FXニュース:米JOLTS求人数が市場予想以下
2023年5月03日東西FXニュース – 2023年05月03日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米銀株安で金融不安リスク回避
- 欧米株安で低リスク通貨円買い
- 米ホワイトハウスが利上げ牽制
- 米FRBのFOMC結果発表を控え
- 欧ECBの大幅利上げ予想が後退
今日2023年5月3日水曜日の日本の東京外国為替市場はゴールデンウィークの憲法記念日の祝日休場ですが、海外FX市場や世界市場は通常営業のため、9時から17時頃までの外為取引相当時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値136円63銭前後から高値135円73銭前後の値幅約90銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値相当時間の対ドル円相場は135円78~79銭付近で、昨夜17時の137円59~60銭付近の前東京終値比で約1円81銭の大幅な円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの要因と世界市場のトレンド動向の分析は、日本時間で昨夜から今朝までの米国ニューヨーク (NY) 外国為替市場で昨夜23時に発表された最新米国経済指標の3月の米国雇用動態調査 (JOLTS) 求人件数が、前回の993.1万件と前回修正の997.4万件と市場予想の977.5万件に対し959.0万件に3カ月連続で減少し、約2年ぶりの低水準を記録したことを受け、米国労働市場の想定外の低迷により米国利上げ抵抗要因の景気懸念が浮上し、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の利上げ後の停止または終了の市場予想や、米国経済のリセッション (景気後退) 入りへの警戒感などでリスク回避の安全資産の米国債買いが起き、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が低下し、日米金利差縮小時の円買いドル売りにより円相場が上昇した。
同時発表だった3月の米国製造業新規受注の前月比も、前回の-0.7%と前回修正の-1.1%よりは改善されたものの、市場予想の1.1%には届かない0.9%であった。
米国連邦準備理事会 (FRB) には、米国現地時間で本日3日 (日本時間では時差で明日4日の早朝未明) まで開催される米国連邦公開市場委員会 (FOMC) での0.25%の利上げ継続予想が優勢で、市場ではほぼ織り込み済みではあったが、最新の米国経済指標を受けて、今回が最後の利上げになる可能性が高まったとの市場予想から、米国利上げ終了予想による円買いドル売りも入り、先週金曜の日本銀行 (日銀 / BoJ) の金利抑制の大規模緩和金融政策継続の発表後に進行した円安ドル高後のドルの利益確定売りも入り、円相場は反発を始めた。
また、昨夜に同時進行中だった米国ニューヨーク株式市場でも、米国労働市場の低迷による米国景気懸念の株売りの安全資産買いに加えて、昨日にイエレン米国財務長官が「米国連邦債務を上限未満に維持するための特別会計措置について、早ければ6月初旬に使い切る可能性がある」と発言したニュースが話題になり、先日経営破綻で買収された米国地方銀行のファースト・リパブリック・バンク (FRC) 以外の他の銀行株にも債務上限問題への警戒感から売りが出たことで米国金融システム不安が再燃し、米国株価三指数は大幅安になり、ダウ工業株30種平均も一時610ドル超も下落し、米国KBW地方銀行株指数も4.4%の急落を見せて安全資産の米国債買いが強まり、米国長期金利は一時3.42%付近に低下し、日米金利差縮小時の円買いドル売りが加速し、原油価格低下時の日本の貿易赤字リスク低下も相まり、米国株安時のリスク回避で低リスク通貨の円が買われて円相場が更に上昇し、ドル円は一時136円32銭付近の米国市場および日通しでの円の高値でドルの安値を記録した。
決算報告シーズンの米国株式市場では、米国地方銀行株だけでなく、米国ダウ工業株30種平均の銘柄で、先日のファースト・リパブリック・バンク (FRC) の買収救済案に合意した米国金融大手の米国JPモルガン・チェース (JPM) や、ゴールドマン・サックス (GS) の大手金融株なども売られて下落し、今後の救済買収がやりにくくなる可能性などから、決算報告で他にも危ない銀行が見つかるのではないかという破綻連鎖への警戒などの株売りを強める一因になった。その際に、以前に米国の金融システム不安は、スイスのクレディ・スイスなどの欧州周辺にも飛び火した経緯があったため、米国株安時のリスク回避のリスクオフでは、ドルからでも買える低リスク通貨の日本円が好んで買われていた。
ただし、安値での米国株買いの抵抗もあったことでは、今朝までの米国ニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は3万3684ドル53セントの終値で、前営業日比で1.1%減の367ドル17セント安で終えた。米国ナスダック総合株価指数も前日比で同様の1.1%安の1万2080ドル506セント付近の終値だった。
そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は、円の安値137円58銭前後から高値136円32銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値は136円55銭付近で、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約95銭の円高ドル安で、先週金曜の日本銀行 (日銀 / BoJ) の発表以来の4営業日ぶりの円相場の反発上昇になった。
その後のアジア・オセアニア市場時間では、日本と中国が祝日休場であったが、海外FXは通常取引可能で時間帯の近い世界FX市場も動いており、今朝は米国ホワイトハウスからの「米国連邦準備制度理事会 (FRB) の利上げが、銀行業界に悪影響を与えている」という利上げ牽制発言のニュースが話題になり、米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の結果公表を今夜この後の明日早朝未明に控えていることから、イベントリスクによる持ち高調整の円売りドル売りもあった。
また、米国株式市場の影響もあり、今日はアジアの株式市場でも株価が下落したことで低リスク通貨の円が買われて、円相場が一時135円92銭付近に上昇した。ただし、136円を下回ったことでは、高値の円の利益確定売りや安値のドル買いの抵抗も入った。
しかし、午後からの欧州英国市場では、米国金融システム不安が再燃している影響で欧州周辺への再波及への警戒感などもあり、今日の日本市場該当時間に時間外の米国債券市場で米国長期金利の指標となる米国10年債の利回りが3.40%台に低下したことを受け、ドル円は135円73銭付近の今日の日本市場該当時間の円の高値でドルの安値を記録した。
そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値相当時間のドル円相場は135円78~79銭付近で、昨夜17時の137円59~60銭付近の前東京終値比では約1円81銭の大幅な円高ドル安になった。
今夜この後にも最新の米国経済指標の発表予定や、米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 終了後の米国新政策金利発表や米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長の定例記者会見での発言予定などの大きなイベントが予定されている。日本時間での今夜のスケジュールは、20時に米国MBA住宅ローン申請指数、21時15分に4月の米国ADP雇用統計、22時45分に4月の米国の総合とサービス部門の購買担当者景気指数 (PMI) 改定値、23時に4月の米国ISM非製造業景況指数、そして、27時に世界が注目する米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 後の米国新政策金利と声明の発表予定と、続いて27時半から米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の定例記者会見での発言予定の重要イベントがあり、為替相場の値動きへの影響が予想されており、すでに米ドルのイベント前の持ち高調整や、イベントリスクの買い控えなどの様子見なども世界市場で入り始めている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値相当時間のユーロ円相場は149円86~88銭付近で、昨夜17時の151円7~11銭付近の前東京終値比では約1円23銭の大幅な円高ユーロ安であった。
主な原因は、昨夜の欧州英国市場時間に欧州中央銀行 (ECB) が発表した4月の欧州ユーロ圏の銀行貸し出し調査で、欧州企業の融資の信用基準の厳格化や企業ローン需要減少が示されたことや、欧州連合 (EU) 統計局が発表した4月の欧州ユーロ圏消費者物価指数の前年同月比の上昇率は市場予想通りの7.0%であったものの、食品とエネルギー等を除いたコア指数は市場予想以下の5.6%上昇率で、インフレ抑制のための欧州中央銀行 (ECB) の大幅利上げ予想が後退したことで、小幅利上げ継続の可能性から、ユーロが売られていた。
また、前述の欧米株安時のリスク回避では、低リスク通貨の円がドルだけでなくユーロなどに対しても買われて円相場が上昇した影響も出ていた。
昨日の夕方に欧州ユーロは円相場で一時151円61銭付近の2008年9月以来のおよそ14年8カ月ぶりの高値を記録後であったために、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、ユーロの利益確定売りと安値の円の持ち高調整も入りやすくなっており、米国株式市場の金融不安警戒の影響で欧州株価下落時のリスク回避の円買いは対ユーロでも優勢で、一時149円84銭付近の米国市場と日通しの円の高値とユーロの安値も記録していた。
ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値相当時間は1.1034ドル付近で、昨夜17時1.0978ドル付近の前東京終値比で約0.56セントのユーロ高ドル安であった。
昨夜の連休明けの欧州英国市場では、欧州ユーロ圏のコア・インフレ鈍化を受けた欧州中央銀行 (ECB) の大幅利上げ予想の後退により、米国と同じ小幅利上げ予想が強まったことで一時ユーロは対ドルで売られていたが、その後の米国市場での最新米国経済指標や金融不安を受けたリスク回避では、米国長期金利の低下幅の方が欧州長期金利よりも大きかった影響もありユーロ買いドル売りに転じ、今日の午後からの欧州市場の参入でも米ドルのイベント前の持ち高調整や買い控えもあり、ユーロ買いドル売りが優勢だった。
また今夜18時には欧州ユーロ圏の最新経済指標の3月の欧失業率が発表されたが、前回と市場予想の6.6%に対し6.5%に改善されたことも、昨夜の軟調だった米国雇用関連の指標と比較したユーロ買いドル売りをサポートしていた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値相当時間の英ポンド円相場は169円86~92銭付近で、昨夜17時の170円17銭付近の前東京終値比で約28銭の円高ポンド安であった。
主な原因は、昨夜の英国ロンドン外国為替市場でも、現地の祝日連休明けの英国株式市場が米国金融システム不安の波及への警戒感から欧米株式市場が下落した影響を受けてリスク回避市場になり、低リスク通貨の円買いポンド売りが優勢になっていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年5月3日の日本時間(JST)19時2分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時2分)の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:02の為替レート | 東京外国為替市場前日比 |
ドル/円 | 135.58 〜 135.60 | -2.00 (円高) |
ユーロ/円 | 149.63 〜 149.68 | -1.43 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.1036 〜 1.1038 | +0.06 (ドル安) |
英ポンド/円 | 169.68 〜 169.74 | -0.46 (円高) |
スイスフラン/円 | 152.74 〜 152.80 | -0.05 (円高) |
豪ドル/円 | 90.29 〜 90.33 | -1.87 (円高) |
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