FXニュース:米長期金利一時4.168%に上昇
2023年8月03日東西FXニュース – 2023年8月3日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米国格下げで世界的に株価下落
- ADP全米雇用統計は予想上振れ
- データ受け米利上げ長期化予想
- 日銀が臨時の国債買い入れオペ
- 今夜英中銀の新政策金利の発表
今日2023年8月3日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の143円89銭前後から円の高値でドルの安値の142円85銭前後の値幅約1円4銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は142円91~93銭付近と、前日同時刻の142円60~62銭付近の前東京終値比で約31銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夕の英国ロンドン外国為替市場では、昨朝に米国ニューヨークと英国ロンドンを拠点とする世界的に有名な大手格付け会社の米国フィッチ・レーティングス (Fitch Ratings) が、米国債の発行体を以前の最高ランクのトリプルA (AAA) からダブルAプラス (AA+) に1ランク格下げしたニュースを受けて、世界市場で警戒感からリスク回避のリスクオフ株売りが起き、日経平均株価の大幅下落やアジアの株安に続いて欧州株式市場も株価下落で始まったために、株安時のリスクオフで買われやすい低リスク通貨の円買いが強まり、昨夜17時51分頃に一時142円24銭付近まで円が買われていた。
しかし、欧州株式市場のリスク回避では、欧州ユーロ圏の安全資産である欧州国債も買われた影響で、欧州国債の利回りが指標となる欧州長期金利が低下した一方で、米国長期金利は米国債売りで利回りが上昇していたため、欧米金利差拡大時のユーロ売りドル買いが起き、世界的に流動性が高い安全資産のドルも買われたことでは、安値からのドル買いも相まってドルは円相場で142円後半に反発し、再び上昇を始めた。
昨夜の欧州英国市場の後半から始まった今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、昨夜21時15分に米国の大手給与計算代行アウトソーシング・サービスのADP (Automatic Data Processing / オートマティック・データ・プロセッシング) 社による最新米国重要経済指標の7月の米国ADP全米雇用統計の前月比の報告が発表され、米国の政府部門を除いた非農業部門雇用者数が前回の49.7万人と前回修正の45.5万人と市場予想の18.9万人に対して32.4万人の増加と、前回ほどではないものの市場予想を再び大きく上回ったことで、堅調な米国雇用市場を背景にした米国連邦準備制度理事会 (FRB) による利上げ長期化予想が再び高まり、米国長期金利の更なる上昇に伴って日米金利差拡大による円売りドル買いや、主要通貨に対するドル買いが強まり、ドルは円相場で143円台に上昇した。
また、米国の財務省が発表した昨年8~10月の米国債の新規発行額は市場予想を上回って増加したことも米国長期金利上昇の一因となり、一時4.12%と2022年11月上旬以来の約9カ月ぶりの高利回りを記録しており、日本銀行 (日銀 / BoJ) の国債買い入れの指し値オペで金利抑制が続いていた日本の国債利回りと比較すると、日米金利差が拡大していた。
日本から時差遅れで昨夜が現地の朝にあたる米国市場でも、現地の朝のニュースで昨日の朝に日本銀行 (日銀 / BoJ) の日銀政策会合議事要旨が公開されたことや、内田副総裁が先日に、日銀の長短金利操作のイールドカーブコントロール (YCC) 運用の柔軟化は、金利抑制の大規模緩和金融政策の「出口を意識したものではない」と発言したニュースなどが伝わったことで、円安要因の日米金利差拡大予想も為替相場に影響を与えており、昨夜23時半過ぎには一時143円47銭付近の米国市場および日通しの円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、米国ニューヨーク株式市場では、フィッチ・レーティングスによる米国の格下げを受けた世界市場の警戒感によるリスク回避の株売りが、日本とアジアと欧州などの世界的な株安に広がった影響もあり、米国株式市場でもリスク回避のリスクオフの株売りで反応し、同時に米国利上げ長期化予想の高まりで米国金利上昇への警戒感によるリスクオフも起き、米国主要株価三指数ともに大幅安になり、米国ダウ平均株価が一時400ドル以上も大幅な下落を見せたため、米株安時のリスク回避でドルからでも買える低リスク通貨の円買いが強まったことでは、一時143円6銭付近に付近に対ドルの円相場が反発した。
ただし、高値感からクロス円には利益確定売りも入り始め、再びドルが買い戻されたことでは一時143円42銭付近に戻したものの、世界的な安全資産同士のペアであるドル円はやや横ばいに近い揉み合う形になったが、日欧米株安では低リスク通貨の円買い需要があった。
そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の142円72銭前後から円の安値でドルの高値の143円47銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値は143円32銭付近と、前日同時刻の前ニューヨーク終値比ではやや横ばいに近い約2銭の僅差の円高ドル安をつけていた。
続いて始まった今朝早朝の世界市場のオセアニア市場と今朝9時頃からの日本の東京外国為替市場では、米国長期金利上昇時の日米金利差拡大による円売りドル買いがある一方で、世界株安時の低リスク通貨の円買い需要もあり、朝は143円台前半付近でドル円の売買が交錯し、やや横ばいに近い値動きが先行した。
しかし、昨日から上昇していた米国長期金利が今日の日本市場での時間外の米国債券市場でも高止まりを続けており、日米金利差拡大や主要通貨に対するドル買いがあったことに対して、日本の長期金利が一時0.655%付近の2014年1月以来の水準に達したことで今日の昼の13時頃に日銀が再び金利抑制のための臨時の公開市場操作の国債買い入れオペの指し値オペを通知したことが原因で、日米金利差拡大による円売りドル買いの勢いが増し、通知前は143円台前半で推移していたドル円は143円台後半へと一気にシフトし、午後14時21分頃に一時143円89銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
日銀が金利抑制の指し値オペをする一方で、米国長期金利の市場となる米10年債利回りは今日の午後には一時4.168%付近に上昇していた。
ただし、今日の日本の東京株式市場でも日経平均株価が大幅な続落を見せたことでは、日本や世界株安時のリスク回避の国内第一安全資産の低リスク通貨の円買い需要もあり、午後15時15分に今日の日経平均株価は3万2159円28銭と、前日比で548円41銭安の大幅安の続落で大引けしたことで低リスク通貨の円買い需要が増え、午後からの欧州英国市場の参入でも欧州株式市場が軟調でリスク回避が続き、日本市場での安値後の低リスク通貨の円買いが先行したことから、夕方16時59分頃に今日の日本市場の円の高値でドルの安値の一時142円85銭付近を記録した。
そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は142円91~93銭付近で、昨夜17時の142円60~62銭付近の前東京終値比で約31銭の円安ドル高になった。
今夜この後にも、今夜20時頃の英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) 新政策金利発表があった後に、最新の米国経済指標の発表予定などがあり、日本時間での経済カレンダーのドル関連の発表スケジュールは、20時半に7月の米国チャレンジャー人員削減数、21時半に前週分の米国失業保険継続受給者数と米国新規失業保険申請件数、同時刻に4〜6月の第2四半期の米国単位労働コストと第2四半期米国非農業部門労働生産性の速報値、同じく21時半頃から米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国リッチモンド連銀のバーキン総裁の発言予定、22時45分に7月のサービス部門と総合の米国購買担当者景気指数、23時に7月の米国サプライマネジメント協会 (ISM) 非製造業景況指数と、6月の米国製造業新規受注などがある。また、明日の夜にも、米国重要経済指標の米国雇用統計の発表予定がある。
そして、今夜の米国株式市場の後の時間になるが、米国主要企業のアップル (Apple / APPL) とアマゾン (Amazon / AMZN) 株の決算報告予定なども市場で注目されている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は156円4~7銭付近と、昨夜17時の156円71~72銭付近の前東京終値比で約67銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、世界株安を受けたリスク回避により、欧州長期金利低下の欧州通貨が売られた一方で、低リスク通貨の円買い需要が為替相場の値動きに影響を及ぼした。
ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0918~1.0920ドル付近で、昨夜17時の1.0988~1.0989ドル付近の前東京終値比で約70銭のユーロ安ドル高だった。
原因は、米国長期金利の上昇により、世界的に流動性の高い安全資産でもあるドルが主要通貨に対して買われた一方で、欧米金利差によるユーロ売りドル買いや、比較的リスクに弱い欧州通貨のユーロが円などの他の主要通貨に対しても売られていた影響も波及した。
また、今日の夕方16時台に発表された欧州ユーロ圏の最新経済指標の7月のサービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は、フランスが前回と市場予想以下であったことに対しドイツは前回と市場予想以上と強弱入り混じっていたものの、17時に発表された欧州ユーロ圏総合では前回と市場予想以下であった。
今夜その後の18時に発表された欧州ユーロ圏の6月の欧州卸売物価指数 (PPI) は、前月比が前回の-1.9%と市場予想の-0.3%に対し-0.4%に低下し、前年同月比も前回の-1.5%と前回修正の-1.6%と市場予想の-3.2%に対し-3.4%に低下したことでは、欧州のインフレ抑制のための欧州中央銀行 (ECB) 理事会の次回の欧州利上げの見送り予想や停止または終了時期の予想なども浮上してきている。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は181円29~35銭付近と、昨夜17時の182円42~48銭付近の前東京終値比で約1円13銭の大幅な円高ポンド安であった。
主な要因は、今夜この後の20時に英国中央銀行のイングランド銀行 (Bank of England / BoE) の新政策金利と金融政策発表のイベントを控えたイベントリスクの英国ポンドの持ち高調整や買い控えに対して、世界株安の影響により低リスク通貨の円買い需要があったことなどが影響を及ぼした。
今夜の英国利上げの市場予想は優勢ではあるが、以前の大幅な英国利上げ継続予想は後退し、小幅な英国利上げ継続予想が優勢になっているため、今日の日本市場では発表前の持ち高調整と買い控えの動きが強かったが、結果が分かるまでの様子見の動きも出始めている。
なお、今夜17時半に発表された英国の最新経済指標の7月の英国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は、前回と市場予想一致の横ばいの51.5であった。
今夜この後の20時に 英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) の新金利発表と、英国中央銀行金融政策委員会 (MPC) 議事要旨の公開、そして20時半頃から英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) のベイリー総裁の発言予定がある。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年8月3日の日本時間(JST)19時25分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替市場時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時25分) の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:25の為替レート | 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比 |
ドル/円 | 142.89 〜 142.90 | +0.29 (円安) |
ユーロ/円 | 156.08 〜 156.10 | -0.63 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0922 〜 1.0924 | -0.0066 (ドル高) |
英ポンド/円 | 180.75 〜 180.81 | -1.67 (円高) |
スイスフラン/円 | 162.92 〜 162.98 | +0.28 (円安) |
豪ドル/円 | 93.24 〜 93.28 | -0.63 (円高) |
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