FXニュース:米長期金利が一時4%台の日米金利差拡大で再び144円台に

2022年9月28日
FXニュース:米長期金利が一時4%台の日米金利差拡大で再び144円台に

 

東西FXニュース – 2022年9月28日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米連邦準備理事会(FRB)関係者発言で米利上げ長期化予想が優勢
  • 145円台前の日本政府と日銀の為替介入への警戒売りが抵抗に
  • 露欧間の海底ガスパイプ破損等で欧州エネルギー危機が再燃
  • 米国家経済会議委員長のドル高是正否定等で英ポンド安も

今日2022年9月28日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時の外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値が144円84銭前後から高値144円40銭前後の値動き幅約44銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は144円58〜60銭前後で、前日同時刻の前東京終値比で約32銭の円安ドル高であった。

原因はまず、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で、米連邦準備理事会(FRB)高官達の相次ぐ利上げ継続発言に加えて、最新の米国経済指標の多くが市場予想以上に好調で米長期金利が上昇し、一時3.99%台の2010年4月以来のおよそ12年ぶりの高水準を記録したことで、かねてからの円安ドル高の要因であった日米金利差拡大によるドル買い円売りのトレンドが優勢になった。

昨夜は米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長がフランス銀行主催のデジタル金融パネル討論会で発言し、世界的な金利上昇でDeFI(分散型金融)エコシステムの重大な構造的欠陥が露呈したことを指摘し、仮想通貨業界の混乱がより広範な金融不安へと繋がる懸念から、暗号資産(仮想通貨)に対する適切な規制を呼び掛けており、今後の大幅な利上げ継続に備えるような含みがあり、米欧の中央銀行の金利上昇が今後も長期化する予測が強まり、米長期金利が上昇してドルが買われやすくなった。

また、米連邦準備制度理事会(FRB)高官のセントルイス連銀のブラード総裁もインフレ対策のために粘り強く利上げを継続する必要性を主張しており、同ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁も、現在の米国の大幅利上げ継続の現在の引き締めペースが適切であると発言しており、米長期金利上昇の日米金利差拡大のドル買い円売りが続いた。

そして、昨夜のニューヨーク市場で発表された最新の米国経済指標の8月新築住宅販売件数は前回の51.1万〜53.2万件と市場予想の50.0万件に対して68.5万件に大幅に上昇し、9月の米リッチモンド連銀製造業指数も前回の-8と市場予想の-10に対して0に改善し、米コンファレンス・ボードの消費者信頼感指数も前回の103.2〜103.6と市場予想の104.5に対して108.0に上昇するという好結果で、利上げ抵抗要因の米景気懸念が弱まり、米国の大幅利上げ継続と長期化予想が優勢になった。

インフレ抑制を優先して大幅利上げを続ける米連邦準備理事会(FRB)に対して、金利抑制の大規模緩和の金融政策を粘り強く継続する日本銀行(日銀、BoJ)との日米の金融政策の方向性の違いからも円が売られてドルが買われた。

一方で、欧州景気懸念に加えてロシアと欧州ドイツの間のバルト海の海底ガスパイプのノルドストリーム1と2が破損し、ロシアまたは反ロシアの破壊活動の疑いもある大規模なガス漏れが発見されたことでユーロ安要因の欧州エネルギー問題が再燃し、さらに欧州連合(EU)内部でもファシズムの影響もあるという噂の新イタリア右派党のバラマキ政治案の財政懸念とユーロの通貨安定性の問題などもあり、リスク回避のユーロ売りで世界的に流動性の高い安全資産のドルが買われていたドル高の影響も、他の主要通貨である円相場にも波及していた。同じく、インフレ不景気時の減税で財政懸念のある英国ポンドに対してもドル買いがあり、ドル高は円を含め多通貨に波及した。

しかし、円安ドル高が一時144円90銭付近に達すると、日本政府と日銀の為替介入の警戒域の145円に近づいたことでは再介入懸念で、高値のドルの利益確定売りと持ち高調整の円買いなどの抵抗が入った。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の円相場は円の高値の144円39銭から円の安値の144円90銭までの値動きで、今朝6時のニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の終値は144円80~90銭付近で、前日同時刻比で約10銭前後の円安ドル高であった。

そのトレンドを受けて始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、今朝は先日の日銀の金融政策決定会合の議事要旨が公開され、日米金利差拡大予想の144円台の円安ドル高が継続したが、為替介入警戒ゾーンの145円に近づくとドル売り円買いの抵抗が入った。

また、今朝10時頃の仲値決済では今日はスポット取引の今月末の受け渡し最終日であったために売買が交錯し、10時台に一時144円40銭付近になったのが今日の日本市場の対ドルの円相場の高値になった。

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しかし、米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ継続と長期化予想も根強く、今日の日本市場の取引では米長期金利が上昇し、一時4.015%付近の2008年10月以来の高水準を記録したことから、円安要因の日米金利差拡大の円売りドル買いが継続した。

今日の午後には日本の最新経済指標も発表され、7月の景気先行指数(CI)の改定値は前回の100.6に対し100.1で、景気一致指数の改定値は前回の99.6に対して98.9にやや下げてはいたが、午後の欧州英国市場の参入で安全資産の米国債が買われたことなどもあり、米長期金利の指標となる米10年債利回りが一時の4%台から再び3.97%台に一時下げたことは円安抵抗要因となり、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値を144円58〜60銭付近の前東京終値比約32銭の円安ドル高でつけた。

今夜この後にも最新の米国経済指標の発表予定や、パウエル議長を含む米連邦準備理事会(FRB)関係者達の要人発言機会があり、世界のFX投資家達が今後の為替相場の値動き予想の材料として注目している。

今夜の米経済指標発表スケジュールは、20時から米MBA住宅ローン申請指数、21時半の8月米卸売在庫、23時の8月米住宅販売保留指数、23時半の週間米原油在庫などが予定されており、23時15分頃に米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の講演での発言機会がある他にも、ボウマン理事やアトランタ連銀総裁やセントルイス連銀総裁、リッチモンド連銀、シカゴ連銀総裁なども発言の予定があり、値動きに影響を及ぼす可能性がある。

今日のユーロは、前述の欧州エネルギー問題やロシアのウクライナ侵攻の地政学リスクとイタリア政治懸念などのリスク回避のユーロ売りで、安全資産のドルが買われた他にも低リスク通貨の円も買われたことなどが原因で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円の終値は138円54~57銭付近の前日同時刻比で約62銭の円高ユーロ安であった。同様にユーロドルも17時の東京終値付近には等価割れが進行した0.9581~0.9583ドル付近で、前日同時刻比で約0.65セントのユーロ安ドル高だった。

また、今日の午後に発表された欧州ユーロ圏の最新経済指標はドイツのGFK消費者信頼感調査とフランスの消費者信頼感指数ともに前回と市場予想以下であった。

しかし、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁が講演で、物価安定回復が欧州中央銀行の主要課題であり、今後数カ月は利上げ継続をするという発言をしたことでは、安値でユーロが買い戻される抵抗も入っていた。

英ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の円相場の終値付近は154円68〜74銭前後で、前日同時刻比で約73銭の円高ポンド安であった。

原因は、西欧最悪の10%超えのインフレ率のリセッション(景気減退)予想の英国で、リズ・トラス新政権の大規模減税案や追加国債発行計画などがあり、財政懸念のポンド売りが対ドルで記録的なポンド安を記録した後の買い戻しも入っていたものの、昨夜の欧州英国市場で国際通貨基金(IMF)が英国新政府の大規模減税策に関して、「英国を含めた数多くの国での世界的なインフレ圧の高まりを考えると、我々IMFはこの時点での大規模で対象を定めない財政パッケージは推奨しない」とコメントしたことで英財政懸念売りが悪化した。

また、今日のニュースでも米国家経済会議(NEC)のディース委員長が、為替相場に関して過去にドル高是正を決めたプラザ合意の時のようなことは今回予想していないと発言したことで、ドル買いポンド売りが再燃し、対ドルのポンド安が円相場にも波及していた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年9月28日の日本時間(JST)19時23分(英国夏時間(GMT+1)11時23分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:23の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 144.57 〜 144.59 +0.31(円安)
ユーロ/円 138.50 〜 138.51 -0.66(円高)
ユーロ/ドル 0.9578 〜 0.9580 -0.0068(ドル高)
英ポンド/円 154.99 〜 155.05 -0.42(円高)
スイスフラン/円 145.93 〜 145.99 -0.05(円高)
豪ドル/円 93.08 〜 93.12 -0.09(円高)


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