FXニュース:米長期金利一時3.8%台の金利差拡大で介入後の下げ幅縮む
2022年9月26日東西FXニュース – 2022年9月26日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 世界景気懸念の株安と原油安時のリスク回避のドル買いや円買いも
- インターコンチネンタル取引所(ICE)ドル指数が2002年以来の高水準
- 財政懸念の英ポンドや景気懸念のユーロに対するドル買いも円相場に波及
- 英新政権の減税案等で財政懸念のポンド安が対ドルで史上最大を記録
今日2022年9月26日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時の外為取引時間相当の世界FX市場の対ドル円相場の為替レートは、円の安値が144円25銭前後から高値143円43銭前後の値動き幅約82銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は143円78〜80銭前後で、先週末23日金曜17時の142円29〜30銭前後と比較すると約1円50銭の円安ドル高であるが、日本政府と日本銀行(日銀)の約24年ぶりの為替介入直前の連休前の前週22日木曜17時の145円78〜80銭前後の前東京外国為替市場の終値と比較すると、約2円0銭の円高ドル安であった。
先週22日木曜17時過ぎの日本政府と日銀の為替介入の影響で一時140円31銭付近に5円以上も下げられたドルが、今日までに3円以上も上昇し、下げ幅を縮めてきている。(※今日のチャート画像の、先週木曜から今夜19時までの5分足チャートを参照。)
原因は複数あり、市場トレンドの動きを追って行くと、まず先週木曜22日17時過ぎの日本政府と日本銀行(日銀、BoJ)のドル売り円買いの為替介入翌日の23日金曜の英国ロンドン外国為替市場と米国ニューヨーク外国市場では、英国新首相のリズ・トラス率いる新政権が西欧最悪のインフレ率の英国で大規模減税案と追加国債発行計画を発表したことが原因で、財政悪化懸念のポンド売りで世界的に流動性が高い安全資産のドル買いがリスク回避で買われたことから主要通貨に対してドルが上昇し、円相場でもドルが上昇したほか、対ドルの英ポンド安が一時1.08ドル台の1985年以来の約37年ぶりの安値を記録した。
また、欧州の最新経済指標の9月の欧州ユーロ圏(EU)購買担当者景気指数(PMI)が3カ月連続で好不況のボーダーラインの50以下で、約1年8カ月ぶりの低水準を記録したことで、かねてからのロシアのウクライナ侵攻の長期深刻化や欧州エネルギー問題による欧州ユーロ圏の景気懸念もあり、ユーロリスク売りでも安全資産のドルが買われ、対ドルのユーロも一時0.9669ドル付近の2002年以来の約20年ぶりのユーロ安ドル高を記録した影響も、円相場でのドル上昇として波及した。
そして、米連邦準備制度理事会(FRB)の大幅利上げ継続と長期化予想により、米債券市場では米長期金利が一時3.8%台の2010年以来の約12年ぶりの高水準を記録し、金利抑制の日本銀行との比較から、かねてからの円安要因であった日米金利差拡大によるドル買い円売りも継続していた。
米欧英の利上げ後の景気懸念により、米欧英の株式市場は大幅下落し、株安時のリスク回避でも安全資産のドルが買われ、豪ドルなどのリスク市場に弱い資源国通貨に対してもドルが上昇し、222日木曜の夜の日本政府と日本銀行の為替介入後の影響が薄まった。
世界的な景気懸念による需要停滞予想から米原油先物相場も急落し、資源国通貨に対しても安全資産のドルが幅広く買われた影響で、インターコンチネンタル取引所(ICE)のドル指数も2002年以来の高水準を記録した。
ただし、安全資産のドルに割高感が出てくると、休日出勤有りの日本のステルス為替介入懸念もあり、特に米原油先物価格下落時には、低リスク通貨の円もユーロやポンドに対してのリスクオフや持ち高調整などで買われる抵抗もあった。
そのため、先週末24日土曜の朝6時までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドルの円相場は、円の安値143円45銭前後から円の高値は142円68銭前後の値幅約77銭で、朝6時のニューヨーク終値は143円35~45銭で前日同時刻比では約1円の円安ドル高だった。
そのトレンドを受けて始まった今週の世界FX市場と日本の東京外国為替市場でも、米欧英豪瑞などの世界の主要中央銀行のインフレ対策での利上げ継続で、世界的な物価高に加えての企業などへの貸付ローン金利上昇などの景気懸念と、前述の英国財政悪化懸念や地政学的なユーロリスクなどもあり、リスク回避市場となり、世界的に流動性が高い安全資産のドルが買われて英ポンドやユーロに対して上昇し、対円でのドル買いにも波及した。
日本市場では145円台付近が日本政府と日本銀行の為替介入警戒域とは考えられてはいるものの、ステルス介入への警戒などからドルの買い控えや持ち高調整の抵抗も入ったが、米長期金利は日本市場時間にも3.7%台の高利回りで、日米金利差拡大での円売りドル買いも継続していた。
また、今朝10時前の仲値決済に向けては、大きな流れでの円安ドル高継続での連休明けの日本企業の輸入実需もあり、円売りドル買いで一時144円8銭付近に円相場でドルが上昇した。
前述の英国新政権の財政悪化懸念による対ドルでの英ポンド売りが継続し、一時ポンドドルが1.04ドル台の1985年からの記録上での過去最大のポンド安ドル高を記録し、英国欧州通貨に対するドル高が主要通貨である円相場にも波及したことで、日本の為替介入警戒でのドル円でのドルの買い控えはあっても、他の主要通貨に対するドル高の影響で円相場でも朝から午後15時頃まではドルが上昇し、一時144円25銭の今日の市場高値をつけた。
しかし、15時15分には世界株安や世界景気懸念の影響を受けて、今日の日経平均株価が大幅下落し、26,431円55銭の前営業日比722円28銭安で大引けしたことで、日本株安時のリスク回避の低リスク通貨の円買いが起きて、円相場が反発した。
また、午後には時差で朝の欧州英国市場の参入もあり、ドルに対して記録的な安値をつけていた欧州英国通貨が現地実需などで買い戻される機会があり、高値圏のドルが利益確定売りや日本の為替介入警戒での持ち高調整で売られたことなども円安抵抗原因になった。
そのため、17時の今日の東京外国為替市場の終値は143円78〜80銭付近に留まった。
今日のユーロ円は、前述のロシアのウクライナ侵攻の長期化や欧州エネルギー問題の景気懸念のユーロリスク回避の影響の安全資産のドルに続き低リスク通貨の円買いの影響があり、また、今朝のニュースでは欧州ユーロ圏のイタリアの総選挙で財政拡大を求める野党右派の政党が勝利したことなどが原因で、通貨安定を求める欧州ユーロの政治的リスクからもユーロが売られており、先週のドル円為替介入後の円相場の上昇幅もあったために、今夜17時のユーロの円相場は139円12~16銭付近で、連休前の前営業日東京終値比では約4円38銭の大幅な円高ユーロ安であった。
今日のユーロドルも同様に、今夜17時の東京外国為替市場の終値はユーロが安全資産のドルとの等価を大きく下回る0.9674~0.9675ドル付近のユーロ安で、前東京終値比では約1.70セントの大幅なユーロ安ドル高だった。
今夜17時の東京外国為替市場の終値とほぼ同時に最新の欧州経済指標が発表され、ドイツの9月のIFO企業景況感指数は前回の88.5と市場予想の87.0に対して84.3に低下しており、欧州エネルギー供給問題などでの欧州景気懸念が継続した。
ただし、今夜この後には、日本時間で22時に欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁の発言予定があり、今後の値動き相場予想のために世界のFX投資家達に注目されている。
英国ポンドは、今日のニュースで英国新政権のクワーテング財務相が、大規模減税案について、「これからも続けていく」と発言したことで、英国財政懸念に長期化予測が加わり、前述の大規模減税案と追加国債計画などの英財政懸念のポンド安ドル高の影響が円相場に波及し、ポンドリスク回避で安全資産のドルの他にも低リスク通貨の円が買われたことから、17時の今日の東京外国為替市場のポンド円の終値は153円55〜61銭付近で、前東京終値比では日本の為替介入後の円上昇幅も残り、約2円0銭の大幅な円高ポンド安であった。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年9月26日の日本時間(JST)19時16分(英国夏時間(GMT+1)11時16分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:16の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 144.00 〜 144.01 | -1.77(円高) |
ユーロ/円 | 138.88 〜 138.89 | -4.62(円高) |
ユーロ/ドル | 0.9643 〜 0.9645 | -0.0201(ドル高) |
英ポンド/円 | 154.06 〜 154.12 | -1.49(円高) |
スイスフラン/円 | 145.43 〜 145.49 | -0.53(円高) |
豪ドル/円 | 93.59 〜 93.63 | +0.02(円安) |
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