FXニュース:米長期金利が一時3.93%で2010年4月以来の金利差拡大

2022年9月27日
FXニュース:米長期金利が一時3.93%で2010年4月以来の金利差拡大

 

東西FXニュース – 2022年9月27日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米FRBのクリーブランド連銀のメスター総裁がタカ派発言
  • 前回3兆円規模の日本の為替介入の推定予算は約19兆円で警戒も
  • 高インフレと大幅利上げ継続と伊政治問題の欧州ユーロ懸念
  • 対ドルの英ポンドが財政懸念で変動相場制史上最安値記録後の反発

今日2022年9月27日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時の外為取引時間相当の世界FX市場の対ドル円相場の為替レートは、円の安値が144円63銭前後から高値144円7銭前後の値動き幅約56銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は144円32〜33銭前後で、前日同時刻の前東京終値と比較すると約50銭の円安ドル高であった。

直接的な原因では、かねてからの円安要因の日米金利差拡大によるドル買い円売りが挙げられるが、欧州英国通貨への安全資産のドル高が他の主要通貨である円に波及した面もある。

市場トレンドの流れでは、まず昨夜の欧州英国市場で欧州景気や英国財政懸念のリスク回避で、世界的に流動性が高い安全資産のドルが欧州英国通貨に対して買われて大きく上昇し、円相場にもドル高が波及した。

昨夜17時に発表された最新の欧州経済指標のドイツのIFO経済研究所の9月の企業景況感指数が前回の88.5と市場予想の87.0に対して84.3に低下し、2020年5月以来の低水準を記録したことから、欧州エネルギー問題などもあって欧州ユーロ圏の景気懸念が深まり、リスク回避でユーロが売られて主要通貨に対して安全資産のドルが買われやすくなり、インターコンチネンタル取引所(ICE)のドル指数が2002年以来の高水準を記録した。

また、元欧州連合(EU)で欧州通貨につられやすい英国ポンドも、リズ・トラス新政権の大規模減税案と国債追加発行計画で英国財政懸念の英ポンド売りとドル買いが優勢であったことから、対ドルの英国ポンドが一時1.03ドル台の1985年以来の変動相場制の史上最安値を記録しており、ポンドに対する大幅なドル高の影響も他の主要通貨に波及していた。

欧州英国市場の後半から今朝までの米国ニューヨーク市場では、米連邦準備制度理事会(FRB)関係者のクリーブランド地区連銀のメスター総裁がマサチューセッツ工科大学の講演で、「米国のインフレ率は受け入れがたいほど高いため、インフレ率を目標の2%に近づけるためには、FRBは政策金利の利上げを継続し維持するべきである」とタカ派の発言したことなどで、金利抑制の大規模金融緩和を継続する続ける日本銀行(日銀、BoJ)との金融政策の違いが再意識され、日米金利差拡大予想のドル買い円売りが入った。

米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)や英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)などの世界の主要中央銀行による利上げ継続の長期化予想から、米長期金利が急上昇し、米長期金利は一時3.93%に上昇し、2010年4月以来のおよそ12年ぶりの高利回りを記録したことから、日米金利差拡大のドル買い円売りも再び活発になった。

一方で、日本政府と日本銀行の為替介入への警戒もあり、米長期金利上昇時のドル買い円売りで一時144円79銭のニューヨーク市場高値が日本のドル売り円買い為替介入警戒域の145円台に近づくと、再介入警戒時の買い控えが上値を抑えた。

原因は、先週22日の前回の日本の為替介入は約3兆円の過去最大規模で、さらに今後すぐに使える日本の為替介入の推定予算は19兆円規模という予測があり、再度の為替介入への警戒感がドルのリスクとなり、145円台手前でのドルの利益確定売りや円の持ち高調整買いに影響した。

日本銀行の黒田総裁は、26日の大阪での記者会見で日本政府の前回の為替介入は適切で、日銀の金融政策とは矛盾していないとし、「急速かつ一方的な為替変動は望ましくない。財務相の判断で、過度な変動に対する必要な対応として実施されたものと理解しており、適切なものだ。為替介入と金融政策は目的も効果も違うが、組み合わされて適切な経済状況が実現される。相互補完的で矛盾するとは思わない。充分に連絡を受けており、齟齬(そご)は無い。どういう時に介入するかは、日銀の権限ではない」等と発言していた。

そのため、再度の為替介入への警戒もあり、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場での対ドルの円相場は、円の安値の144円79銭前後から円の高値の143円80銭前後の値動きで145円台手前までに留まったが、日米金利差拡大の円安要因も継続しており、今朝6時のニューヨーク終値付近のドル円相場は144円74銭前後で、前営業日同時刻比で約1円35銭の円安ドル高だった。

その後に始まった今日の世界FX市場と日本の東京外国為替市場では、日本政府と日本銀行の為替介入警戒の高値圏のドル売りに加えて、今朝9時前には日本の最新経済指標の発表があり、8月の企業向けサービス価格指数の前年同月比は、前回の2.1%〜2.0%と市場予想の2.4%に対して1.9%に低下したことから、日本のインフレ物価高懸念緩和からも円が買われて、9時前の144円台後半から9時過ぎの144円台前半に円相場が反発した。

しかし、その後には日米金利差拡大による円売りドル買いが入り、また今朝10時頃の仲値決済では日本企業の輸入実需でまとまった円売りドル買いもあり、11時頃には再び144円台後半に円相場が下落した。

ただし、昼頃には日本市場時間の取引で米長期金利の指標となる米10年債の利回りがやや高止まりと低下をしたことから、午後には再び144円台後半からの為替介入警戒などでのドルの利益確定売りや円の持ち高調整買いが入り、144円台前半に戻していった。

午後15時台の今日の日経平均株価は上昇し、26,571円87銭の前日比140円32銭高で大引けしたことでは、為替へのリスク回避には繋がらなかったものの、午後になり、時差で朝の欧州英国市場が参入すると、米長期金利の高止まりと一時低下から現地実需のあるユーロやポンドが安値で買い戻されて余剰のドルが売られたことで、円相場でもドルへの円安抵抗が入り、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は144円32〜33銭付近の、前東京終値比で約50銭の円安ドル高であった。

今夜この後にも最新の米国経済指標などの発表予定があり、今後の為替相場予想などの情報源として世界のFX投資家達に注目されている。

今夜20時半には米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の発言が予定されており、それに続き21時半には8月米耐久財受注、22時には7月の米住宅価格指数とケース・シラー米住宅価格指数、23時には8月の米新築住宅販売件数と9月の米消費者信頼感指数と最新の米リッチモンド連銀製造業指数などが予定されている。

今日のユーロは、前述の今日の午後の欧州市場参入のユーロ買い戻しの値動きの影響から、今夜17時の東京外国為替市場の円相場の終値は139円20~22銭付近で、前日同時刻比では約1銭の僅差の円安ユーロ高であった。

ユーロドルは、17時の今日の東京外国為替市場の終値はそれまでの下げ幅の影響もあり、0.9645~0.9646ドル付近で前日同時刻比で約0.32セントのユーロ安ドル高だった。

欧州景気懸念やウクライナ情勢の地政学的リスクに加えて、欧州ユーロ圏のイタリアの選挙で野党の極右政党のイタリアの同胞(FDI)が第1党として勝利宣言をしたことで、右派政権の物価高対策のばらまき案による財政悪化懸念で、欧州通貨ユーロの安定性へのリスクとイタリアの債務危機懸念が統一通貨を持つ欧州ユーロ圏に波及する可能性等から、ユーロ売りで安全資産のドル買いが起きていた。

英ポンドは17時の今日の東京外国為替市場の円相場の終値は155円84〜90銭付近で、前日同時刻比で大幅な約1円38銭の円安ポンド高であった。

原因は、対ドルのポンドが前述の英国新政権の大規模減税と国債追加発行などの財政懸念が原因で史上最安値を付けた後に、ポンド暴落を受けた英国中央銀行のイングランド銀行(BOE)が声明を発表し、ベイリー総裁が「必要に応じての金利の変更を躊躇しない」と発言したことなどで、日英金利差拡大が再意識され、前日の大幅下げで割安感があり、日本政府と日本銀行の為替介入リスクのないポンドが買われる動きがあり、今日の円相場ではポンドが上昇をしていた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年9月27日の日本時間(JST)19時22分(英国夏時間(GMT+1)11時22分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:22の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 144.27 〜 144.28 +0.45(円安)
ユーロ/円 138.82 〜 138.84 -0.37(円高)
ユーロ/ドル 0.9621 〜 0.9623 -0.0056(ドル高)
英ポンド/円 155.91 〜 155.97 +1.45(円安)
スイスフラン/円 145.94 〜 146.00 +0.59(円安)
豪ドル/円 93.58 〜 93.62 +0.39(円安)


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