FXニュース:米FRBのボストン連銀コリンズ総裁もタカ派発言
2022年11月21日東西FXニュース – 2022年11月21日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米国利上げ継続予想で長期金利上昇時の日米金利差拡大
- 中国コロナ再流行のリスク回避の元売りドル買い影響も
- 最新の独生産者物価指数 (PPI) がマイナス4.2%に低下
今日2022年11月21日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値の140円98銭前後から高値の140円15銭前後の値動き幅約83銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は140円91〜93銭付近で、前営業日同時刻の前東京終値と比較すると約1円10銭の大幅な円安ドル高であった。
また、今夜その後の欧州英国市場では17時台から141円台に乗せ、円安ドル高が更に進行している。
主な原因は、先週金曜の夜から土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の高官達の米国利上げ長期化予想を強める相次ぐタカ派発言があり、米長期金利が上昇時の日米金利差拡大によるドル買い円売りの影響がまず挙げられる。
前回の東西FXニュースでも予告していた通り、先週金曜の夜の日本時間22時40分から米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米ボストン連銀のコリンズ総裁の発言があり、今でも高すぎる米国のインフレ抑制のために次回の米利上げに関しても「0.75%の選択肢もまだある」と発言したことから、米大幅利上げの継続と長期化の可能性を示唆するタカ派発言と市場で受け止められて為替相場の値動きに影響した。
前日までの米セントルイス連銀ブラード総裁のタカ派発言と合わせると、複数の米FRB高官が大幅利上げの継続と長期化についての発言を最近したことになり、先日の米CPI発表以降は一時低下していた米大幅利上げ継続予想が再び強まり、米長期金利が上昇し、かねてからの円安要因であった日米金利差拡大によるドル買い円売りが再燃した。
ただし、米国ニューヨーク市場では週末を控えたポジション調整や、翌週にあたる今週の木曜の11月24日には感謝祭 (Thanksgiving Day) のホリデーの予定を控えており、市場高値圏をつけたドルには利益確定売りや、持ち高調整の円買いなどの抵抗も加わった。
また、金曜の深夜24時に発表された最新米国経済指標は、10月の米景気先行指標総合指数が前月の-0.4%〜-0.5%と市場予想の-0.4%に対し-0.8%の市場予想以下に低下したこともドル売り抵抗の一因となったが、同時発表の10月の米中古住宅販売件数は前月の-1.5%と市場予想の-6.6%に対して-5.9%で市場予想ほどの悪化ではなかったことや、米中古住宅販売件数の年率換算件数では前回の471万件と市場予想の440万件に対して443万件に前回と市場予想以上に上昇していたことでは米景気好感によるドル買い要因もあり、抵抗によるドルの下げ幅は限られた。
そのため、先週末土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場の終値は140円35~45銭付近で、前日同時刻比で約20銭の円安ドル高であった。
週が明けて、そのトレンドを受けて始まった今日のアジア・オセアニア地域の海外FX市場と日本の東京外国為替市場でも、前述の米連邦準備理事会(FRB)高官達のタカ派発言の連続コンボを受けて、米長期金利が上昇し、主要通貨に対するドル買いが優勢になった。
ただし、市場予想値を示すフェッド・ウォッチ・ツール (Fed Watch Tool) では、米CPI発表後に次回0.75%の大幅利上げ予測値は20%以下に下がっていたものが、25%付近に上昇はしたものの、0.50%の市場予想値がまだ過半数を超えであったことなどでは、日本市場では今朝はまだ比較的穏やかなドル上昇幅であった。時間外の米債権市場でも日本時間の今朝の取引では、米長期金利の指標となる米10年債の利回り上昇が一時は停滞していた。
しかし、今朝10時頃の仲値決済では、日本企業の輸入実需による円売りドル買い注文が入り、円安ドル高トレンドが再び進んだ。
昼過ぎには、日本市場と時間帯が近いアジア・オセアニア市場などで、中国の新型コロナの再流行を警戒したオフショアのリスク回避の中国人民元売りで、世界的に流動性の高い安全資産のドルが買われて上昇し、全般的なドル高として他の外貨にも影響が波及し、円やユーロなどの主要通貨に対しても、ドル高傾向が見られた。
日本市場の午後になり、時差で朝の欧州英国市場が参入すると、時間外の米10年債の利回りが3.82%付近に再上昇し、先述の米利上げ長期化予想も相まって、日米金利差拡大予想によるドル買い円売りで円安ドル高が進んだ。
そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は140円91〜93銭付近で、前営業日同時刻比で約1円10銭の大幅な円安ドル高になり、その後にも欧州や英国ロンドン外国為替市場でのドル買い円売りの勢いは続き、ドル円は17時台から141円台前半に乗せ、19時台には141円台後半へと円安ドル高が更に進行している。
最近の海外FX市場でのドル円は米長期国債の利回りが指標となる米長期金利につられて値動きすることが多いが、その米長期国債の利回り予想時には米中短期国債などの利回りにも注意が払われることがあり、今夜この後には特に注目されている米経済指標の発表予定はないものの、深夜過ぎの1時半に米2年債の入札予定と3時に米5年債の入札予定があることも、FXトレーディングの先読み値動き予想材料に挙げている海外FXトレーダー達もいる。
一方、今日の欧州ユーロは、17時の今日の東京外国為替市場のユーロドルの終値が1.0258~1.0259ドル付近で、前営業日同時刻比で約1.17セントの大幅なユーロ安ドル高だった。
先週金曜の欧州市場では、欧州主要株価指数の上昇を受けたリスクオンのユーロ買いドル売りでユーロドルは一時ユーロ高ドル安になっていたのだが、同市場後半から始まった前述の米国市場での米FRB高官のタカ派発言を受けて、米利上げ継続予想の米長期金利上昇のドル買いや、今日の安全資産のドル買いなどで今日は大幅なユーロ安ドル高に転じていた。
また、今日の午後16時に発表された欧州ユーロ圏のドイツの最新経済指標の10月の独生産者物価指数 (PPI) の前月比は、前回の2.3%と市場予想の0.6%に対して-4.2%に低下したことで、欧州中央銀行 (ECB) にも先日のラガルド総裁の発言などから欧州大幅利上げ減速予想も出ていたことから、米欧金利差拡大予想によるユーロ売りドル買いも入った。
基軸通貨のドルに対するユーロ安の影響は、他の主要通貨である円相場にも波及したため、今夜17時の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は144円58~60銭付近で、前営業日同時刻の前東京終値比で約49銭の円高ユーロ安であった。
しかし、その後にドルに対する円安が141円台になった今夜の欧州英国市場では、円安の影響もユーロの円相場に波及したことから、19時台には前営業日の東京終値比で一時僅差の円安ユーロ高にも円高ユーロ安にも転じるレンジ付近での値動きが入り、20時頃には円安ユーロ高に市場反転している。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は166円48〜54銭付近で、前営業日同時刻の前東京終値比では約39銭の円高ポンド安であった。
先週末の英国ロンドン外国為替市場では、英新首相のリシ・スナク政権の増税と歳出削減を含んだ英財政再建策の発表後の英景気懸念のポンド売りの後に、英国ポンドのイベントリスク軽減による買い戻しが一時入っていたが、今日の日本市場では、欧州ユーロ同様に英国ポンドもドルに対してポンド安になった影響が、ポンド円相場にもポンド安として波及した。
しかし、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、円相場も対ドルで141円台に乗せ、より大幅な円安ドル高になったために、今夜20時頃までにはポンドのなどの多通貨に対しても前営業日比で円安ポンド高に転じている。
同様に、今夜20時頃には、米ドルや欧ユーロや英ポンドの他にも、豪ドルやスイスフランなどの他通貨に対しても影響が波及し、全面的な円安傾向が観測されていた。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2022年11月21日の日本時間(JST)20時15分(英国時間(GMT)11時15分)付近の、クロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 20:15の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 141.78 〜 141.79 | +1.97 (円安) |
ユーロ/円 | 145.17 〜 145.19 | +0.10 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0237 〜 1.0238 | -0.0138 (ドル高) |
英ポンド/円 | 167.51 〜 167.57 | +0.64 (円安) |
スイスフラン/円 | 147.93 〜 147.99 | +0.76 (円安) |
豪ドル/円 | 93.83 〜 93.87 | +0.18 (円安) |
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