FXニュース:日銀が大規模緩和維持を決定
2023年6月16日東西FXニュース – 2023年06月16日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 最新米失業保険申請数が増加
- 欧ECBが0.25%の利上げ継続
- 欧ラガルド総裁のタカ派発言
- 金利差予想のユーロ高ドル安
- ユーロ円が154円台の円安に
- 英ポンド円も180円台に到達
今日2023年6月16日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値141円40銭前後から高値139円86銭前後の値幅約1円54銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は141円15~17銭付近と、前日同時刻の前東京終値比で約13銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動き要因と世界FX市場のトレンド動向はまず、日本時間で昨夜から今朝までの米国ニューヨーク (NY) 外国為替市場で昨夜21時半に多数同時に発表された最新米国経済指標の6月の米国ニューヨーク連銀製造業景気指数は大幅に改善されたものの、5月の米国小売売上高と6月フィラデルフィア連銀製造業景気指数は市場予想以上であっても前回には届かず、何よりも、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長が注視していることでも知られている米国雇用関連の最新データの前週分の米国新規失業保険申請件数が前回の26.1万件と前回修正の26.2万件と市場予想の24.9万件に対して26.2万件と悪化の継続を示し、さらに前週分の米国失業保険継続受給者数も前回の175.7万人と前回修正の175.5万人と市場予想の176.5万人に対し177.5万人に悪化したことを受け、以前の堅調な米国雇用市場を背景とした米国利上げの再開予想が減退したことで、米国長期金利が一時3.7%台に低下し、日米金利差縮小時の円買いドル売りが起きた。
また、同時発表だった5月の米国輸入物価指数も前月の0.4%と前回修正の0.3%と市場予想の-0.5%に対して-0.6%に物価高が鈍化し、対する5月の米国輸出物価指数も前月の0.2%と前回修正と市場予想の-0.1%に対して-1.9%の大幅なインフレ鈍化を示したことで、来月から来月に早期の利上げ再開をする可能性の米国利上げスキップ予想が後退したことなどで、欧州や英国のインフレ高止まりや継続で利上げ継続予想のある欧州中央銀行 (ECB) や英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) と米国連邦準備制度理事会 (FRB) との政策金利差予想などでも、主要通貨に対してもドルが売られ始めた。
続いて、昨夜21時45分には、欧州ユーロ圏の欧州中央銀行 (ECB) 理事会が、0.25%の欧州利上げ継続を発表し、また声明文で、「欧州のインフレ率を目標の2%へ戻すため、政策金利が十分に制約的な水準になるよう確実にする」とのタカ派であったことを受けたユーロ買いが起き、対して今月は米国利上げ見送りをした米ドルや、日本銀行 (日銀 / BoJ) の金利抑制の大規模緩和金融政策で低金利通貨の円が売られた影響では、世界的に流動性の高いドルが多通貨に対して売られたため、ユーロドルでのユーロ高ドル安だけには留まらず、英国ポンドなどの他の主要通貨や円相場に対してもドル下落の影響が波及した。
その後の昨夜22時15分に発表された最新米国経済指標の5月の米国鉱工業生産の前月比も、前回の0.5%と市場予想の0.1%に対し-0.2%に低下したことでドル売りを促した。
また、昨夜22時45分頃から欧州中央銀行 (ECB) 理事会のクリスティーヌ・ラガルド総裁の定例記者会見があり、「7月も欧州利上げを継続する可能性は、非常に高い」と、来月の欧州利上げ継続を示唆し、欧州利上げの「一時停止は検討していない」などのタカ派発言が相次いだことでも、欧州ユーロがドルや円などに対してさらに買われて上昇した。
一方、日本は今日の日本銀行 (日銀 / BoJ) 金融政策決定会合では金利抑制の大規模緩和金融政策維持の市場予想による日欧金利差拡大予想が優勢で、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長は、先日の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 後の記者会見で、今月の米国利上げ見送り後の来月の米国利上げはまだ決まっておらず、スキップと言うよりは来月にデータを見てライブで決めると強調したため、欧州との金利差予想によるユーロ買いとドルと円売りでは、今朝6時頃のニューヨーク終値でユーロドルは1.0945ドル付近の前日同時刻比で約1.15セントの大幅なユーロ高ドル安になり、ユーロ円も153円55銭付近と前日同時刻の前ニューヨーク終値比で約1円82銭の大幅な円安ユーロ高になっていた。
ユーロに対しては、ドルも円も売られて下落したが、米国市場では、今日の日本銀行 (日銀 / BoJ) 金融政策決定会合での金利抑制の大規模緩和金融政策の継続が見込まれており、年内に追加利上げの可能性が残るドルの方には、安値からの買い戻しも混ざっていた。
そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場のドル円相場は、円の安値141円30銭前後から高値140円16銭前後の値動きで、今朝6時頃の米国ニューヨーク外国為替市場のドル円の終値を140円29銭付近の前日同時刻の前ニューヨーク終値比で約20銭の円安ドル高でつけていた。
その後に始まった今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場では、今日の日本銀行 (日銀 / BoJ) 金融政策決定会合の正午前後の発表イベントを控え、昨日の前日本市場では米国連邦準備制度理事会 (FRB) が年内にあと2回の米国利上げをする長期化の可能性の市場予想により一時141円50銭付近の大幅な円安ドル高が進んだ後であったために、今朝はイベント前の利益確定売りや持ち高調整の円買いドル売りが先行した。
また、今日の午前中に、日本政府の鈴木俊一財務相が閣議後の記者会見で、昨日の為替介入警戒レベルの円安ドル高の進行について、「過度な変動 (ボラティリティ) は好ましくない」と発言し、円相場は、「安定的に推移するのが望ましい。注意深く、これからも見ていきたい」と、円安牽制の口先介入をしていた。
昨夜の最新の米国雇用関連の指標を受けた米国長期金利低下時の円買いドル売りの影響も相まって、今朝10時47分頃には今日の日本市場の円の高値でドルの安値の一時139円86銭付近を記録した。
しかし、正午前に日本銀行 (日銀 / BoJ) が、金融政策決定会合後に、市場予想通りに金利抑制の大規模緩和金融政策の現状維持を決定し、長短金利操作のイールドカーブ・コントロール (YCC) や、マイナス金利政策や上場投資信託 (ETF) 買い入れ等も据え置いたことで、利上げ方向の欧米や英国との日本の金融政策の方向性の違いから、ドルやユーロやポンドなどの利上げ方向の主要通貨に対する円売りが起きた。
午後15時半頃からの日本銀行 (日銀 / BoJ) 植田和男総裁の記者会見でも、今年度半ばにかけては日本のインフレ率が下がるとの見解で、今後の日銀の金融政策の修正に対し慎重な姿勢を示したことで、日銀の金融政策修正期待が後退したことも、円売り要因となった。
主要通貨に対する円安の影響や、日米金利差拡大予想の円売りドル買いでもドルは今朝の下落幅を縮め、午後からの欧州英国市場も円売りユーロ買いが続き、2008年以来の記録的な円安ユーロ高記録を更新しており、英国ポンドに対しても円相場が大幅下落した影響もドル円相場に波及し、午後16時20分頃にドル円相場は一時141円40銭付近の今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、利上げ継続予想の欧州や英国通貨に対しては次回の利上げスキップ予想の後退でドルもこれまでに売られて大幅に下げていたため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は141円15~17銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約13銭の円高ドル安になった。円相場では昨夜が大幅な円安ドル高であったために、今日の円相場は前日同時刻比では小幅な反発の東京終値になっていた。
今夜この後にも最新米国経済指標の発表予定や、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言予定などがあり、日本時間での今夜のスケジュールは、20時45分頃から米国連邦準備制度理事会 (FRB) のウォラー理事の発言予定、22時頃から米国リッチモンド連銀のバーキン総裁の発言予定、23時に6月の米国ミシガン大学消費者態度指数の速報値などが発表される予定である。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は154円43~44銭付近で、昨夜17時の前東京終値比では約1円48銭の大幅な円安ユーロ高になったほか、2008年以来の円安ユーロ高記録を今日も更新していた。
主な原因は、前述の通り、欧州利上げ継続による日欧金利差拡大予想による円売りユーロがいの円安要因である。
また、今日の日本市場では、今日の日経平均株価の再度の大幅上昇によるリスクオンの低リスク通貨の円売りとユーロ買いなども影響を及ぼしていた。
ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0941~1.0942ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約1.15セントの大幅なユーロ高ドル安であった。
主な原因は、欧州中央銀行 (ECB) の利上げ継続やタカ派姿勢に対し、米国は今月の米国利上げ見送り後の来月の利上げもまだ未定で、米国利上げスキップの長期化予想が、昨夜の最新米国経済指標データを受けてやや後退を示したことや、米国長期金利低下時のユーロ買いドル売りなども今日の市場に影響を及ぼしていた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は180円45~51銭付近で、昨夜17時の178円78~84銭付近の前東京終値比では約1円67銭の大幅な円安ポンド高であった。
主な要因は、来週に英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) も、英国の高インフレ抑制のための英国利上げ継続予想が優勢で、対する日銀はマイナス金利継続であるため、日英金利差拡大予想による円売りポンド買いで、英国ポンドは円相場で180円台に大幅続伸したほか、昨夜にポンドがドルに対する年内高値記録を更新していた影響なども波及していた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年6月16日の日本時間(JST)19時26分(チャートの時間帯は英国ロンドン外国為替市場時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時26分) の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:26の為替レート | 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比 |
ドル/円 | 140.83 ~ 140.84 | −0.45 (円高) |
ユーロ/円 | 154.14 ~ 154.16 | +1.19 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0944 ~ 1.0946 | +0.0118 (ドル安) |
英ポンド/円 | 180.20 ~ 180.26 | +1.42 (円安) |
スイスフラン/円 | 157.95 ~ 158.01 | +0.66 (円安) |
豪ドル/円 | 96.75 ~ 96.79 | +0.21 (円安) |
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