FXニュース:日経平均株価大幅下落で円買い

2023年8月02日
FXニュース:日経平均株価大幅下落で円買い

 

東西FXニュース – 2023年8月2日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米景気ソフトランディング期待
  • 米長期金利上昇時の日米金利差
  • 米10年債利回り一時4.0552%
  • 米長期外貨建て発行体が格下げ
  • 明日英国政策金利発表イベント

今日2023年8月2日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の143円34銭前後から円の高値でドルの安値の142円60銭前後の値幅約74銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は142円60~62銭付近と、前日同時刻の142円72~73銭付近の前東京終値比で約11銭の円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で昨夜22時45分に発表された最新米国経済指標の7月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は前回と市場予想通りの49.0で、続いて23時に発表された最新米国重要経済指標の7月の米国サプライマネジメント協会 (ISM) 製造業景況指数は前回の46.0と市場予想の46.8に対し46.4と、市場予想には届かなかったものの前回よりは改善されていたことでは、米国経済がリセッション (景気後退) を起こさずにインフレを抑制できるというソフトランディング (軟着陸) への期待感が市場では高まっていた。

同時発表だった6月の米国雇用動態調査 (JOLTS) 求人件数は、前回の982.4万件と市場予想の961.0万件に対し958.2万件に低下していたが、新型コロナウイルスのパンデミック以前の平均値と比べると引き続き高いことから比較的堅調を保っていると米国市場では受け止められ、今週の8月4日の金曜の夜に発表予定の米国連邦準備制度理事会 (FRB) が重視する最新米国重要経済指標データの7月の米国雇用統計も堅調であれば、次回9月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) での米国利上げ継続の可能性もあることから、米国長期金利が上昇し、一時4.0552%付近の7月10日以来の高利回りを記録し、日本銀行 (日銀 / BoJ) の金利抑制で日米金利差拡大の円売りドル買いや、次回に利上げ停止の可能性もある欧州ユーロや以前の大幅利上げ継続予想が後退し小幅利上げ予想に転じた英国ポンドなどの他の主要通貨に対しても全般的なドル買いが一時優勢になり、今朝未明の午前2時35分頃に一時143円54銭付近の円の安値でドルの高値の7月7日以来の円安ドル高を記録した。

また、昨夜23時頃から発言予定のあった発言自粛期間のブラックアウト期間明けの米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官で次回9月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権も持つ米国シカゴ連銀のグールズビー総裁も、米国経済に「大規模なリセッション (景気後退) を起こすことなく、米国のインフレ率を低下させられる軌道にある」と発言したことでも、米国経済のソフトランディング期待が強まった。ただし、「次回9月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) での判断は、米国インフレの物価動向による」という「データ次第」の姿勢は引き続き強調していた。

米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の中では比較的ハト派として知られる米国アトランタ連銀のボスティック総裁は、「米国経済が自分の想定通りに進展すれば、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) で金利据え置きを支持する」と想定内のハト派発言をした一方で、来年2024年の下半期までは早期の利下げに転じることはないという米国金利高止まり予想を強める発言をしており、「早くても、来年下半期までは米国の利下げはないというのが自分自身の基本的な見通しだ。米国のインフレ率が2%の目標に到達すると絶対的に確信が持てるまでは、政策スタンスを逆方向に変更しないように断固として対応する」と同氏にしては比較的タカ派寄りの発言をしたことでは早期の米国利下げ予想が減退し、米国市場の高値記録後のドルの利益確定売りの後にも、米国市場では一定範囲で下げ止まった。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は円の高値でドルの安値の142円88銭前後から円の安値でドルの高値の143円54銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値を143円34銭付近の前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約1円5銭の大幅な円安ドル高をつけていた。

しかし、米国市場の終値直後の今朝早朝のオセアニア市場時間に、世界的に有名な米国の大手格付け会社のフィッチ・レーティングス (Fitch Ratings) が、米国の長期外貨建て発行体の格付けを従来のトリプルA (AAA) からその下のダブルAプラス (AA+) に格下げしたニュースを受けたドル売りが起き、安全資産のドルに続く低リスク通貨の日本円が買われた影響で、今朝6時55分頃に一時142円70銭付近に円相場が大きく反発した。

ただし、今朝8時50分に、6月15〜16日に開催分の日本銀行 (日銀 / BoJ) の日銀金融政策決定会合議事要旨が公表されたことでは、長短金利操作のイールドカーブ (YCC) 運用の柔軟化の後にも、この以前の会合時と似た低金利での指し値オペの金利抑制姿勢が示されたこともあり、大規模緩和金融政策の出口にはまだ遠いことが意識され、再び日米金利差拡大による円売りドル買いが入り始めた。

今朝9時55分の仲値決済も日本企業の輸入実需の円売りドル買いが優勢で、今朝も日銀は、残存期間が5年超で10年以下を含めた金利抑制の公開市場操作の国債買い入れオペの「指し値オペ」を全ての年限の買い入れ予算を前回から据え置きして5本も通知し、実質的な日銀の大規模緩和金融政策の継続が意識され、日米金利差拡大による円売りドル買いが続いた。

日銀の内田真一副総裁の発言もあり、千葉県の金融経済懇談会で、先日の7月28日の発表された長短金利操作のイールドカーブ・コントロール (YCC) 運用の柔軟化について、金融緩和を継続することが狙いであり、「出口を意識したものではない」と発言したことでも、円安要因の大規模緩和金融政策継続による日米金利差拡大予想の円売りドル買いが続いた。

そのため、昼の12時24分頃には一時143円34銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録し、フィッチ格下げニュースの前の今朝早朝の米国市場での終値付近に戻すという「往って来い」の状態になったことでは、市場高値後のドルの利益確定売りや安値の円買いが入り始めた。

また、主要取引先である米国のフィッチ格下げニュースの影響もあり、今日の日本の東京株式市場では警戒感や昨日の高値後の利益確定などで日経平均株価が大幅に下落したことで、日本株安時の株式市場から為替市場へのリスク回避で、国内第一安全資産の低リスク通貨の円買いが優勢に転じ始めた。

特に、日本市場と時間帯の近いアジア市場でも、日経平均株価の大幅下落の影響により、午後にはアジア株安にも波及したことで、低リスク通貨の円買いが強まった。

午後15時15分に今日の日経平均株価は3万2707円69銭と、前日比で768円89銭安の大幅下落のまま大引けしたことでリスクオフの低リスク通貨の円買いが続き、日本市場での円の高値でドルの安値の142円60銭付近を記録する形で17時の今日の東京終値を迎えた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は142円60~62銭付近で、昨夜17時の142円72~73銭付近の前東京終値比では約11銭の円高ドル安に転じた。

ただし、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場でも低リスク通貨の円買いが一時続いたことでは、17時51分頃には一時142円24銭付近も記録したが、そこからはドルの買い戻しも入り始め、ドルは円相場で19時台には前日比で横ばい圏近くに戻しており、日米金利差拡大による小幅な円安ドル高にも再び転じている。

今夜この後にも、最新米国経済指標の発表予定などがあり、日本時間での経済カレンダーのスケジュールは、20時に米国MBA住宅ローン申請指数 、21時15分に7月の米国ADP (Automatic Data Processing / オートマティック・データ・プロセッシング) 全米雇用統計、23時半に週間の米国原油在庫などの発表予定がある。

なお、今週金曜の注目の米国雇用統計に先駆けて、今夜発表予定の経済指標の中では、米国の大手給与計算代行サービスのオートマティック・データ・プロセッシング (ADP) 統計のADP全米雇用統計の重要度が高いとされている。

米国株式市場でも主要企業の決算報告シーズンが続いており、明日の木曜の夜にはアップル (Apple / APPL) やアマゾン (Amazon / AMZN) などの決算報告を控えており、株式市場からの為替相場への値動きの影響にも注意が必要である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は156円71~72銭付近で、昨夜17時の156円64~66銭付近の前東京終値比で約7銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、日銀の金利抑制の連日の指し値オペを受けた日欧金利差拡大による円売りユーロ買いの影響が残った。今日の午後に日経平均株価の大幅下落による低リスク通貨の円買い抵抗が入る以前の今朝には、157円台でも推移していたが、円が午後に下げ幅を縮めた。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0988~1.0989ドル付近で、昨夜17時の1.0974~1.0976ドル付近の前東京終値比で約0.14セントのユーロ高ドル安だった。

主な原因は、今日の日本市場の朝の米国格下げのニュースよるドル売りや、今週の米国経済指標を控えた持ち高調整などが影響を与えていた。

ただし、米国長期金利上昇時のドル買いや、一部の欧州株価下落時のリスク回避では、世界的に流動性の高い安全資産のドルが買われた影響もあり、今夜その後の今夜19時台の欧州英国市場では小幅なユーロ安ドル高にも転じている。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は182円42~48銭付近で、昨夜17時の182円92~98銭付近の前東京終値比で約50銭の円高ポンド安であった。

主な要因は、今日から英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) の金融政策委員会 (MPC) の1日目が始まり、2日目の明日木曜の日本時間20時頃に英国新政策金利の結果発表イベントが予定されているため、今日はイベント前のイベントリスクによる持ち高調整が影響を与えていた。以前の大幅利上げ継続予想は後退し、現在は英国小幅利上げ予想が優勢である。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年8月2日の日本時間(JST)19時26分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替市場時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時26分) の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:26の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 142.73 〜 142.74 +0.01 (円安)
ユーロ/円 156.60 〜 156.61 -0.04 (円高)
ユーロ/ドル 1.0971 〜 1.0972 -0.0003 (ドル高)
英ポンド/円 182.27 〜 182.33 -0.65 (円高)
スイスフラン/円 162.55 〜 162.61 -0.77 (円高)
豪ドル/円 93.89 〜 93.93 -0.92 (円高)


注意:

本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。

当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。