FXニュース:政府と日銀の24年ぶりのドル売り円買い為替介入後の警戒続く
2022年9月23日東西FXニュース – 2022年9月23日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米利上げ後に英中銀も新政策金利を0.5%利上げの2.25%に
- 米英欧瑞豪の大幅利上げ継続と日本銀行の金利抑制
- ロシアのウクライナ侵攻長期化で景気懸念のユーロ売りも
今日2022年9月23日金曜日の日本の東京外国為替市場は秋分の日の祝日休場ですが、9時から17時の外為取引時間相当の世界FX市場の対ドル円相場の為替レートは、円の安値が142円59銭前後から高値141円77銭前後の値動き幅約82銭で、今夜17時の終値相当時刻には142円29〜30銭前後で、日本政府と日本銀行(日銀)の為替介入直前の昨夜17時の145円78〜80銭前後の前東京終値と比較すると約3円51銭の大幅な円高ドル安であった。また、昨夜17時過ぎの為替介入時には一時5円以上も円が上昇した。
昨夜17時過ぎの欧州英国市場では、米国の大幅利上げと日本銀行(日銀)の金利抑制の大規模緩和金融政策の継続決定が原因で、日米金利差拡大で円安ドル高が145円90銭付近の円安ドル高に達し、日本政府と日銀がドル売り円買いの為替介入を1998年6月以来の24年3カ月ぶりに実施したことで、ドル円相場は一時140円31銭付近に円が急伸した。
その後には日米金利差拡大の安値のドル買いの買いや高値の円の利益確定売りなどで143円台に戻したが、為替介入後の昨夕に日本政府の鈴木俊一財務相と神田真人財務官が記者会見をし、「投機による過度な変動を見過ごすことはできない。引き続き、過度な変動に対しては必要な措置をとる」と発言したことから、今後の為替介入への警戒感が高まった。また、神田財務官が「米国と同盟国として議論もしている」と協調介入の可能性にも言及したことから、為替介入への警戒のドルの買い控えなどで再び140円35銭付近に円が上昇した。
しかし、その後に米国財務省のコメントもあり、「日本当局の為替介入は最近の円の急激なボラティリティー(価格変動)を抑制することが目的と伝えられており、我々は日本当局に理解を示している」と発言し、米国政府は黙認していたが日本の単独介入であり、米国は協調介入には参加してはいないことを明らかにした。単独介入の効果は協調介入よりも一時的かつ限定的であるという予想から、安値でのドルの買い戻しなども入った。
米連邦準備理事会(FRB)の利上げ長期化予想では、米長期金利の指標となる米10年債の利回りが一時3.71%付近に上昇し、大きなトレンドの中でのかねてからの円安要因であった日米金利差拡大でのドル買い円売りもあった。米国の金融政策の影響を受けやすい米2年債の利回りも、一時4.16%付近の2007年10月以来の高水準を記録した。
昨夜から今朝の米国ニューヨーク外国為替市場では、最新の米国経済指標も発表された。第2四半期の米経常収支は前回の-2914億ドル(改定-2825億ドル)と市場予想の-2575億ドルに対して-2511億ドルに赤字額がやや改善され、米新規失業保険申請件数は前回の21.3万件(改定20.8万件)と市場予想の21.5万件に対して横ばいに近い21.3万件であったが、8月の米景気先行指数は前回の-0.4%(改定-0.5%)と市場予想の0.0%に対して-0.3%のマイナス圏に低下していた。そのため、米景気の先行き懸念から安値のドル買い戻しの勢いが一時弱まり、日本の為替介入後の影響を残した為替相場になった。
そのため、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドルの円相場は、昨夕17時頃の日本政府と日銀の為替介入後の一時5円以上のドルの下げ幅は縮めたものの、今朝6時のニューヨーク終値のドル円は142円35~45銭付近で、前日同時刻の前ニューヨーク終値比では約1円70銭の大幅な円高ドル安であった。
その後の世界FX市場と日本と時間帯の近いアジア・オセアニア市場では、今日は日本の東京外国為替市場が「秋分の日」の祝日休場であることと、日本企業に影響が出にくい休日に日本の通貨当局や大手銀行が為替介入に備えて休日出勤しているというソーシャルメディアの情報などから、ドル円への再度の為替介入を警戒した一時的なドル売り円買いと、日米金利差で安値のドルの買い戻しの円売りの後にはやや横ばいに近い動きにもなった。
しかし、米国やアジアなどで株価指数が低下しているリスク回避では、安全資産のドルや低リスク通貨の円が買われる機会も増えた。
また、午後になって時差で朝の欧州英国市場が参入すると、ウクライナ情勢や欧州景気懸念で安全資産のドル買いがユーロ売りから入ったことも、ドル円相場に影響が波及した。
そのため、今夜17時の東京外国為替市場の終値は142円29〜30銭付近で、前日が大幅な円安であった前東京終値の17時比では、約3円51銭の大幅な円高ドル安であった。
今夜この後にも最新の米国経済指標の発表予定があり、22時45分から9月の米製造業購買担当者景気指数(PMI)、サービス部門購買担当者景気指数(PMI)、総合購買担当者景気指数と、明朝未明3時に米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の発言予定があり、世界のFX投資家達に注目されている。
今日のユーロは、午後からの欧州市場で欧州ユーロ圏の最新の経済指標が発表された。フランスの9月のサービス部門購買担当者景気指数(PMI)の速報値は前回の51.2と市場予想の50.5に対し53.0に上昇していたが、製造業購買担当者景気指数(PMI)は前回の50.6と市場予想の49.8に対し47.8に低下していた。ドイツの9月の製造業(PMI)速報値はほぼ予想通りであったが、前月から低下していたことで、欧州主要国の景気懸念で欧州英国通貨に対して安全資産のドルが買われる動きがあった。
17時の今日の東京終値相当時間のユーロ円の終値は139円9〜10銭付近で、前日同時刻の為替介入直前の143円50~53銭付近と比較すると、約4円44銭の円高ユーロ安になり、為替介入後の円相場の影響が残っていた。
今日の17時のユーロドルの為替相場は0.9774〜0.9775ドル付近で、前日17時の0.9845~46ドル付近と比較すると、約0.72セントのユーロ安ドル高だった。
また、17時には欧州ユーロ圏総合の経済指標の9月のサービス部門購買担当者景気指数(PMI)の速報値も発表され、前回の49.8と市場予想の49.0に対して48.9で、製造業購買担当者景気指数(PMI)の速報値も前回の49.6と市場予想の48.7に対して48.5の前回と市場予想以下の結果で、欧州景気懸念のユーロ安が継続した。
英ポンドは、昨夜20時の英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)の英金融政策委員会(MPC)の発表で、英国の新政策金利を従来の1.75%から0.5%利上げした2.25%に決定したことが発表された。また、英国経済はリセッション(景気後退)に入るが、高インフレ抑制をより優先し、力強く行動するという方針が示された。
ただし、市場予想では0.5〜0.75%の大幅利上げ継続が出ていたため、英国が米国と同じ0.75%の利上げ幅には届かなかったことでは、ポンドがドルに対して売られて、ポンドドルが一時1.1170ドル付近の1985年以来の約37年ぶりの安値を記録した。
一方で、英金融政策委員会(MPC)のハスケル委員は、「英政府の財政政策に英中銀のインフレ抑制の利上げの金融政策と相違する部分があるために、独立した中央銀行が選挙で選ばれる政府と対立する状況は望ましくなく、我々は困難な立場に置かれている」と発言していた。ただし、ドルに対して記録的なポンド安になったことに関しては、「外国為替相場は上昇もすれば下降もするもので、ポンド安について特に心配していない」と発言したことから、ポンドクロスには特に為替介入懸念がないという観測から、ドル円関係の買い控えと比較すると売買が積極的であった。
今朝発表の最新の英国経済指標の9月のGFK消費者信頼感調査は前回と市場予想以下の結果で、またポンドドルは、今日の午後に英国財務省のクワーテン財務相が提出予定の補正予算(ミニバジェット)のイベントリスクからもポンドが売られて、午後の円相場でも159円台の円高ポンド安に下落した。
今夜17時のポンド円は159円8〜14銭付近で、昨日17時の164円31〜37銭付近と比較すると、約5円29銭の大幅な円高ポンド安で、為替介入のあったドルよりも下げていた。
その後の今夜17時半には英国ロンドン市場で最新の英国経済指標の9月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表され、前回の50.9と市場予想の50.0に対して49.2に低下していた。ただし、サービス部門購買担当者景気指数(PMI)は、前回の47.3と市場予想の47.5に対して48.5であった。そのため、19時台にはさらに円高ポンド安が進んだ。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年9月23日の日本時間(JST)19時20分(英国夏時間(GMT+1)11時20分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:20の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 142.86 〜 142.87 | (円高) |
ユーロ/円 | 139.49 〜 139.52 | (円高) |
ユーロ/ドル | 0.9763 〜 0.9765 | (ドル高) |
英ポンド/円 | 158.75 〜 158.81 | (円高) |
スイスフラン/円 | 145.64 〜 145.70 | (円高) |
豪ドル/円 | 94.06 〜 94.10 | (円高) |
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