっており、今週22日の利上げ予想前にもすでに1.75%の高金利で投資銀行なども集中するロンドン市場では投資目的などでもポンドが買われる動きもあった。

オーストラリアの豪ドルは、今朝は豪準備銀行(RBA)金融政策会合議事要旨が公表され、17時の東京終値の円相場では96円36〜40銭の前終値比で約6銭の円安豪ドル高だった。しかし、その後の欧州市場ではリスクに弱い豪ドルが売られて、市場反転もしていた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年9月20日の日本時間(JST)19時16分(英国夏時間(GMT+1)11時16分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:16の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 143.70 〜 143.71 +0.26(円安)
ユーロ/円 143.75 〜 143.76 +0.94(円安)
ユーロ/ドル 1.0002 〜 1.0004 +0.0047(ドル安)
英ポンド/円 164.08 〜 164.14 +0.39(円安)
スイスフラン/円 148.70 〜 148.76 +0.25(円安)
豪ドル/円 96.22 〜 96.26 -0.08(円高)


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