FXニュース:米国ISM製造業景況感指数が市場予想以下の50.9で景気懸念が

2022年10月04日
FXニュース:米国ISM製造業景況感指数が市場予想以下の50.9で景気懸念が

 

東西FXニュース – 2022年10月4日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米長期金利が一時3.56%台付近に低下し日米金利差縮小時の円買いも
  • 北朝鮮の弾道ミサイル発射で日本の地政学リスク増加時の円資金準備
  • 日米株高時のリスクオン市場では安全資産のドル円売りユーロ買いも
  • 英国大規模減税案の財政懸念緩和でポンド買いのドル円売りが優勢に

今日2022年10月4日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時の外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値が144円91銭前後から高値144円42銭前後の値動き幅約49銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の円相場の終値は144円63〜65銭前後で、前日同時刻の前東京終値比では約39銭の円高ドル安であった。

原因はまず、昨夜23時に米国ニューヨーク外国為替市場で発表された最新米国経済指標の9月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況指数が、前回の52.8と市場予想の52.2を下回る50.9で、米景気後退懸念により米連邦準備制度理事会(FRB)が今後の利上げを加速しにくくなるという予想から、米債権市場では米10年債の利回りが指標となる米長期金利が一時3.56%台に前日比で大幅に低下し、日米金利差縮小時のドル売りの円買いが優勢になった。

一方で米国ニューヨーク株式市場では、大幅利上げ継続による企業への貸付ローン金利上昇などの懸念が一時減退し、また新四半期始めの取引量もあり、米株三指数は数日ぶりに高騰したことでリスクオン市場で安全資産のドル売りのユーロやポンド買いがあり、またコモディティ(商品先物取引)市場ではOPECプラスの減産などを受けて原油価格が上昇したことで、ドル売りから資源国通貨なども買われた。

ただし、市場後半には米長期金利が3.67%付近に回復してきたことで、再び日米金利差拡大による円売りのドルの買い戻しの抵抗もあった。

そのため、今朝までの米国ニューヨーク市場での対ドルの円相場は、円の高値144円16銭前後から円の安値144円97銭前後の値動きをし、今朝6時のニューヨーク市場の終値は144円55~65銭付近で、前営業日比では約15銭の円高ドル安でつけていた。

それに続く世界市場では今日は香港と中国は休場ではあったが、今朝早朝に北朝鮮から日本上空に向けて弾道ミサイルが発射された可能性から、日本政府が全国瞬時警報システムのJアラートを発令し、北海道や青森などで避難を呼びかけたことで、地政学リスクの増加から、外貨資金を持つ日本企業が非常時に備えて日本で流動性が高い日本円資金を買い戻すリパトリエーション(資金回帰)の動きから今朝9時頃の開場時の日本の東京外国為替市場では円が買われて、一時144円42銭付近に円高ドル安が進行した。

ただし、その後に北朝鮮の弾道ミサイルは日本上空を通過して排他的経済水域(EEZ)の外の太平洋に落下したと発表されたことでは、144円台の前半の今日の市場安値をつけた安全資産のドルが144円台中盤へと買い戻されていった。

今朝は日本の最新経済指標の発表もあり、9月の東京都区部消費者物価指数(CPI)の生鮮食料品を除く前年同月比は前回の2.6%に対して市場予想通りの2.8%であった。

同時刻に日本銀行(日銀、BoJ)が発表した9月のマネタリーベースの平均残高は、前年同月比で前回の0.4%に3対し3.3%減の634兆1934億円で、2012年4月以来のマイナスに転じ、減少幅の大きさは2007年6月以来の規模となった。新型コロナウイルス支援や公開市場操作のオペなどの追加予算が影響し、日銀の当座預金の減少幅が拡大した。

昨日も鈴木俊一財務相が閣議後記者会見で、一時145円台だった円安ドル高の進行に対して「今後とも必要に応じて断固たる措置を取る」と為替介入の再実施の可能性を示唆して円安牽制はしていたが、日銀による為替介入準備のレートチェックなどは行われなかったことや、米国の利上げで日銀のドル建て外貨預金にも相当の高い利息がついて増えていくため、今朝の円高ドル安で145円台の為替介入警戒域から一旦離れたことでは、介入警戒が一時弱まり、大きなトレンドでの日米金利差拡大の円安要因などにより世界的に流動性の高い安全資産のドルが再び買われて上昇した。

また、10時頃の仲値決済では日本企業の輸入実需での円売りドル買いもあり、11時台には今日のドルの日本市場での高値の144円91銭付近を一時記録した。

ただし、145円台に近づくと、再び日本政府と日銀の為替介入への警戒があり、高値のドルの利益確定売りと安値の円の持ち高調整買いなどで、再び144円台後半から中盤の前日比で円高ドル安の範囲に留まった。

15時台には、米株上昇の影響で今日の東京株式市場でも日経平均株価が26,992円21銭の前日比で776円42銭増の株高時のリスクオン市場になり、低リスク通貨の円や安全資産のドルが売られて、ユーロやポンドなども買われた。

また夕方には時差で朝の欧州英国市場の参入があり、ユーロやポンドが買われて安全資産のドルが売られた影響もあった。そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場での対ドル円相場の終値は144円63〜65銭付近で、前日17時の前東京終値比で約39銭の円高ドル安になった。

今夜この後にも最新の米国経済指標の発表と、米連邦準備制度理事会(FRB)関係者達の発言が予定されており、世界のFX投資家達が注目している。米経済指標のスケジュールでは、今夜23時に8月の米耐久財受注の確報値と、米製造業新規受注が発表される。米連邦準備制度理事会(FRB)関係者達の発言機会では、22時に米ダラス連銀のローガン総裁と、米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁、22時15分に米クリーブランド連銀のメスター総裁、深夜24時45分には米FRBのジェファーソン理事、そして明朝未明2時頃には米サンフランシスコ連銀のデイリー総裁の発言などが予定されており、タカ派発言等があると再び値動きに影響を与える可能性があるので注視されている。

今日のユーロの円相場は、前述の日本株高時のリスクオンの低リスク通貨の円売りのユーロ買いの影響などがあり、今夜17時の東京外国為替市場の終値は142円81~84銭付近で、前日同時刻比では約53銭の円安ユーロ高であった。

また、元欧州連合(EU)で今でも欧州と経済の結びつきの強い英国で、昨夕にクワーテング英財務相が、生活支援のはずの大幅減税案に富裕層向けの所得税の最高税率の廃止案があり財政懸念が問題になっていた件で撤回を表明したことで、英国財政懸念が一時緩和され、英ポンドが安全資産のドルや低リスク通貨の円に対して大幅に上昇した動きから、欧州通貨もつられ高になりやすくなり、今日は円売りユーロ買いが優勢あった。

加えて、最新の米国経済指標による米長期金利の低下時のドル売りのユーロ買いもあったことで、今日のユーロは対ドルでも上昇し、17時の今日の東京市場のユーロドルの終値は0.9874~0.9875ドル付近で、前日同時刻比で約0.63セントのユーロ高ドル安になった。

その後の欧州市場では、今夜18時に欧州ユーロ圏の最新経済指標の発表があり、8月の卸売物価指数(PPI)は、前月比で前回の4.0%に対して市場予想通りの5.0%に上昇し、前年同月比でも前回の37.9%(修正後38.0%)と市場予想の43.2%に対し43.3%に前回と市場予想以上に上昇していたことから、インフレ対策で欧州中央銀行(ECB)の大幅利上げ継続予想のユーロ買いがあった一方で、高インフレによる欧州景気懸念のユーロ売りの抵抗もあったが、今夜この後には24時に欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁の発言が予定されているために、持ち高調整なども入っている。

英国ポンドは、前述の通り、昨夕の英国ロンドン外国為替市場でクワーテング英財務相が高インフレの生活支援のための大規模減税案の一部にあった富裕層向けの所得税の最高税率を45%から40%に引き下げる案の撤回を表明したことで、英国財政懸念の緩和から今日は安全資産のドルや低リスク通貨の円に対して大幅に上昇しており、17時の今日の東京外国為替市場の英ポンドの円相場の終値は164円79〜85銭付近で、前日同時刻比で約1円11銭の大幅な円安ポンド高であった。英ポンドは対ドルでも一時1.1420ドル付近に上昇し、今日は約2週間ぶりのポンド高ドル安を記録していた。

資源国オーストラリアの豪ドルは、今日は豪準備銀行(RBA)の新政策金利発表があり、前回の2.35%に対して2.60%に利上げされたが、市場予想の2.85%には届かなかったことで、資源国通貨としてドルや円から買われる機会もあったものの、今夜17時の東京外国為替の豪ドルの円相場の終値は94円36〜40銭で、前日同時刻比で約14銭の比較的小幅な円安豪ドルで、その後の欧州市場では19時までに円高豪ドル安に市場反転もした。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年10月4日の日本時間(JST)19時17分(英国夏時間(GMT+1)11時17分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:17の為替レート 東京外国為替市場前日比
ドル/円 144.72 〜 144.73 -0.30(円高)
ユーロ/円 143.05 〜 143.07 +0.77(円安)
ユーロ/ドル 0.9884 〜 0.9886 +0.0073(ドル安)
英ポンド/円 164.51 〜 164.57 +0.83(円安)
スイスフラン/円 146.38 〜 146.44 +0.72(円安)
豪ドル/円 93.83 〜 93.87 -0.39(円高)


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