FXニュース:今夜発表の最新の米国重要経済指標にFRBと市場が注目

2022年9月30日
FXニュース:今夜発表の最新の米国重要経済指標にFRBと市場が注目

 

東西FXニュース – 2022年9月30日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米個人消費支出(PCE)イベント前のドルの持ち高調整と買い控え
  • 米FRBの大幅利上げ継続姿勢で米長期金利再上昇の日米金利差拡大も
  • ドイツのCPIが10%の上昇率で欧州中央銀行(ECB)大幅利上げ予想
  • 英国中央銀行(BoE)の国債購入で市場安定後の英ポンドの買い戻し

今日2022年9月30日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時の外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値が144円77銭前後から高値144円27銭前後の値動き幅約50銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の円相場の終値は144円27〜28銭前後で、前日同時刻の前東京終値比では約40銭の円高ドル安であった。

原因はまず、昨夜の欧州英国市場で欧州ユーロ圏の最新の経済指標が発表され、ドイツの9月消費者物価指数(CPI)が前年同月比で10.0%上昇し、前回と市場予想を上回ったことで欧州中央銀行(ECB)の大幅利上げ継続予想が優勢になり、ユーロ買いドル売りが起きた。また、英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)が緊急臨時国債買い入れを実施後の市場安定性から英ポンド買いドル売りもあり、ユーロとポンドに対するドル安の影響が、円相場にも波及した。

ただし、欧州英国市場の後半から始まった昨夜から今朝までの米国ニューヨーク市場では、日米金利差拡大のドル買い円売りがあり、円相場ではドルが再上昇した。

昨夜に米クリーブランド地区連銀のメスター総裁が、「大幅利上げ継続により高インフレを抑制するという米連邦準備理事会(FRB)の姿勢を変更するような、米金融市場の機能不全は見られない」と発言したことなどを受けて、米長期金利の指標となる米10年債の売りが米債券市場で再開したことで米長期金利が再上昇し、日米金利差拡大によるドル買い円売りが優勢となった。

また、最新米国経済指標の第2四半期の米実質国内総生産(GDP)の確報値は改定値と同じく年率換算で前期比0.6%減ではあったものの、所得面から経済活動を把握する米国内総所得(GDI)が小幅に増加し、米経済活動の3分の2を占める消費支出が上方修正されるなど、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ抵抗になるような米国のリセッション(景気後退)は起きていないことを示すデータも同日発表された。

更に、最新の米新規失業保険週間申請件数が5カ月ぶりの低水準で、米労働市場の強さから、大幅利上げ継続の抵抗要因となる米景気懸念が後退したことで、パウエル議長曰く「今後の利上げはデータ次第」の米連邦準備理事会(FRB)が、今後も大幅利上げを継続しやすくなったデータが発表されたことでも、金利抑制の日本銀行(日銀、BoJ)との日米の金融政策の方向性の違いが意識され、かねてからの円安要因であった日米金利差拡大予想のドル買い円売りが優勢になった。

一方で、米大幅利上げ継続は企業などへの貸付ローン金利上昇の警戒感も強めることから、米国株式市場は株売りで大幅安になり、株安時のリスク回避で安全資産のドルや低リスク通貨の円などの為替買いや、上昇トレンドだったユーロやポンドなどへの投資買いも入った。

ただし、今夜この後に発表予定の米国の重要経済指標の8月米個人消費支出(PCE)は、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ物価指標として重視していることで知られており、米PCE発表前のイベントリスクの持ち高調整や、結果が分かるまでのドルの買い控えが今日の市場での円安ドル高の抵抗要因になり始めていた。

また、144円台後半になると、145円台の日本政府と日本銀行の為替介入警戒域に近づくため、ドルの利益確定売りや持ち高調整の円買いなどの抵抗も入った。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は、円の安値144円78銭前後から円の高値144円26銭前後の値動きで、今朝6時のニューヨーク終値のドル円相場は144円40~50銭付近で、前日同時刻比で約35銭の円安ドル高であった。

その後に始まった今日の日本の東京外国為替市場では、今朝の仲値決済では今日は30日で日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10のつく五十日であることに加えて、月末と四半期末でもあるために、日本企業の輸入実需のまとまった円売りドル買いなどの決済オーダーが集中し、今日の日本市場の円の安値でドルの高値の144円77銭付近を記録した。

ただし、その後には、輸出企業のドル売り円買いもあり、また前述の欧州英国トレンドでユーロや英ポンドが対ドルで急伸したことの円相場への影響でのドル売りや、144円台後半で145円台の日本の為替介入警戒ゾーンを前にしてドルを売る動きが円安抵抗になった。

そして、米国市場のトレンドにも敏感な日本の投資家達は、今夜発表の最新の重要米国経済指標の8月米個人消費支出(PCE)などのイベント前であることから、午後には持ち高調整のドル売りや、イベントの様子見のドルの買い控えなどの一時抵抗を強めていき、特に夕方に欧州英国市場が参入すると、イベント前の持ち高調整のドル売りの円安抵抗が強まった。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は144円27〜28銭付近で、前日同時刻の前東京終値比で約40銭の円高ドル安であった。

今夜この後には、最新の米国重要経済指標の発表予定があり、21時半に米連邦準備理事会(FRB)がインフレ物価指標として重視する8月の米個人消費支出(PCE)、同時刻に同月の米個人所得、22時45分に9月の米シカゴ購買部協会景気指数、23時に9月の米ミシガン大学消費者態度指数などが世界のFX投資家達に注目されている。

今日のユーロ円は、前述のドイツの9月の消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回る10%の上昇率であったことから、欧州中央銀行(ECB)の大幅利上げ継続予測の日欧金利差拡大予想が優勢で、ユーロ買いで安全資産のドルに続き低リスク通貨の円売りも起きたことなどから、17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円の終値は142円2~5銭付近で、前日同時刻比で約2円35銭の大幅な円安ユーロ高になった。

ユーロドルは、前述の元欧州連合(EU)の英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)の市場安定目的の緊急臨時英国債買い入れ後のポンド買いドル売りの影響もあり、対ドルで英国通貨と連動しやすい欧州通貨のユーロ買いのドル売りも起きていたことから、17時には0.9844~0.9846ドル付近の前東京終値比で約1.90セントのユーロ高ドル安であった。

今日は欧州ユーロ圏の最新経済指標の発表も相次ぎ、その後の欧州英国市場で今夜18時に発表された欧州ユーロ圏総合の9月の消費者物価指数(HICPコア指数)速報値の前年同月比も前回の4.3%と市場予想の4.7%に対して4.8%に上昇し、前年同月比では前回の9.1%と市場予想の9.7%に対して10.0%の上昇率で、前日のドイツの10%同様に市場予想以上のインフレの抑制で欧州中央銀行(ECB)が大幅利上げを継続する日欧金利差拡大予想の円安ユーロ高も継続したが、市場予想以上の高インフレによる欧州景気懸念も抵抗要因となり、高値のユーロの利益確定売りでは安全資産のドルや低リスク通貨の円が再び買われる抵抗も18時過ぎから入ったことから、ユーロはドルに対するパリティー(等価)割れからはまだ回復できずに推移していた。

今日の英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の円相場の終値は161円34〜40銭付近で、前日同時刻の前東京終値比では約97銭の円安ポンド高であった。

今日は英国の最新経済指標の発表もあり、午後15時の4〜6月の第2四半期の英国内総生産(GDP)が前回の-0.1%と市場予想の-0.1%に対して0.2%のプラス圏に改善されたことが、日本市場でも円売りの英ポンド買いの一因になった。

また、昨夜の英国ロンドン外国為替市場などでは、短期間に急速にポンド安が進んだ後の英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)の英国債買い入れの市場安定化で、月末や四半期末の利益確定や持ち高調整で、安全資産のドル売りのポンドの買い戻しが優勢で、今朝までの米国ニューヨーク外国市場でもドル売りポンド買いトレンドが継続し、対ドルの英ポンドは今月の26日に記録した史上最安値の1.03ドル台から大きく回復しており、今日の日本市場でも1.11ドル台で推移した後、今夜18時頃の欧州英国市場では一時1.12ドル台のポンド高ドル安で、安全資産のドルに続く低リスク通貨の円相場にもポンド高の影響が波及し、今夜18時頃には一時162円台で、前日比で1円以上の大幅な円安ポンド高が観測された。

ただし、英国中央銀行のイングランド銀行(BoE)の英国債買い入れの市場安定化は、期限付きの臨時措置であることには注意が必要である。そのため、高値になったポンドの利益確定売りの抵抗も入り、今夜19時台には再び160円台のより小幅な円安ポンド高に戻してもいた。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年9月30日の日本時間(JST)19時15分(英国夏時間(GMT+1)11時15分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:15の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 144.44 〜 144.45 -0.23(円高)
ユーロ/円 141.37 - 141.38 +1.70(円安)
ユーロ/ドル 0.9786 - 0.9787 +0.0132(ドル安)
英ポンド/円 160.83 - 160.89 +0.46(円安)
スイスフラン/円 147.65 - 147.71 -0.36(円高)
豪ドル/円 93.79 - 93.83 -0.04(円高)


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