FXニュース:米インフレ鈍化の経済指標
2023年7月03日東西FXニュース – 2023年07月03日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米PCEコアデフレーター低下
- 米利上げタカ派予想が後退
- 日本政府の為替介入警戒も
今日2023年7月3日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値144円84銭前後から円の高値でドルの安値144円22銭前後の値幅約62銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は144円81~83銭付近と、前営業日同時刻の前東京終値比で約3銭の僅差の円高ドル安であった。
ただし、直後の英国ロンドン外国為替市場では、17時22分頃に一時144円88銭付近の前日比で円安ドル高に一時転じた時間もあった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と世界FX市場のトレンド動向の分析では、日本時間で先週金曜の夜から土曜の朝までの先週末の米国ニューヨーク外国為替市場で、先週金曜21時半に発表された最新米国重要経済指標の5月の米国個人消費支出 (PCE) 物価指数 (デフレーター) から天候などで価格変動の激しい食品とエネルギーを除いたPCEコア・デフレーターの前年同月比が、前回と市場予想の4.7%を下回る4.6%に米国インフレの鈍化を示した。前月比でも、前回の0.4%に対して市場予想通りの0.3%に低下していた。
同時発表だった5月の米国個人消費支出 (PCE) 物価指数 (デフレーター) の前年同月比も前回の4.4%と前回修正の4.3%に対して市場予想通りの3.8%に低下し、5月の米国個人消費支出 (PCE) の前月比も、前回の0.8%と前回修正の0.6%と市場予想の0.2%に対して0.1%に低下したことで、2回連続での米国利上げ長期化などのタカ派の市場予想が減退し、米国利上げ長期化予想はあるものの、見送りを含んだ利上げ予想などが高まり、先週のパウエル議長のECBフォーラムでの発言後に強まっていたタカ派市場予想を減退させた。
発表を受けて米国連邦準備制度理事会 (FRB) の米国インフレ抑制のための積極的なタカ派の米国利上げ長期化予想が減退したことで、米国長期金利の低下に伴い、日米金利差縮小時の円買いドル売りが起きた。
同じく先週金曜の21時半に発表されていた5月の米国個人所得の前月比は前回の0.4%と前回修正と市場予想の0.3%に対し0.4%に上昇したが、続いて22時45分に発表された6月の米国シカゴ購買部協会景気指数は前回の40.4と市場予想の43.8に対し41.5と市場予想に届かず、その15分後の6月の米国ミシガン大学消費者態度指数の確報値は前回と市場予想の63.9に対し64.4に上昇したものの、同時発表だった米国消費者予想の1年先の米国インフレ率が前回の4.2%から3.3%に低下していたことも、米国インフレ鈍化を再意識させた。
先週金曜の日本市場の円相場では一時145円7銭付近の年内高値を記録後のドルには今年最大の円安ドル高による日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ) の為替介入警戒感と週末を控えた利益確定や持ち高調整のドル売りも相まって円相場が反発し、先週金曜の夜23時半頃に一時144円20銭付近の米国市場および日通しの円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、前日安値の144円14銭付近のテクニカル分析的なサポートラインがあったことでは、その手前の市場安値付近からはドルの買い戻しの抵抗も入り始め、米国インフレ鈍化の最新経済指標を受けた米国株式市場では金利上昇警戒感の緩和などから米国株価上昇を示したことで、リスクオンの低リスク通貨の円売りも入った。
また、24時間オープンで同時進行中だった仮想通貨市場では、米国経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル (WSJ) が、米国規制当局にあたる米国証券取引委員会 (SEC) が、「現物 (スポット) 型ビットコイン上場投資信託 (ETF) の一部申請は不適切とみなす」との見解を示したと報道したニュースを受けて、ビットコイン (BTC) が売られて価格が低下し、仮想通貨価格が全般的に低下した際にリスク回避のコイン売りの通貨買いで、世界的に流動性の高い安全資産でもあるドルが買われた値動きなども為替市場に影響を及ぼした。
ただし、週末を控えた市場では、円相場で年内高値記録を更新後のドルの利益確定売りが活発で、最新米国経済市場を受けたドル売りと、日本政府と日本銀行 (BoJ) の為替介入警戒感による持ち高調整の円買いもあったために、円相場でのドルの反発域は限られた。
そのため、先週末の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は円の高値144円20銭前後から安値144円73銭前後の値動きで、先週土曜の朝6時頃のニューヨーク終値を144円31銭付近と、前日同時刻の前ニューヨーク終値比では約45銭の円高ドル安をつけていた。
週が明け、今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場では、先週末の最新米国経済指標を受けたドル売りや為替介入警戒での円買いの影響があったところに、今朝の開場10分前に日本銀行 (日銀 / BoJ) が日本の最新重要経済指標の4〜6月四半期の日銀短観を発表し、大企業製造業業況判断は前回の1と市場予想の3に対し5に上昇し、大企業製造業先行きも前回の3と市場予想の4に対し9と大幅上昇を見せていた。同時発表だった4〜6月四半期の日銀短観の大企業非製造業業況判断も前回の20と市場予想の22に対し23に上昇し、大企業全産業設備投資の前年度比も前回の3.2%と市場予想の10.0%を上回る13.4%に上昇しており、日本景気好感による円買いもあったことで、今朝9時28分頃には一時144円22銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けては、日本企業の輸入実需による円売りドル買い需要があり、また日本政府と日銀の為替介入警戒域の145円台から少し離れた安心感や、今日の日本時間に時間外の米国債券市場で米国長期金利の指標となる米国10年債の利回りが小幅上昇の日米金利差拡大を見せたこともあって、円売りドル買いが入った。
また、先週末の米国株式市場が上昇していた影響もあり、今日は日本の株式市場でも日経平均株価が大幅上昇を示したことが、低リスク通貨の円売りの一因となった。
午後15時15分には、今日の日経平均株価は3万3753円33銭の前営業日比564円29銭高の大幅高で大引けした。
また、午後からの欧州英国市場の参入もあり、午後16時41分頃には一時144円84銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、午後の時間外債券市場の取引では米国長期金利の指標となる米国10年債の利回り上昇が一時収まったことや、日本市場での高値を記録後のドルには再び145円台の為替介入警戒域に近づいたことから安値の円買いの抵抗が混じった。
先週末に米国政府のイエレン財務長官が、先週に前回の日本政府の為替介入水準付近の145円台に一時進行した円安ドル高について、日本政府と日銀の対応としての為替介入の是非に関して日本政府と調整に入っていることを明らかにしており、「我々は日本の為替介入の根拠へのより良い理解を試みており、日本の当局者と連絡を取り合っている」と米国ルイジアナ州ニューオーリンズで記者の質問に答えたことが、週明けの世界ニュースになっていた。
そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は144円81~83銭付近で、前営業日にあたる先週金曜17時の前東京終値比では約3銭の僅差の円高ドル安になった。
その後の英国ロンドン外国為替市場では、17時22分頃にドルは円相場で日本市場での高値を超えて一時144円88銭付近の前日比の円安ドル高に転じた時間もあったが、債券市場での米国長期金利の影響や、前述の日本政府の為替介入への警戒感もあり、145円台の為替介入警戒域の手前では利益確定や持ち高調整が入っている。
今夜この後にも最新米国経済指標の発表予定があり、日本時間で今夜22時45分に6月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI) 、23時に6月の全米供給管理協会 (ISM) 製造業景況指数と5月の米国建設支出などが発表される予定である。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は157円47~48銭付近で、前営業日である先週金曜17時の前東京終値比で約24銭の円安ユーロ高であった。
主な原因は、先述の先週末の米国株式市場だけでなく、時間が重なっていた先週末の欧州株式市場でも欧州株価が上昇時のリスクオンの低リスク通貨の円売りユーロ買いが入っていたほか、金利抑制を続ける日銀と利上げ継続予想の欧州中央銀行 (ECB) 理事会との日欧の金融政策の方向性の違いから、日欧金利差拡大予想のユーロ買いも優勢であった。
ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0873〜1.0875ドル付近で、前営業日の先週金曜17時の前東京終値比で約0.18セントのユーロ高ドル安だった。
主な要因は、前述の米国インフレ鈍化を示す最新米国経済指標の発表を受けた米国連邦準備制度理事会 (FRB) によるタカ派の連続利上げを見込んでいた米国利上げ長期化予想が弱まったことで、連続利上げが見込まれていた欧州利上げ継続予想などの影響でユーロ高ドル安になっていた。また、欧州株式市場での欧州株高時のリスクオンでは、低リスク通貨の円売りだけでなく、世界的に流動性が高い安全資産のドルもユーロに対して売られていた。
今日の午後16時50分に発表された欧州ユーロ圏の最新経済指標では、フランスの6月の仏製造業購買担当者景気指数 (PMI) の改定値が前回と市場予想の45.5に対し46.0に上昇した。
ただし、16時55分に発表のドイツの6月の独製造業購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は前回と市場予想の41.0に対し40.6で、17時に発表された欧州ユーロ圏総合の6月の欧州製造業購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は前かと市場予想の43.6に対し43.4であった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は183円35~41銭付近で、前営業日同時刻の先週金曜17時の183円5~11銭付近の前東京終値比で約30銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、欧州株高時のリスクオンで、欧州ユーロだけでなく英国株や英国ポンドも買われて低リスク通貨の円や安全資産のドルが売られた影響や、日英金利差拡大予想による円売りポンド買いでも円安ポンド高になっていた。
また、今夜17時半に発表された6月の英国製造業購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は、前回と市場予想の46.2に対し46.5に上昇しており、英国利上げ継続による景気懸念も後退していた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年7月3日の日本時間(JST)19時28分(チャートの時間帯は英国ロンドン外国為替市場時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時28分) の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:28の為替レート | 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比 |
ドル/円 | 144.71 ~ 144.72 | -0.13 (円高) |
ユーロ/円 | 157.53 ~ 157.54 | +0.30 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0885 ~ 1.0887 | +0.0030 (ドル安) |
英ポンド/円 | 183.33 ~ 183.39 | +0.28 (円安) |
スイスフラン/円 | 160.81 ~ 160.87 | -0.15 (円高) |
豪ドル/円 | 96.23 ~ 96.27 | +0.10 (円安) |
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