FXニュース:世界株安で低リスク通貨円高

2023年7月07日
FXニュース:世界株安で低リスク通貨円高

 

東西FXニュース – 2023年07月07日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 今夜注目の米雇用統計が発表
  • 米経済指標受け長期金利上昇
  • 米10年債利回りが一時4%台
  • 米利上げ予想で金利警戒株安
  • 日経平均株価続落リスク回避
  • 金利差円売りと株安時円買い

今日2023年7月7日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値144円20銭前後から円の高値でドルの安値143円13銭前後の値幅約1円7銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は143円22~24銭付近と、前日同時刻の前東京終値比で約69銭の円高ドル安であった。また、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、今夜18時12分頃に一時142円87銭付近に円高ドル安が進行した。

今日の為替相場の値動きの主な要因と世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、日本時間で昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、昨夕の日本市場や欧州英国市場で世界的な株安を受けたリスク回避の低リスク通貨の円買いの影響で、開場直後の昨夜21時過ぎには一時143円64銭付近に対ドルの円相場が上昇していた。

ただし、昨夜の米国市場で発表された最新米国経済指標が、米国労働市場や米国経済の強さを示したことで、堅調な米国雇用市場と米国経済を背景とした米国連邦準備制度理事会 (FRB) による米国利上げ長期化予想が高まり、米国長期金利が上昇し、円安要因の日米金利差拡大が世界株安時の低リスク通貨の円相場上昇においても大きな抵抗となった。

昨夜21時15分に発表された最新米国重要経済指標の米国民間給与計算代行業大手のADP (Automatic Data Processing) 算出による6月の米国ADP全米雇用報告のリポートでは、非農業部門の雇用者数の前月比が、娯楽やレジャー業界のサービス部門を中心に高い伸びを示し、前回の27.8万人と前回修正の26.7万人と市場予想の22.8万人に対して49.7万人の増加と、市場予想の倍以上に大幅に上昇した。

続いて、昨夜21時半に発表された最新米国経済指標の前週分の米国新規失業保険申請件数は前回の23.9万件と前回修正の23.6万件と市場予想の24.5万件に対し24.8万件にやや増加したものの、同時発表だった前週分の米国失業保険継続受給者数は前回の174.2万人と前回修正の173.3万人と市場予想の174.5万人に対し172.0万人に改善していた。

また、同時刻の5月の米国貿易収支も、前回の-746億ドルに対して市場予想通りの-690億ドルに赤字額が改善した。

昨夜21時45分頃から始まった米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官で次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国ダラス連銀のローガン総裁の米国コロンビア大学の講演での発言も、「一度利上げを見送り、より緩やかに進めていくことは合理的」であるとし、「米国のインフレ引き下げに向けて、一段の利上げが必要」とのタカ派よりであったために日米金利差拡大予想の円売りドル買いも入り、ドルは円相場で再び144円台に上昇していた。

昨夜22時45分に発表された6月の米国総合購買担当者景気指数 (PMI) の改定値も前回の53.0に対し53.2に上昇し、6月の米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値も前回と市場予想の54.1に対して54.4に上昇したほか、不景気と好景気の境界線のボーダーラインと考えられている50を超えた好景気寄りの米国景気の強さを示した。

昨夜23時に米国労働省が発表した5月の米国雇用動態調査 (JOLTS) の求人件数は前回の1010.3万件と前回修正の1032.0万件と市場予想の993.5万件に対して982.4万件とやや減少したものの、依然として高水準を保っていた。

そして、同時発表の米国重要経済指標で市場の注目度も高かった米国サプライマネジメント協会 (ISM) の米国ISM非製造業景況指数の総合が、前回の50.3と市場予想の51.0に対し53.9に上昇し、前回と市場予想を大きく上回ったことで、非製造部門のサービス業を中心に米国経済の堅調さを示した。

これらの相次いだ市場予想を上回る米国経済指標を受けて、堅調な米国労働市場や米国経済を背景にした米国連邦準備制度理事会 (FRB) の米国利上げ長期化予想が高まり、米国の金融政策の影響を受けやすい米国2年債の利回りは一時5.12%付近と2007年6月以来の高利回りを記録し、米国長期金利の指標となる米国10年債の利回りも一時4.0812%付近に大幅に上昇し、3月2日以来の高水準を記録したことで、日米金利差拡大時の円売りドル買いが起きた。

米国長期金利上昇時の他の主要通貨に対する一時ドル全面高の影響の波及もあり、ドルは円相場で昨夜23時半過ぎに一時144円65銭付近と、米国市場での円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、昨日の日本市場の日通し高値の144円66銭付近にはテクニカル分析的なレジスタンスラインがあることが意識され、高値圏のドルには利益確定売りが始まったほか、同時進行中だった米国株式市場では、米国利上げ長期化予想による企業への貸付ローン金利上昇などへの警戒感から、投資系を中心にリスク回避の株売りが強まり、米国ダウ工業株30種平均が一時500ドル超の大幅下落を見せたことで、米国株安時の低リスク通貨の円買いが市場安値圏からは特に強まり、対ドルの円相場は一時143円96銭付近に反発上昇した。

昨夜は、それまでにも世界的な株安を受けて低リスク通貨の円は主要通貨に対してもリスクオフで買われやすくなっていたため、昨日のソシオショックの日経平均株価の大幅下落や欧州株価などの下落を受けて、世界的に流動性の高いドルからでも買える低リスク通貨の円買いで円高ドル安が進んだ世界市場のトレンドを米国株式市場も引き継いだ影響も出ており、米国ダウ工業株30種平均が5月2日以来の最大の下落幅を記録したほか、米国S&P総合500種が5月23日以来の大幅安を記録した。

ただし、堅調だった米国経済指標を受けては、日米金利差拡大予想の円売りドル買いが抵抗要因となり、ドルは円相場で再び144円台に反発した。

しかし、今夜この後の翌米国市場で発表予定の最新米国重要経済指標の米国雇用統計の発表イベントを前にした持ち高調整や買い控えや様子見も影響を与えており、イベントリスクのドルの買い戻しは限られていた。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値143円64銭前後から円の安値でドルの高値144円65銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値を144円7銭付近の前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約59銭の円高ドル安をつけていた。

今朝8時半には日本の最新経済指標の発表があり、5月の全世帯家計調査の消費支出の前年同月比は前回の-4.4%と市場予想の-2.4%に対し4.0%で、5月の毎月勤労統計調査の現金給与総額の前年同月比は前回の1.0%と前回修正の0.8%と市場予想の1.2%に対し2.5%であった。日本企業の賃上げは想定以上に進んでいるものの、物価上昇にも関わらず想定以上の家計の消費の倹約の傾向が観測された。

続いて8時50分に発表された日本の最新経済指標の6月の外貨準備高は、前回の1兆2545億ドルに対し1兆2472億ドルにやや減少を示したが、為替レートの変動幅の範囲内付近に収まっていた。

今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場は、早朝のオセアニア市場での世界株安懸念の低リスク通貨の円買いなどで143円97銭付近から始まり、今朝9時22分頃には一時143円79銭付近に円相場が上昇した。

ただし、昨夜の堅調な米国経済指標や米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言などを受けた日米金利差拡大や日米金利差拡大予想による円売りドル買いに加えて、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けては、日本企業の輸入実需の円買いが優勢で、今朝9時53分頃には一時144円20銭付近の今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、日本の主要貿易先である米国の前述の米国株式市場の大幅下落の影響もあり、今日も日本の株式市場で日経平均株価が大幅に続落したことでは、日本株安時のリスク回避の国内第一安全資産の低リスク通貨の円買いが再び強まり、円相場が上昇を続けた。

日本市場と時間帯が近いアジア市場でも世界株安の影響を受けた低リスク通貨の円買いがあったほか、今日の日経平均株価は昨日の大幅下落後の前日比から更に一時400円以上も下落し、午後15分15分に日経平均株価の終値は3万2388円42銭と前日比384円60銭安の-1.17%の大幅続落で大引けしたため、株安時のリスクオフの低リスク通貨の円買いドル売りが継続した。

午後からの欧州英国市場の参入でも、欧州の主要貿易先の中国やアジアの株安の影響や、欧米株安を受けた円買いドル売りに加えて、今夜この後の米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長も重視していることでも有名な最新米国重要経済指標の米国雇用統計の発表イベントを控えたイベント前の持ち高調整や、イベントリスクのドルの買い控えや様子見の値動きもあったために、日本市場時間の円高ドル安のトレンドが継続した。

また、今日の日本のニュースでは、日本銀行 (日銀 / BoJ) の 内田真一副総裁が経済紙のインタビューで、当面は日銀の長短金利操作のイールドカーブ・コントロール (YCC) を継続すると強調したものの、「いかに、上手く金融緩和を継続するかという観点から、バランスを取って判断していきたい」とも付け加えたことで、今後の日銀の金融政策の見直しや修正への含みを持たせたと報道され、一部では持ち高調整の円買いも入ったと伝えられた。

今日の午後に発表されていた日本の最新経済指標の5月景気一致指数 (CI) の速報値も前回の97.3と市場予想の97.2に対し113.8に上昇し、5月景気先行指数 (CI) の速報値も前回の96.8と市場予想の97.6に対し109.5と日本経済の強さを示していた。 夕方にも今夜の米国株式市場に先駆けて、時間外の米国ダウ先物が小幅続落をしており、欧州株も売りが先行したこともあり、夕方にもリスク回避の低リスク通貨の円買いが続き、午後16時35分頃には一時143円13銭付近の今日の日本市場時間の円の高値でドルの安値を記録した。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は143円22~24銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約69銭の円高ドル安になった。

その後の英国ロンドン外国為替市場では、今夜18時12分頃に一時142円87銭付近に日本市場での円の高値を超えた円高ドル安が進行したが、その直後には高値の円の利益確定売りや安値のドル買いや持ち高調整なども入り、今夜19時台には再び143円台前半にドルが円相場で反発している。

今夜この後には、世界市場が注目している最新米国重要経済指標の米国雇用統計の発表イベントがあるほか、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定があり、日本時間の今夜のスケジュールは、今夜21時半に6月の米国雇用統計の失業率、平均時給、非農業部門雇用者数変化などが発表され、深夜24時半頃から米国連邦準備制度理事会 (FRB) の高官で次回米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国シカゴ連銀のグールズビー総裁の発言予定がある。特に、米国雇用統計は、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長も重視しているデータとして有名で、イベント時の値動きには注意が必要である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は155円74~75銭付近で、昨夜17時の前東京終値比で約48銭の円高ユーロ安であった。

主な原因は、欧州や欧州主要貿易先を含む世界的な株安時のリスク回避で、主要通貨に対する低リスク通貨の円買いの影響が出ていた。また、欧州金利上昇警戒の欧州株売りやリスクオフの円買いユーロ売りも、今日の円高ユーロ安の要因となった。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0873〜1.0875ドル付近で、昨夜17時の前東京終値比で約0.18セントのユーロ高ドル安だった。

主な原因は、米国利上げ長期化予想が高まる中で一時はドル高になった後でも、今夜のイベント前のドルには利益確定売りや持ち高調整の抵抗が入りやすくなっており、また、欧州中央銀行 (ECB) の欧州利上げ継続予想も強く、今朝の米国長期金利指標の米国債の利回りの大幅上昇時には、欧州国債の利回りも大幅上昇した影響もあった。

今日の午後15時に発表された欧州ユーロ圏主要国のドイツの最新経済指標の5月の独鉱工業生産は、前月比では前回の市場予想以下のマイナス圏に低下したが、前年同月比では前回の1.6%と前回修正の1.7%と市場予想の0.5%に対し0.7%と、市場予想は上回っていた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は182円29~35銭付近で、昨夜17時の183円8~14銭付近の前東京終値比では約79銭の円高ポンド安であった。

主な要因は、欧州ユーロ同様に、世界株安時のリスク回避の低リスク通貨の円買いの影響が英国ポンドにも波及した。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年7月7日の日本時間(JST)19時32分(チャートの時間帯は英国ロンドン外国為替市場時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時32分) の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:32の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 143.07 ~ 143.08 -0.84 (円高)
ユーロ/円 155.75 ~ 155.76 -0.47 (円高)
ユーロ/ドル 1.0885 ~ 1.0886 +0.0030 (ドル安)
英ポンド/円 182.57 ~ 182.63 -0.51 (円高)
スイスフラン/円 159.75 ~ 159.81 -0.51 (円高)
豪ドル/円 95.12 ~ 95.16 -0.83 (円高)


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