FXニュース:米雇用動態調査求人数が2020年4月以来の大幅減少
2022年10月05日東西FXニュース – 2022年10月5日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 景気懸念による欧米利上げ減速予想では株高時のリスクオン市場に
- 米連邦準備理事会(FRB)利上げ減速予想で米長期金利が一時3.5%台
- 日米金利差によるドル円の値動きと今夜の米経済指標発表前の調整も
- ユーロやポンド買いでドルが一時売られていた影響も円相場に波及
今日2022年10月5日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時の外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値が144円50銭前後から高値143円53銭前後の値動き幅約97銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の円相場の終値は144円43〜45銭前後で、前日同時刻の前東京終値比では約22銭の円高ドル安であった。
原因は複合的で、まず昨夜の欧州英国市場と米国ニューヨーク外国為替市場では、昨日発表された豪中央銀行のオーストラリア準備銀行(RBA)が市場予想の0.5%を下回る0.25%の利上げ幅に縮小した理由が、インフレ抑制のための利上げ幅加速による景気減速を受けての利上げ幅減速であった可能性から、欧米景気懸念により欧米でも今後の利上げ幅減速がされるのではないかという市場予想が強まり、利上げ加速では企業などへの貸付ローンの金利上昇などの経営にも関わる懸念があったために欧米株式市場では主要株価が上昇してリスクオン市場になり、リスク選好のユーロやポンドが買われて、安全資産のドルや低リスク通貨の円が売られてはいたが、ドル円は144円台後半の145円台の日本政府と日本銀行(日銀、BoJ)の為替介入警戒域前で推移していた。
そこに、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク市場で発表された8月の米雇用動態調査(JOLTS)で求人件数が2020年4月以来の大幅減少であるというデータが話題になり、「今後の利上げはデータ次第」の姿勢のあった米連邦準備制度理事会(FRB)も景気懸念から今後の大幅利上げ加速をしにくくなるのではという市場予想が浮上し、米利上げ幅減速予想などで米長期金利が一時3.5%台に低下したことで、日米金利差縮小時のドル売り円買いが加わり、ドル円は一時143円90銭付近を記録した。
しかし、米雇用動態調査(JOLTS)求人件数の減少は、完全雇用率に近い状態でも起き得る可能性などもあることや8月は夏休み時期でもあったことから、今夜発表予定のADP雇用統計や今週7日に発表予定の最新の9月の米雇用統計などを見極めたいという様子見や調整の動きもあった。
そして、もし今後の大幅な米利上げには減速があるとしても、米国は既に利上げ済で通常の利上げ幅に縮小されたとしても円安要因の日米金利差拡大予想は継続することや、米連邦準備理事会(FRB)関係者達の利上げ継続姿勢などからは、金利抑制の日本銀行(日銀、BoJ)との日米の金融政策の方向性の違いからは大きなトレンドでの日米金利差拡大予想は継続しており、市場安値でのドル買いの円売り抵抗も入り、ドル円は144円台に戻した。
そのため、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドルの円相場は、円の安値144円94銭前後から高値143円90銭前後の値動きをし、144円10~20銭付近の前日同時刻比で約45銭の円高ドル安で今朝6時のニューヨーク外国為替市場の終値をつけていた。
そのトレンドを受けて始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、前述の米長期金利低下時の円買いドル売りと、ユーロやポンドに対するドル売りの影響などがあり、早朝の円相場が上昇した。
加えて、今日は5日で、日本市場で日系の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10のつく日の五十日にあたることから、10時前の仲値決済に向けて、日本の輸出企業のドル売り円買い注文が先行し、9時台に一時143円53銭付近の今日の日本市場での円の高値を記録した。ただし、続いては、日本の輸入企業の円売りドル買いの抵抗も入った。
今朝10時には、昨日に0.25%に追加利上げ幅縮小のあったオーストラリアと近いオセアニアのニュージーランド中央銀行の新準備銀行(RBNZ)が新たな政策金利を発表し、0.5%の追加利上げを決定した。こちらの利上げ幅は市場予想通りで、利上げ理由もインフレ対策であることが示されたことで、ニュージーランドの新ドル買いが起き、再び米ドルが売られて143円台後半に留まる動きで円相場にも波及した。
しかし、大きな流れでの長期的な円安市場により、日本企業の輸入用のドル需要の継続や、久しぶりの一時143円台になったことでお買い得感のある安値のドルが大きなトレンドでの日米金利差拡大予想や安全資産や投資等としても買われて、11時頃までには再びドル円は144円台前半に戻した。
午後になり、米株式相場が連日大幅高であった影響などから、今日は日経平均株価も連日で上昇し、株高時のリスクオン市場では低リスク通貨の円売りも入った。また、一時は低下していた米長期金利が今日の取引で回復してきたことも、日米金利差拡大によるドル買い円売りに影響した。
そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の円相場の終値は144円43〜45銭付近で、前日同時刻の前東京終値比では約22銭の円高ドル安であった。
今夜この後には、最新の米国経済指標の発表予定が続き、今夜23時の9月の米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業景況感指数の発表前の持ち高調整や、イベント前のドルの買い控えもあった。先日に発表された製造業の景況感指数が値動きに影響を及ぼす市場反応を見せたことなどから、今夜発表予定の非製造業の景況感指数などに世界のFX投資家達が注目している。
今夜の米国経済指標発表のスケジュールは、20時に米MBA住宅ローン申請指数、21時15分に9月の米ADP雇用統計、21時半に8月の米貿易収支、22時45分に9月の米サービス部門購買担当者景気指数(PMI)と米総合購買担当者景気指数(PMI)、23時に前述の9月の米ISM非製造業景況指数、23時半に米週間原油在庫と、値動きに影響を及ぼす可能性のある最新の米国経済データ開示予定が相次いでいる。
加えて、明日未明5時には、米連邦準備理事会(FRB)高官のアトランタ連銀のボスティック総裁の発言予定もあり、今後の値動き予想材料として注視されている。
そのため、今夜はイベント前の米ドルの買い控えなどが入っているために、経済指標の発表後の値動きが注目されている。
今日のユーロは、前述の欧州株高時のリスクオン市場でユーロが買われた影響があり、また欧州中央銀行(ECB)も景気懸念の利上げ減速の可能性が出てきた一方で、金利抑制の日銀とは金融政策の方向性の違いにより日欧金利差拡大は継続するという市場予想などから、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円の終値は143円55~58銭付近で、前日同時刻比で約72銭の円安ユーロ高であった。
同様に、今日の日米欧の株高時のリスク選好市場でユーロが買われたことや、先述の米長期金利低下時の安全資産ドル売りなどで、ユーロは対ドルでも上昇し、17時の今日の東京外国為替市場のユーロドルの終値は0.9939~0.9941ドル付近で、前日同時刻比で約0.65セントのユーロ高ドル安だった。今日の日本市場の午後には、ユーロドルは一時0.9995ドル付近のパリティ(等価)水準にも迫ったが、欧州景気懸念から市場高値になったユーロが利益確定売りで売られる抵抗もあった。
原因は、今日の夕方に発表された欧州の最新経済指標の9月のサービス部門購買担当者景気指数(PMI)の改定値が、フランスが前回と市場予想の53.0を下回る52.9で、ドイツも前回と市場予想の45.4を下回る45.0、欧州ユーロ圏の総合でも前回と市場予想の48.9を下回る48.8であったことなどが、欧州景気懸念のユーロ高の抵抗要因になった。またポーランド中央銀行が、市場予想に反して今月の利上げを行わない。
今日の英国ポンドの円相場は、17時の東京外国為替市場の終値は164円75〜81銭付近で、前日同時刻比では約64銭の円高ポンド安に転じた。原因は、前日にポンドが急騰し、対ドルで一時1.1488ドル付近の約2週間ぶりのポンド高ドル安を記録していたことから、今日の日本市場の午後に時差で朝の英国ロンドン外国為替市場では、朝から高値感のあった英ポンドが英国景気懸念での利益確定売りと、持ち高調整で安全資産のドル買いや低リスク通貨の円買いが値動きに影響した。
ただし、今夜17時半に発表された英国の最新経済指標の9月のサービス部門購買担当者景気指数(PMI)の改定値が、前回と市場予想の49.2に対して50.0に向上していたことでは、一時的なポンド買いの抵抗も入っていた。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年10月5日の日本時間(JST)19時22分(英国夏時間(GMT+1)11時22分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:22の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 144.42 〜 144.43 | -0.23(円高) |
ユーロ/円 | 143.21 〜 143.23 | +0.38(円安) |
ユーロ/ドル | 0.9915 〜 0.9917 | +0.0041(ドル安) |
英ポンド/円 | 164.31 〜 164.37 | -1.08(円高) |
スイスフラン/円 | 146.65 〜 146.71 | -0.45(円高) |
豪ドル/円 | 93.36 〜 93.40 | -0.33(円高) |
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