FXニュース:米長期金利2ヶ月ぶり高水準
2023年5月19日東西FXニュース – 2023年05月19日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 堅調な米経済指標と雇用市場
- 米債務上限問題解決に向けて
- 日米株高で低リスク通貨売り
- 米FRB高官達の発言の影響も
- 米FRBパウエル議長発言控え
今日2023年5月19日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値138円66銭前後から高値137円97銭前後の値幅約69銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は138円10~11銭付近と、前日同時刻の前東京終値比で約29銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの要因と世界FX市場のトレンド動向の解説と分析は、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク (NY) 外国為替市場で昨夜21時半に発表された最新米国経済指標の5月の米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数が前回の-31.3と市場予想の-19.8に対し-10.4に大幅に改善され、前週分の米国失業保険継続受給者数も前回の181.3万人と前回修正の180.7万人と市場予想の181.8万人に対し179.9万人に減少し、前週分の米国新規失業保険申請件数も前回の26.4万件と市場予想の25.4万件に対し24.2万件に改善され、米国景気懸念が緩和され、米国雇用市場も堅調さを示し、米国長期金利が上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いが優勢になった。
続いて、昨夜23時に発表された4月の米国景気先行指標総合指数の前月比も前回の-1.2%に対し市場予想一致の-0.6%に改善していた。ただし、4月の米国中古住宅販売件数は前回と市場予想よりもやや減少しており、住宅価格インフレを含む米国のインフレ高止まりや継続の可能性も指摘されていた。
また、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達のタカ派発言もあり、次回6月13~14日に予定されている米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国ダラス連銀のローガン総裁が、「現在のデータは、米国の利上げ停止を正当化しない」と米国利上げ継続の可能性についての発言をし、米国セントルイス連銀のブラード総裁も、「米国のインフレが実際に抑制できるように、幾分か金利を引き上げるという保険をかけておくことが正当化される可能性がある」と英国経済紙フィナンシャルタイムズ (FT) のインタビューで発言しており、その一方で日本銀行 (日銀) の金利抑制の大規模緩和の金融政策は継続する市場予想が優勢であることなどから、一部で日米金利差拡大予想による円売りドル買いも起きた。
ただし、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェファーソン理事は講演で、「米国のインフレ抑制に向けた進展が、緩慢になってきている可能性がある」ものの、「これまでに実施した急速な利上げの完全な効果を評価するのは、現時点ではまだ時期尚早だ」というやや中立的な発言をしており、今夜この後のパウエル議長の講演での発言予定が注目されている。
パウエル議長発言前の今日の現時点では、次回の米国政策金利の利上げ幅の市場予測値を示すことで有名なフェッド・ウォッチ・ツール (CME Fed Watch Tool) では、次回の米国金利の据え置きの予測値が63.3%付近と、確定値の目安と考えられている70%付近を下回り始めてきており、次回利上げ予想が36.7%付近に上昇してきている。
しかし、前日に続き、米国連邦債務上限問題に関しては、バイデン大統領と米国与野党トップ議員達との上限引き上げに向けた協議への前向きな発言が関係者達から相次ぎ、米国共和党のマッカーシー下院議長が、米国連邦債務上限交渉の「合意に至る道筋が見えている」とポジティブな発言をし、来週にも米国下院で採決できるとの見解を示したほか、米国民主党のシューマー上院院内総務も、「米国下院通過後に、速やかに米国上院でも採決する」と発言し、6月がデフォルト (債務不履行) 期限と考えられていた米国連邦債務上限問題についての懸念が緩和され、期待感などから米国ニューヨーク株式市場がリスク選好 (リスクオン) 市場になって米国主要株価が上昇し、以前のリスク回避 (リスクオフ) で買われていた低リスク通貨の円が売られたほか、安全資産の米国債売りにより、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利がさらに上昇し、米国金融システム不安以来のおよそ2ヶ月ぶりの高利回りに達したことを受けて、日米金利差拡大による円売りドル買いの勢いが強まり、今朝4時半前には、一時138円75銭付近の2022年11月30日以来の円安ドル高を記録した。
そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は、円の高値137円77銭前後から安値138円75銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値を138円71銭付近の前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約1円3銭の大幅な円安ドル高で終えており、米国ニューヨーク外国為替市場のドルは円相場で6連続の続伸になった。
今朝8時半には日本の最新経済指標の発表があり、総務省の全国消費者物価指数 (CPI) の前年同月比は前回の3.2%に対し市場予想通りの3.5%で、生鮮食品を除くコアの総合指数も前年同月比で前回の3.1%に対し市場予想通りの3.4%の上昇を示し、生鮮食料品とエネルギー除く前年同月比は前回の3.8%と市場予想の4.2%に対し4.1%であった。
今朝9時からの日本の東京外国為替市場では、今朝6時までの米国ニューヨーク市場で円相場のドルが一時138円75銭付近の2022年11月30日以来の大幅な円安ドル高を記録していたというニュースなどにより、投資系や輸出企業などの高値のドルの利益確定売りと安値の円買いが優勢に転じたものの、前日比で円安ドル高の範囲内で今朝までの円の下げ幅を縮める形になったため、今朝9時1分頃の一時138円66銭付近が今日の日本市場時間の円相場での円の安値でドルの高値になった。
今日は19日だが、明日の20日が週末の土曜日であるため、今日が実質的な日本の貿易企業の決算日が集中しやすい「5と10のつく日の五十日」に該当し、今朝10時前の仲値決済では、輸出企業のまとまった円買いドル売りが入り円相場を押し上げた。ただし、輸入実需の円売りドル買いも入ったほか、日米金利差拡大による円売りドル買いも継続していたことからは、前日比では円安ドル高の範囲内での円相場の抵抗となった。
昨夜の米国株式市場のトレンドの影響などもあり、今日は日本の株式市場でも日経平均株価が約33年ぶりと言われる高値圏に一時上昇を見せており、リスクオン市場では低リスク通貨の円が売られやすかったが、138円台で高値感の出ていたドルの利益確定売りや安値の円の買い戻しなども混ざっていた。
昼の13時半には日本の最新経済指標の3月第三次産業活動指数の前日比が発表され、前回の0.7%と市場予想の0.3%に対し-1.7%に低下したことなどでは、やや横ばいに近いスキャルピング向きの小幅な値動きの中でもやや円が売られていた。
しかし、午後からの欧州英国市場の参入では、今朝までの米国市場で高値を記録後のドルのまとまった利益確定売りが先行し、16時38分頃に一時137円97銭付近の今日の日本市場での円の高値でドルの安値を一瞬だけ記録したものの、日米金利差拡大による円売りドル買いの影響は続いており、約1分後には再び138円台に戻した。
今夜この後には、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長をはじめとする次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ高官達の発言予定があり、既にパウエル発言前の持ち高調整やイベント前の様子見なども入り始めている。
そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は138円10~11銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約29銭の円安ドル高になった。
今夜この後には、日本時間で今夜21時45分頃から米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官で次回米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を有する米国ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁の発言予定、22時頃から米国連邦準備制度理事会 (FRB) のボウマン理事の発言予定、そして、深夜24時頃から市場での注目度が特に高いパウエル議長の発言が予定されている。なお、発言に関しては、イベントの開始時間から実際の重要な発言が出て伝わるまでの時間差に注意が必要である。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は148円84~86銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約22銭の円高ユーロ安であった。 しかし、その後の欧州市場では、19時台には小幅な円安ユーロ高にも転じている。
主な原因は、ユーロが対ドルで下落した影響の波及や、高値後のユーロ円のユーロの利益確定売りや円買いの影響などで、東京終値の頃には前日比で円高ユーロ安だったものの、今日の午後に発表されていた欧州ユーロ圏の主要国のドイツの4月の独生産者物価指数 (PPI) の前月比が前回の-2.6%と前回修正の-1.4%と市場予想の-0.5%に対し0.3%に上昇し、欧州インフレ継続では、今夜その後の欧州市場では日欧金利差拡大予想の円売りユーロ買い戻しが入ったことなどが影響した。
また、今夜この後の日本時間で明日未明4時頃には、欧州中央銀行 (ECB) のラガルド総裁の発言予定もあり、イベント前の持ち高調整なども入っている。
ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0776~1.0778ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.40セントのユーロ安ドル高になった。
主な原因は、堅調な米国経済指標や米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達のタカ派発言や米国債務上限問題の懸念緩和などを受け、米国利上げ継続の可能性も増えてきたことから、以前の米国次回利上げ停止予想に対して欧州中央銀行 (ECB) の利上げ長期化予想で買われてきたユーロが売られてドルが買われた影響が大きく、今朝までの米国ニューヨーク市場でも米国長期金利上昇時の主要通貨に対するドル買いの影響もあり、一時1.0763ドル付近の3月27日以来のユーロ安ドル高を記録していた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は171円34~40銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約73銭の円高ポンド安であった。
昨夜の英国ロンドン外国為替市場では、ユーロ同様に英国ポンドが対ドルで米国長期金利上昇により下落しており、その影響が他の主要通貨である円相場にもポンド安として波及しほか、今朝発表の英国の最新経済指標の5月の英GFK消費者信頼感調査は前回の-30に対し市場予想通りに-27に低下していた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年5月19日の日本時間(JST)19時22分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時22分) の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。通貨ペア | JST 19:22の為替レート | 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比 |
ドル/円 | 137.71 ~ 137.72 | +0.73 (円安) |
ユーロ/円 | 148.87 ~ 148.88 | +0.50 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0808 ~ 1.0810 | -0.0023 (ドル高) |
英ポンド/円 | 171.29 ~ 171.35 | -0.60 (円高) |
スイスフラン/円 | 152.88 ~ 152.94 | -0.25 (円高) |
豪ドル/円 | 91.44 ~ 91.48 | -0.23 (円高) |
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