FXニュース:3月の米PMI総合が市場予想以上
2023年3月27日東西FXニュース – 2023年03月27日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米連銀ブラード総裁がタカ派発言
- 米景気懸念緩和で米長期金利回復
- 米株回復時の低リスク通貨円調整
- 欧米株価リスクオフとリスクオン
今日2023年3月27日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値131円37銭前後から高値130円41銭前後の値幅約96銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は130円96~98銭付近で、前営業日17時の前東京終値比で約71銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの要因はまず、先週金曜の夜の欧州英国市場では、先日に欧州中央銀行 (ECB) が欧州金融不安よりもインフレ抑制優勢で大幅利上げを継続した後に景気への警戒感が高まっており、欧州株式市場でドイツ銀行株の急落をきっかけに安全資産の欧米国債が買われて債権価格上昇に伴い利回りが低下し、日欧米金利差縮小時の低リスク通貨の円買いによるリスク回避で円相場が上昇し、金曜の夜19時過ぎにドル円は一時129円64〜65銭付近の2月3日以来の円高ドル安を記録した。
しかし、金曜の夜の欧州英国市場の後半から始まった土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、前回の東西FXニュースで予定をお知らせしていた通り、22時半から米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国セントルイス連銀のブラード総裁の発言があり、「米国経済が好調を維持すれば金融セクターのストレスが緩和される見通しであることから、インフレ抑制に向けて、予想以上の高金利が必要になる可能性が高い」ことから、自身の「年末の米国政策金利の見通しを5.50〜5.75%にした」とのタカ派発言を受けて、次回の米国連邦公開市場委員会(FOMC)での投票権はないものの、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官のタカ派発言は話題になり、日米金利差拡大予想の高値の円の利益確定売りと安値のドル買いが起き始めた。
また、その直後の金曜の夜22時45分に発表された最新の米国経済指標の3月の米国購買担当者景気指数 (PMI) 速報値の米国製造業サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) が前回の50.6と市場予想の50.5を大きく上回る53.8で、米国製造業購買担当者景気指数 (PMI) も前回の47.3と市場予想の47.0以上の49.3で、米国総合購買担当者景気指数 (PMI) も前月の50.1と市場予想の49.5に対して53.3の約10カ月ぶりの高さに上昇し、米国景気懸念が緩和された。
米国景気懸念緩和による安全資産の高値の米国債売りで、前述の欧州英国市場のリスク回避の影響で一時は3.2799%付近の昨年9月13日以来の低利回りを記録した後の米国長期金利は3.39%台付近に回復上昇を示したことで、日米金利差拡大時の高値の円の利益確定売りと安値のドルが買い戻しの動きが強まり、土曜の午前2時前頃には一時130円90銭付近まで円相場でドルが買われた。
同時進行中だった米国ニューヨーク株式市場でも、一時は下落していた米国株が回復上昇傾向を見せたことで、それまでのリスク回避が緩和されたことでも低リスク通貨の円売りと、投資用のドル買いがあった。
また、この日にはイエレン米財務長官が金融安定監視評議会(FSOC)の緊急会合を開催するために米国金融監督当局の責任者達を招集したという話題などが投資家達の間で広まっており、米国金融不安緩和から高値の国債の利益確定売りと安値の米国株の買い戻しが入ったことなども影響を与えていた。この緊急会合については非公式ニュースとの噂もあったが、その後に同じく噂としてリークされていたが正式に合意に至った米国連邦預金保険公社 (FDIC) 管理下だった先日破綻した米国金融不安の原因となったシリコンバレー銀行 (SVB) を、米国中堅銀行のファースト・シチズンズ・バンクシェアーズ (FCNCA) との買収案に向けての交渉が進んだ段階にあるというリーク情報もあり、大幅利上げ後の欧州株価下落に対し、通常利上げ後の米国株が上昇回復傾向を見せたことで、ユーロ売りドル買いの投資系の影響もドル円相場に波及していた。
しかし、円相場ではそれまでの欧州英国市場時間のドル低下後の影響がまだ残っており、米国市場でドルは一時の129円台からの下げ幅は大幅に縮小したものの、先週末の土曜朝までのニューヨーク外国為替市場のドル円相場は円の高値129円86銭前後から安値130円90銭前後の値動きで、先週末の土曜の朝6時頃のニューヨーク終値を130円73銭付近の前日同時刻比比で約12銭の円高ドル安でつけていた。
週が明け、今朝8時50分に日本の最新経済市場が発表され、2月の企業向けサービス価格指数は前回の1.6%と市場予想の1.7%に対し1.8%で、市場予想以上のサービス・インフレを示したが、日本の場合にはインフレ抑制が金利上昇には繋がっていないために市場反応は乏しく、今朝9時から始まった今日の日本の東京外国為替市場では、先週金曜夜に発表された最新の米国経済指標の3月の米国購買担当者景気指数 (PMI) 上昇による米国景気懸念緩和によるドル買いの影響が継続した。
ただし、今朝9時55分頃の週明け日本市場での仲値決済では、日本の輸出企業の円買いドル売りの一時抵抗が入った。
しかし、先週末の米国市場での米国株価の回復上昇傾向の影響もあり、今日は日経平均株価も回復上昇傾向を見せたため、以前のリスク回避で買われていた安全資産売りでは、低リスク通貨の円の利益確定売りが入り、円相場では再びドルが上昇した。
また、前述の先週末の米国市場ではまだ非公式のリーク情報や噂の段階であったが、今日のニュースでは米国連邦預金保険公社 (FDIC) が、先日経営破綻し米国金融不安のきっかけになった米国中堅銀行のシリコンバレーバンク (SVB) の買収案が進み、米国銀行持ち株会社のファースト・シチズンズ・バンクシェアーズ (FCNCA) が買収に合意したと正式に発表したことで米国金融不安緩和によるドル買いが進み、午後15時台には日本の株式市場で今日の日経平均株価が27,476円87銭の前営業日比91円62銭高に上昇して大引けしたこともあり、低リスク通貨の円の先週末の高値記録後の利益確定による持ち高調整売りが進んだ。
更に、午後からの欧州英国市場の参入では、週明けの米国株価指数先物や欧州株指数が一時上昇して始まったことでは、リスクオンの円売りで一時131円36~37銭付近の今日の日本市場での円の安値でドルの高値の前営業日比で一時1円以上の大幅な円安ドル高を記録した。
しかし、欧州金融不安の燻りも残っており、欧米株には早期の利益確定売りが入って直後に上昇幅を縮めたことでは、再びユーロに対する安全資産の国債買いや、世界的な流動性の高さから安全資産でもあるドル買いや、そして欧米金融不安時から人気が上昇していた低リスク通貨の円買いのリスク回避の抵抗も混ざった。
また、今日の午後14時に発表されていた日本の最新経済指標の1月の景気一致指数 (CI) の改定値は前回の96.1に対し96.4で、1月景気先行指数 (CI) の改定値も前回の96.5に対し96.6に上昇し、日本景気への好感もあったことで、金利上昇リスクのない低リスク通貨の円買いが、欧米株価の低下時には買われやすくなっていた傾向も残っていた。
そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は130円96~98銭付近で、前営業日である先週金曜17時の前東京終値比では約71銭の円安ドル高になった。
今夜その後の欧州英国市場では、19時台には再び前営業日比で約1円を超える円安ドル高で推移している。
今夜この後の米国市場では日本時間の26時に米国2年債の入札予定があるが、今日は注目度の高い米国経済指標の発表予定は特に通知されていない。ただし、明日には最新米国経済指標の住宅価格指数や消費者信頼感指数、そして米国金融不安の原因になった米国銀行破綻に関連した米国上院での公聴会などが予定されている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は140円88~91銭付近で、前営業日の先週金曜17時の前東京終値比で約15銭の円高ユーロ安であった。
ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0756~1.0757ドル付近で、前営業日の先週金曜17時の前東京終値比では約0.71セントのユーロ安ドル高であった。
原因は、前述の通り、金利上昇後の欧州景気への警戒や金融不安の燻りの影響などによる株価影響のリスク回避の安全資産買いで欧州国債が買われて欧州長期金利低下時の低リスク通貨の円買いや、世界的に流動性が高い第一安全資産のドルが、米国景気好感や金融不安の沈静化に向けて買い戻された影響などが出ていた。
ただし、今夜17時に発表された欧州ユーロ圏の最新経済指標のドイツの3月の独IFO企業景況感指数も、前回の91.1と市場予想の91.0に対し93.3に上昇したことでは一時リスクオンになり、安値圏からユーロが買い戻される抵抗も入っていた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は160円14~20銭付近で、前営業日の先週金曜17時の前東京終値比で約28銭の円安ポンド高であった。
原因は、先週の英国ロンドン外国為替市場では、先日の10.4%の英国の高インフレを受けて、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) の利上げ長期化予想により23日に一時英国ポンドが対ドルで2月上旬以来の高値を記録後で、高値圏からの利益確定のポンド売りと持ち高調整のドル買いが優勢であったが、今日の午後からの英国ロンドン外国為替市場では、今日の英国株価が上昇して始まったことで、リスクオンの低リスク通貨の円売りやドル売りに転じ、再び英国利上げ継続予想などもあって、ポンドの買い戻しが入ったことが影響を及ぼしていた。
今夜26時頃からは、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) のベイリー総裁の発言予定があり、想定外の英国のインフレ継続の影響により、以前には一時は利上げ停止予想も出ていた英ポンドの利上げ長期化予想の浮上により、日英金利差拡大予想で英ポンドが買われ、リスクオン時の低リスク通貨の円売りの持ち高調整も出ていることなどが、今日の日本市場の英ポンド円の為替相場の値動きにも影響を与えていた。
なお、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場は、先週末から英国夏時間になり、今日から日本との時差が1時間縮まったことで、英国冬時間には9時間、英国夏時間には8時間先行する日本市場に影響を与える時間が1時間ほど伸びたことも今日は特筆すべき留意点である。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年3月27日の日本時間(JST)19時15分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間の夏時間 (GMT+1) 11時15分)の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:15の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 131.37 〜 131.38 | +1.12 (円安) |
ユーロ/円 | 141.44 〜 141.45 | +0.41 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0765 〜 1.0767 | -0.0062 (ドル高) |
英ポンド/円 | 160.97 〜 161.03 | +1.11 (円安) |
スイスフラン/円 | 143.41 〜 143.47 | +1.31 (円安) |
豪ドル/円 | 87.27 〜 87.31 | +0.42 (円安) |
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