FXニュース:米雇用統計前の利上げ長期化予想で134円台に
2023年1月06日東西FXニュース – 2023年01月06日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米ADP雇用指標でも米長期金利上昇時のドル高に
- 米連邦準備理事会(FRB)利上げ長期化予想優勢
- 「日銀長短金利操作のYCC再修正急がず」の報道
- 円安要因の日米欧英金利差拡大予想の円売り影響
今日2023年1月6日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間のドル円相場の為替レートは、円の安値134円42銭前後から高値133円28銭前後の値幅約1円14銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は134円25~27銭付近で、前日同時刻の前東京終値比で約1円77銭の大幅な円安ドル高であった。
今日の値動きの主な原因はまず、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で発表された最新の米国経済指標の数々を受けて米国連邦準備制度理事会 (FRB) の利上げ長期化予想が優勢になり、米長期金利が上昇し、かねてからの円安要因であった日米金利差拡大予想による円売りドル買いが再燃した。
日本時間の昨夜22時15分に発表された最新の米国経済指標の前年12月分の米ADP全米雇用報告の非農業部門雇用者数の前月比が、前回の12.7万人と市場予想の13万人を上回る23.5万人増で、続いて22時半に発表された前週分の米新規失業保険申請件数も前回と市場予想よりも改善しており、堅調な米国雇用市場を背景とした賃金上昇圧や景気懸念の後退などもあり、米国のインフレ抑制を目的とした米連邦準備制度理事会 (FRB) の利上げ長期化予想が優勢になり、日米金利差拡大予想による円売りドル買いで円相場のドルが一時大幅に急騰し、ユーロなどの他の主要通貨に対しても一時全面ドル高になった。
同時刻の昨夜22時半には前年11月分の米国貿易収支も発表され、前回と市場予想よりも赤字額が減っており、米利上げ継続や長期化の抵抗要因となる米国の景気懸念も減退した。
更に、昨夜23時45分にも米国経済指標の発表が続き、前年12月の米サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 改定値が前回と市場予想の44.4に対して44.7に上昇し、また同月の総合の米国購買担当者景気指数 (PMI) の改定値も前回の44.6に対して45.0に上昇し、米利上げ継続の抵抗要因であった米国の景気懸念が緩和された。
米長期金利が上昇して一時3.78%を超え、日米金利差拡大時の円安ドル高が進んだことで、市場開始時頃には一時132円74銭付近の円の高値でドルの安値だったドル円は、これらの経済指標発表後の深夜過ぎには一時134円4~5銭付近の同米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
その後には米セントルイス連銀のブラード総裁が「米国のインフレは依然として高すぎるが、緩やかになってきている」と発言したなどをきっかけとした高値のドルの利益確定売りが入ったほか、同時進行中だった米国ニューヨーク株式市場では金利上昇での企業の決済への影響の警戒感からリスク回避の株売りで反応したことで株価三指数が下落し、ドルに続く安全資産の低リスク通貨の円が安値で買われる抵抗が加わり、ドル円は一時132円95銭付近にまで戻した。
しかし、同じく同時進行中だった米債権市場では、米10年債利回りが指標となる米長期金利が一時の安全資産の国債買いのリスクオフでやや下げた後には反発し、再び上昇して3.7%台を超えたため、日米金利差拡大時の円売りドル買いが入り、再びドル円は133円台に乗せて上昇トレンドになった。
そのため、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の終値は133円41~45銭付近で、前日同時刻の前ニューヨーク終値比で約80銭の円安ドル高であった。
その後に始まった今日の日本の東京外国為替市場でも、米国トレンドを引き継いで、最新の米国経済指標を受けた米長期金利上昇時の日米金利差拡大予想の円売りドル買いで、ドルが上昇し、円相場が下落した。
今朝は8時半の日本市場の開始前には日本の最新経済指標の発表もあり、日本政府の厚生労働省が昨年11月分の毎月勤労統計調査を発表しており、物価変動の影響を除く実質賃金は前年同月比3.8%減で、インフレ物価上昇の影響がやや懸念され、今朝9時には今日の日本市場の円の高値でドルの安値の133円28銭付近から始まった。
しかし、今朝9時55分の仲値決済に向けては、日本は来週の月曜日は「成人の日」の祝日で、今日は連休前の週末ではあるが、米国市場からの上昇トレンドのドルを安値感のあるうちに輸入用で押さえておきたい日本企業のオーダーなどもあり、まとまった円売りドル買いで円相場が下落した。国内輸出企業による円買いドル売りの抵抗も混ざったものの、日米金利差拡大による大きな流れでのドルの上昇トレンドの中では一時的な抵抗となり、今朝133円台前半から始まったドル円は、10時台には133円台後半へと円相場が下落した。
今日の午後のニュースでは、「日本銀行 (日銀 / BoJ) は、先月の日銀金融政策決定会合で決めた長短金利操作のイールドカーブコントロール (YCC) の運用見直しの影響と効果を見極める局面にあり、現段階でさらなる修正を急ぐ必要はないとみている」という政府関係者への取材時の発言が米ブルームズバーグ日本語版などで報道されたことをきっかけに、年始の円買い要因であった年末の日本の経済紙掲載の日銀の早期の金融政策修正の可能性の市場予想の減退が起き、日米金利差拡大予想による円売りドル買いが勢いを増したことが原因となり、午後には一時134円台へとドルの上昇と円相場の下落が続いた。
今日の日経平均株価は今朝の一時下落後に反発上昇し、午後15時15分に25,973円85銭の前日比153円5銭高で大引けしていたことでリスクオン市場に転じ、低リスク通貨の円売りではユーロ買いも入っており、ユーロに対しても円安になっていた。
ただし、今夜この後の米国市場でも米連邦準備制度理事会 (FRB) が重視する最新の重要米国経済指標の米雇用統計などの発表予定があるために、午後からの欧州英国市場の参入では今夜の米ドルのイベント前の持ち高調整も入り、また時間外の米10年債の利回り上昇がやや低下してきたことや、昨年12月28日のドルの高値の134円50銭付近がレジスタンスとして意識されたことでは、134円台から一旦133円台に戻したドル円は再び134円台に乗せた後には、イベント前のドルの買い控えの抵抗もやや混じり始めたものの、昨夜や今朝と比較すると、日米金利差拡大予想などにより大幅に上昇していた。
そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は134円25~27銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約1円77銭の大幅な円安ドル高になった。
また、今夜の欧州英国市場では、18時台に前述のレジスタンスの134円50銭の手前付近にまで上値を伸ばし、その後の19時台にはやや横ばいに近い動きになっている。
今夜この後には最新の米国経済指標の発表予定があり、日本時間でのスケジュールは、重要度が高い22時半の米国雇用統計の米失業率、平均時給、非農業部門雇用者数、製造業雇用者数に続き、深夜24時に2022年12月の米ISM非製造業景況指数と11月の米製造業新規受注などが発表される。
特に米雇用統計は、今後の市場予想や値動きに影響を与える可能性が高いとして、世界のFXトレーダーや投資家達にも注目されている。結果によっては、昨夜のADPなどで上昇したドルが反落するリスクも抱えている一方で、さらなるドルの上昇の可能性もあるために、今夜の欧州英国市場では、発表前のドルの持ち高調整や買い控え等の様子見も入っている。
また、今夜その後には米連邦準備制度理事会 (FRB) 関係者の発言予定もあり、日本時間25時15分から米FRBのクック理事の発言と米アトランタ連銀のボスティック総裁の発言、26時15分には米リッチモンド連銀のバーキン総裁の発言、27時からは米カンザスシティ連銀のジョージ総裁の発言予定などがあり、値動きに影響を与える可能性のあるタカ派またはハト派の発言などにも注意が必要である。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は141円13~16銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約63銭の円安ユーロ高であった。
原因は、今日のドルに対する大幅円安の影響が波及したほか、午後には前述の日本株上昇時のリスクオンの円売りユーロ買いの影響などもあった。
ユーロドルは、17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0511~1.0512ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比では約0.94セントのユーロ安ドル高であった。
原因には、先述の米国経済指標を受けた米国利上げ長期化予想による欧米金利差によるドル高の影響が見られた。
また、今夜の欧州市場では19時に最新の欧州ユーロ圏の重要経済指標の12月の欧消費者物価指数 (HICPコア指数) の速報値が発表され、前年同月比が前回の10.1%と市場予想の9.5%に対して9.2%であったが、HICPコア指数の前年同月比は前回の5.0%と市場予想の5.1%に対して5.2%で、ユーロドルには横ばいに似た動きでやや揉み合うような印象もあったが、HICP低下では欧州中央銀行 (ECB) の積極的な大幅利上げ継続予想がやや弱まったことではそれまでのユーロ安ドル高が20時台になっても継続している。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は159円70~76銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約91銭の円安ポンド高であった。
原因は、ドルやユーロに対する今日の日米欧米金利差拡大予想による円売りの影響が、同じく利上げ方向の金融政策を取ってきた英国ポンドに対しても円安として波及しており、今日の東京終値では、主要通貨に対する全面的な前日比の円安が観測されていた。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年1月6日の日本時間(JST)20時32分(英国時間 (GMT) 11時32分)付近の、人気のクロス円を中心とした東京外為前日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 20:32の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 134.31 〜 134.32 | +1.83 (円安) |
ユーロ/円 | 141.12 〜 141.14 | +0.62 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0504 〜 1.0508 | -0.0101 (ドル高) |
英ポンド/円 | 159.24 〜 159.30 | +0.45 (円安) |
スイスフラン/円 | 142.99 〜 143.05 | +0.59 (円安) |
豪ドル/円 | 90.56 〜 90.60 | +0.53 (円安) |
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