FXニュース:米雇用統計を受け長期金利低下
2023年8月07日東西FXニュース – 2023年8月7日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米非農業部雇用者数が想定以下
- 米平均時給増加と失業率は改善
- 米長期金利が4.2%から4%台に
- 米FRBハト派高官とタカ派理事
今日2023年8月7日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の141円51銭前後から円の安値でドルの高値の142円35銭前後の値幅約84銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は142円11~13銭付近と、前営業日同時刻の先週金曜の夜17時の142円62~63銭付近の前東京終値比では約51銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と世界FX市場のトレンド動向の分析は、先週金曜の夜21時半に米国ニューヨーク外国為替市場で発表された米国連邦準備制度理事会 (FRB) も注視する最新データの1つである最新米国重要経済指標の7月の米国雇用統計の米国失業率が前回と市場予想の3.6%に対し3.5%に改善され、7月の米国平均時給も前月の0.4%上昇と市場予想の0.3%上昇に対し0.4%の市場予想以上の上昇であったことでは発表時の21時半頃にはドルが一瞬上昇し、一時142円81銭付近の米国市場での円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、米国雇用統計の中でも米国の景気動向の影響を受けやすいと考えられている7月の最新米国非農業部門雇用者数 (NFP) 変化の前月比が、前回の20.9万人増加と前回下方修正の18.5万人増加と市場予想の20.0万人増加に対し、18.7万人増加と市場予想を下回ったことを受けて、先週8月2日の水曜の夜に発表されていた7月の米国ADP雇用統計の前月比が市場予想を大幅に超えたことから期待感から買われていたドルが利益確定で売られ始めたことを皮切りに、米国景気の減速感が意識され、安全資産の米国債買いが起きたことで一時は米国債売りで米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.204%付近の2022年11月8日以来の高利回りを記録した後に一時4.03%台に急低下し、米国長期金利の低下に伴う日米金利差縮小時の円買いドル売りや、ユーロなどの他の主要通貨に対するドル売りが優勢に転じ、ドルは円相場で23時半過ぎに一時141円55銭付近の米国市場および日通しでの円の高値でドルの安値を記録した。
米国NFPの結果を受けた米国景気減速感から、米国主要株価三指数が軒並み下落したことも、リスク回避の安全資産の米国債買いと低リスク通貨の円買いにつながっていた。
米長期金利低下時の円高ドル安の影響が他の主要通貨に波及したことに加えて、ユーロドルも欧米金利差により土曜の午前1時前には一時1.1042ドル付近の米国市場および日通しでのユーロの高値でドルの安値を記録したことで、主要通貨に対する全般的なドルの値動きを示唆するドルインデックスも一時101.74付近に低下し、週末市場での利益確定や持ち高調整なども相まって、一時ドル全面安も記録した。
また、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言の影響もあり、米国シカゴ連銀のグールズビー総裁は、最新データの「7月米国雇用統計は、ほぼ予想通りの内容だった。米国雇用市場は、若干落ち着いてきたものの、依然として非常に堅調だ」と受け止める一方で、「いつまで米国の高金利水準を維持するかについては、検討を始めるべき」と米国利上げの終了に向かって将来的に検討を始める時期についての発言を含めたこともあり、次回9月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) では、米国フェデラル・ファンド (FF) 政策金利の据え置き予想が優勢になっていた。
さらに、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の中でもハト派で知られる米国アトランタ連銀ボスティック総裁が、米国ブルームバーグテレビ (Bloomberg TV) のインタビューに出演し、自身の考えとして、「経済はかなり秩序だった形で減速すると想定している。この米国米国非農業部門雇用者数 (NFP) の変化も、秩序だった形で減速しており、米国のインフレ抑制に向けた更なる追加の利上げは必要ないと思う」と発言をしたことで、ボスティック総裁は次回9月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) では投票権は持たないものの、グールズビー総裁の発言と同時期に報道されたことで、米国利上げ長期化予想が減退した。
ただし、週末を控えた米国市場では、翌週にあたる今週の8月10日の木曜日にも最新重要データの米国の消費者物価指数 (CPI) の発表予定があり、今週は翌日11日の金曜日にも米国生産者物価指数の発表イベントなども控えており、市場安値後のドルには一時141円93銭付近の買い戻しも入った。
そのため、先週の金曜の夜から土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の142円81銭前後から円の高値でドルの安値の141円55銭前後の値動きで、先週末の土曜の朝6時頃のニューヨーク終値を141円76銭付近と、前日同時刻の前ニューヨーク終値比で約82銭の円高ドル安でつけていた。
週が明け、今朝早朝の世界市場のオセアニア市場ではオーストラリアの一部のノーザンテリトリーはピクニック・デー (Picnic Day) の祝日だったが、先週末の8月5日の土曜日に、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持ち、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の中でも比較的タカ派として知られるボウマンFRB理事が、米国カンザス州の銀行協会で講演し、米国のインフレ率を目標の2%に低下させるためには、「恐らく、追加利上げが必要になるだろう」とタカ派の発言し、前回の0.25%の利上げを支持した上で、「rate increases」と複数形で米国の追加利上げの可能性を示唆したニュースが伝わり、米国長期金利が上昇し、ドルの買い戻しが入り始めた。
「更なる米国利上げや高金利維持の必要性を検討するにあたっては、米国のインフレ率が目標である2%に向けて低下していることを示す一貫した証拠を探すことになる」と指摘されたことで、今週木曜日に発表予定の米国消費者物価指数 (CPI) などの注目度も高まった。
ただし、その一方で、理事が米国の個人消費や労働市場の鈍化兆候にも注目したいとも発言しており、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場では、先週末の米国雇用統計を受けた米国長期金利の低下による日米金利差縮小時の円買いドル売りが先行したことに加えて、今朝の日経平均株価が一時300円以上も大幅な下落を見せたことで日本株安時のリスク回避 (リスクオフ) の低リスク通貨の円買いが強まり、今朝9時55分頃に一時141円51銭付近の今日の日本市場および約1週間ぶりの円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、今朝9時55分には日本市場の仲値決済で輸入実需の円売りドル買いが入ったことや、今朝公開された日本銀行 (日銀 / BoJ) の7月27〜28日開催分の日銀金融政策決定会合の「主な意見」では、長短金利操作のイールドカーブコントロール (YCC) 運用の柔軟化を決定した傍らで、金利抑制の大規模緩和金融政策の長期化が示されていたことでは、市場高値後の円には利益確定売りも入り、市場安値後のドル買いが始まった。
午後になり、日経平均株価が今朝の下げ幅を縮めて前営業日比でプラス圏に転じ、米国長期金利も下げ幅を縮めたことで、日米金利差拡大時の円売りドル買いが強まった。
午後14時に発表された日本の最新経済指標の6月景気先行指数 (CI) の速報値は、前回の109.2に対し市場予想通りの108.9に上昇し、6月景気一致指数 (CI) の速報値は前回の114.3と市場予想の115.1に対し115.2と市場予想を上回り、日本景気好感による株の買い戻しが入っていた。
午後15時15分に今日の日経平均株価は3万2254円56銭で終値をつけ、前営業日比で61円81銭高の上昇で大引けをしたことでも、低リスク通貨の円売りが続いた。
また、午後から参入の欧州英国市場では、今朝発表された日本銀行 (日銀 / BoJ) の金融政策決定会合の「主な意見」を受けて、金利抑制の大規模緩和金融政策の継続による日本との金利差予想による主要通貨に対する円売りも影響を及ぼしていた。
米国長期金利も、夕方には4.1%台に向けて上昇して下げ幅を縮めてきており、午後16時5分頃には一時142円35銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録し、ドルは円相場で今朝までの下げ幅を縮めた。
そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は142円11~13銭付近で、前営業日同時刻の先週金曜17時の142円62~63銭付近の前東京終値比で約51銭の円高ドル安になった。
今夜この後にも最新の米国経済指標の発表予定や米国連邦準備制度理事会 (FRB) の高官達の発言予定があり、日本時間で今夜21時半頃から再び米国連邦準備制度理事会 (FRB) のボウマン理事の発言予定と、米国アトランタ連銀のボスティック総裁の発言予定、28時に 6月の米国消費者信用残高の発表予定などがある。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は156円18~19銭付近で、前営業日同時刻の先週金曜17時の156円11~12銭付近の前東京終値比で約7銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、日銀の主な意見を受けた大規模緩和継続による日欧金利差拡大予想に加えて、午後の低リスク通貨の円売りが影響を及ぼした。
ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0989~1.0990ドル付近で、前営業日同時刻の先週金曜17時1.0944~1.0946ドル付近の前東京終値比で約0.45セントのユーロ高ドル安だった。
主な要因は、前述の米国雇用統計受けた米国長期金利低下時のドル売りの欧米金利差の影響が残っていた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は181円3~9銭付近で、前営業日同時刻の先週金曜17時の181円18~24銭付近の前東京終値比で約15銭の円高ポンド安であった。
主な要因は、先週末の土曜の朝2時45分頃の一時181円44銭付近から米国株価下落を受けたリスク回避で、比較的リスク市場に弱いと考えられている英国ポンドが、逆にリスク市場に強い低リスク通貨の円に対して大きく売られた影響が残った。今日の日本市場では下げ幅を縮めたものの、土曜の朝6時過ぎ頃には世界市場で一時180円40銭付近も記録していた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年8月7日の日本時間(JST)19時37分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替市場時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時37分) の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:37の為替レート | 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比 |
ドル/円 | 142.36 〜 142.37 | -0.26 (円高) |
ユーロ/円 | 156.20 〜 156.22 | -0.09 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0971 〜 1.0973 | +0.0027 (ドル安) |
英ポンド/円 | 181.11 〜 181.17 | -0.07 (円高) |
スイスフラン/円 | 162.29 〜 162.35 | -0.35 (円高) |
豪ドル/円 | 93.36 〜 93.40 | -0.19 (円高) |
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