FXニュース:日経平均安ソシオショック
2023年7月06日東西FXニュース – 2023年07月06日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 株安で低リスク通貨の円買い
- 米FOMCの追加利上げ予想
- 米長期金利が一時3.9454%
- 米雇用指標発表前の様子見
- 欧PMIで景気警戒のユーロ
今日2023年7月6日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値144円51銭前後から円の高値でドルの安値143円55銭前後の値幅約96銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は143円90~92銭付近と、前日同時刻の前東京終値比で約53銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、日本時間で昨夜の英国ロンドン外国為替市場と米国ニューヨーク外国為替市場では、昨夕の欧州市場で発表された最新経済指標の6月の欧州ユーロ圏総合の購買担当者景気指数 (PMI) 改定値が下方修正されたことに起因した欧州景気懸念に加え、欧州の主要貿易国の中国の株安や、日経平均先物安などの影響もあり、米国ダウ平均株価が一時190ドル以上も下落し、欧米株安時の低リスク通貨の円買いドル売りが始まった。
昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で昨夜23時に発表された最新の米国経済指標の5月の米国製造業新規受注の前月比が前回の0.4%と前回修正の0.3%と市場予想の0.8%に対し0.3%に低下したことも、円買いドル売りの一因になり、昨夜23時15分頃には、米国市場の円の高値でドルの安値の一時144円8銭付近に円相場が上昇した。
しかし、その後の今朝午前3時には市場注目度の高かった米国連邦準備制度理事会 (FRB) の6月開催分の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨の発表予定があったため、米国利上げ長期化予想の高まりで米国長期金利が上昇し、米国長期金利の指標である米国10年債の利回りは一時3.9454%付近と3月9日以来の高利回りを記録し、日米金利差拡大による円売りドル買いでドルは円相場で反発し、今朝4時5分頃と5時45分頃に一時144円69〜70銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録したが、2回目が上抜けずにテクニカル分析的な売りサインのダブルトップをチャートに描くような形になったため、2度目の高値後のドルには利益確定や持ち高調整の売りが増えた。
6月13〜14日開催分の前回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨は、「米国のインフレ率は目標の2%を依然として大きく上回り、労働市場が極めて引き締まっている」という理由で、「ほとんど全てのメンバーが、年内の米国追加利上げを想定」しており、「一部は今回も米国利上げを支持していたものの、見送りに同意」したという内容を含んでいたことで、年内の米国利上げ長期化予想に加えて、次回7月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) での米国利上げ再開の可能性が意識された。
ただし、米国市場では今夜この後の米国雇用関連の経済指標の発表予定に加えて、明日には米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長も重視する米国雇用統計の重要経済指標発表のイベントを控えており、米国インフレ率に加えて「米国労働市場の引き締まり」が米国利上げ長期化の条件とも考えられるため、今夜と明日の夜の米国雇用関連の最新データが分かるまでのイベントリスクの持ち高調整や、様子見の動きも入り始めた。
そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の144円8銭前後から円の安値でドルの高値の144円70銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値を144円66銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約19銭の円安ドル高でつけていた。
今朝8時50分には日本の最新経済指標の前週分の対外対内証券売買契約等の状況が発表され、対外中長期債が前回の1556億円と前回修正の1623億円に対して1兆2527億円に大幅に増加し、対内株式も前回の-5438億円と前回修正の-5424億円に対し1950億円に増加していた。
今朝9時頃からの日本の東京外国為替市場では、今日の日経平均株価の先物が下落していたこともあり、国内第一安全資産の低リスク通貨の円買いドル売りが始まったため、今朝の開場直後の9時2分頃の一時144円51銭付近が、今日の日本市場での円の安値でドルの高値になった。
ただし、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けては、9時38分頃に日本企業の輸入実需の円売りドル買いで一時144円47銭付近までドルが反発したが、その後には日本の輸出企業の円買いドル売りもあり、円相場が上昇した。
今日の東京株式市場では、以前の日本株高時にはスター銘柄の一つと呼ばれていた半導体設計のソシオネクストの株を、大株主であった富士通やパナソニック・ホールディングスなどがまとめて売却した「ソシオショック」で、日経平均株価が大幅に下落し、日本株安時のリスク回避のリスクオフで、国内第一安全資産の低リスク通貨の円買いが、ドルやユーロなどの主要通貨に対して強まった。
ストップロスを引っ掛けるほどのソシオショックを受けて、今日の日経平均株価は一時700円近くも下落し、その影響で米国ダウ先物も100ドル以上も下落したため、低リスク通貨の円買いとドル売りの要因となり、円相場が上昇を続けた。
午後15時15分に、今日の日経平均株価は3万2773円2銭の前日比565円68銭安の-1.70%の大幅安で大引けし、日本株安時の低リスク通貨の円買いで円相場は上昇を続け、午後16時26分頃には一時143円55銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
ただし、夕方には欧州英国市場の本格参入が始まり、今日の米国長期金利が上昇していた影響もあり、日本市場でのドルの市場安値からは、日米金利差によるドルの買い戻しと高値の円の利益確定売りも入り始めた。
しかし、今夜この後と明日には米国雇用関連の注目度の高い米国重要経済指標の発表予定のイベントを控えているため、イベントリスクのドルの買い控えや様子見も混じり始めたことや欧米株安時の低リスク通貨の円需要などもあり、高値の円の利益確定売りと安値からのドルの買い戻し幅は限られた。
そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は143円90~92銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約53銭の円高ドル安になった。
今夜この後から明日の米国雇用統計に向けて、最新米国経済指標の発表予定などが相次ぐ。日本時間の今夜のスケジュールは、20時に米国MBA住宅ローン申請指数、20時半に6月の米国チャレンジャー人員削減数、21時15分に6月の米国ADP雇用統計、21時半に前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数、同時刻に5月の米国貿易収支、21時45分に米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官で次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国ダラス連銀のローガン総裁の発言予定、22時45分に6月の米国サービス部門と総合の購買担当者景気指数 (PMI) 改定値、23時に6月の米国ISM非製造業景況指数と5月の米国雇用動態調査 (JOLTS) 求人件数、24時に米国週間原油在庫などが予定されている。
また、明日の夜21時半の米国雇用統計は市場での注目度に加えて、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長も重要視していることで知られており、今夜から発表される雇用関連の指標が、明日の雇用統計の市場予想に影響を与える可能性も指摘されている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は156円22~23銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約1円2銭の大幅な円高ユーロ安であった。
主な原因は、先述の欧州景気懸念の欧州株安時のリスク回避の低リスク通貨の円買いユーロ売りに加えて、日米株安時や世界的な株安時のリスクオフムードでは、リスク回避市場に弱いユーロが売られて、低リスク通貨の円や世界的に流動性が高い安全資産のドルが買われやすかったことなどが影響を与えていた。
そのため、ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0854~1.0856ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.32セントのユーロ安ドル高だった。
昨日の欧州市場では、欧州中央銀行 (ECB) 理事会メンバーのドイツ連銀のナーゲル総裁が、欧州ユーロ圏の更なる利上げの必要性についてのタカ派発言をした影響で、一時はユーロが買われたものの、今朝までの米国市場と今日の日本市場では、欧州経済指標の6月の欧州ユーロ圏のサービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 改定値の下方修正を受けた欧州景気懸念や欧米株安時のユーロ売りの動きに転じた。
また、欧州中央銀行 (ECB) が調査した欧州の1年先の期待インフレ率も、前回から低下していた。
今日の午後15時に発表された最新欧州経済指標では、ドイツの5月の独製造業新規受注は、前月比と前年同月比ともに前回と市場予想よりも大幅に改善されていたが、前年同月比はマイナス域での改善に留まった。
今夜18時に発表された欧州ユーロ圏の5月小売売上高の前月比は、前回の0.0%と市場予想の0.2%に対し0.0%で、前年同月比も前回と市場予想以下であった。
なお、今夜この後の深夜頃には、時間は未定だが、前回は金利据え置きだった欧州連合 (EU) ポーランドが、新政策金利の発表を控えている。
そして、今夜25時頃からは、再びドイツ連銀のナーゲル総裁の発言予定があり、またタカ派の発言が続くのかどうかなども注目されている。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は183円8~14銭付近で、昨夜17時の183円52~58銭付近の前東京終値比で約44銭の円高ポンド安であった。
主な原因は、今日の世界的な株安時の低リスク通貨の円買い需要と欧州通貨売りの影響の波及が大きいが、今夜17時半に発表された最新英国経済指標の6月の英国建設業購買担当者景気指数 (PMI) も、前回の51.6と市場予想の51.0に対し48.9に低下しており、好景気と不景気のボーダーラインの50を下回ったことで、英国景気懸念の円買い英ポンド売りも加わった。
ただし、今夜の英国ロンドン外国為替市場では、19時台には日英金利差拡大予想による円の利益確定売りと英国ポンドの買い戻しも入り、前日比で円安ポンド高に市場反転を見せている。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年7月6日の日本時間(JST)19時39分(チャートの時間帯は英国ロンドン外国為替市場時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時39分) の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:39の為替レート | 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比 |
ドル/円 | 143.83 ~ 143.85 | -0.60 (円高) |
ユーロ/円 | 156.56 ~ 156.61 | -0.68 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0884 ~ 1.0885 | -0.0002 (ドル高) |
英ポンド/円 | 183.60 ~ 183.66 | +0.09 (円安) |
スイスフラン/円 | 160.43 ~ 160.49 | -0.52 (円高) |
豪ドル/円 | 96.06 ~ 96.10 | -0.20 (円高) |
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